古典力学 · 第15回 · 動画2 · インタラクティブ教材

刻んで、内積をとって、足す:曲がった経路に沿った仕事

I重要な公式

公式名称得られるもの
W=∫ifF⃗⋅dr⃗W = \int_i^f \vec{F} \cdot d\vec{r}線積分としての仕事どんな力でも、どんな経路でも
dr⃗=dx i^+dy j^+dz k^d\vec{r} = dx\,\hat{i} + dy\,\hat{j} + dz\,\hat{k}直交座標の線素dW=Fx dx+Fy dy+Fz dzdW = F_x\,dx + F_y\,dy + F_z\,dz
dr⃗=dr r^+r dθ θ^+dz k^d\vec{r} = dr\,\hat{r} + r\,d\theta\,\hat{\theta} + dz\,\hat{k}円柱座標の線素dW=Fr dr+Fθ r dθ+Fz dzdW = F_r\,dr + F_\theta\,r\,d\theta + F_z\,dz
W=−mg (yf−y0)W = -mg\,(y_f - y_0)
Wspring=−12k (xf2−x02)W_{\text{spring}} = -\tfrac{1}{2}k\,(x_f^2 - x_0^2)
2つの例題の結果両端だけで決まり、道筋は消える

ポイント: 和の各項はスカラー積なので、仕事はベクトルではなく、ただの数です。そして極限をとると時間の変数は消え、経路の幾何だけが残ります。

II刻んで、内積をとって、足す — そして極限をとる

経路を弦に刻み、それぞれとその場所ではたらく力との内積をとって足し合わせると、和は一つの値に落ち着きます。

III道筋によって仕事は変わるか

i=(0,0)i = (0,0) と f=(1,1)f = (1,1) を2つの区間で結びます。道筋が効くかどうかは、力によって決まります。

💡 2点を結ぶどの道筋でも同じ値を与える力には、この先の章で保存力という名前がつきます。

IV本当に変化する力

フックの法則の力は変位とともに大きくなるので、仕事は長方形ではなく、符号付き面積になります。

💡 12kx2\tfrac{1}{2}kx^2 という組み合わせは、物体がそこへどうやって来たかではなく、物体がどこにあるかで決まります。だからこそ、ばねは仕事を蓄えたり返したりできるのです。この組み合わせには、この先の章で名前がつきます。

V確認クイズ

問1 · 曲がった飛行経路での重力

条件: 質量 m=0.50 kgm = 0.50\ \text{kg} のボールが、放物線の弧を描いて (x0,y0)=(0, 1.50 m)(x_0, y_0) = (0,\ 1.50\ \text{m}) から (xf,yf)=(12.0 m, 0.30 m)(x_f, y_f) = (12.0\ \text{m},\ 0.30\ \text{m}) まで飛びます。g=9.8 m/s2g = 9.8\ \text{m/s}^2 として、重力がする仕事を求めてください。

✅ 正解です! ボールは 1.20 m1.20\ \text{m} 低いところで終わるので yf−y0y_f - y_0 は負になり、2つのマイナスが打ち消し合って、重力の仕事は正になります。
❌ 符号を確かめてください。 yf−y0=0.30−1.50=−1.20 my_f - y_0 = 0.30 - 1.50 = -1.20\ \text{m} で、−mg-mg に負の高さの変化をかけると正になります。
❌ それは水平方向の移動の分です。 j^⋅i^=0\hat j \cdot \hat i = 0 なので、横方向に進んだ 12.0 m12.0\ \text{m} は何も寄与しません。
❌ 惜しい! 経路が曲がっていても、仕事はゼロになりません。ゼロになるのは、正味の高さの変化がゼロのときだけです。
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重力は一様なので、j^\hat j を力の向きにそろえた直交座標を選び、線素を展開します。

F⃗⋅dr⃗=(−mg j^)⋅(dx i^+dy j^)=−mg dy\vec F \cdot d\vec r = (-mg\,\hat j)\cdot(dx\,\hat i + dy\,\hat j) = -mg\,dy

j^⋅i^=0\hat j \cdot \hat i = 0 なので dxdx の項は消え、線積分は高さについての一つの普通の積分にまとまります。

W=∫y0yf(−mg) dy=−mg (yf−y0)W = \int_{y_0}^{y_f} (-mg)\,dy = -mg\,(y_f - y_0) W=−(0.50)(9.8)(0.30−1.50)=−(4.9)(−1.20)=+5.88 JW = -(0.50)(9.8)\big(0.30 - 1.50\big) = -(4.9)(-1.20) = +5.88\ \text{J}

