古典力学 · 第14回 · 動画4 · インタラクティブ教材

曲線の下の面積としての仕事:仕事とエネルギーの関係

I重要な公式

公式名称必要なもの
W=lim⁡N→∞∑j=1N(Fx,j)ave Δxj=∫xixfFx(x) dxW = \lim\limits_{N \to \infty} \sum\limits_{j=1}^{N} (F_{x,j})_{\text{ave}}\, \Delta x_j = \int_{x_i}^{x_f} F_x(x)\, dx変化する力がする仕事FxF_x(xx の関数として)
Wspring=−12k(xf 2−xi 2)W^{\text{spring}} = -\tfrac{1}{2} k \left( x_f^{\,2} - x_i^{\,2} \right)ばねがする仕事フックの法則 Fx=−kxF_x = -kx
Wtotal=Kf−Ki=ΔKW^{\text{total}} = K_f - K_i = \Delta K仕事とエネルギーの関係(仕事–運動エネルギー定理)すべての力の仕事
vf= vi 2+2Wtotalm v_f = \sqrt{\,v_i^{\,2} + \dfrac{2 W^{\text{total}}}{m}\,}仕事から求める終わりの速さK=12mv2K = \tfrac{1}{2} m v^2

ポイント:FxF_x を xx に対して描いた曲線の下の面積が、そのまま運動エネルギーの変化です。曲線が一つ、面積が一つ、答えが一つ。運動方程式はどこにも出てきません。

II移動を長方形に切り分ける

移動全体に通用する力の値は一つもありませんが、細い一区間の中なら、力はほとんど変わりません。

IIIばねの符号付き面積

ばねの仕事は、2つの伸びのあいだにある、Fx=−kxF_x = -kx の下の符号付き面積です。

💡 摩擦のない机の上で xix_i から静かに放すと、物体は 12mv2=12kxi 2\tfrac{1}{2} m v^2 = \tfrac{1}{2} k x_i^{\,2} で自然長の位置に達します。ばねの面積がすべて運動エネルギーに変わったのです。

IV仕事の符号を読む

運動エネルギーに効くのは変位方向の力の成分だけです。垂直に押す力はまったく効きません。

V確認クイズ

問1 · 変化する力の下の面積

条件: xx 軸上のビーズが、力 Fx=3xF_x = 3x(単位はニュートン、xx はメートル)で xi=0x_i = 0 から xf=4 mx_f = 4\ \text{m} まで押されます。この力がする仕事を求めてください。

✅ 正解です! Fx=3xF_x = 3x の下の、00 から 4 m4\ \text{m} までの領域は三角形で、その面積は 12(4 m)(12 N)=24 J\tfrac{1}{2}(4\ \text{m})(12\ \text{N}) = 24\ \text{J} です。
❌ それは力であって、仕事ではありません。 1212 は移動の終点での FxF_x の値(単位はニュートン)です。これをさらに 4 m4\ \text{m} にわたって積分する必要があります。
❌ それは「大きすぎる」長方形です。 Fmax⁡Δx=(12 N)(4 m)F_{\max}\Delta x = (12\ \text{N})(4\ \text{m}) は、力がずっと終わりの値を保っていたと仮定していますが、実際の力は0から始まりました。
❌ それは平均の力であって、仕事ではありません。 FxF_x は一次式なので、移動全体での平均は Fˉ=0+122=6 N\bar{F} = \tfrac{0 + 12}{2} = 6\ \text{N} です。仕事を求めるには、さらに 4 m4\ \text{m} をかけます。
❌ 惜しい! 仕事は FxF_x を xx に対して描いたグラフの下の面積であって、力の値一つではありません。
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力が位置とともに変わるので、積分します:

W=∫043x dx=[32x2]04=32(16)=24 JW = \int_{0}^{4} 3x\, dx = \left[ \tfrac{3}{2} x^2 \right]_{0}^{4} = \tfrac{3}{2}(16) = 24\ \text{J}

図形で確かめます。 グラフは (0,0 N)(0, 0\ \text{N}) から (4 m,12 N)(4\ \text{m}, 12\ \text{N}) までの直線なので、面積は三角形の面積です:12(底辺)(高さ)=12(4)(12)=24 J\tfrac{1}{2}(\text{底辺})(\text{高さ}) = \tfrac{1}{2}(4)(12) = 24\ \text{J}。

同じことですが、力は一次式なので平均値は Fˉ=0+122=6 N\bar{F} = \tfrac{0 + 12}{2} = 6\ \text{N} で、Fˉ Δx=(6)(4)=24 J\bar{F}\,\Delta x = (6)(4) = 24\ \text{J} となります。6 N6\ \text{N} は平均の力であって、仕事ではありません。

問2 · ばねがする仕事

条件: 摩擦のない机の上の物体が、ばね定数 k=50 N/mk = 50\ \text{N/m} のばねにつながっています。xx は自然長の位置から測ります。物体が xi=0.40 mx_i = 0.40\ \text{m} から xf=0.10 mx_f = 0.10\ \text{m} まで動くとき、ばねがする仕事を求めてください。

