古典力学 · 第12回 · 動画1 · インタラクティブ教材

力積は運動量の変化:積分形のニュートンの第二法則

I重要な公式

公式名称必要なもの
p⃗=mv⃗\vec{p} = m\vec{v}運動量 — 運動の量質量と、決めた基準系での速度
F⃗=dp⃗dt\vec{F} = \dfrac{d\vec{p}}{dt}第二法則(微分形)質量が一定であること
I⃗=∫tt+ΔtF⃗(t′) dt′=Δp⃗\vec{I} = \int_{t}^{t+\Delta t}\vec{F}(t')\,dt' = \Delta\vec{p}第二法則(積分形)Δt\Delta t のあいだの力の時間変化
F⃗ave=1Δt∫tt+ΔtF⃗(t′) dt′  ⟹  F⃗aveΔt=Δp⃗\vec{F}_{\mathrm{ave}} = \dfrac{1}{\Delta t}\int_{t}^{t+\Delta t}\vec{F}(t')\,dt' \;\Longrightarrow\; \vec{F}_{\mathrm{ave}}\Delta t = \Delta\vec{p}平均の力力積と経過時間

ポイント: 効いてくるのは面積だけです。FF–tt グラフの下で同じ面積を囲む2つの力の時間変化は、同じ Δp⃗\Delta\vec{p} をもたらします。その面積の単位は N s=kg m s−1\mathrm{N\,s} = \mathrm{kg\,m\,s^{-1}}、つまり運動量の単位であって、決してニュートンではありません。

II力積が運動量として積み上がる

左の色のついた面積は、ただの面積ではありません。ブロックが得た運動量そのものです。

III同じはたらきをする一定の力

時間間隔全体にわたってはたらく1つの一定の力が、同じ力積をもたらします。その高さはいくらでなければならないでしょうか?

💡 力積で決まるのは平均の力だけです。同じ面積を10分の1の時間に押し込めば、力の最大値は10倍になります。クラッシャブルゾーンは、まさにこれを逆にするためにあります。

IV力積はベクトルとして足される

力がもたらす運動量は力の向きを向き、もともとあった運動量に、終点と始点をつないで足されます。

V確認クイズ

問1 · 力積から速さへ

条件: 摩擦のない面の上で静止している 3.0 kg3.0\ \mathrm{kg} のブロックに、12 N12\ \mathrm{N} の一定の力が 0.25 s0.25\ \mathrm{s} のあいだはたらきます。ブロックの最後の速さを求めてください。

✅ 正解です! I=(12)(0.25)=3.0 N sI = (12)(0.25) = 3.0\ \mathrm{N\,s} なので Δp=3.0 kg m s−1\Delta p = 3.0\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}} となり、v=Δp/m=1.0 m s−1v = \Delta p / m = 1.0\ \mathrm{m\,s^{-1}} です。
❌ それは加速度です。 F/m=4.0 m s−2F/m = 4.0\ \mathrm{m\,s^{-2}} は速度の変化率です。これがさらに 0.25 s0.25\ \mathrm{s} のあいだはたらく必要があります。
❌ それは速さではなく力積です。 FΔt=3.0 N s=3.0 kg m s−1F\Delta t = 3.0\ \mathrm{N\,s} = 3.0\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}} は運動量です。質量で割ると速度が得られます。
❌ 惜しい! 一定の力なら、積分は長方形の面積になります。I=FΔtI = F\Delta t で、この力積が Δp=mv−0\Delta p = mv - 0 に等しくなります。
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ステップ1 — 力積。 力は一定なので、FF–tt グラフの下の面積は長方形です。

I=F Δt=(12 N)(0.25 s)=3.0 N sI = F\,\Delta t = (12\ \mathrm{N})(0.25\ \mathrm{s}) = 3.0\ \mathrm{N\,s}

ステップ2 — 力積は運動量の変化。 ブロックは静止状態から動き出すので、Δp=pf\Delta p = p_f です。

pf=Δp=I=3.0 kg m s−1p_f = \Delta p = I = 3.0\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}}

ステップ3 — 運動量から速度へ。

v=pfm=3.0 kg m s−13.0 kg=1.0 m s−1v = \frac{p_f}{m} = \frac{3.0\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}}}{3.0\ \mathrm{kg}} = 1.0\ \mathrm{m\,s^{-1}}

