古典力学 · 第15回 · 動画4 · インタラクティブ教材

二つの物体を一つの式で:内力の仕事と換算質量

I重要な公式

公式名称必要なもの
1μ=1m1+1m2  ⟹  μ=m1m2m1+m2\dfrac{1}{\mu} = \dfrac{1}{m_1} + \dfrac{1}{m_2} \;\Longrightarrow\; \mu = \dfrac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}換算質量2つの質量
F⃗2,1=μ d2r⃗2,1dt2\vec{F}_{2,1} = \mu\,\dfrac{d^2\vec{r}_{2,1}}{dt^2}実効的な一体の運動方程式内力と r⃗2,1=r⃗1−r⃗2\vec{r}_{2,1} = \vec{r}_1 - \vec{r}_2
W=∫ABF⃗2,1⋅dr⃗2,1W = \displaystyle\int_A^B \vec{F}_{2,1}\cdot d\vec{r}_{2,1}内力の対がする仕事相対変位だけ
W=ΔKrel=12μ(vB2−vA2)W = \Delta K_{\text{rel}} = \tfrac{1}{2}\mu\left(v_B^2 - v_A^2\right)内力の仕事とエネルギーの関係AA と BB での相対的な速さ

ポイント: ラベル 1↔21 \leftrightarrow 2 を入れ替えると F⃗\vec{F} と dr⃗d\vec{r} の両方の符号が反転するので、WW は変わりません。また、形を保ったままの並進(dr⃗1=dr⃗2d\vec{r}_1 = d\vec{r}_2)では dr⃗2,1=0d\vec{r}_{2,1} = 0 となり、内力の対は仕事をまったくしません。

II可視化1 — 2つの加速度と1つの換算質量

相互作用の力は1つ、加速度は2つ。その相対加速度は、ただ1つの実効的な質量 μ\mu に従います。

III可視化2 — 2つの仕事の積分と1つの相対変位

それぞれの物体が受ける仕事は共通の並進に左右されますが、対がする仕事の合計は間隔の変化だけで決まります。

IV可視化3 — 終わりの相対的な速さを予想する

同じ 12 J12\ \text{J} の内力の仕事でも、2つの物体がすでに速く離れているときほど、相対的な速さの増え方は小さくなります。

💡 この 12 J12\ \text{J} は 12MVcm2\tfrac{1}{2}MV_{\text{cm}}^2 には手をつけません。内力は対になって打ち消し合うので、K=12MVcm2+12μvrel2K = \tfrac{1}{2}MV_{\text{cm}}^2 + \tfrac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2 のうち変化できるのは2つめの項だけです。

V確認クイズ

問1 · 換算質量(基本)

条件: m1=3 kgm_1 = 3\ \text{kg} と m2=6 kgm_2 = 6\ \text{kg} の2つの物体が、ニュートンの第三法則に従う力の対を通して相互作用しています。換算質量 μ\mu を求めてください。

✅ 正解です! 1μ=13+16=12\dfrac{1}{\mu} = \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{6} = \dfrac{1}{2} なので μ=2 kg\mu = 2\ \text{kg} です。当然ながら、どちらの質量よりも小さくなっています。
❌ 惜しい! 0.50.5 は 1/μ1/\mu の値です(単位は kg−1\text{kg}^{-1})。定義からまず出てくるのは 1/μ1/\mu なので、その逆数をとって μ\mu を求めます。
❌ 惜しい! μ=m1m2m1+m2\mu = \dfrac{m_1m_2}{m_1+m_2} はいつも両方の質量より小さいので、質量の和にも平均にもなりえません。
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質量の逆数を足します。

1μ=1m1+1m2=13+16=2+16=12 kg−1\frac{1}{\mu} = \frac{1}{m_1} + \frac{1}{m_2} = \frac{1}{3} + \frac{1}{6} = \frac{2+1}{6} = \frac{1}{2}\ \text{kg}^{-1}

逆数をとるか、まとめた形を直接使います。

μ=m1m2m1+m2=3⋅63+6=189=2 kg\mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2} = \frac{3 \cdot 6}{3 + 6} = \frac{18}{9} = 2\ \text{kg}

妥当性の確認: 2<32 < 3 かつ 2<62 < 6 です。質量が等しければ μ=m/2\mu = m/2 になります。相手がずっと重ければ μ\mu は m1=3 kgm_1 = 3\ \text{kg} に近づきますが、それを超えることはありません。