✅ 正解です! ばねは張りの大きい状態から小さい状態へ移るので、ばねの力は運動と同じ向きにそろい、物体にエネルギーを注ぎ込みます。
❌ 大きさは合っていますが、符号が逆です。 xf 2−xi 2=0.01−0.16=−0.15 m2x_f^{\,2} - x_i^{\,2} = 0.01 - 0.16 = -0.15\ \text{m}^2 で、−12k(xf 2−xi 2)-\tfrac{1}{2}k(x_f^{\,2} - x_i^{\,2}) の先頭のマイナスがこれを正に戻します。
❌ 変位を二乗しています。 12k(xi−xf)2\tfrac{1}{2}k(x_i - x_f)^2 は仕事ではありません。両端の値を別々に二乗してから引きます。
❌ 引き算を確かめましょう。 0.01+0.16=0.170.01 + 0.16 = 0.17 は二乗を足しています。公式では引きます:0.01−0.16=−0.150.01 - 0.16 = -0.15。
❌ 惜しい! 両方の伸びをメートルで表して、W=−12k(xf 2−xi 2)W = -\tfrac{1}{2}k\left(x_f^{\,2} - x_i^{\,2}\right) を使います。
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フックの法則から Fx=−kxF_x = -kx なので、仕事はその直線の下の符号付き面積です:

W=∫xixf(−kx) dx=[−12kx2]xixf=−12k(xf 2−xi 2)W = \int_{x_i}^{x_f} (-kx)\, dx = \left[ -\tfrac{1}{2}kx^2 \right]_{x_i}^{x_f} = -\tfrac{1}{2}k\left(x_f^{\,2} - x_i^{\,2}\right)

k=50 N/mk = 50\ \text{N/m}、xf=0.10 mx_f = 0.10\ \text{m}、xi=0.40 mx_i = 0.40\ \text{m} を代入します:

W=−12(50)(0.102−0.402)=−25 (0.01−0.16)=−25(−0.15)=+3.75 JW = -\tfrac{1}{2}(50)\left(0.10^2 - 0.40^2\right) = -25\,(0.01 - 0.16) = -25(-0.15) = +3.75\ \text{J}

なぜ正なのか? 両端とも二乗の形で入るので、効くのは大きさだけです。∣xf∣<∣xi∣|x_f| < |x_i| なので xf 2−xi 2x_f^{\,2} - x_i^{\,2} は負になり、先頭のマイナスで W>0W > 0 となります。張りの小さい状態へ向かうばねは、いつも正の仕事をします。逆にさらに伸ばすと、WW は負になります。

問3 · 面積から終わりの速さへ

条件: 1.0 kg1.0\ \text{kg} の台車が、摩擦のない水平な軌道上の x=0x = 0 に静止しています。台車にはたらく水平方向の力は Fx=4xF_x = 4x(単位はニュートン、xx はメートル)だけで、x=0x = 0 から x=3.0 mx = 3.0\ \text{m} までのあいだはたらきます。台車の終わりの速さを求めてください。

✅ 正解です! Fx=4xF_x = 4x の下の面積は 18 J18\ \text{J} で、静止状態から出発するので、その面積がすべて 12mvf 2\tfrac{1}{2}mv_f^{\,2} になります。
❌ 12\tfrac{1}{2} が抜けています。 W/m=18=4.24\sqrt{W/m} = \sqrt{18} = 4.24 です。K=12mv2K = \tfrac{1}{2}mv^2 なので、速さは 2W/m\sqrt{2W/m} です。
❌ 終点での力を移動全体に使っています。 (12 N)(3 m)=36 J(12\ \text{N})(3\ \text{m}) = 36\ \text{J} は大きすぎます。力は0から増えていくので、三角形の面積は 18 J18\ \text{J} にすぎません。
❌ それは vf 2v_f^{\,2} であって、vfv_f ではありません。 2W/m=36 m2/s22W/m = 36\ \text{m}^2/\text{s}^2 です。平方根をとりましょう。
❌ 惜しい! WW を Fx=4xF_x = 4x の下の面積として求め、それから W=ΔK=12mvf 2W = \Delta K = \tfrac{1}{2}mv_f^{\,2} とおきます。
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ステップ1 — 仕事は面積:

W=∫034x dx=[2x2]03=18 JW = \int_{0}^{3} 4x\, dx = \left[ 2x^2 \right]_{0}^{3} = 18\ \text{J}

(図形による検算:底辺 3 m3\ \text{m}、高さ Fx(3)=12 NF_x(3) = 12\ \text{N} の三角形で、面積は 12(3)(12)=18 J\tfrac{1}{2}(3)(12) = 18\ \text{J}。)