F=maF = ma で確かめる: a=12/3.0=4.0 m s−2a = 12/3.0 = 4.0\ \mathrm{m\,s^{-2}}、v=aΔt=(4.0)(0.25)=1.0 m s−1v = a\Delta t = (4.0)(0.25) = 1.0\ \mathrm{m\,s^{-1}} ✓。力積を使う方法は、加速度に一度も触れずに同じ答えにたどり着きます。しかも、力が一定でないときにも使えます。

問2 · 向きが反転するときの符号

条件: 0.145 kg0.145\ \mathrm{kg} の野球のボールが 40 m s−140\ \mathrm{m\,s^{-1}} で飛んできて、同じ直線上を反対向きに 30 m s−130\ \mathrm{m\,s^{-1}} で飛び去ります。ボールがバットに触れている時間は 1.5 ms1.5\ \mathrm{ms} です。平均の力の大きさを求めてください。

✅ 正解です! 向きが反転するので Δv=−70 m s−1\Delta v = -70\ \mathrm{m\,s^{-1}} となり、∣Δp∣=10.15 N s|\Delta p| = 10.15\ \mathrm{N\,s}、Fave=10.15/0.0015=6.8×103 NF_{\mathrm{ave}} = 10.15 / 0.0015 = 6.8\times10^{3}\ \mathrm{N} です。
❌ 速さどうしを引き算しています。 飛んでくる速度の向きを +x+x とすると vi=+40v_i = +40、vf=−30v_f = -30 なので、−10 m s−1-10\ \mathrm{m\,s^{-1}} ではなく Δv=−70\Delta v = -70 です。ボールは止められ、さらに打ち返されなければなりません。
❌ 単位が違います。 10.1510.15 は N s\mathrm{N\,s} で表した力積、つまり運動量です。力は、その力積を接触時間 1.5 ms1.5\ \mathrm{ms} で割ったものです。
❌ 最後の運動量だけを使っています。 m∣vf∣/Δtm|v_f| / \Delta t では、ボールが飛んできたときにもっていた 5.80 kg m s−15.80\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}} が無視されています。力積は運動量の変化です。
❌ 惜しい! 符号をつけて一次元で考えましょう。Fave=m(vf−vi)/ΔtF_{\mathrm{ave}} = m(v_f - v_i)/\Delta t で、vfv_f と viv_i は逆符号です。
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ボールが飛んでくる速度の向きを +x+x とします。向きの反転がこの問題の要で、vfv_f は負になります。

pi=(0.145)(+40)=+5.80 kg m s−1,pf=(0.145)(−30)=−4.35 kg m s−1p_i = (0.145)(+40) = +5.80\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}}, \qquad p_f = (0.145)(-30) = -4.35\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}} Δp=pf−pi=−4.35−5.80=−10.15 kg m s−1\Delta p = p_f - p_i = -4.35 - 5.80 = -10.15\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}}

積分形の第二法則により、この Δp\Delta p がそのままバットが加えた力積です。大きさは 10.15 N s10.15\ \mathrm{N\,s} で、向きは −x-x 方向です。ここで平均の力を使います。

Fave=∣Δp∣Δt=10.15 N s1.5×10−3 s=6.77×103 N≈6.8×103 NF_{\mathrm{ave}} = \frac{|\Delta p|}{\Delta t} = \frac{10.15\ \mathrm{N\,s}}{1.5\times10^{-3}\ \mathrm{s}} = 6.77\times10^{3}\ \mathrm{N} \approx 6.8\times10^{3}\ \mathrm{N}

よくある間違い:

  • 40−30=10 m s−140 - 30 = 10\ \mathrm{m\,s^{-1}} を使ってしまう。これはボールが減速しただけの場合で、9.7×102 N9.7\times10^{2}\ \mathrm{N} となり、7分の1の小さすぎる値になります。
  • 10.1510.15 を答えにしてしまう。これは N\mathrm{N} ではなく N s\mathrm{N\,s} です。

