古典力学 · 第11回 · 動画6 · インタラクティブ教材
球殻定理:球の重力はなぜ中心から来るのか、積分で証明する
I重要な公式
ポイント:1つの原始関数が両方の場合を決めます。外側では rs,1 が z−R→z+R と動き、括弧の値は 4R となって Fz=−Gmsm1/z2 が残ります。内側では R−z→R+z と動き、括弧の値は 0 になります。
IIなぜ軸方向の引力だけが残るのか
どの要素も、物体を内向きだけでなく横向きにも引きます。では、横向きの引力はどこへ行くのでしょうか?
III積分区間がすべてを決める
θ が 0→π と動くと、線分 rs,1 はある範囲を動きます。その範囲がすべてを決めます。
IV球殻による力の分布
表面を越えると引力は消えます。球殻の内側では、重力はちょうど0です。
💡 中身の詰まった球は入れ子になった球殻の集まりです。だから外から見ると、どの球殻も、したがって球全体も、中心にある1つの質点として引きます。
V確認クイズ
問1 · 質量要素
条件:質量 ms、半径 R の一様な球殻があり、面密度は σ=4πR2ms です。θ, θ+dθ と ϕ, ϕ+dϕ のあいだの切れ端の質量 dm を求めてください。
✅ 正解です! 切れ端の面積は
da=R2sinθdθdϕ で、
σR2=ms/4π です。
R2 はきれいに約分されます。
❌ 面積の因子が抜けています。これは
σsinθdθdϕ です。
da=R2sinθdθdϕ からくる因子
R2 がまだ足りません。これが
σ の中の
R2 と約分されます。
❌ 惜しい! 順に組み立てましょう。辺
Rdθ と
Rsinθdϕ から
da=R2sinθdθdϕ が得られ、それに
σ をかけます。
解答を見る
切れ端の辺の長さは Rdθ(余緯度の方向)と Rsinθdϕ(軸のまわりの方向。緯線の円の半径は R ではなく Rsinθ)です。
da=(Rdθ)(Rsinθdϕ)=R2sinθdθdϕ
一様な面密度をかけます。
dm=σda=4πR2ms⋅R2sinθdθdϕ=4πmssinθdθdϕ
球殻の半径は約分されます。ありがたい簡単化で、R はこの後、幾何を通してだけ再び現れます。
検算:∫02π∫0π4πmssinθdθdϕ=4πms(2π)(2)=ms ✓
問2 · 内側の場合の積分区間
条件:物体は球殻の内側にあり、z<R です。θ が 0 から π まで動くとき、線分 rs,1 が動く範囲を求めてください。
✅ 正解です! θ=0 では球殻のいちばん近い点までの距離が
R−z、
θ=π ではいちばん遠い点までの距離が
R+z です。
❌ それは外側の場合の積分区間です。z<R では
z−R は負になりますが、距離は負になれません。近い側の線分は
R−z です。
❌ 惜しい! rs,12=R2+z2−2Rzcosθ に
θ=0 と
θ=π を代入すると、
(R−z)2 と
(R+z)2 が得られます。
解答を見る
動く範囲の両端で余弦定理を計算します。
θ=0:rs,12=R2+z2−2Rz=(R−z)2⇒rs,1=∣R−z∣=R−z
θ=π:rs,12=R2+z2+2Rz=(R+z)2⇒rs,1=R+z
z<R なので、絶対値は R−z になります(物体は中心よりも球殻のてっぺんに近い位置にあります)。球殻の外側 z>R では、同じ計算からかわりに z−R が得られます。証明全体を通して、2つの場合の違いはこれだけです。
問3 · 積分を計算する
条件:半径 R=3 m の球殻があり、物体は外側の z=6 m にあります。原始関数は A(rs,1)=−rs,1z2−R2+rs,1 です。積分区間を求め、括弧の値を計算してください。
rs,1 の積分区間はどうなりますか?
A(rmax)−A(rmin) はいくらですか?
✅ 正解です! A(9)−A(3)=6−(−6)=12=4R で、
−4Rz2Gmsm1(4R)=−z2Gmsm1 となります。
❌ 積分区間を確かめましょう。外側とは
z>R のことなので、線分は
z−R=6−3=3 m から
z+R=6+3=9 m まで動きます。(
1.5 m から
4.5 m は、
内側の場合の積分区間
R∓z です。)
❌ 計算を確かめましょう。z2−R2=27 なので、
A(9)=−3+9=6、
A(3)=−9+3=−6 です。負の数を引くと足し算になるので、差は
6 ではありません。
解答を見る
ステップ1 — 積分区間。物体は外側にあるので、θ が 0→π と動くとき、
rmin=z−R=3 m,rmax=z+R=9 m
ステップ2 — 計算。ここでは z2−R2=36−9=27 m2 です。
A(9)=−927+9=−3+9=6 m
A(3)=−327+3=−9+3=−6 m
A(9)−A(3)=6−(−6)=12 m=4R
ステップ3 — まとめる。この 4R が、前の係数の 4R と約分されます。
Fz=−4Rz2Gmsm1(4R)=−z2Gmsm1
中心に置いた質点 ms による引力そのものです。
問4 · 応用 — 中身の詰まった球の内部
条件:質量 M、半径 R の一様な中身の詰まった球があり、その中の、中心から z=R/2 のところに小さな質量 m が埋まっています。m にはたらく重力を求めてください。
✅ 正解です! 引くのは内側に含まれる
M/8 だけで、それが距離
R/2 だけ離れた中心からはたらきます。
F=−(R/2)2G(M/8)m=−2R2GMm です。
❌ それは球殻の結果で、中身の詰まった球の結果ではありません。0になるのは
z より
外側の球殻だけです。半径
z の内側にある物質は、中心にある質点として引き続けます。
❌ 惜しい! 2つのことが同時に変わります。実効的な質量が
M(z/R)3=M/8 に減り、
さらに距離は
z=R/2 なので
z2=R2/4 です。
解答を見る
球を半径 z=R/2 のところで分けます。半径が z より大きい球殻はどれも埋まっている質量を内側に含むので、球殻定理の後半により、寄与は0です。内側の球殻はどれも、中心にある質点としてはたらきます。
ステップ1 — 内側に含まれる質量(密度は一様):
Menc=M(Rz)3=M(21)3=8M
ステップ2 — 中心からの逆二乗則:
F=−z2GMencm=−(R/2)2G(M/8)m=−R2/4GMm/8=−2R2GMm
よくある間違い:
- 0 と答える — それが成り立つのは中空の球殻か、z より外側にある球殻だけです。
- z=R/2 で全質量 M を使う — −4GMm/R2 になります。
- 質量を M/8 に減らしたのに、距離を R のままにする — −GMm/8R2 になります。
すっきりした帰結に注目しましょう。一様な球の内部では F=−R3GMmz で、力は中心からの距離に比例して大きくなります。そのため、地球を貫くトンネルの中では単振動が起こります。
正解数:0 / 4