放物線は答えにまったく入ってきません。この2つの高さを結ぶどんな道筋でも W≈+5.9 JW \approx +5.9\ \text{J} です。

問2 · 弧の一歩に隠れた因子

条件: パックが半径 r=0.40 mr = 0.40\ \text{m} の円形の溝に沿って、角度 Δθ=π/2\Delta\theta = \pi/2 だけ滑ります。パックを動かすのは、θ^\hat\theta 方向の一定の接線方向の力 Fθ=6.0 NF_\theta = 6.0\ \text{N} です(Fr=Fz=0F_r = F_z = 0)。この力がする仕事を求めてください。

✅ 正解です! 弧の一歩は r dθr\,d\theta なので、W=Fθ r Δθ=(6.0)(0.40)(π/2)W = F_\theta\, r\, \Delta\theta = (6.0)(0.40)(\pi/2) です。
❌ Fθ dθF_\theta\,d\theta を積分しています。 角度は長さではありません。半径 rr のところで dθd\theta だけ回ると、長さ r dθr\,d\theta の弧を描きます。この r=0.40 mr = 0.40\ \text{m} という因子こそが、円柱座標の線素で本当の意味で新しい唯一の点です。
❌ 惜しい! 接線方向の力は運動に沿って向いています。ここで消えるのは動径方向の項です。円の上では dr=0dr = 0 だからです。
❌ それは FθrF_\theta r だけです。 これは被積分関数の dθd\theta の係数です。さらに Δθ=π/2\Delta\theta = \pi/2 にわたって積分する必要があります。
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力と円柱座標の線素との内積をとります。

dW=Fr dr+Fθ r dθ+Fz dz=Fθ r dθdW = F_r\,dr + F_\theta\,r\,d\theta + F_z\,dz = F_\theta\,r\,d\theta

Fr=Fz=0F_r = F_z = 0 なので、動径方向と鉛直方向の項は消えます(そもそも溝の上では dr=dz=0dr = dz = 0 です)。FθF_\theta も rr も定数なので、積分の外に出せます。

W=Fθ r∫0π/2dθ=(6.0)(0.40)(π2)=(2.4)(1.5708)=3.77 JW = F_\theta\, r \int_0^{\pi/2} d\theta = (6.0)(0.40)\left(\frac{\pi}{2}\right) = (2.4)(1.5708) = 3.77\ \text{J}

したがって W≈3.8 JW \approx 3.8\ \text{J} です。rr を落とすと 6.0×π/2=9.46.0 \times \pi/2 = 9.4 になりますが、これは仕事ですらありません。Fθ dθF_\theta\,d\theta の単位はジュールではなくニュートンだからです。

問3 · 平衡位置の両側でのばねの仕事

条件: ばね定数 k=200 N/mk = 200\ \text{N/m} のばねにつながれた物体が、x0=−0.10 mx_0 = -0.10\ \text{m}(縮んだ状態)から xf=+0.30 mx_f = +0.30\ \text{m}(伸びた状態)まで動きます。xx は自然長の位置から測ります。

ばねがする仕事はいくらですか?

ばねの仕事がちょうどゼロになる動きはどれですか?

✅ 正解です! 効いてくるのは xf2−x02x_f^2 - x_0^2 だけなので、平衡位置からの距離が始めと終わりで同じなら、ばねの仕事はゼロです。
❌ 変位を2乗しています。 −kx-kx の原始関数は −12kx2-\tfrac12 kx^2 で、これを上端と下端で評価します。得られるのは xf2−x02x_f^2 - x_0^2 で、決して (xf−x0)2(x_f - x_0)^2 ではありません。
❌ 縮んだ側に注意してください。 x0=−0.10 mx_0 = -0.10\ \text{m} でも x02=+0.010 m2x_0^2 = +0.010\ \text{m}^2 が寄与し、それは引かれます。0.090−0.010=0.0800.090 - 0.010 = 0.080 であり、0.090+0.0100.090 + 0.010 ではありません。
❌ 符号を確かめてください。 物体は始めよりも平衡位置から遠いところで終わるので、ばねはずっと逆らっていたことになり、その仕事は負でなければなりません。
❌ 惜しい! Fx=−kxF_x = -kx を xx について x0x_0 から xfx_f まで積分しましょう。被積分関数は定数ではないので、答えは F ΔxF\,\Delta x ではありません。
❌ 惜しい! Wspring=0W_{\text{spring}} = 0 となるには xf2=x02x_f^2 = x_0^2、つまり平衡位置からの距離が等しいことが必要です(どちら側でもかまいません)。
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前半。 物体は i^\hat i に沿って動くので、仕事の積分では xx の項だけが残ります。そしてフックの法則により、被積分関数は位置とともに変わります。

Wspring=∫x0xf(−kx) dx=−12k(xf2−x02)W_{\text{spring}} = \int_{x_0}^{x_f} (-kx)\,dx = -\tfrac{1}{2}k\big(x_f^2 - x_0^2\big) Wspring=−12(200)((0.30)2−(−0.10)2)=−100 (0.090−0.010)=−8.0 JW_{\text{spring}} = -\tfrac{1}{2}(200)\big((0.30)^2 - (-0.10)^2\big) = -100\,(0.090 - 0.010) = -8.0\ \text{J}