平均の力が表している交換関係に注目しましょう。6.8 kN6.8\ \mathrm{kN} を 1.5 ms1.5\ \mathrm{ms} 加えると、10.15 N10.15\ \mathrm{N} をまる1秒加えたのとちょうど同じだけ運動量が変わります。

問3 · 増えてから減る力

条件: +x+x 方向に Δt=0.80 s\Delta t = 0.80\ \mathrm{s} のあいだ押します。時間間隔の前半は F⃗(t)=bt i^\vec{F}(t) = bt\,\hat{i}、後半は F⃗(t)=(d−bt) i^\vec{F}(t) = (d - bt)\,\hat{i} で、b=30 N s−1b = 30\ \mathrm{N\,s^{-1}}、d=24 Nd = 24\ \mathrm{N} です。力の最大値と、加えられた力積を求めてください。

力の最大値はいくらですか?

力積はいくらですか?

✅ 正解です! グラフは底辺 Δt\Delta t、高さ bΔt/2=12 Nb\Delta t/2 = 12\ \mathrm{N} の三角形なので、I⃗=14b(Δt)2 i^=4.8 N s\vec{I} = \tfrac{1}{4}b(\Delta t)^2\,\hat{i} = 4.8\ \mathrm{N\,s}(+x+x 方向)です。これが得られた運動量です。
❌ 最大値がどこにあるか確かめましょう。 2つの式は中点 t=Δt/2=0.40 st = \Delta t/2 = 0.40\ \mathrm{s} でつながり、そこで F=bΔt/2=(30)(0.40)F = b\Delta t/2 = (30)(0.40) です。定数 b=30b = 30 と d=24d = 24 は、押す力が実際に達する値ではありません。
❌ 面積を確かめましょう。 三角形を中央の線で2つに分けると、それぞれ 12(0.40)(12)=2.4 N s\tfrac{1}{2}(0.40)(12) = 2.4\ \mathrm{N\,s} で、それが2つあります。高さ 12 N12\ \mathrm{N}、幅 0.80 s0.80\ \mathrm{s} の長方形なら 9.6 N s9.6\ \mathrm{N\,s} ですが、これは2倍の大きすぎる値です。力が最大値にあるのはほんの一瞬だからです。
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ステップ1 — 最大値。 増えていく部分は中点で終わります。

Fmax⁡=b Δt2=(30 N s−1)(0.40 s)=12 NF_{\max} = b\,\frac{\Delta t}{2} = (30\ \mathrm{N\,s^{-1}})(0.40\ \mathrm{s}) = 12\ \mathrm{N}

ステップ2 — 2つの部分がつながっているか確かめる。 減っていく部分の式は、中点で d−b(0.40)=24−12=12 Nd - b(0.40) = 24 - 12 = 12\ \mathrm{N} となり連続です ✓。終点では d−b(0.80)=24−24=0d - b(0.80) = 24 - 24 = 0 です ✓。

ステップ3 — 力積は面積。 三角形は2つの直角三角形に分けられ、それぞれ底辺 Δt/2\Delta t/2、高さ bΔt/2b\Delta t/2 です。

I⃗=[12 ⁣(bΔt2) ⁣(Δt2)+12 ⁣(bΔt2) ⁣(Δt2)]i^=14b(Δt)2 i^\vec{I} = \left[\tfrac{1}{2}\!\left(\frac{b\Delta t}{2}\right)\!\left(\frac{\Delta t}{2}\right) + \tfrac{1}{2}\!\left(\frac{b\Delta t}{2}\right)\!\left(\frac{\Delta t}{2}\right)\right]\hat{i} = \tfrac{1}{4}b(\Delta t)^2\,\hat{i} I⃗=14(30 N s−1)(0.80 s)2 i^=4.8 N s i^\vec{I} = \tfrac{1}{4}(30\ \mathrm{N\,s^{-1}})(0.80\ \mathrm{s})^2\,\hat{i} = 4.8\ \mathrm{N\,s}\,\hat{i}

半分ずつが 12(12)(0.40)=2.4 N s\tfrac{1}{2}(12)(0.40) = 2.4\ \mathrm{N\,s} を受けもち、2.4+2.4=4.82.4 + 2.4 = 4.8 です ✓。

