古典力学 · 第12回 · 動画3 · インタラクティブ教材

質量中心:二つの粒子から一本の棒まで

I重要な公式

公式名称必要なもの
R⃗cm=m1r⃗1+m2r⃗2m1+m2\vec{R}_{\text{cm}} = \dfrac{m_1\vec{r}_1 + m_2\vec{r}_2}{m_1 + m_2}2つの粒子両方の質量と両方の位置
R⃗cm=1msys∑i=1Nmir⃗i\vec{R}_{\text{cm}} = \dfrac{1}{m_{\text{sys}}}\displaystyle\sum_{i=1}^{N} m_i\vec{r}_iNN 個の粒子msys=∑imim_{\text{sys}} = \sum_i m_i。成分ごとに成り立つ
R⃗cm=∫bodyr⃗ ′ dm∫bodydm\vec{R}_{\text{cm}} = \dfrac{\int_{\text{body}} \vec{r}\,'\,dm}{\int_{\text{body}} dm}連続した物体分母はただの MM
dm=λ(x′) dx′dm = \lambda(x')\,dx'線密度質量を長さの要素に置き換える

ポイント: 3つとも、位置を質量で重みづけした同じ平均です。連続した物体の場合に難しいのは、積分変数が長さではなく質量だという点だけです。そのため、積分を計算する前に dmdm を λ(x′) dx′\lambda(x')\,dx' に置き換えなければなりません。

II2つの粒子と1つの加重平均

それぞれの位置が自分の質量で重みづけされるので、つり合いの点は重いほうの粒子へ寄っていきます。

III地球と月のつり合いの点

月はつり合いの点を地球の中心から引き離します。地表に届くほど遠くまででしょうか?

💡 つり合いの点が地表の外に出るのは、月がおよそ 1.41.4 倍重い場合だけです。mmrem/(me+mm)=REm_m r_{em}/(m_e + m_m) = R_E とおくと、mm=meRE/(rem−RE)=1.01×1023 kgm_m = m_e R_E/(r_{em} - R_E) = 1.01 \times 10^{23}\ \text{kg} が得られます。

IV密度の式からつり合いの点へ

質量を一方の端に寄せると、つり合いの点も一緒に引っぱられます。変わるのは積分の中の密度だけです。

V確認クイズ

問1 · 直線上の2つの質量

条件: xx 軸上の x1=2.0 mx_1 = 2.0\ \text{m} に m1=3.0 kgm_1 = 3.0\ \text{kg}、x2=10.0 mx_2 = 10.0\ \text{m} に m2=5.0 kgm_2 = 5.0\ \text{kg} があります。xcmx_{\text{cm}} を求めてください。

✅ 正解です! 重いほうの粒子が重みの 5/85/8 を占めるので、つり合いの点は m1m_1 から 5.05.0 m、m2m_2 からはわずか 3.03.0 m のところにあります。
❌ それは幾何学的な中点です。 (x1+x2)/2(x_1 + x_2)/2 が質量中心になるのは m1=m2m_1 = m_2 のときだけです。ここでは m2m_2 のほうが重いので、点はそちらへずれるはずです。
❌ 重みをつける粒子を取り違えています。 計算したのは (m2x1+m1x2)/(m1+m2)(m_2x_1 + m_1x_2)/(m_1+m_2) です。それぞれの位置にはその粒子自身の質量をかけなければなりません。
❌ 分子で止まっています。 56 kg⋅m56\ \text{kg}\cdot\text{m} は質量で重みづけした和です。全質量 8.08.0 kg で割ることで、はじめて位置に戻ります。
❌ 惜しい! xcm=(m1x1+m2x2)/(m1+m2)x_{\text{cm}} = (m_1x_1 + m_2x_2)/(m_1+m_2) を使いましょう。分子は 3.0(2.0)+5.0(10.0)=563.0(2.0) + 5.0(10.0) = 56 です。
解答を見る

2つの粒子は1本の軸上にあるので、ベクトルの定義はその xx 成分だけになります。

xcm=m1x1+m2x2m1+m2=(3.0)(2.0)+(5.0)(10.0)3.0+5.0=6.0+50.08.0=568.0=7.0 mx_{\text{cm}} = \frac{m_1x_1 + m_2x_2}{m_1 + m_2} = \frac{(3.0)(2.0) + (5.0)(10.0)}{3.0 + 5.0} = \frac{6.0 + 50.0}{8.0} = \frac{56}{8.0} = 7.0\ \text{m}

2つの極限で確かめる。 質量が等しければ中点の 6.06.0 m、m1→0m_1 \to 0 とすれば 10.010.0 m になります。答えの 7.07.0 m は中点と重い粒子のあいだにあり、加重平均があるべき場所にちょうどあります。

