古典力学 · 第13回 · 動画4 · インタラクティブ教材

質量が流れるとき:四つの分類と一つの運動量の原理

I重要な公式

公式名称要点
F⃗ext total=dp⃗sysdt\vec{F}^{\,\text{total}}_{\text{ext}} = \dfrac{d\vec{p}_{\text{sys}}}{dt}力積と運動量の関係(運動量定理)質量が流れても成り立つ(F=maF = ma は成り立たない)
F⃗ext total=lim⁡Δt→0p⃗sys(t+Δt)−p⃗sys(t)Δt\vec{F}^{\,\text{total}}_{\text{ext}} = \lim\limits_{\Delta t \to 0} \dfrac{\vec{p}_{\text{sys}}(t + \Delta t) - \vec{p}_{\text{sys}}(t)}{\Delta t}[t, t+Δt][t,\ t+\Delta t] の方針移動する Δm\Delta m を見きわめる
psys=pobject+pΔmp_{\text{sys}} = p_{\text{object}} + p_{\Delta m}質量一定の系の帳簿Δm\Delta m は両方の時刻で数に入れる
vf=Ftfm0+btf=Fmcb (m0+mc)v_f = \dfrac{F t_f}{m_0 + b t_f} = \dfrac{F m_c}{b\,(m_0 + m_c)}石炭車(例題12.1)mc=b tfm_c = b\,t_f、石炭は鉛直に落ちる

ポイント: 系の境界は、物体ではなく質量についていきます。Δm\Delta m は、どこにあろうと、tt でも t+Δtt + \Delta t でも同じように系に属します。そうしてはじめて F⃗ext=dp⃗/dt\vec{F}_{\text{ext}} = d\vec{p}/dt が成り立ちます。

II質量移動の問題をすべて分類する

結果を決めるのは、Δm\Delta m が入るか出るかだけではなく、運動の向きの運動量を運ぶかどうかです。

IIItt から t+Δtt + \Delta t までの帳簿

力積と運動量の関係は質量の変わらない系を必要とするので、Δmr\Delta m_r は両方の時刻で数に入れます。

1 · Δm\Delta m を見きわめ、系を決める
Δmr\Delta m_r は Δt\Delta t のあいだに着地する雨です。系は、両方の時刻で、貨車とその雨を合わせたものです。
2 · tt での運動量
px(t)=mv+Δmr⋅0=mvp_x(t) = m v + \Delta m_r \cdot 0 = m v
雨はまだ落ちている途中なので、質量は寄与しますが、運動量の xx 成分は寄与しません。
3 · t+Δtt + \Delta t での運動量
px(t+Δt)=(m+Δmr)(v+Δv)p_x(t + \Delta t) = (m + \Delta m_r)(v + \Delta v)
ひとかたまりはもう貨車に乗っているので、貨車と一緒に動きます。
4 · Δt\Delta t で割る
ΔpxΔt=m Δv+v Δmr+ΔmrΔvΔt\frac{\Delta p_x}{\Delta t} = \frac{m\,\Delta v + v\,\Delta m_r + \Delta m_r \Delta v}{\Delta t}
5 · Δt→0\Delta t \to 0 とする
積 ΔmrΔv\Delta m_r \Delta v は Δt\Delta t より速くゼロに近づき、摩擦のないレールでは Fext,x=0F_{\text{ext},x} = 0 です。
mdvdt+vdmdt=0⟹v(t)=m0v0m(t)m\frac{dv}{dt} + v\frac{dm}{dt} = 0 \quad\Longrightarrow\quad v(t) = \frac{m_0 v_0}{m(t)}

💡 分類ごとに変わるのは、帳簿の中央の項だけです。pΔmp_{\Delta m} は、落ちてくる雨ではゼロ、消防ホースでは Δmwu\Delta m_w u、ロケットの噴出ガスでは後ろ向きになります。

IV石炭車に石炭を積む

静止したホッパーから落ちる石炭は質量を増やしますが、前向きの運動量はもち込まないので、同じ力積でより大きな質量を動かすことになります。

💡 tt が大きくなると、石炭を積む車の速さは F/bF/b に近づきます。これは、加えた力がすべて、新しく届いた石炭を加速するのに使われる速さです。

V確認クイズ

問1 · 質量の移動を分類する

条件: 質量 mm の貨車が摩擦のないレールの上を速さ vv で前に進んでいて、そこへ穀物が速さ u>vu > v で水平に前向きに吹き込まれます。これはどの分類ですか?

