古典力学 · 第13回 · 動画6 · インタラクティブ教材

受け止めて押される:消防ホースの水とボートの運動

I重要な公式

公式名称前提
0=mbdvdt+dmbdt(v−u)0 = m_b\dfrac{dv}{dt} + \dfrac{dm_b}{dt}(v - u)運動方程式系 == ボート ++ これから着地する水の要素 Δmw\Delta m_w。xx 方向の外力なし
v(t)=u(1−m0mb(t))v(t) = u\left(1 - \dfrac{m_0}{m_b(t)}\right)質量の関数としての速さv=0v = 0、mb=m0m_b = m_0 から変数分離
mbv=mwum_b v = m_w u運動量の受け渡しによる確認法同じ結果を1つの保存の式として読む
dmbdt=α(1−vu)\dfrac{dm_b}{dt} = \alpha\left(1 - \dfrac{v}{u}\right) and mb(t)=m01+2αtm0m_b(t) = m_0\sqrt{1 + \dfrac{2\alpha t}{m_0}}取り込み率と、時間の関数としての質量噴流の単位長さあたりの質量 λ=α/u\lambda = \alpha/u。着地するのは詰まった長さの分だけ

ポイント: ボートを押し進める項 dmbdt(v−u)\dfrac{dm_b}{dt}(v - u) が生きているのは v<uv \lt u のあいだだけです。噴流がボートを押せるのは、ボートに追いつけるあいだだけだからです。また、α\alpha はホースの設定であって、ボートの取り込み率ではありません。満たされるのは追いかけっこなので、ボートは α(1−v/u)\alpha\left(1 - v/u\right) の割合で満たされます。

II追いかけっこ:ボートがホースの噴出より遅く満たされる理由

ノズルは α\alpha の割合で水を噴き出しますが、甲板は噴流から逃げています。

III1行の保存の式:mbv=mwum_b v = m_w u

ボートが最後にもつ運動量は、受け止めた水が飛んできたときの運動量とぴったり等しくなります。

💡 この1行の式が厳密に成り立つのは、水しぶきの一つひとつが「ボート ++ 最終的に積まれるすべての水」という系の内力であり、着地した水が二度と系から出ていかないからです。

IV時間の関数としての質量と速さ

時間は質量を通してだけ入ってきます。ボートが重くなるほど、満たされるのは遅くなります。

ステップ1 — 手元にある2つの関係式

dmbdt=α(1−vu),v=u(1−m0mb)\frac{dm_b}{dt} = \alpha\left(1 - \frac{v}{u}\right), \qquad v = u\left(1 - \frac{m_0}{m_b}\right)

V確認クイズ

問1 · 質量から速さを求める

条件: 静止状態から動き出したボートが、mb=3m0m_b = 3m_0 になるまで水を受け止めました。噴流の速さは u=20 m/su = 20\ \text{m/s} です。ボートの速さ vv を求めてください。

✅ 正解です! v=u(1−m03m0)=23uv = u\left(1 - \tfrac{m_0}{3m_0}\right) = \tfrac{2}{3}u です。確認法でも一致します:mw=2m0m_w = 2m_0 なので、v=mwu/mb=2u/3v = m_w u/m_b = 2u/3。
❌ それは引く方の分数です。 m0/mb=13m_0/m_b = \tfrac{1}{3} は不足分です。速さは uu に 1−m0/mb1 - m_0/m_b をかけたものです。
❌ 惜しい! v=uv = u は、mb→∞m_b \to \infty のときにだけボートが近づく上限です。v=uv = u では、噴流はまったく着地しなくなります。
❌ 惜しい! vv が uu を超えることはありません。水がボートを押せるのは、ボートに追いつけるあいだだけです。
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例題の小問 (b) から、質量から直接速さが求まります。

v=u(1−m0mb)=20(1−m03m0)=20(1−13)=403≈13.3 m/sv = u\left(1 - \frac{m_0}{m_b}\right) = 20\left(1 - \frac{m_0}{3m_0}\right) = 20\left(1 - \frac{1}{3}\right) = \frac{40}{3} \approx 13.3\ \text{m/s}

1行の保存の式で確かめる。 積まれた水は mw=mb−m0=2m0m_w = m_b - m_0 = 2m_0 なので、

mbv=mwu  ⟹  v=mwumb=2m0(20)3m0=403 m/s ✓m_b v = m_w u \;\Longrightarrow\; v = \frac{m_w u}{m_b} = \frac{2m_0 (20)}{3m_0} = \frac{40}{3}\ \text{m/s}\ \checkmark

