古典力学 · 第11回 · 動画4 · インタラクティブ教材

回転が生む張力――回る二つの質量から、回転するロープへ

I重要な公式

公式名称必要なもの
∑Fr=mar=−mrω2\sum F_r = m a_r = -m r \omega^2円運動の動径方向の運動方程式mm、rr、ω\omega(r^\hat{r} は外向き)
T2=2m2d ω2T_2 = 2 m_2 d\,\omega^2外側の糸(回る2つの質量)m2m_2、dd、ω\omega
T1=d ω2 (m1+2m2)T_1 = d\,\omega^2\,(m_1 + 2 m_2)内側の糸(回る2つの質量)m1m_1、m2m_2、dd、ω\omega
dTdr=−mL ω2r  ⟹  T(r)=mω22L(L2−r2)\dfrac{dT}{dr} = -\dfrac{m}{L}\,\omega^2 r \;\Longrightarrow\; T(r) = \dfrac{m\omega^2}{2L}\left(L^2 - r^2\right)回転する一様なロープmm、LL、ω\omega、および T(L)=0T(L) = 0

ポイント: 張力は内側へ向かって積み重なります。どの部分も、自分より外側にあるすべてのものに内向きの力を与えなければならないので、張力は回転軸で最大になり、自由端でゼロになります。

II回る2つの質量

2つの質量は同じ ω\omega で回っています。それなのに、なぜ内側の糸は外側の糸より強く引かなければならないのでしょうか?

IIIビーズから連続したロープへ

同じ全質量をより多くのビーズに分けていくと、階段状の張力はなめらかな放物線に変わります。

💡 積分定数は外側の端で決まります。r=Lr = L の先には引き戻すものが何もないので、T(L)=0T(L) = 0 です。

IV半分の位置でも、張力は半分ではない

回転するロープの中点では、回転軸での張力のうちどれだけが残っているでしょうか?

V確認クイズ

問1 · 外側の糸

条件:2つの物体が鉛直な回転軸のまわりを ω=4\omega = 4 rad/s で回っています。m1=3m_1 = 3 kg は半径 d=0.5d = 0.5 m に、m2=1m_2 = 1 kg は半径 2d=1.02d = 1.0 m にあります(糸の質量と重力は無視します)。2つの物体の間の糸の張力 T2T_2 を求めてください。

✅ 正解です! 外側の物体にはたらくのは T2T_2 だけなので、T2=m2(2d)ω2=1×1.0×16=16T_2 = m_2 (2d)\omega^2 = 1 \times 1.0 \times 16 = 16 N です。
❌ 半径を確かめてください。 外側の物体は d=0.5d = 0.5 m ではなく 2d=1.02d = 1.0 m にあります。この因子 22 で答えは2倍になります。
❌ それは内側の糸です。 4040 N は両方の質量を支えなければならない T1T_1 です。外側の糸が支えるのは m2m_2 だけです。
❌ 質量が違います。 外側の物体の自由物体図に現れるのは m2m_2 だけです。T2T_2 に m1m_1 は入りません。
❌ 惜しい! 外側の物体だけに動径方向の運動方程式を当てはめます:−T2=m2(−(2d)ω2)-T_2 = m_2\left(-(2d)\omega^2\right)。
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外側の物体の自由物体図:はたらく力は、内向きに引く張力 T2T_2 の1つだけです。r^\hat{r} を外向きにとると ar=−(2d)ω2a_r = -(2d)\omega^2 です。

−T2=m2 ar=−m2(2d)ω2⟹T2=2m2d ω2-T_2 = m_2\,a_r = -m_2 (2d)\omega^2 \quad\Longrightarrow\quad T_2 = 2 m_2 d\, \omega^2 T2=2(1)(0.5)(4)2=2×0.5×16=16 NT_2 = 2(1)(0.5)(4)^2 = 2 \times 0.5 \times 16 = 16\ \text{N}

張力は 16 N です。m1m_1 がまったく入らないことに注目してください。この質量は糸の先ではなく、内側にあるからです。

問2 · 内側の糸(よくある落とし穴)

条件:同じ系で、m1=3m_1 = 3 kg が d=0.5d = 0.5 m に、m2=1m_2 = 1 kg が 2d=1.02d = 1.0 m にあり、ω=4\omega = 4 rad/s です。回転軸と内側の物体の間の糸の張力 T1T_1 を求めてください。

✅ 正解です! T1=dω2(m1+2m2)=0.5×16×(3+2)=40T_1 = d\omega^2(m_1 + 2m_2) = 0.5 \times 16 \times (3 + 2) = 40 N です。内側の糸は m1m_1 を引く力を与えるうえに、T2T_2 も伝えています。
❌ m1m_1 の分しか考えていません。 24 N=m1dω224\ \text{N} = m_1 d\omega^2 です。内側の糸は外側の物体へ T2=16T_2 = 16 N も伝えなければならないので、24+16=4024 + 16 = 40 N になります。
❌ それは外側の糸です。 2本の糸の張力は同じではありません。内側の糸のほうが必ず大きな張力を受けます。
❌ 半径を確かめてください。 2d2d にあるのは m2m_2 だけです。内側の物体は dd にあるので、その項は m1(2d)ω2m_1 (2d)\omega^2 ではなく m1dω2m_1 d\omega^2 です。
❌ 惜しい! 内側の物体についての動径方向の運動方程式は T2−T1=−m1dω2T_2 - T_1 = -m_1 d\omega^2 です。
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内側の物体は外向き(m2m_2 のほう)に T2T_2、内向き(回転軸のほう)に T1T_1 を受け、ar=−dω2a_r = -d\omega^2 です。