✅ 正解です! どのひとかたまりも px=Δm u≠0p_x = \Delta m\,u \neq 0 をもって届き、しかも u>vu > v なので、穀物は貨車に積み込まれるとともに貨車を前へ押し進めます。消防ホースと同じ状況です。
❌ それは雨を受ける貨車です。 雨は鉛直に落ちるので、運動量の xx 成分はゼロです。この穀物は uu で前向きに吹き込まれ、px=Δm up_x = \Delta m\,u をもって届きます。
❌ 流れの向きを確かめましょう。 穀物は貨車に入っていくので、貨車の質量は増えます。質量が出ていくのは分類2と分類4です。
❌ 惜しい! 2つの問いを順に考えましょう。質量は入るのか出るのか。そして、移動する Δm\Delta m は運動の向きの運動量を運ぶのか。
解答を見る

分類に必要な答えは2つだけです。

1 — 質量はどちら向きに流れるか? 穀物は貨車に着地するので、貨車の質量は増えます。これは質量が入る2つの分類のどちらかです。

2 — Δm\Delta m は xx 方向の運動量を運ぶか? 穀物は速さ uu で水平に吹き込まれるので、ひとかたまりは次の運動量をもって届きます。

px(Δm)=Δm u≠0p_x(\Delta m) = \Delta m\,u \neq 0

u>vu > v なので、届く穀物は貨車より速く、ぶつかるたびに前向きの運動量を貨車に渡します。運動量をもって質量が入るのは分類3で、ボートを押し進める消防ホースと同じ物理です。

鉛直に落ちる雨と比べてみましょう。質量の流れは同じでも px(Δm)=0p_x(\Delta m) = 0 なので分類1となり、逆に貨車は遅くなります。

問2 · スケーターの袋からもれる砂

条件: 全質量 mm のスケーターが摩擦のない氷の上を速さ vv ですべっています。砂がスケーターから見てまっすぐ下にもれ、質量 Δm\Delta m が出ていきました。水平方向の外力ははたらきません。そのあとのスケーターの速さを求めてください。

✅ 正解です! 出ていった砂はまだ vv で前に進んでいるので、もともともっていた運動量をそのまま運んでいます。スケーターの分は変わらず、Δv=0\Delta v = 0 です。
❌ 砂を系から落としています。 t+Δtt + \Delta t でも砂は質量一定の系の内側にあり、Δm v\Delta m\,v を寄与します。この項を残せば、答えは Δv=0\Delta v = 0 になります。
❌ 帳簿が半分だけです。 砂の運動量 Δm v\Delta m\,v は取り除きましたが、その質量はスケーターに残したままです。両方取り除くか、どちらも残すかです。
❌ それは雨を受ける貨車の結果です。 あちらでは質量が運動量をもたずに入ってきます。こちらでは質量が自分の分の運動量をもったまま出ていくので、何も薄まりません。
❌ 惜しい! スケーターと出ていった砂を合わせた系全体の pxp_x を両方の時刻で書き、その変化の合計をゼロとおきましょう。
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質量一定の系として、スケーター、袋、そしてこれから出ていく砂を選びます。この境界を横切るものはなく、水平方向の外力もはたらかないので、pxp_x は両方の時刻で同じです。

前: すべてが一緒に動いています。

px(t)=mvp_x(t) = m v

後: スケーターは質量 m−Δmm - \Delta m で新しい速さ v+Δvv + \Delta v で動き、出ていった砂は、まだ系の中にあって、離れたときの前向きの速さ vv を保っています。

px(t+Δt)=(m−Δm)(v+Δv)+Δm vp_x(t + \Delta t) = (m - \Delta m)(v + \Delta v) + \Delta m\, v

