古典力学 · 第18回 · 動画2 · インタラクティブ教材

エネルギーだけでは宙返りループは解けない:ばね・物体・ループ(例題14.3)

I重要な公式

公式名称わかること
12kx2=2mgR+12mvtop2\tfrac{1}{2}kx^2 = 2mgR + \tfrac{1}{2}mv_{top}^2エネルギー保存則、ばね →\to 最高点一つの式に二つの未知数(xx と vtopv_{top})
−mg−N=−mvtop2R-mg - N = -\dfrac{mv_{top}^2}{R}最高点での動径方向のニュートンの第二法則二つの力はどちらも中心を向く
vtop=3gRv_{top} = \sqrt{3gR}N=2mgN = 2mg のときの最高点での速さ質量は約分されて消え、gg と RR だけが残る
x=7mgRkx = \sqrt{\dfrac{7mgR}{k}}ばねの縮み二つの原理を組み合わせた結果

ポイント:エネルギー保存則は二つの状態のエネルギーを見積もりますが、xx と vtopv_{top} は一つの式の中にからみ合ったまま残ります。レールの押す力が指定された一点でニュートンの第二法則を使うと、独立な二つめの式が得られます。

II可視化1 — ばねのエネルギーの行き先

ばねに蓄えられたエネルギーの使い道はちょうど二つです。高さ 2R2R まで登ることと、最高点に残る運動エネルギーです。

III可視化2 — レールの押す力が速さを決める

最高点では二つの力がどちらも中心を向くので、レールが強く押すほど物体は速くなります。

💡 レールの力を N=0N = 0 より小さくしようとすると、物体を円の上にとどめるものは何もなくなります。物体はレールを離れて投射体として飛んでいくので、gR\sqrt{gR} が半径 RR のループを通過できる最小の速さです。

IV可視化3 — 二つの原理、一つの縮み

二つの原理は同じ 12mvtop2\tfrac{1}{2}mv_{top}^2 を表しているので、それらを等しいとおくと縮み xx が決まります。

ステップ1 — エネルギー保存則(小問(a))
摩擦のないレールで空気抵抗もないので、Wnc=0W_{nc} = 0、Ef=EiE_f = E_i です:
2mgR+12mvtop2=12kx2⟹12mvtop2=12kx2−2mgR2mgR + \tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = \tfrac{1}{2}kx^2 \quad\Longrightarrow\quad \tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = \tfrac{1}{2}kx^2 - 2mgR
一つの式に xx と vtopv_{top} の二つの未知数。エネルギーだけではここで行き詰まります。

V確認クイズ

問1 · 最高点での速さ

条件: 質量 mm の物体が半径 RR の鉛直なループの最高点を通過します。そこでレールは大きさ N=2mgN = 2mg の垂直抗力で物体を押しています。速さ vtopv_{top} を求めてください。

✅ 正解です! 重力と垂直抗力を合わせると中心向きの力は 3mg3mg なので、vtop2=3gRv_{top}^2 = 3gR です。gg と RR だけで決まります。
❌ 重力が抜けています。 最高点では重力も中心を向くので、動径方向の合力は N=2mgN = 2mg ではなく mg+N=3mgmg + N = 3mg です。
❌ それは NN を上向きにしたときの答えです。 NN を上向きに描くと N−mg=mgN - mg = mg となり、v2=gRv^2 = gR です。レールは押すことしかできず、ループの最高点で押すとは下向きに押すことです。
❌ 式変形が一歩足りません。 12mvtop2=32mgR\tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = \tfrac{3}{2}mgR に 2m\tfrac{2}{m} をかけると、32gR\tfrac{3}{2}gR ではなく vtop2=3gRv_{top}^2 = 3gR です。
❌ 惜しい! 二つの力がどちらも中心を向くように動径方向の式を立て、N=2mgN = 2mg を代入しましょう。
解答を見る

ループの最高点では円の中心が物体の下にあるので、向心加速度は下向きで、二つの力も下向きです。上向きを +y+y にとると:

−mg−N=−mvtop2R-mg - N = -\frac{mv_{top}^2}{R}

与えられた条件 N=2mgN = 2mg を代入すると:

−mg−2mg=−mvtop2R⟹3mg=mvtop2R-mg - 2mg = -\frac{mv_{top}^2}{R} \quad\Longrightarrow\quad 3mg = \frac{mv_{top}^2}{R}

質量は約分されて消え、vtop2=3gRv_{top}^2 = 3gR となるので

vtop=3gRv_{top} = \sqrt{3gR}

同じことですが、12mvtop2=32mgR\tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = \tfrac{3}{2}mgR です。これは最高点での運動エネルギーで、ばねにはまったく触れずに、力だけから決まります。

問2 · 許されるいちばん遅い通過

条件: 同じ半径 RR のループで、NN には条件を課しません。物体がまだレールに接していられる、最高点での最小の速さを求めてください。

✅ 正解です! NN が負にならなければならなくなった瞬間に接触は失われるので、限界は N=0N = 0 の場合で、重力だけが mv2/Rmv^2/R をまかないます。
❌ それはエネルギーだけの考え方です。 最高点にたどり着くだけでは足りません。v=0v = 0 では必要な向心力はゼロなのに、重力はなお mgmg で引くので、物体はすでにレールを離れています。
❌ 半径を確かめましょう。 2gR\sqrt{2gR} は、直径を使って a=v2/(2R)a = v^2/(2R) とした値です。向心加速度には半径を使います:a=v2/Ra = v^2/R。
❌ それは N=2mgN = 2mg の場合です。 ここでは NN に条件がないので、限界はレールが出せる最小の押す力、N=0N = 0 です。
❌ 惜しい! レールが出せる最小の垂直抗力はいくらかを考え、その値を動径方向の式に入れましょう。
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レールは押せても引けないので、N≥0N \ge 0 です。上向きを +y+y にとると、最高点での動径方向の式は

−mg−N=−mv2R⟹v2=(mg+N)Rm-mg - N = -\frac{mv^2}{R} \quad\Longrightarrow\quad v^2 = \frac{(mg + N)R}{m}

速さが最小になるのは NN が最小、すなわち N=0N = 0 のときです:

vmin2=gR⟹vmin=gRv_{min}^2 = gR \quad\Longrightarrow\quad v_{min} = \sqrt{gR}

ちょうどこの速さのとき、重力だけで物体は円に沿って曲がります。これより遅いと必要な向心力が mgmg より小さくなり、レールにはそれを実現できません。物体は最高点に達する前にループから離れて落ちていきます。

問3 · さらに強い条件

条件: 動画と同じばね(kk)、物体(mm)、摩擦のないループ(RR)を使いますが、最高点での垂直抗力が N=4mgN = 4mg になるように留め金の位置を決めます。最高点での運動エネルギーと縮み xx を求めてください。

最高点での運動エネルギーは?

ばねの縮みは?

✅ 正解です! 最高点でより強く押させるには、より多くの蓄えたエネルギーが必要です。12kx2=2mgR+52mgR=92mgR\tfrac{1}{2}kx^2 = 2mgR + \tfrac{5}{2}mgR = \tfrac{9}{2}mgR なので、x=3mgR/kx = 3\sqrt{mgR/k} です。
❌ 動径方向の式を確かめましょう。 N=4mgN = 4mg なら中心向きの力は mg+4mg=5mgmg + 4mg = 5mg で、vtop2=5gRv_{top}^2 = 5gR、12mvtop2=52mgR\tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = \tfrac{5}{2}mgR となります。動画の 32mgR\tfrac{3}{2}mgR は N=2mgN = 2mg の場合の値です。
❌ エネルギーの収支を確かめましょう。 ばねは上昇分 2mgR2mgR と運動エネルギー 52mgR\tfrac{5}{2}mgR の両方をまかなわなければなりません。12kx2=92mgR\tfrac{1}{2}kx^2 = \tfrac{9}{2}mgR から x2=9mgR/kx^2 = 9mgR/k です。
解答を見る