問2 · 形を保ったままの並進

条件: 伸びたばねが2つの物体をつないでいます。ある時間のあいだ、両方の物体が同じ変位 dr⃗1=dr⃗2=d⃗d\vec{r}_1 = d\vec{r}_2 = \vec{d} をするので、間隔は変わりません。この間に内力の対がする仕事の合計を求めてください。

✅ 正解です! W=∫F⃗2,1⋅dr⃗2,1W = \displaystyle\int \vec{F}_{2,1}\cdot d\vec{r}_{2,1} で、ここでは dr⃗2,1=dr⃗1−dr⃗2=d⃗−d⃗=0d\vec{r}_{2,1} = d\vec{r}_1 - d\vec{r}_2 = \vec{d} - \vec{d} = 0 です。
❌ 惜しい! dr⃗2,1=dr⃗1−dr⃗2d\vec{r}_{2,1} = d\vec{r}_1 - d\vec{r}_2 はどの慣性系でも同じなので、対がする仕事の合計は座標系によりません。どの慣性系でもゼロです。
❌ 惜しい! 値を求める前に2つの仕事を足してください。F⃗2,1⋅d⃗+F⃗1,2⋅d⃗=(F⃗2,1+F⃗1,2)⋅d⃗\vec{F}_{2,1}\cdot\vec{d} + \vec{F}_{1,2}\cdot\vec{d} = (\vec{F}_{2,1} + \vec{F}_{1,2})\cdot\vec{d} で、第三法則によりかっこの中はゼロになります。
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方法1:力を打ち消す。 2つの変位が等しいので、

W=F⃗2,1⋅dr⃗1+F⃗1,2⋅dr⃗2=(F⃗2,1+F⃗1,2)⋅d⃗=0⃗⋅d⃗=0W = \vec{F}_{2,1}\cdot d\vec{r}_1 + \vec{F}_{1,2}\cdot d\vec{r}_2 = (\vec{F}_{2,1} + \vec{F}_{1,2})\cdot\vec{d} = \vec{0}\cdot\vec{d} = 0

方法2:まとめた積分を使う。 第三法則によって、2つの積分はすでに1つにまとまっています。

W=∫ABF⃗2,1⋅dr⃗2,1,dr⃗2,1=dr⃗1−dr⃗2=0  ⟹  W=0W = \int_A^B \vec{F}_{2,1}\cdot d\vec{r}_{2,1}, \qquad d\vec{r}_{2,1} = d\vec{r}_1 - d\vec{r}_2 = 0 \;\Longrightarrow\; W = 0

対が一緒に運ばれるあいだ、それぞれの物体は個別にエネルギーを得たり失ったりすることがありますが、その2つの量は大きさが等しく符号が反対です。内力の仕事が生じるのは、間隔が変わるときだけです。

問3 · 質量から終わりの相対的な速さへ

条件: m1=4 kgm_1 = 4\ \text{kg} と m2=12 kgm_2 = 12\ \text{kg} の2台の台車が、摩擦のないレールの上で伸びたばねでつながれていて、外力ははたらきません。状態 AA での相対的な速さは vA=3 m/sv_A = 3\ \text{m/s} で、AA から BB までのあいだに内力の対は W=+24 JW = +24\ \text{J} の仕事をします。

換算質量はいくらですか?

状態 BB での相対的な速さはいくらですか?

✅ 正解です! μ=3 kg\mu = 3\ \text{kg} なので、vB2=vA2+2Wμ=9+16=25v_B^2 = v_A^2 + \dfrac{2W}{\mu} = 9 + 16 = 25 です。
❌ 換算質量を確かめてください。 1μ=14+112=13\dfrac{1}{\mu} = \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{12} = \dfrac{1}{3} です。全質量 M=16 kgM = 16\ \text{kg} が入るのは質量中心の運動の項で、この項ではありません。
❌ 相対的な速さを確かめてください。 vB2=vA2+2Wμv_B^2 = v_A^2 + \dfrac{2W}{\mu} です。初めの相対的な速さは消えませんし、足し合わさるのは速さそのものではなく、その二乗です。
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ステップ1:換算質量

1μ=14+112=3+112=13  ⟹  μ=4⋅1216=3 kg\frac{1}{\mu} = \frac{1}{4} + \frac{1}{12} = \frac{3+1}{12} = \frac{1}{3} \;\Longrightarrow\; \mu = \frac{4 \cdot 12}{16} = 3\ \text{kg}