等しいとおく:

(m−Δm)(v+Δv)+Δm v=mv⟹(m−Δm) Δv=0(m - \Delta m)(v + \Delta v) + \Delta m\,v = m v \quad\Longrightarrow\quad (m - \Delta m)\,\Delta v = 0

m>Δmm > \Delta m なので Δv=0\Delta v = 0 となり、スケーターの速さは変わりません。

これが分類2の特徴です。スケーターから見ると砂はただ落ちるだけで、運動の向きの運動量をもち去りません。質量は出ていきますが、速さは変わりません。

問3 · 石炭車に石炭を積む

条件: 質量 m0=300 kgm_0 = 300\ \text{kg} の空の車が、一定の力 F=150 NF = 150\ \text{N} に引かれて静止状態から動き出します。同時に、静止したホッパーから石炭が一定の割合 b=25 kg/sb = 25\ \text{kg/s} で鉛直に落ち、合計 mc=450 kgm_c = 450\ \text{kg} が移るまで続きます。移し終えるまでの時間 tft_f と最終の速さ vfv_f を求めてください。

移し終えるまでの時間はいくらですか?

最終の速さはいくらですか?

✅ 正解です! 力積 Ftf=2700 N⋅sF t_f = 2700\ \text{N}\cdot\text{s} を最終的な全質量 750 kg750\ \text{kg} が分け合うので、vf=3.6v_f = 3.6 m/s です。
❌ 分子の質量が違います。 割合 bb が表すのは届く石炭なので、tf=mc/bt_f = m_c/b です。車自身の 300300 kg はホッパーから注がれたわけではありません。
❌ 落ちるのは石炭だけです。 tf=mc/bt_f = m_c/b には移される質量だけを使います。(m0+mc)/b(m_0 + m_c)/b では、ホッパーが車まで送り出したことになってしまいます。
❌ 単位を確かめましょう。 F/bF/b の単位は N/(kg/s)=m/s\text{N}/(\text{kg/s}) = \text{m/s} で、時間ではなく速さです。
❌ 惜しい! 石炭は m(t)=btm(t) = b t のようにたまっていくので、移し終えるのは btf=mcb t_f = m_c のときです。
❌ 方法は正しいのですが、時間が違います。 それは F(12)/750F(12)/750 です。移す時間は m0/bm_0/b ではなく tf=mc/b=18t_f = m_c/b = 18 s です。
❌ 車そのものを忘れています。 tft_f で動いている質量は、石炭だけの 450450 kg ではなく m0+mc=750m_0 + m_c = 750 kg です。
❌ それは空の車です。 Ftf/m0F t_f/m_0 は石炭を無視しています。同じ力積で 750750 kg を動かさなければならないので、石炭を積んだ車はずっと遅くなります。
❌ 惜しい! Ftf=(m0+btf) vfF t_f = (m_0 + b t_f)\,v_f を使いましょう。質量の流れの効果は、すべてその分母に入っています。
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ステップ1 — 分類する。 石炭は静止したホッパーから鉛直に落ちるので、水平方向の速度ゼロで届きます。分類1、質量は入るが運動量は入らない場合です。

ステップ2 — 質量一定の系を選ぶ。 車と石炭全体の質量 mcm_c を合わせたものをとります。こうすれば何も入らず、何も出ていきません。石炭は境界の内側で、ホッパーから車へ移るだけです。

ステップ3 — 移し終えるまでの時間。 石炭は一定の割合 bb でたまっていきます。

mc=b tf⟹tf=mcb=45025=18 sm_c = b\,t_f \quad\Longrightarrow\quad t_f = \frac{m_c}{b} = \frac{450}{25} = 18\ \text{s}

