古典力学 · 第1回 · 動画6 · インタラクティブ教材

物理の隠れた文法:M・L・T で全ての量を表す次元解析

I重要な公式

量 次元式 備考
速度 [v]=L⋅T−1[v] = L \cdot T^{-1} 距離 / 時間
力 [F]=M⋅L⋅T−2[F] = M \cdot L \cdot T^{-2} 質量 × 加速度
仕事 / エネルギー / トルク(力のモーメント) [E]=M⋅L2⋅T−2[E] = M \cdot L^{2} \cdot T^{-2} 共通の「指紋」
仕事率 [P]=M⋅L2⋅T−3[P] = M \cdot L^{2} \cdot T^{-3} エネルギー / 時間

ポイント:組立量はすべて、MM、LL、TT のべき乗の積です。次元が同じであることは関係があるというしるしですが、同じものだとは限りません。

II可視化1 — 次元を組み立てる

MM、LL、TT をどのべき乗で組み合わせるとエネルギーの指紋になり、それを共有する量はどれでしょうか?

💡 チャレンジ:エネルギーの指紋 M⋅L2⋅T−2M \cdot L^{2} \cdot T^{-2} から TT の指数をもう1つ下げて M⋅L2⋅T−3M \cdot L^{2} \cdot T^{-3} にしてみましょう。これが仕事率の次元です。

III可視化2 — 量を一から組み立てる

それぞれの量は、基本次元を1つずつ加えながら、一つ前の量から次元を受け継ぎます。

IV可視化3 — 定数の次元を読み解く

定数の次元は、その定数を含む法則によって決まります。定数について解き、次元を代入し、整理します。

定義となる法則
F=G m1m2r2F = \dfrac{G\, m_1 m_2}{r^{2}}
定数について解く
G=F r2m1m2G = \dfrac{F\, r^{2}}{m_1 m_2}
次元を代入する
[G]=(M⋅L⋅T−2) L2M2[G] = \dfrac{(M \cdot L \cdot T^{-2})\, L^{2}}{M^{2}}
整理する
[G]=L3⋅M−1⋅T−2[G] = L^{3} \cdot M^{-1} \cdot T^{-2}
定義となる法則
E=hfE = h f
定数について解く
h=Efh = \dfrac{E}{f}
次元を代入する
[h]=M⋅L2⋅T−2T−1[h] = \dfrac{M \cdot L^{2} \cdot T^{-2}}{T^{-1}}
整理する
[h]=M⋅L2⋅T−1[h] = M \cdot L^{2} \cdot T^{-1}
定義となる法則
F=14πε0e2r2F = \dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{e^{2}}{r^{2}}
定数について解く
14πε0=F r2e2\dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0} = \dfrac{F\, r^{2}}{e^{2}}
次元を代入する
[14πε0]e2=(M⋅L⋅T−2) L2\left[\tfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\right] e^{2} = (M \cdot L \cdot T^{-2})\, L^{2}
整理する
[14πε0]=M⋅L3⋅T−2 (電荷2あたり)\left[\tfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\right] = M \cdot L^{3} \cdot T^{-2}\ (\text{電荷}^{2}\text{あたり})

💡 定数の数値は単位系によって変わりますが、次元式は決して変わりません。

V確認クイズ

問1

速度は距離を時間で割ったものです。速度の次元式はどれですか?

✅ 正解です!距離 (L) ÷ 時間 (T) で L · T⁻¹ になります。

❌ 惜しい!時間で割ると T の指数は負になります。また、質量は関係しません。

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解答:

速度は距離 ÷ 時間です。 [v]=LT=L⋅T−1[v] = \frac{L}{T} = L \cdot T^{-1}

時間で割るということは、TT の指数が負になるということです。質量は関係しないので、MM は現れません。

問2

運動エネルギーは 12mv2\tfrac{1}{2}mv^{2} です。よくある間違いは、速度の項が2乗されていることを忘れることです。運動エネルギーの正しい次元式はどれですか?

✅ 正解です!速度を2乗すると L² · T⁻² になり、質量をかけると M · L² · T⁻² です。

❌ 惜しい!それは力の次元です。速度を2乗し忘れています。

❌ 惜しい!速度は2乗されるので、L と T の指数がどちらも2倍になることを思い出しましょう。

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解答:

係数 12\tfrac{1}{2} は単なる数で、次元をもちません。したがって、 [KE]=M⋅(L⋅T−1)2=M⋅L2⋅T−2[KE] = M \cdot (L \cdot T^{-1})^{2} = M \cdot L^{2} \cdot T^{-2}

速度を2乗すると、L と T の両方の指数が2倍になります。これは仕事やトルクと共通の「指紋」です。

問3

ニュートンの万有引力の法則は F=G m1m2r2F = \dfrac{G\, m_1 m_2}{r^{2}} です。これを GG について解くと G=F r2m1m2G = \dfrac{F\, r^{2}}{m_1 m_2} となります。

[F]=M⋅L⋅T−2[F] = M \cdot L \cdot T^{-2} を使うと、GG の次元式はどれですか?

✅ 正解です!分母の2つの質量から M⁻¹ が残り、L¹·L² = L³ となります。

❌ 惜しい!質量に注意しましょう。力の M¹ を m₁m₂ (= M²) で割ると、M¹ ではなく M⁻¹ になります。

❌ 惜しい!(力の)L¹ と(r² の)L² をまとめて L³ とし、質量の指数を注意深く追いましょう。

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解答:

G=F r2m1m2G = \dfrac{F\, r^{2}}{m_1 m_2} に次元を代入します。 [G]=(M⋅L⋅T−2)⋅L2M2[G] = \frac{(M \cdot L \cdot T^{-2}) \cdot L^{2}}{M^{2}}

L の指数をまとめると L1⋅L2=L3L^{1} \cdot L^{2} = L^{3}、質量の指数は M1M2=M−1\dfrac{M^{1}}{M^{2}} = M^{-1} です。

[G]=L3⋅M−1⋅T−2[G] = L^{3} \cdot M^{-1} \cdot T^{-2}

問4

仕事とトルクは、どちらも次元式 M⋅L2⋅T−2M \cdot L^{2} \cdot T^{-2} をもちます。

正しいか誤りか:次元が同じなので、仕事とトルクは物理的に同じ量である。

✅ 正解です!次元が同じ ≠ 同じもの。仕事は内積で、トルクは外積です。

❌ 惜しい!次元が同じことは関係があることを示しますが、仕事とトルクは本当に異なる量です。

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解答:

誤り。次元が同じであることは関係があるというしるしで、同じものであるという意味ではありません。

  • 仕事は内積 (F⃗⋅d⃗\vec{F} \cdot \vec{d}) で、エネルギーの移動を表すスカラーです。
  • トルクは外積 (r⃗×F⃗\vec{r} \times \vec{F}) で、回転させようとする傾向を表すベクトルです。

両者はまったく同じ次元の指紋 M⋅L2⋅T−2M \cdot L^{2} \cdot T^{-2} をもちますが、根本的に異なる物理量です。次元が一致することは構造についての手がかりであって、2つのものが同じだという意味ではありません。

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