T2−T1=−m1d ω2T_2 - T_1 = -m_1 d\,\omega^2

問1で求めた T2=2m2dω2T_2 = 2m_2 d\omega^2 を代入すると

T1=T2+m1d ω2=2m2d ω2+m1d ω2=d ω2(m1+2m2)T_1 = T_2 + m_1 d\,\omega^2 = 2 m_2 d\,\omega^2 + m_1 d\,\omega^2 = d\,\omega^2 (m_1 + 2 m_2) T1=0.5(4)2(3+2⋅1)=8×5=40 NT_1 = 0.5 (4)^2 (3 + 2 \cdot 1) = 8 \times 5 = 40\ \text{N}

数値で見ると T1=16+24=40T_1 = 16 + 24 = 40 N で、T2=16T_2 = 16 N よりはっきり大きくなっています。

問3 · 回転するロープに沿った張力

条件:質量 m=3m = 3 kg、長さ L=2L = 2 m の一様なロープが、先端を自由にしたまま回転軸のまわりを ω=5\omega = 5 rad/s で回っています。回転軸での張力とロープの中点での張力を求めてください。

回転軸での張力 T(0)T(0) はいくらですか?

r=1r = 1 m での張力はいくらですか?

✅ 正解です! T(r)=18.75 (4−r2)T(r) = 18.75\,(4 - r^2) N なので、回転軸では 7575 N、中点では 56.2556.25 N です。半分ではなく4分の3です。
❌ 回転軸での値を確かめてください。 r=0r = 0 とおくと T(0)=mω2L2=3×25×22=75T(0) = \dfrac{m\omega^2 L}{2} = \dfrac{3 \times 25 \times 2}{2} = 75 N です。12\tfrac{1}{2} を落とすと 150150 N になります。張力がゼロになるのは自由端です。
❌ 減り方は直線的ではありません。 TT は r2r^2 で決まります。T(1)=18.75 (4−1)=56.25T(1) = 18.75\,(4 - 1) = 56.25 N で、これは T(0)T(0) の 34\tfrac{3}{4} です。半分の位置でも、張力は半分ではありません。
解答を見る

自由端で T(L)=0T(L) = 0 として、dTdr=−mLω2r\dfrac{dT}{dr} = -\dfrac{m}{L}\omega^2 r を内側へ向かって積分すると

T(r)=mω22L(L2−r2)=3(25)2(2)(4−r2)=18.75 (4−r2)T(r) = \frac{m\omega^2}{2L}\left(L^2 - r^2\right) = \frac{3(25)}{2(2)}\left(4 - r^2\right) = 18.75\,(4 - r^2)

回転軸 (r=0)(r = 0) では:

T(0)=18.75×4=75 N(=mω2L2)T(0) = 18.75 \times 4 = 75\ \text{N} \qquad \left(= \frac{m\omega^2 L}{2}\right)

中点 (r=1 m)(r = 1\ \text{m}) では:

T(1)=18.75×3=56.25 NT(1) = 18.75 \times 3 = 56.25\ \text{N}

比は L2−(L/2)2L2=34\dfrac{L^2 - (L/2)^2}{L^2} = \dfrac{3}{4} です。張力分布は直線ではなく放物線なのです。

問4 · 張力が半分になるのはどこか?(応用)

条件:質量 mm、長さ LL の一様なロープが、外側の端を自由にして角速度 ω\omega で回っています。張力がちょうど最大値の半分まで下がる、回転軸からの距離 rr を求めてください。

✅ 正解です! T(r)T(0)=L2−r2L2=12\dfrac{T(r)}{T(0)} = \dfrac{L^2 - r^2}{L^2} = \tfrac{1}{2} から r=L/2≈0.707Lr = L/\sqrt{2} \approx 0.707L です。しかもこれは mm にも ω\omega にもよりません。
❌ それは直線的な減り方を仮定しています。 T∝L2−r2T \propto L^2 - r^2 なので、r=L/2r = L/2 での張力はまだ最大値の 12\tfrac{1}{2} ではなく 34\tfrac{3}{4} です。
❌ 外側すぎます。 r=32Lr = \tfrac{\sqrt{3}}{2}L ではかっこの中が L2−r2=L24L^2 - r^2 = \tfrac{L^2}{4} なので、張力は最大値の4分の1です。
❌ 惜しい! L2−r2L2=12\dfrac{L^2 - r^2}{L^2} = \tfrac{1}{2} とおいて rr について解きます。最後に平方根をとるのを忘れないでください。
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張力は回転軸で最大となり、T(0)=mω2L2T(0) = \dfrac{m\omega^2 L}{2} です。一般の張力分布をこれで割ると

T(r)T(0)=mω22L(L2−r2)mω2L2=L2−r2L2\frac{T(r)}{T(0)} = \frac{\frac{m\omega^2}{2L}\left(L^2 - r^2\right)}{\frac{m\omega^2 L}{2}} = \frac{L^2 - r^2}{L^2}

これを 12\tfrac{1}{2} とおくと

L2−r2=L22⟹r2=L22⟹r=L2≈0.707 LL^2 - r^2 = \frac{L^2}{2} \quad\Longrightarrow\quad r^2 = \frac{L^2}{2} \quad\Longrightarrow\quad r = \frac{L}{\sqrt{2}} \approx 0.707\,L

mm と ω\omega の因子はすべて約分されるので、張力が半分になる点は、どんな一様な回転するロープでも 0.707L0.707L にあります。自由端までの道のりの3分の2より外側です。

正解数:0 / 4