ステップ1 — 最高点でのニュートンの第二法則(二つの力はどちらも中心向き、上向きが +y+y):

−mg−4mg=−mvtop2R⟹5mg=mvtop2R⟹vtop2=5gR-mg - 4mg = -\frac{mv_{top}^2}{R} \quad\Longrightarrow\quad 5mg = \frac{mv_{top}^2}{R} \quad\Longrightarrow\quad v_{top}^2 = 5gR 12mvtop2=52mgR\tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = \tfrac{5}{2}mgR

ステップ2 — エネルギー保存則(縮んだばねと最高点のあいだ):

12kx2=2mgR+12mvtop2=2mgR+52mgR=92mgR\tfrac{1}{2}kx^2 = 2mgR + \tfrac{1}{2}mv_{top}^2 = 2mgR + \tfrac{5}{2}mgR = \tfrac{9}{2}mgR

ステップ3 — xx について解く(2/k2/k をかけてから平方根をとる):

x2=9mgRk⟹x=3mgRkx^2 = \frac{9mgR}{k} \quad\Longrightarrow\quad x = 3\sqrt{\frac{mgR}{k}}

動画の 7mgR/k≈2.65mgR/k\sqrt{7mgR/k} \approx 2.65\sqrt{mgR/k} と比べましょう。上昇分の 2mgR2mgR は変わらず、変わったのは最高点での運動エネルギーの分だけです。

問4 · 質量を2倍にする

条件: 同じばね(kk)とループ(RR)で、物体の質量を 2m2m にし、やはり最高点での垂直抗力が重さの2倍になるように打ち出します。vtopv_{top} と必要な縮み xx がどう変わるかを求めてください。

最高点での速さは?

必要な縮みは?

✅ 正解です! 質量は動径方向の式では約分されますが、エネルギーの式では約分されません。vtop=3gRv_{top} = \sqrt{3gR} は変わらず、x=7mgR/kx = \sqrt{7mgR/k} は m\sqrt{m} に比例して大きくなります。
❌ ここでは質量は約分されます。 3(2m)g=(2m)vtop2/R3(2m)g = (2m)v_{top}^2/R の両辺を 2m2m でわると vtop2=3gRv_{top}^2 = 3gR が残り、速さは前と同じです。
❌ 式の中で mm がどう入っているかを見ましょう。 x=7mgR/kx = \sqrt{7mgR/k} は質量の平方根に比例するので、mm を2倍にすると、xx は 22 倍ではなく 2≈1.41\sqrt{2} \approx 1.41 倍になります。
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速さ。 質量が 2m2m のとき、「NN は重さの2倍」という条件は N=2(2m)gN = 2(2m)g となり、動径方向の式は

−(2m)g−2(2m)g=−(2m)vtop2R⟹3g=vtop2R-(2m)g - 2(2m)g = -\frac{(2m)v_{top}^2}{R} \quad\Longrightarrow\quad 3g = \frac{v_{top}^2}{R}

どの項にも同じ因子 2m2m がつくので約分され、vtop=3gRv_{top} = \sqrt{3gR} と前とまったく同じになります。動画の小問(b)が gg と RR だけで答えられたのはこのためです。

縮み。 エネルギーは事情が違います。ばねは重い物体を持ち上げ、より多くの運動エネルギーを与えなければなりません:

12kx2=72(2m)gR⟹x=7(2m)gRk=2 7mgRk\tfrac{1}{2}kx^2 = \tfrac{7}{2}(2m)gR \quad\Longrightarrow\quad x = \sqrt{\frac{7(2m)gR}{k}} = \sqrt{2}\,\sqrt{\frac{7mgR}{k}}

したがって xx は 2≈1.41\sqrt{2} \approx 1.41 倍になります。エネルギーの二つの項 2mgR2mgR と 32mgR\tfrac{3}{2}mgR はどちらも mm に比例するので、収支全体は2倍になりますが、xx はその平方根に比例してしか大きくなりません。

正解数: 0 / 4