問2 · 原点を移す

条件: 地球と月の系で、me=5.98×1024 kgm_e = 5.98 \times 10^{24}\ \text{kg}、mm=7.34×1022 kgm_m = 7.34 \times 10^{22}\ \text{kg}、rem=3.84×108 mr_{em} = 3.84 \times 10^{8}\ \text{m} です。原点を地球の中心にとったときの答えは 4.66×106 m4.66 \times 10^{6}\ \text{m} でした。今度は原点を月の中心にとり、ı^\hat{\imath} を地球の方向に向けます。この座標系での RcmR_{\text{cm}} を求めてください。

✅ 正解です! 同じ物理的な点を、新しい原点から表しただけです。4.66×106+3.79×108=3.84×108 m=rem4.66 \times 10^{6} + 3.79 \times 10^{8} = 3.84 \times 10^{8}\ \text{m} = r_{em} となります。
❌ 点は動きませんが、その座標は変わります。 4.66×106 m4.66 \times 10^{6}\ \text{m} は地球の中心からの距離です。月から見ると、2つの天体の距離のほぼ全体だけ離れています。
❌ それは中点 rem/2r_{em}/2 です。 中点が答えになるのは2つの質量が等しいときだけです。ここでは地球は月の 8080 倍以上も重いのです。
❌ 向きを確かめましょう。 質量中心は2つの天体のあいだにあるので、2つの距離の和は remr_{em} にならなければならず、それを超えることはありません。
❌ 惜しい! 原点を月にとると、今度は月の項が消えます。Rcm=merem/(me+mm)R_{\text{cm}} = m_e r_{em}/(m_e + m_m) です。
解答を見る

原点は自由に選べ、原点にある物体の項は消えます。原点を月に置くと r⃗m=0⃗\vec{r}_m = \vec{0} なので

R⃗cm=mer⃗e+mmr⃗mme+mm=meremme+mm ı^\vec{R}_{\text{cm}} = \frac{m_e\vec{r}_e + m_m\vec{r}_m}{m_e + m_m} = \frac{m_e r_{em}}{m_e + m_m}\,\hat{\imath} =(5.98×1024)(3.84×108)6.05×1024=2.30×10336.05×1024=3.79×108 m= \frac{(5.98 \times 10^{24})(3.84 \times 10^{8})}{6.05 \times 10^{24}} = \frac{2.30 \times 10^{33}}{6.05 \times 10^{24}} = 3.79 \times 10^{8}\ \text{m}

つじつまの確認: 3.79×108+4.66×106=3.84×108 m3.79 \times 10^{8} + 4.66 \times 10^{6} = 3.84 \times 10^{8}\ \text{m} で、2つの天体の距離全体になります。つり合いの点は動いていません。動いたのは物差しのほうです。また、地球を原点にした計算のほうが楽なことにも注意しましょう。残る項が小さいほうの質量の項だからです。

問3 · 密度が一次関数的に増える棒

条件: 長さ LL、全質量 MM の細い棒が x′=0x' = 0 から x′=Lx' = L まで置かれていて、線密度は λ(x′)=λ0x′/L\lambda(x') = \lambda_0 x'/L です。定数 λ0\lambda_0 と質量中心を求めてください。

λ0\lambda_0 はいくらですか?

RcmR_{\text{cm}} はどこですか?

✅ 正解です! 一次関数の密度は、二次関数の密度ほど右側に質量を寄せないので、つり合いの点は 2L/32L/3 にとどまり、動画の棒の 3L/43L/4 までは届きません。
❌ それは一様な棒の密度です。 M/LM/L は平均の密度です。ここでの λ0\lambda_0 は x′=Lx' = L での最大値なので、平均より大きくなければなりません。
❌ それは λ∝x′2\lambda \propto x'^2 の場合の答えです。 ∫0Lx′2 dx′=L3/3\int_0^L x'^2\,dx' = L^3/3 からは λ0=3M/L\lambda_0 = 3M/L が得られますが、λ∝x′\lambda \propto x' なら積分は L2/2L^2/2 になります。
❌ 惜しい! 密度を積分すると全質量になる、という条件で λ0\lambda_0 を決めましょう。∫0Lλ0x′/L dx′=M\int_0^L \lambda_0 x'/L\,dx' = M です。
❌ それは一様な棒の場合です。 ここでは質量が均等に分布していないので、つり合いの点が中点にとどまることはできません。
❌ 数値は合っていますが、測る端が逆です。 L/3L/3 は重いほうの端からの距離です。問われているとおり x′=0x' = 0 から測ると、質量中心は L−L/3=2L/3L - L/3 = 2L/3 にあります。
❌ それは二次関数の密度の棒の答えです。 3L/43L/4 は λ∝x′2\lambda \propto x'^2 から出てきます。もっとゆるやかな一次関数的な寄り方では、つり合いの点をそこまで引っぱれません。
❌ 惜しい! Rcm=1M∫0Lx′λ(x′) dx′R_{\text{cm}} = \frac{1}{M}\int_0^L x'\lambda(x')\,dx' を計算しましょう。被積分関数は x′2x'^2 に比例します。
解答を見る

