古典力学 · 第17回 · 動画3 · インタラクティブ教材

一本の曲線で運命が決まる:三次のポテンシャルとエネルギー図(例題14.1)

I重要な公式

公式名称必要なもの
U(x)=−U1[(xx1)3−(xx1)2]U(x) = -U_1\left[\left(\dfrac{x}{x_1}\right)^3 - \left(\dfrac{x}{x_1}\right)^2\right]三次のポテンシャル(例題14.1)正の定数 U1,x1U_1, x_1、U(0)=0U(0) = 0
Fx=−dUdx=U1(3x2x13−2xx12)F_x = -\dfrac{dU}{dx} = U_1\left(\dfrac{3x^2}{x_1^3} - \dfrac{2x}{x_1^2}\right)ポテンシャルから求めた力x=0x = 0 と x=23x1x = \tfrac{2}{3}x_1 で 0 になる
d2Udx2∣x=0=2U1x12>0,d2Udx2∣x=2x1/3=−2U1x12<0\left.\dfrac{d^2U}{dx^2}\right|_{x=0} = \dfrac{2U_1}{x_1^2} > 0, \qquad \left.\dfrac{d^2U}{dx^2}\right|_{x=2x_1/3} = -\dfrac{2U_1}{x_1^2} < 0曲率による安定性の判定二階微分の符号
K(x)=E−U(x)≥0K(x) = E - U(x) \ge 0許される領域と転回点全エネルギー EE を表す水平な線

ポイント: 力が 0 だというだけでは足りません。静止した粒子がそこにとどまれるかどうかは、曲率で決まります。そして、こぶの高さ U ⁣(23x1)=427U1U\!\left(\tfrac{2}{3}x_1\right) = \tfrac{4}{27}U_1 が、ありうる運動を二つに分けます。それより低ければ粒子は転回点のあいだにとらえられ、高ければ無限遠へ逃げていきます。

II可視化1 — 力は傾きにマイナスをつけたもの

力は曲線の傾きにマイナスをつけたものなので、曲線が平らになるところならどこでも、粒子は静止していられます。

💡 この曲線は空間の中にある丘ではありません。粒子が動くのは xx 軸に沿ってだけで、曲線の高さはたくわえられたエネルギーであって、高度ではありません。

III可視化2 — 粒子がいてよい場所

運動エネルギーはエネルギーの線と曲線のすき間で、決して負にはなりません。

IV可視化3 — 臨界速度

x=23x1x = \tfrac{2}{3}x_1 にあるこぶの頂上をちょうど越えるには、粒子はどれだけの速さで原点を出発しなければならないでしょうか?

💡 逆に −x-x の向きに打ち出すと、どんな速さでも足りません。左側では UU が限りなく上がっていくので、粒子は必ず引き返します。

V確認クイズ

問1 · 平衡点を求める

条件: U(x)=−U1[(xx1)3−(xx1)2]U(x) = -U_1\left[\left(\dfrac{x}{x_1}\right)^3 - \left(\dfrac{x}{x_1}\right)^2\right] (U1,x1>0U_1, x_1 > 0)のとき、粒子にはたらく力が 0 になる位置をすべて求めてください。

✅ 正解です! 因数分解すると x(3x−2x1)=0x\left(3x - 2x_1\right) = 0 となり、解はちょうどこの2つ、谷とこぶの頂上です。
❌ 惜しい! それは U=0U = 0 となる(曲線が軸を横切る)2か所です。つり合いに必要なのは、値ではなく傾きが 0 になることです。
❌ 惜しい! 一つ足りません。 因数分解した条件は x(3x−2x1)=0x\left(3x - 2x_1\right) = 0 で、因数 xx から解 x=0x = 0 が出てきます。
❌ 惜しい! まず微分し、3x2/x13=2x/x123x^2/x_1^3 = 2x/x_1^2 とおいて定数を払いましょう。
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微分して符号を反転すると、力が得られます。

Fx=−dUdx=U1(3x2x13−2xx12)F_x = -\frac{dU}{dx} = U_1\left(\frac{3x^2}{x_1^3} - \frac{2x}{x_1^2}\right)

Fx=0F_x = 0 とおき、両辺に x13/U1x_1^3/U_1 をかけます。

3x2−2x1x=0⟹x(3x−2x1)=03x^2 - 2x_1 x = 0 \quad\Longrightarrow\quad x\left(3x - 2x_1\right) = 0