ステップ2 — 仕事とエネルギーの関係を使う。 水平方向の力はこれだけで、台車は静止状態から出発するので、Ki=0K_i = 0 となり、

W=ΔK=12mvf 2−0⟹vf=2WmW = \Delta K = \tfrac{1}{2}mv_f^{\,2} - 0 \quad \Longrightarrow \quad v_f = \sqrt{\frac{2W}{m}} vf=2(18 J)1.0 kg=36=6.0 m/sv_f = \sqrt{\frac{2(18\ \text{J})}{1.0\ \text{kg}}} = \sqrt{36} = 6.0\ \text{m/s}

運動方程式は必要ありませんでした。位置についての積分一つで、速さが直接求まりました。

問4 · 押されるカップ(動画の例題)

条件: 静止している 0.20 kg0.20\ \text{kg} のカップを、水平な机の上で Δx=0.50 m\Delta x = 0.50\ \text{m} 押します。押す力は 2.0 N2.0\ \text{N} で、水平から 30°30\degree 上向きです。動摩擦係数は μk=0.10\mu_k = 0.10、g=9.8 m/s2g = 9.8\ \text{m/s}^2 です。

カップにはたらく垂直抗力はいくらですか?

カップの終わりの速さはいくらですか?

✅ 正解です! 斜めに押す力がカップの重さの一部を支えるので N=0.96 NN = 0.96\ \text{N}、摩擦力はわずか 0.096 N0.096\ \text{N} で、合力の仕事 0.818 J0.818\ \text{J} が運動エネルギーになります。
❌ それは重さ mgmg そのものです。 押す力には上向きの成分 Fsin⁡30°=1.0 NF\sin 30\degree = 1.0\ \text{N} があるので、机が支えるのは残りの分だけです。
❌ FyF_y の向きを確かめましょう。 押す力は上向きに傾いているので、机の負担を減らします:N=mg−Fsin⁡30°N = mg - F\sin 30\degree であって、mg+Fsin⁡30°mg + F\sin 30\degree ではありません。
❌ 惜しい! カップは鉛直方向には加速しません:N+Fsin⁡30°−mg=0N + F\sin 30\degree - mg = 0。
❌ 丸めるのが早すぎます。 0.818 J0.818\ \text{J} を 0.80 J0.80\ \text{J} に丸めると 8.0=2.8 m/s\sqrt{8.0} = 2.8\ \text{m/s} になります。仕事は丸めずに持ち運び、最後に一度だけ丸めましょう。
❌ 仕事をするのは水平成分だけです。 2.0 N2.0\ \text{N} 全体を Fcos⁡30°=1.732 NF\cos 30\degree = 1.732\ \text{N} の代わりに使うと、仕事が大きくなりすぎます。
❌ 惜しい! まず仕事の合計 W=(Fcos⁡30°−μkN)ΔxW = (F\cos 30\degree - \mu_k N)\Delta x を求め、それから vf=2W/mv_f = \sqrt{2W/m} を使います。
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ステップ1 — 力を点検する。 重力と垂直抗力は運動に垂直なので、どちらも仕事は0です。仕事をするのは押す力と摩擦力だけです。

ステップ2 — 押す力の成分:

Fx a=(2.0)cos⁡30°=1.732 N,Fy a=(2.0)sin⁡30°=1.0 NF_x^{\,a} = (2.0)\cos 30\degree = 1.732\ \text{N}, \qquad F_y^{\,a} = (2.0)\sin 30\degree = 1.0\ \text{N}

ステップ3 — 鉛直方向のつり合いから垂直抗力を求める:

N+Fy a−mg=0  ⟹  N=1.96−1.0=0.96 NN + F_y^{\,a} - mg = 0 \;\Longrightarrow\; N = 1.96 - 1.0 = 0.96\ \text{N}

斜めに押す力がカップを一部支えるので、NN は重さ mg=1.96 Nmg = 1.96\ \text{N} よりはっきり小さくなります。

ステップ4 — 摩擦力と合力の仕事:

fk=μkN=(0.10)(0.96)=0.096 Nf_k = \mu_k N = (0.10)(0.96) = 0.096\ \text{N} W=(Fx a−fk)Δx=(1.732−0.096)(0.50)=0.818 JW = \left(F_x^{\,a} - f_k\right)\Delta x = (1.732 - 0.096)(0.50) = 0.818\ \text{J}

ステップ5 — 定理を使う。 カップは静止状態から動き出すので、Kf=W=0.818 JK_f = W = 0.818\ \text{J} となり、

vf=2Kfm=2(0.818)0.20=8.18=2.9 m/sv_f = \sqrt{\frac{2K_f}{m}} = \sqrt{\frac{2(0.818)}{0.20}} = \sqrt{8.18} = 2.9\ \text{m/s}

仕事を早い段階で 0.80 J0.80\ \text{J} に丸めてしまうと、速さは 2.8 m/s2.8\ \text{m/s} になってしまいます。途中の値は丸めずに持ち運び、最後に一度だけ丸めましょう。

正解数: 0 / 4