ステップ2:内力の仕事とエネルギーの関係

W=12μ(vB2−vA2)  ⟹  24=12(3)(vB2−32)W = \tfrac{1}{2}\mu\left(v_B^2 - v_A^2\right) \;\Longrightarrow\; 24 = \tfrac{1}{2}(3)\left(v_B^2 - 3^2\right) vB2−9=2(24)3=16  ⟹  vB2=25  ⟹  vB=5 m/sv_B^2 - 9 = \frac{2(24)}{3} = 16 \;\Longrightarrow\; v_B^2 = 25 \;\Longrightarrow\; v_B = 5\ \text{m/s}

よくある間違い:

  • μ\mu の代わりに M=16 kgM = 16\ \text{kg} を使う:vB=9+3≈3.5 m/sv_B = \sqrt{9 + 3} \approx 3.5\ \text{m/s}。
  • vA2v_A^2 を落とす:vB=16=4 m/sv_B = \sqrt{16} = 4\ \text{m/s}。
  • 二乗ではなく速さを足す:3+4=7 m/s3 + 4 = 7\ \text{m/s}。

外力の仕事はないので、この 24 J24\ \text{J} はすべて相対運動に回ります。12MVcm2\tfrac{1}{2}MV_{\text{cm}}^2 は変わりません。

問4 · 相手がとても重い極限

条件: 質量 2.0 kg2.0\ \text{kg} のボールが、地球(m2=6.0×1024 kgm_2 = 6.0\times 10^{24}\ \text{kg})に向かって落ちています。重力はこの二体系の内力の対で、外力ははたらきません。

ボールと地球からなる系の換算質量はいくらですか?

では、ここで W=12μ(vB2−vA2)W = \tfrac{1}{2}\mu\left(v_B^2 - v_A^2\right) はどうなりますか?

✅ 正解です! μ=m11+m1/m2≈m1\mu = \dfrac{m_1}{1 + m_1/m_2} \approx m_1 で、相対速度は実質的にボールの速度です。二体の定理は、おなじみの一つの粒子についての結果に帰着します。
❌ 極限を確かめてください。 μ=m1m2m1+m2=m11+m1/m2\mu = \dfrac{m_1m_2}{m_1+m_2} = \dfrac{m_1}{1 + m_1/m_2} で、m1/m2≈3×10−25m_1/m_2 \approx 3\times 10^{-25} です。ですから μ\mu は軽いほうの質量のすぐ下にあり、重いほうの質量に近づくことはありません。
❌ 惜しい! 地球自身が受ける仕事は無視できますが、対がする仕事の合計は無視できません。それこそがボールを速くするもの、12m1(vB2−vA2)\tfrac{1}{2}m_1(v_B^2 - v_A^2) です。
❌ 惜しい! m2m_2 でも M=m1+m2M = m_1 + m_2 でもなく、μ≈m1=2.0 kg\mu \approx m_1 = 2.0\ \text{kg} を代入してください。
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ステップ1:相手がとても重い極限での換算質量

μ=m1m2m1+m2=m11+m1/m2,m1m2=2.06.0×1024≈3×10−25\mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2} = \frac{m_1}{1 + m_1/m_2}, \qquad \frac{m_1}{m_2} = \frac{2.0}{6.0\times 10^{24}} \approx 3\times 10^{-25}

したがって μ=2.0 kg\mu = 2.0\ \text{kg} で、その誤差は 3×10243\times 10^{24} 分の1程度にすぎません。動くのは軽いほうの物体だけです。

ステップ2:代入する

W=12μ(vB2−vA2)≈12m1(vB2−vA2)W = \tfrac{1}{2}\mu\left(v_B^2 - v_A^2\right) \approx \tfrac{1}{2}m_1\left(v_B^2 - v_A^2\right)

また、地球はほとんど動かないので v⃗2,1=v⃗1−v⃗2≈v⃗1\vec{v}_{2,1} = \vec{v}_1 - \vec{v}_2 \approx \vec{v}_1 です。「重力がする仕事は、落ちる物体の 12mv2\tfrac{1}{2}mv^2 の変化に等しい」というおなじみの主張は、この二体の定理で μ→mボール\mu \to m_{\text{ボール}} としたものなのです。

なぜ W≈0W \approx 0 ではないのか? dr⃗2≈0d\vec{r}_2 \approx 0 なので、地球が受ける仕事は無視できます。しかし対がする仕事の合計は dr⃗2,1≈dr⃗1d\vec{r}_{2,1} \approx d\vec{r}_1 で決まり、これはボールの落下そのものです。

正解数:0 / 4