したがって、力が 0 になるのは

x=0とx=23x1x = 0 \qquad\text{と}\qquad x = \frac{2}{3}x_1

落とし穴に注意しましょう。U(x)=U1(xx1)2(1−xx1)U(x) = U_1\left(\dfrac{x}{x_1}\right)^2\left(1 - \dfrac{x}{x_1}\right) と書くと、x=0x = 0 と x=x1x = x_1 で U=0U = 0 となることがわかります。これらは傾きの零点ではなく、UU の零点です。両方に含まれるのは x=0x = 0 だけです。

問2 · 曲率から安定性を判定する

条件: 平衡点 x=23x1x = \tfrac{2}{3}x_1 で二階微分を評価すると d2Udx2=−2U1x12\dfrac{d^2U}{dx^2} = -\dfrac{2U_1}{x_1^2} になります。この値から、そこにある粒子について何がわかりますか?

✅ 正解です! 曲率が負ならそこは山の頂上です。そのすぐ右では Fx>0F_x > 0、すぐ左では Fx<0F_x < 0 なので、どちら側でも力は平衡点から遠ざかる向きを向きます。
❌ 符号を確かめましょう。 極小であるには d2U/dx2>0d^2U/dx^2 > 0 が必要です。U1,x12>0U_1, x_1^2 > 0 なので、この値は負です。
❌ 微分の階数が違います。 力は Fx=−dU/dxF_x = -dU/dx で、ここでは 0 です。二階微分が測るのは力ではなく曲率です。
❌ 惜しい! つり合いの位置は一階微分で決まります。二階微分は、平衡点を安定なものと不安定なものに分けるだけです。
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ポテンシャルの曲率は

d2Udx2=−U1(6xx13−2x12)\frac{d^2U}{dx^2} = -U_1\left(\frac{6x}{x_1^3} - \frac{2}{x_1^2}\right)

こぶの頂上 x=23x1x = \tfrac{2}{3}x_1 では:

−U1(4x12−2x12)=−2U1x12<0-U_1\left(\frac{4}{x_1^2} - \frac{2}{x_1^2}\right) = -\frac{2U_1}{x_1^2} < 0

曲率が負なので極大です。粒子をずらすと、力 Fx=−dU/dxF_x = -dU/dx は平衡点から遠ざかる向きを向くので、ずれは大きくなっていきます。この点は不安定です。

原点では、同じ式から

−U1(0−2x12)=+2U1x12>0-U_1\left(0 - \frac{2}{x_1^2}\right) = +\frac{2U_1}{x_1^2} > 0

となり、極小、したがって安定なつり合いです。そこでは力は復元力としてはたらきます。どちらの点でも Fx=0F_x = 0 で、2つを見分けるのは曲率だけです。

問3 · 障壁の高さと臨界速度

条件: 質量 mm の粒子が x=0x = 0(そこで U=0U = 0)から速さ v0v_0 で動き始め、x=23x1x = \tfrac{2}{3}x_1 にある不安定な平衡点にぎりぎり到達しなければなりません。障壁の高さと、必要な初速を求めてください。

障壁の高さはいくらですか?

そのために必要な初速はいくらですか?

✅ 正解です! 数値例 U1=274 JU_1 = \tfrac{27}{4}\ \text{J}、m=1 kgm = 1\ \text{kg} では、v0=2 m/s≈1.414 m/sv_0 = \sqrt{2}\ \text{m/s} \approx 1.414\ \text{m/s} です。
❌ 障壁の高さを確かめましょう。 かっこの中の2つの項はどちらも残ります:(23)3=827\left(\tfrac{2}{3}\right)^3 = \tfrac{8}{27}、(23)2=1227\left(\tfrac{2}{3}\right)^2 = \tfrac{12}{27}。そして全体にかかるマイナスの符号が、差を正にします。
❌ 速さを確かめましょう。 E=12mv02E = \tfrac{1}{2}mv_0^2 から出発して v0v_0 について解きます。運動エネルギーから来る係数 22 は残り、v0v_0 は平方根の形になります。
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ステップ1 — 障壁の高さ。 x=23x1x = \tfrac{2}{3}x_1、つまり x/x1=23x/x_1 = \tfrac{2}{3} を代入します。

U ⁣(23x1)=−U1[(23)3−(23)2]=−U1[827−1227]=427U1U\!\left(\tfrac{2}{3}x_1\right) = -U_1\left[\left(\tfrac{2}{3}\right)^3 - \left(\tfrac{2}{3}\right)^2\right] = -U_1\left[\frac{8}{27} - \frac{12}{27}\right] = \frac{4}{27}U_1