負になるのは、物体が始めよりも平衡位置から遠いところで終わるからです。ばねはずっと引き戻していました。

後半。 Wspring=0W_{\text{spring}} = 0 となるには xf2=x02x_f^2 = x_0^2、つまり ∣xf∣=∣x0∣|x_f| = |x_0| が必要です。これを満たすのは −0.30 m→+0.30 m-0.30\ \text{m} \to +0.30\ \text{m} だけです。

Wspring=−100((0.30)2−(−0.30)2)=−100 (0.090−0.090)=0W_{\text{spring}} = -100\big((0.30)^2 - (-0.30)^2\big) = -100\,(0.090 - 0.090) = 0

物体は平衡位置を横切ります。ばねは平衡位置へ戻るあいだに +9.0 J+9.0\ \text{J}、離れていくあいだに −9.0 J-9.0\ \text{J} の仕事をします。原点のどちら側かは関係なく、効くのは距離の2乗だけです。

問4 · 2つの道筋、同じ両端

条件: 原点のまわりを回る力 F⃗=c(−y i^+x j^)\vec F = c(-y\,\hat i + x\,\hat j)(c=3.0 N/mc = 3.0\ \text{N/m})が、i=(0,0)i = (0,0) から f=(2.0 m, 2.0 m)f = (2.0\ \text{m},\ 2.0\ \text{m}) まで動くビーズにはたらきます。道筋1は xx 軸に沿って (2.0,0)(2.0, 0) まで進み、そこからまっすぐ上へ進みます。道筋2は yy 軸に沿って (0,2.0)(0, 2.0) まで上り、そこからまっすぐ横へ進みます。W1W_1 と W2W_2 を求めてください。

✅ 正解です! 道筋1では力が上りの向きに押し、道筋2では横切る動きに逆らいます。両端は同じでも、答えは逆になります。道筋も答えの一部なのです。
❌ 両端だけで決まると仮定しています。 この力は点ごとに変わるので、2つの道筋は異なる力の値を拾います。これがまさに経路依存性の意味です。
❌ 被積分関数を確かめてください。 道筋1の2つめの区間では、xx が 2.0 m2.0\ \text{m} に固定されたまま F⃗⋅dr⃗=cx dy\vec F \cdot d\vec r = cx\,dy なので、被積分関数は (3.0)(2.0)=6.0 N(3.0)(2.0) = 6.0\ \text{N}、区間の長さは 2.0 m2.0\ \text{m} です。
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直交座標の成分で書くと F⃗⋅dr⃗=Fx dx+Fy dy=−cy dx+cx dy\vec F \cdot d\vec r = F_x\,dx + F_y\,dy = -cy\,dx + cx\,dy です。区間ごとに計算します。

道筋1 — xx 軸に沿って進み、それから上へ:

  • (0,0)→(2,0)(0,0) \to (2,0):ここでは y=0y = 0、dy=0dy = 0 なので F⃗⋅dr⃗=0\vec F \cdot d\vec r = 0。寄与は 00 です。
  • (2,0)→(2,2)(2,0) \to (2,2):ここでは x=2.0 mx = 2.0\ \text{m}、dx=0dx = 0 なので F⃗⋅dr⃗=cx dy=6.0 dy\vec F \cdot d\vec r = cx\,dy = 6.0\,dy となり、∫026.0 dy=+12 J\int_0^{2} 6.0\,dy = +12\ \text{J} です。
W1=0+12=+12 JW_1 = 0 + 12 = +12\ \text{J}

道筋2 — yy 軸に沿って上り、それから横へ:

  • (0,0)→(0,2)(0,0) \to (0,2):ここでは x=0x = 0、dx=0dx = 0 なので F⃗⋅dr⃗=cx dy=0\vec F \cdot d\vec r = cx\,dy = 0。寄与は 00 です。
  • (0,2)→(2,2)(0,2) \to (2,2):ここでは y=2.0 my = 2.0\ \text{m}、dy=0dy = 0 なので F⃗⋅dr⃗=−cy dx=−6.0 dx\vec F \cdot d\vec r = -cy\,dx = -6.0\,dx となり、∫02(−6.0) dx=−12 J\int_0^{2} (-6.0)\,dx = -12\ \text{J} です。
W2=0−12=−12 JW_2 = 0 - 12 = -12\ \text{J}

ii も ff も同じなのに、W1≠W2W_1 \neq W_2 です。経路の形が完全に消えた問1の重力と比べてみましょう。違いは、重力がどこでも同じベクトルであるのに対し、この力は動くにつれて向きを変えることです。

正解数:0 / 4