ステップ1 — 全質量から λ0\lambda_0 を決める。

M=∫bodydm=∫0Lλ0x′L dx′=λ0L⋅L22=λ0L2⟹λ0=2MLM = \int_{\text{body}} dm = \int_0^L \frac{\lambda_0 x'}{L}\,dx' = \frac{\lambda_0}{L}\cdot\frac{L^2}{2} = \frac{\lambda_0 L}{2} \quad\Longrightarrow\quad \lambda_0 = \frac{2M}{L}

単位も確かめられます。質量 ÷ 長さ、つまり kg/m です。

ステップ2 — 積分して質量中心を求める。

Rcm=1M∫0Lx′ λ0x′L dx′=λ0ML∫0Lx′2 dx′=λ0ML⋅L33R_{\text{cm}} = \frac{1}{M}\int_0^L x'\,\frac{\lambda_0 x'}{L}\,dx' = \frac{\lambda_0}{ML}\int_0^L x'^2\,dx' = \frac{\lambda_0}{ML}\cdot\frac{L^3}{3} =1ML⋅2ML⋅L33=2L3= \frac{1}{ML}\cdot\frac{2M}{L}\cdot\frac{L^3}{3} = \frac{2L}{3}

妥当性の確認。 λ∝x′n\lambda \propto x'^n なら、同じ2つの積分から Rcm=n+1n+2LR_{\text{cm}} = \frac{n+1}{n+2}L が得られます。一様な棒(n=0n = 0)は L/2L/2、この棒(n=1n = 1)は 2L/32L/3、動画の棒(n=2n = 2)は 3L/43L/4 でつり合います。密度の増え方が急なほど、つり合いの点は先へ進みます。

問4 · 棒と小球

条件: 質量 MM、長さ LL の一様な棒が x=0x = 0 から x=Lx = L まで置かれ、その右端 x=Lx = L に質量 MM の質点が接着されています。全体の系の質量中心を求めてください。

✅ 正解です! しかも、λ∝x′2\lambda \propto x'^2 の棒と同じ 3L/43L/4 です。まったく違う2つの物体が同じつり合いの点をもつことがあります。決め手は質量の分布だけだからです。
❌ それは棒だけの場合です。 接着された粒子は棒全体と同じ質量をもつので、つり合いの点を L/2L/2 より右へ引っぱるはずです。
❌ 棒の質量を遠いほうの端に置いています。 物体は、その全質量が自分自身の質量中心にあるものとして計算に入ります。棒は LL ではなく L/2L/2 にある MM としてはたらきます。
❌ 全質量が違います。 2M2M ではなく MM で割ると、答えは 3L/23L/2 になり、棒の端より完全に外へ出てしまいます。加重平均が、部分どうしを結ぶ線分の外に出ることは決してありません。
❌ 惜しい! 棒を x=L/2x = L/2 にある質量 MM の1つの粒子で置き換え、2粒子の定義を使いましょう。
解答を見る

ステップ1 — 棒を1点にまとめる。 一様な棒そのものの積分は動画で計算しました。棒は中点でつり合うので、ここでは棒を x=L/2x = L/2 にある質量 MM の粒子とみなしてかまいません。

ステップ2 — 2つの粒子。

xcm=M(L2)+M(L)M+M=32ML2M=3L4x_{\text{cm}} = \frac{M\left(\frac{L}{2}\right) + M(L)}{M + M} = \frac{\frac{3}{2}ML}{2M} = \frac{3L}{4}

ステップ3 — 答えを読む。 小球は、つり合いの点を L/2L/2 から 3L/43L/4 まで引っぱります。これは、二次関数の密度 λ∝x′2\lambda \propto x'^2 が、余分の質量を端に集中させる代わりに棒に沿って広げることで達成したのと、ちょうど同じ距離です。

ここで使った一般的な規則はこうです。∑imir⃗i\sum_i m_i\vec{r}_i の中のそれぞれの「粒子」は、広がりをもつ物体全体であってもよく、その全質量が自分自身の質量中心にあるものとして入れればよいのです。このおかげで、積分をやり直さなくても、いくつもの部分からなる系を扱えます。

正解数:0 / 4