ステップ2 — 出発点でのエネルギー。 x=0x = 0 ではポテンシャルエネルギーが 0 なので、エネルギーはすべて運動エネルギーです。

E=K(0)=12mv02E = K(0) = \tfrac{1}{2}mv_0^2

ステップ3 — 等しいとおく。 こぶの頂上に「ぎりぎり到達する」とは、K→0K \to 0 で到着すること、つまり E=427U1E = \tfrac{4}{27}U_1 ということです。

427U1=12mv02⟹v02=8U127m⟹v0=8U127m\frac{4}{27}U_1 = \frac{1}{2}mv_0^2 \quad\Longrightarrow\quad v_0^2 = \frac{8U_1}{27m} \quad\Longrightarrow\quad v_0 = \sqrt{\frac{8U_1}{27m}}

数値例で検算。 U1=274 JU_1 = \tfrac{27}{4}\ \text{J}、m=1 kgm = 1\ \text{kg} とすると v02=827⋅274=2v_0^2 = \dfrac{8}{27}\cdot\dfrac{27}{4} = 2 なので v0=2 m/sv_0 = \sqrt{2}\ \text{m/s}、E=12(1)(2)=1 JE = \tfrac{1}{2}(1)(2) = 1\ \text{J} です。ちょうど 1 J1\ \text{J} のこぶの高さです。

問4 · 図から運命を読み取る

条件: 数値例 x1=1.5 mx_1 = 1.5\ \text{m}、U1=274 JU_1 = \tfrac{27}{4}\ \text{J}、m=1 kgm = 1\ \text{kg} を使います。このとき、こぶの頂上は x=1 mx = 1\ \text{m} にあって U=1 JU = 1\ \text{J} で、U(1.6 m)=−0.51 JU(1.6\ \text{m}) = -0.51\ \text{J} です。全エネルギー E=1.2 JE = 1.2\ \text{J} の粒子が x=1.6 mx = 1.6\ \text{m} にあり、−x-x の向きに動いています。この粒子はどうなりますか?

✅ 正解です! こぶの高さより上では、三次方程式 E=U(x)E = U(x) の解は一つしか残りません。したがって転回点はちょうど一つで、それはずっと左側にあります。
❌ UU が負になるのはまったくかまいません。 負になってはいけないのは K=E−UK = E - U だけで、ここでは K=1.2−(−0.51)=1.71 JK = 1.2 - (-0.51) = 1.71\ \text{J} です。
❌ とらえるには、EE より高い障壁が必要です。 ここでは E=1.2 J>1 JE = 1.2\ \text{J} > 1\ \text{J} なので、こぶでは粒子を止められません。
❌ 惜しい! まず EE をこぶの高さと比べ、それから E=U(x)E = U(x) の解の数を数えましょう。
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この数値例では U(x)=3x2−2x3U(x) = 3x^2 - 2x^3(単位はジュール、xx はメートル)で、こぶの高さは

427U1=427⋅274 J=1 J<E=1.2 J\tfrac{4}{27}U_1 = \tfrac{4}{27}\cdot\tfrac{27}{4}\ \text{J} = 1\ \text{J} < E = 1.2\ \text{J}

出発点での運動エネルギー: K=E−U(1.6)=1.2−(−0.51)=1.71 J>0K = E - U(1.6) = 1.2 - (-0.51) = 1.71\ \text{J} > 0 なので、粒子は確かにそこにいることができます。

こぶの頂上で: K=1.2−1=0.2 J>0K = 1.2 - 1 = 0.2\ \text{J} > 0 なので、左へ進む粒子は極大で止まらずに、そのまま越えていきます。

ただ一つの転回点: E=U(x)E = U(x) を解くと、

3x2−2x3=1.2⟹xd≈−0.54 m3x^2 - 2x^3 = 1.2 \quad\Longrightarrow\quad x_d \approx -0.54\ \text{m}

が唯一の解で、急に上がっていく左側の枝の上にあります。粒子は谷を横切ってそこで止まり、向きを変えて、ふたたびこぶの頂上を越えて戻ります。そこから先は UU が限りなく下がっていくので、KK が増え続け、粒子は +∞+\infty へ逃げていきます。x<xdx < x_d の領域に入ることは決してできません。

正解数:0 / 4