古典力学 · 第2回 · 動画5 · インタラクティブ教材

同じベクトル、違う成分:座標軸の回転と成分の変換則

I重要な公式

公式 名称 説明
i^′=i^cos⁡θ+j^sin⁡θ\hat{i}' = \hat{i}\cos\theta + \hat{j}\sin\theta 回転した単位ベクトル 新しい x 軸の基底を古い基底で表す
j^′=j^cos⁡θ−i^sin⁡θ\hat{j}' = \hat{j}\cos\theta - \hat{i}\sin\theta 回転した単位ベクトル 新しい y 軸の基底を古い基底で表す
x′=xcos⁡θ+ysin⁡θx' = x\cos\theta + y\sin\theta 成分の変換則 新しい x 成分
y′=−xsin⁡θ+ycos⁡θy' = -x\sin\theta + y\cos\theta 成分の変換則 新しい y 成分(マイナスの符号に注意)
∣R⃗∣=x2+y2=x′2+y′2\lvert \vec{R}\rvert = \sqrt{x^2+y^2} = \sqrt{x'^2+y'^2} 大きさの不変性 長さはどの座標系でも同じ

II可視化1 — 射影としての成分

座標軸を回すと、固定された矢印の成分は書き換わります。x′x' と y′y' は、傾いた軸へのその矢印の射影だからです。

💡 チャレンジ:x′x' が 00 になる回転角 θ\theta を見つけてください。そのとき矢印は、新しい y′y' 軸にぴったり重なります。

III可視化2 — 大きさは不変

軸が回ると各成分は大きく揺れ動きます。では、どんな回転でも変わらないものは何でしょうか?

💡 なぜ大切か:長さは座標系の性質ではなく、ベクトルそのものの性質です。同じことが、任意の2つのベクトルの内積についても成り立ちます。

IV確認クイズ

問1

あるベクトルの成分は、SS 系で x=3x = 3、y=4y = 4 です。軸を θ=90°\theta = 90° だけ回転させて S′S' 系をつくります。

x′=xcos⁡θ+ysin⁡θx' = x\cos\theta + y\sin\theta を使うと、x′x' はいくつですか?

✅ 正解です! θ = 90° なので、x' = 3(0) + 4(1) = 4 です。

❌ 惜しい! cos 90° = 0、sin 90° = 1 なので、cos の項は消えることを思い出してください。

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解答:

θ=90°\theta = 90° のとき、cos⁡90°=0\cos 90° = 0、sin⁡90°=1\sin 90° = 1 です。

x′=xcos⁡θ+ysin⁡θ=3(0)+4(1)=4x' = x\cos\theta + y\sin\theta = 3(0) + 4(1) = 4

90°90° 回転すると、新しい x 軸は古い y 軸の向きを指すので、新しい x 成分には古い y の値がそのまま入ります。

問2

この導出でいちばん多い間違いは、符号に関するものです。

正しいか誤りか:新しい y 成分の正しい変換則は y′=xsin⁡θ+ycos⁡θy' = x\sin\theta + y\cos\theta である。

✅ 正解です! 正しい形は y' = −x sin θ + y cos θ です。マイナスの符号が欠かせません。

❌ 惜しい! 符号に注意してください。x sin θ の項は負でなければなりません。

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解答:

正しい関係式では、xsin⁡θx\sin\theta の項にマイナスの符号がつきます。

y′=−xsin⁡θ+ycos⁡θy' = -x\sin\theta + y\cos\theta

このマイナスの符号が現れるのは、新しい y′y' 軸が古い xx の向きから離れる側へ 傾いているからです。問題文の式にはマイナスの符号がないので、この主張は誤りです。

問3

ベクトル A⃗\vec{A} の成分は、SS 系で Ax=5A_x = 5、Ay=−3A_y = -3 です。軸を θ=60°\theta = 60° だけ回転させて S′S' 系をつくると、新しい成分は Ax′≈−0.10A_x' \approx -0.10、Ay′≈−5.83A_y' \approx -5.83 になります。

S′S' 系で測った大きさ ∣A⃗∣\lvert\vec{A}\rvert はいくつですか?

✅ 正解です! 大きさは不変です。どちらの座標系でも √(25 + 9) = √34 です。

❌ 惜しい! 長さは回転によって変わりません。元の座標系で √(5² + (−3)²) を計算してください。

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解答:

大きさは回転に対して不変なので、どちらの座標系で計算してもかまいません。

SS 系では ∣A⃗∣=Ax2+Ay2=25+9=34≈5.83\lvert\vec{A}\rvert = \sqrt{A_x^2 + A_y^2} = \sqrt{25 + 9} = \sqrt{34} \approx 5.83

S′S' 系では ∣A⃗∣=(−0.10)2+(−5.83)2≈34≈5.83\lvert\vec{A}\rvert = \sqrt{(-0.10)^2 + (-5.83)^2} \approx \sqrt{34} \approx 5.83

成分の見た目はまるで違いますが、長さはどちらの座標系でもまったく同じです。

問4

座標軸を回転させることの、概念的な意味を考えます。

正しいか誤りか:軸を角度 +θ+\theta だけ回転させると、ベクトルの成分は、 軸を固定したままベクトルそのものを −θ-\theta だけ回転させたときと まったく同じように付け替わる。

✅ 正解です! 軸を +θ 回す受動的な回転は、ベクトルを −θ 回す能動的な回転と一致します。

❌ 惜しい! 軸をある向きに回すと、ベクトルを逆向きに回したのと同じように成分が付け替わります。

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解答:

これは、受動的な回転(軸を回す。ベクトルは固定)と 能動的な回転(ベクトルを回す)の区別です。

軸を +θ+\theta だけ回転させると、軸を固定したままベクトルを −θ-\theta だけ回転させたときと 同じ新しい成分が得られます。この動画では、物理的には何も動いていません。 変わったのは、固定された矢印の表し方だけです。したがって、この主張は正しいです。

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