古典力学 · 第17回 · 動画5 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 滑る物体が失う運動エネルギー(質点モデル) | 動摩擦力とすべった距離 | |
| 物体 床の面の系の内部での散逸 | 両方の物体を囲む系の境界、、 | |
| 閉じた系のエネルギー収支 | 何も越えることのない境界 | |
| 水平な地面でのエネルギー源 | :ばねも高さの変化もない |
ポイント: 散逸は何も消し去りません。分子のそろった運動を、両方の物体の分子の不規則な運動に変えるのです。境界を引き直しても物理は変わらず、変わるのは帳簿のつけ方だけです。床の面を境界の外に置けば、摩擦力ははっきりしない接触点にはたらく外力です。境界の内に入れれば、摩擦力は内力になり、系の全エネルギーは変わりません。
ブロックの は消えません。それは両方の物体の分子の不規則な運動へと移っていきます。
💡 この変換は一方通行です。分子のそろった運動は不規則な運動になりますが、分子の不規則な運動がひとりでにそろい直して の押し出しになることは決してありません。まさにこのことが、散逸の過程を不可逆にしています。
同じすべりに2通りの境界を引きます。摩擦力は一方では外力、もう一方では内力になり、変わるのは帳簿のつけ方だけです。
地面についた足はすべらないので、摩擦力は仕事をしません。それなのに、歩く人の運動エネルギーは増えていきます。
💡 地面についた足が多少すべるとしても、そのすべりは後ろ向き、つまり運動と反対向きです。すべりはエネルギーを奪うことしかできず、歩く人の運動エネルギーの源には決してなりません。
問1 · すべりのエネルギーを追う
条件: のブロックが、ざらざらした水平な床の上を で滑り出し、 進んで止まります。動摩擦力は で、系はブロックと床をまとめたものとします。発生した熱エネルギー を求めてください。
境界でブロックと床を囲むと、摩擦力は内力になり、仕事をする外力はないので、系の全エネルギーは変わりません。
ブロックの最初の運動エネルギーは
で、最後は静止するので となり、
摩擦力から求めても同じ値になります。ブロックがちょうど で止まるのはそのためです:。
問2 · 熱エネルギーの分かれ方
条件: 問1と同じすべりで、 の熱エネルギーが生じます。そのうちブロック自身に入る量を求めてください。
ブロック 床の系にエネルギー保存則を当てはめると、2つの未知数に対して式が1つ得られます。
和が になる負でない配分なら、どの組でもこの式を満たします。散逸は2つの部分の境目、つまり接触面のところで起こり、新しく生まれた熱エネルギーがどう分かれるかは、力学だけでは決まりません。それを決めるには別のモデルが必要です。散逸したエネルギーが系を構成する部分のあいだにどう配分されるかを記述する熱的状態方程式で、これは2つの物質の性質に依存します。
問3 · 歩く人の帳簿
条件: の人が水平な地面で静止状態から歩き出して に達し、その間に体が の化学エネルギーを変換します。人 空気 地面を、 の閉じた系とみなします。 と を求めてください。
運動エネルギーの変化はいくらですか?
熱エネルギーの変化はいくらですか?
閉じた系なので、エネルギーの出入りはありません。
地面は水平でばねもないので です。化学エネルギーの項を左辺に移すと、
燃料を消費するので であり、放出されたエネルギーは です。運動エネルギーの項は
したがって
地面からの前向きの摩擦力は、この帳簿にはまったく現れません。地面についた足の接触点は変位しないので、摩擦力は仕事をしないからです。エネルギーの出どころは、はじめから内部にあったのです。
問4 · 一定の速さで押す
条件: 同じ の箱を、同じ床の上で水平に一定の速さで 押します()。系は箱と床をまとめたものとし、熱の流れはない()とします。外部からの仕事 と、発生した熱エネルギーを求めてください。
速さが一定なので箱の加速度はゼロであり、加える力は動摩擦力とつり合います:。外界が系にする仕事は
です。箱 床の系に として第一法則を当てはめると、
問1と比べてみましょう。熱エネルギーは同じ ですが、支払う者が違います。問1では境界は閉じていて、箱自身の運動エネルギーが温度上昇をまかないました。ここではエネルギーが外部からの仕事として境界を越え、運動エネルギーは変わりません。前と同じく、その が箱と床にどう分かれるかを決めるには、やはり熱のモデルが必要です。
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