ステップ4 — xx 方向の2つの状態。 最初、車は静止していて、石炭は動かないホッパーの中にあります。

px(0)=0p_x(0) = 0

最後には、石炭を積んだ質量 m0+btfm_0 + b t_f の車が vfv_f で動いています。

px(tf)=(m0+b tf) vf=(300+450) vfp_x(t_f) = (m_0 + b\,t_f)\,v_f = (300 + 450)\,v_f

ステップ5 — 力積と運動量の関係。 力は一定なので、力積はただの FtfF t_f です。

∫0tfF dt=Ftf=px(tf)−px(0)\int_0^{t_f} F\,dt = F t_f = p_x(t_f) - p_x(0) 150×18=2700=750 vf⟹vf=3.6 m/s150 \times 18 = 2700 = 750\,v_f \quad\Longrightarrow\quad v_f = 3.6\ \text{m/s}

閉じた形で確かめる:

vf=Fmcb (m0+mc)=(150)(450)(25)(750)=6750018750=3.6 m/s ✓v_f = \frac{F m_c}{b\,(m_0 + m_c)} = \frac{(150)(450)}{(25)(750)} = \frac{67500}{18750} = 3.6\ \text{m/s}\ \checkmark

空の車を同じ 1818 s だけ引けば、2700/300=9.02700/300 = 9.0 m/s に達します。力積が同じで質量が大きければ、速さは小さくなります。

問4 · 自由に走る貨車に降る雨

条件: 屋根のない質量 mm の貨車が、摩擦のない水平なレールの上を、力を加えられずに速さ vv で走っています。雨が速さ uu でまっすぐ下に降り、質量 Δm\Delta m が貨車にたまります。貨車の新しい速さを求めてください。

✅ 正解です! Fext,x=0F_{\text{ext},x} = 0 なので水平方向の運動量 mvmv は一定です。質量が大きくなれば、ゆっくり動くしかありません:v′=mv/(m+Δm)v' = mv/(m + \Delta m)。
❌ 変わったのは質量です。 雨は運動量の xx 成分を加えませんが、質量は加えます。一定の px=mvp_x = mv を、今度は m+Δmm + \Delta m で分け合わなければなりません。
❌ それでは貨車が速くなります。 保存される運動量を違う質量で割っています。px=mvp_x = mv は一定のまま質量が増えるので、速さは小さくならなければなりません。
❌ uu は鉛直方向の速さです。 運動量の xx 成分にはまったく寄与しません。まさにそれが分類1である理由です。必要な鉛直方向の力積は、レールが与えます。
❌ 惜しい! 貨車と雨を合わせて1つの質量一定の系とし、px(t+Δt)=px(t)p_x(t + \Delta t) = p_x(t) とおきましょう。
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系は、貨車と雨のひとかたまり Δm\Delta m を合わせたものです。ひとかたまりがまだ空中にあっても、もう貨車に乗っていても、両方の時刻で数に入れます。

tt では: 貨車は vv で動き、落ちてくる雨はまっすぐ下に動いているので、運動量の xx 成分はゼロです。

px(t)=mv+Δm⋅0=mvp_x(t) = m v + \Delta m \cdot 0 = m v

t+Δtt + \Delta t では: 雨は着地して、新しい速さ v′v' で一緒に動いています。

px(t+Δt)=(m+Δm) v′p_x(t + \Delta t) = (m + \Delta m)\,v'

水平方向の外力はない(摩擦のない水平なレール)ので、pxp_x は変わりません。

(m+Δm) v′=mv⟹v′=mvm+Δm(m + \Delta m)\,v' = m v \quad\Longrightarrow\quad v' = \frac{m v}{m + \Delta m}

貨車は遅くなります。後ろへ押したものは何もありません。同じ前向きの運動量で、より大きな質量を運ぶことになっただけです。これを多くのひとかたまりについて繰り返すと m dv/dt+v dm/dt=0m\,dv/dt + v\,dm/dt = 0 が得られ、その解は v(t)=m0v0/m(t)v(t) = m_0 v_0 / m(t) です。

鉛直方向の速さ uu は一度も現れません。鉛直方向の力積はレールが受け止め、帳簿で効くのは xx 成分だけです。

正解数:0 / 4