ステップ4 — 物理として読む。 I⃗=Δp⃗\vec{I} = \Delta\vec{p} により、物体の運動量は、もとの値がいくらであっても、押す前より +x+x 方向に 4.8 kg m s−14.8\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}} だけ大きくなっています。

問4 · 応用 — クラッシャブルゾーンが役立つわけ

条件: 15 m s−115\ \mathrm{m\,s^{-1}} で走る 1200 kg1200\ \mathrm{kg} の車を止めます。かたい障壁なら 0.10 s0.10\ \mathrm{s} で止まり、クラッシャブルゾーンがあると同じ停止が 0.60 s0.60\ \mathrm{s} に引き延ばされます。クラッシャブルゾーンがつぶれる場合の平均の力を求め、2つの力積を比べてください。

クラッシャブルゾーンがあるときの平均の力は?

力積は、かたい障壁で止まる場合と比べてどうですか?

✅ 正解です! どちらの停止でも同じ 1.8×104 kg m s−11.8\times10^{4}\ \mathrm{kg\,m\,s^{-1}} が取り去られるので、力積は同じです。それを6倍の時間に広げると、平均の力は6分の1になります。
❌ それはかたい障壁の場合です。 1.8×105 N1.8\times10^{5}\ \mathrm{N} は Δt=0.10 s\Delta t = 0.10\ \mathrm{s} から出てきます。クラッシャブルゾーンは、同じ力積を 0.60 s0.60\ \mathrm{s} かけて加えます。
❌ それは力積そのものです。 1.8×1041.8\times10^{4} は N s\mathrm{N\,s} で表した ∣Δp∣|\Delta p| です。力を求めるには、さらに Δt=0.60 s\Delta t = 0.60\ \mathrm{s} で割ります。
❌ 速度を平均しています。 7.5 m s−17.5\ \mathrm{m\,s^{-1}} を使うと 1.5×104 N1.5\times10^{4}\ \mathrm{N} になりますが、力積に使うのは運動量の変化 mΔvm\Delta v で、速度の変化はまるごとの 15 m s−115\ \mathrm{m\,s^{-1}} です。
❌ 2つの段階を確かめましょう。 まず ∣Δp∣=m∣Δv∣=(1200)(15)|\Delta p| = m|\Delta v| = (1200)(15)、次に Δt=0.60 s\Delta t = 0.60\ \mathrm{s} として Fave=∣Δp∣/ΔtF_{\mathrm{ave}} = |\Delta p| / \Delta t です。
❌ 力ではなく運動量を比べましょう。 どちらの場合も車は 15 m s−115\ \mathrm{m\,s^{-1}} から静止するので、Δp\Delta p、したがって力積はまったく同じです。違うのは、それが時間的にどう配分されるかだけです。
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ステップ1 — 力積。これは運動量だけで決まる。

∣I⃗∣=∣Δp⃗∣=m∣Δv∣=(1200 kg)(15 m s−1)=1.8×104 N s|\vec{I}| = |\Delta \vec{p}| = m|\Delta v| = (1200\ \mathrm{kg})(15\ \mathrm{m\,s^{-1}}) = 1.8\times10^{4}\ \mathrm{N\,s}

この式には時間がまったく出てこないので、どちらの衝突でも力積は同じです。

ステップ2 — 平均の力。こちらは時間に依存する。

Frigid=1.8×1040.10=1.8×105 N,Fcrumple=1.8×1040.60=3.0×104 NF_{\mathrm{rigid}} = \frac{1.8\times10^{4}}{0.10} = 1.8\times10^{5}\ \mathrm{N}, \qquad F_{\mathrm{crumple}} = \frac{1.8\times10^{4}}{0.60} = 3.0\times10^{4}\ \mathrm{N}

ステップ3 — 設計の意味を読む。 衝突を6倍に引き延ばすと、平均の力は6分の1になります。FF–tt グラフの下の面積は 1.8×104 N s1.8\times10^{4}\ \mathrm{N\,s} に決まっています。クラッシャブルゾーンは、その面積の形を、高くて細いスパイクから低くて広い台地へと作り変えるだけです。そして人をけがさせるのは、その高さ、つまり力なのです。

同じ考え方で、エアバッグや、ひざを曲げて着地すること、手を引きながらボールを受け止めることも説明できます。

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