質量が3倍になると、噴流の速さの3分の2が得られます。しかし、どれだけ水を受け止めても、噴流の速さそのものには届きません。

問2 · 割合のわな

条件: ホースは α=8.0 kg/s\alpha = 8.0\ \text{kg/s}、u=20 m/su = 20\ \text{m/s} で水を噴き出します。ボートが v=5.0 m/sv = 5.0\ \text{m/s} で動いている瞬間の dmb/dtdm_b/dt を求めてください。

✅ 正解です! α(1−v/u)=8.0(1−520)=8.0(0.75)=6.0 kg/s\alpha(1 - v/u) = 8.0\left(1 - \tfrac{5}{20}\right) = 8.0(0.75) = 6.0\ \text{kg/s} です。噴流の4分の3はまだ着地します。
❌ これがこの章のわなです。 α\alpha は水がノズルを出ていく割合です。船尾は vv で逃げているので、甲板に届くのは詰まった長さ (u−v)Δt(u-v)\Delta t の分だけです。
❌ 因子が違います。 α v/u\alpha\,v/u は噴流のうち追いつけない部分です。着地する部分には因子 1−v/u1 - v/u がつきます。
❌ 惜しい! 取り込み率は α\alpha(ボートが静止)と 00(ボートが v=uv = u)のあいだにあるはずです。
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ステップ1 — 噴流の単位長さあたりの質量。 固定した断面を、時間 Δt\Delta t のあいだに長さ u Δtu\,\Delta t の噴流が通過するので、α=λu\alpha = \lambda u であり、

λ=αu=8.020=0.40 kg/m\lambda = \frac{\alpha}{u} = \frac{8.0}{20} = 0.40\ \text{kg/m}

ステップ2 — 面を船尾に移す。 Δt\Delta t のあいだに水は u Δtu\,\Delta t 進みますが、船尾も v Δtv\,\Delta t 進むので、噴流がボートとの差を詰めるのは (u−v)Δt(u - v)\Delta t だけです。

Δmw=λ(u−v)Δt=αu(u−v)Δt\Delta m_w = \lambda (u - v)\Delta t = \frac{\alpha}{u}(u - v)\Delta t

ステップ3 — 割って極限をとる。 mb=m0+mwm_b = m_0 + m_w なので、dmb/dt=dmw/dtdm_b/dt = dm_w/dt です。

dmbdt=α(1−vu)=8.0(1−5.020)=6.0 kg/s\frac{dm_b}{dt} = \alpha\left(1 - \frac{v}{u}\right) = 8.0\left(1 - \frac{5.0}{20}\right) = 6.0\ \text{kg/s}

v=0v = 0 ではこれは α\alpha になり、v=uv = u では 00 になります。取り込み率はホースの設定で決まるものではなく、追いかけっこの結果なのです。

問3 · ある時刻での質量と速さ

条件: 静止した m0=400 kgm_0 = 400\ \text{kg} のボート、α=8.0 kg/s\alpha = 8.0\ \text{kg/s}、u=20 m/su = 20\ \text{m/s} です。t=75 st = 75\ \text{s} でのボートの質量と速さを求めてください。

mb(75 s)m_b(75\ \text{s}) はいくらですか?

では、速さ v(75 s)v(75\ \text{s}) は?

✅ 正解です! 質量がちょうど2倍になったので、速さはちょうど u/2u/2 です。確認すると mbv=800(10)=8000=400(20)=mwu ✓m_b v = 800(10) = 8000 = 400(20) = m_w u\ \checkmark。
❌ それは m0+αtm_0 + \alpha t です。 ボートが 75 s75\ \text{s} のあいだずっとホースの割合そのままで満たされると仮定していますが、ボートはそのほとんどのあいだ動いています。
❌ 平方根が抜けています。 1+2αt/m0=41 + 2\alpha t/m_0 = 4 で、mb=m04=2m0m_b = m_0\sqrt{4} = 2m_0 です。4m04m_0 ではありません。
❌ 質量を確かめましょう。 2αt/m0=2(8)(75)/400=32\alpha t/m_0 = 2(8)(75)/400 = 3 として mb=m01+2αt/m0m_b = m_0\sqrt{1 + 2\alpha t/m_0} を使います。
❌ 速さを確かめましょう。 求めた質量を v=u(1−m0/mb)v = u(1 - m_0/m_b) に入れます。質量が2倍なら、速さは噴流の速さの半分です。
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ステップ1 — 質量。 mb dmb=αm0 dtm_b\,dm_b = \alpha m_0\,dt を積分すると 12(mb2−m02)=αm0t\tfrac{1}{2}(m_b^2 - m_0^2) = \alpha m_0 t となるので、

mb(t)=m01+2αtm0=4001+2(8.0)(75)400=4004=800 kgm_b(t) = m_0\sqrt{1 + \frac{2\alpha t}{m_0}} = 400\sqrt{1 + \frac{2(8.0)(75)}{400}} = 400\sqrt{4} = 800\ \text{kg}

ステップ2 — 速さ。

v=u(1−m0mb)=20(1−400800)=10 m/sv = u\left(1 - \frac{m_0}{m_b}\right) = 20\left(1 - \frac{400}{800}\right) = 10\ \text{m/s}

ステップ3 — 手早い確認。 積まれた水は mw=800−400=400 kgm_w = 800 - 400 = 400\ \text{kg} で、

mbv=800(10)=8000=400(20)=mwu ✓m_b v = 800(10) = 8000 = 400(20) = m_w u\ \checkmark

素朴な答えがどれほどずれるかに注目しましょう。ホースの割合そのままなら、ボートは 75 s75\ \text{s} で αt=600 kg\alpha t = 600\ \text{kg} を飲み込んだはずです。実際に飲み込んだのは 400 kg400\ \text{kg} だけです。そのあいだずっと、自分への補給から逃げていたからです。

問4 · 噴流の速さの3分の2に達するまでの時間

条件: 同じボート(静止した m0=400 kgm_0 = 400\ \text{kg}、α=8.0 kg/s\alpha = 8.0\ \text{kg/s}、u=20 m/su = 20\ \text{m/s})について、v=23uv = \tfrac{2}{3}u となる時刻を求めてください。

✅ 正解です! v=23uv = \tfrac{2}{3}u となるには mb=3m0=1200 kgm_b = 3m_0 = 1200\ \text{kg} が必要で、12(12002−4002)=αm0t\tfrac{1}{2}(1200^2 - 400^2) = \alpha m_0 t から t=200 st = 200\ \text{s} が得られます。
❌ それは mw/αm_w/\alpha です。 ボートに 800 kg800\ \text{kg} の水が必要なのは確かですが、水は α(1−v/u)\alpha(1 - v/u) の割合でしかたまりません。そのため、ホースの割合だけから考えた時間の2倍かかります。
❌ 2乗し忘れています。 mb=3m0m_b = 3m_0 からは、33 ではなく 1+2αt/m0=32=91 + 2\alpha t/m_0 = 3^2 = 9 が必要です。
❌ 因子 12\tfrac{1}{2} が抜けています。 mb dmbm_b\,dm_b の積分は 12mb2\tfrac{1}{2}m_b^2 で、これで時間は半分になります。
❌ 惜しい! 2つのステップです。目標の速さを目標の質量に直し、それから mb(t)=m01+2αt/m0m_b(t) = m_0\sqrt{1 + 2\alpha t/m_0} を逆に解きます。
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ステップ1 — 目標の速さを目標の質量に直す。

u(1−m0mb)=23u  ⟹  m0mb=13  ⟹  mb=3m0=1200 kgu\left(1 - \frac{m_0}{m_b}\right) = \frac{2}{3}u \;\Longrightarrow\; \frac{m_0}{m_b} = \frac{1}{3} \;\Longrightarrow\; m_b = 3m_0 = 1200\ \text{kg}

ステップ2 — 質量と時間の関係を逆に解く。 12(mb2−m02)=αm0t\tfrac{1}{2}\left(m_b^2 - m_0^2\right) = \alpha m_0 t から:

t=mb2−m022αm0=12002−40022(8.0)(400)=1,280,0006400=200 st = \frac{m_b^2 - m_0^2}{2\alpha m_0} = \frac{1200^2 - 400^2}{2(8.0)(400)} = \frac{1{,}280{,}000}{6400} = 200\ \text{s}

なぜ 100 s100\ \text{s} ではないのか? ボートは mw=800 kgm_w = 800\ \text{kg} を飲み込まなければならず、ホースの割合そのままなら 800/8.0=100 s800/8.0 = 100\ \text{s} かかります。しかしそのころには、ボートはもう速く動いていて、取り込み率は次の値まで下がっています。

dmbdt=α(1−vu)=8.0(1−23)=2.7 kg/s\frac{dm_b}{dt} = \alpha\left(1 - \frac{v}{u}\right) = 8.0\left(1 - \frac{2}{3}\right) = 2.7\ \text{kg/s}

追いかけっこのせいで、時間は2倍になります。v→uv \to u の近づき方が 1−1/t1 - 1/\sqrt{t} のようにゆっくりなのも、同じ理由です。ボートを押し進める取り込みが、ボート自身の逃げによって絞られてしまうのです。

正解数:0 / 4