古典力学 · 第20回 · 動画2 · インタラクティブ教材

同じ向きなら速くなる:角加速度の符号と、止まっていくターンテーブル

I重要な公式

公式名称必要なもの
ωz=dθdt,αz=dωzdt=d2θdt2\omega_z = \dfrac{d\theta}{dt}, \qquad \alpha_z = \dfrac{d\omega_z}{dt} = \dfrac{d^2\theta}{dt^2} 角速度と角加速度の成分 右手系:+z+z は上向き、θ\theta は上から見て反時計回りに増える
ωzαz>0\omega_z\alpha_z > 0:速くなる ωzαz<0\qquad \omega_z\alpha_z < 0:遅くなる 符号の組 両方の成分。一方の符号だけでは何も決まらない
vθ,i=ri ωz,aθ,i=ri αzv_{\theta,i} = r_i\,\omega_z, \qquad a_{\theta,i} = r_i\,\alpha_z 質量要素の接線方向の速度と接線加速度 回転軸からの垂直距離 rir_i
ar,i=−vθ,i 2ri=−ri ωz2a_{r,i} = -\dfrac{v_{\theta,i}^{\,2}}{r_i} = -r_i\,\omega_z^2 動径方向の加速度(向心加速度) どちら向きの回転でも内向き。ωz\omega_z は2乗で現れる

ポイント: 一つの符号だけでは何も決まりません。αz<0\alpha_z < 0 が言っているのは、α⃗\vec{\alpha} が −k^-\hat{\mathbf{k}} の向きを向いているということだけです。物体の回転が速くなるか遅くなるかは、積 ωzαz\omega_z\alpha_z の符号で決まります。どちら向きの回転を正と呼ぶかを逆にすると、二つの成分の符号がそろって入れ替わるので、その積も、物理も変わりません。

II可視化1 — 2つの符号で1つの結論

αz\alpha_z の符号だけでは何も決まりません。運動を決めるのは、その符号が ωz\omega_z と同じか違うかです。

III可視化2 — 2倍離れれば2倍速い

円板全体の角速度はただ一つですが、要素ごとに速さは違います。それを決めるのは半径です。

IV可視化3 — 止まっていくターンテーブル

一定の角加速度は、ωz\omega_z の時間変化のグラフの傾きです。ここではゼロまで直線的に下がります。

ステップ1 — 回転の速さを振動数で表す
f0=(33 回転min) ⁣(1 min60 s)=0.55 回転s=0.55 Hzf_0 = \left(33\,\frac{\text{回転}}{\text{min}}\right)\!\left(\frac{1\ \text{min}}{60\ \text{s}}\right) = 0.55\ \frac{\text{回転}}{\text{s}} = 0.55\ \text{Hz}

💡 円板の 1.2 kg1.2\ \text{kg} と 13 cm13\ \text{cm} は、どちらの答えにも入りませんでした。この二つが決めるのは、この減速に必要なトルクであって、運動学ではありません。モーターを切った瞬間、縁の点は vθ=Rωz=+0.46 m/sv_\theta = R\omega_z = +0.46\ \text{m/s}、ar=−Rωz2=−1.59 m/s2a_r = -R\omega_z^2 = -1.59\ \text{m/s}^2 でした。これに対して接線加速度は aθ=Rαz=−5.6×10−2 m/s2a_\theta = R\alpha_z = -5.6\times 10^{-2}\ \text{m/s}^2 で、ωz2/∣αz∣≈28\omega_z^2/|\alpha_z| \approx 28 分の1の大きさです。

V確認クイズ

問1 · 符号の組を読む

条件: はずみ車が上から見て時計回りに回っていて、標準の右手系の約束(k^\hat{\mathbf{k}} は上向き、θ\theta は上から見て反時計回りに増える)で ωz=−6.0 rad/s\omega_z = -6.0\ \text{rad/s}、αz=−1.5 rad/s2\alpha_z = -1.5\ \text{rad/s}^2 です。回転が速くなっているか遅くなっているか、そして α⃗\vec{\alpha} がどちらを向いているかを求めてください。

✅ 正解です! 両方の成分が負なので、どちらのベクトルも軸に沿って下を向いています。同じ向きなので、はずみ車は時計回りにどんどん速く回ります。
❌ 惜しい!向きは正しいのですが、結論が違います。 たしかに αz<0\alpha_z < 0 なので α⃗\vec{\alpha} は −k^-\hat{\mathbf{k}} の向きですが、運動を決めるのは積です:(−6.0)(−1.5)=+9.0>0(-6.0)(-1.5) = +9.0 > 0。
❌ 惜しい! αz<0\alpha_z < 0 なので α⃗=αzk^\vec{\alpha} = \alpha_z\hat{\mathbf{k}} は −k^-\hat{\mathbf{k}} の向きです。そして ωzαz=+9.0 rad2/s3\omega_z\alpha_z = +9.0\ \text{rad}^2/\text{s}^3 です。
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α⃗\vec{\alpha} の向き: ベクトルは α⃗=αzk^\vec{\alpha} = \alpha_z\hat{\mathbf{k}} なので、成分が負ならば −k^-\hat{\mathbf{k}} の向き、つまり軸に沿ってまっすぐ下を向きます。

速くなるか遅くなるか: 一方の符号だけでなく、必ず二つの符号を比べます。

ωzαz=(−6.0)(−1.5)=+9.0>0\omega_z\alpha_z = (-6.0)(-1.5) = +9.0 > 0

符号が同じなので、ω⃗\vec{\omega} と α⃗\vec{\alpha} は同じ向き(どちらも軸に沿って下)を向いていて、はずみ車の回転は速くなっています。時計回りの回転の速さが増え、∣ωz∣|\omega_z| は 6.0 rad/s6.0\ \text{rad/s} から大きくなっていきます。

落とし穴は、αz<0\alpha_z < 0 を「減速している」と読んでしまうことです。それが意味するのは「軸に沿って下向き」ということだけです。時計回りの回転では、軸に沿って下向きは運動と同じ向きです。

問2 · 同じ円板、逆の約束

条件: 円板が上から見て反時計回りに回っていて、回転が速くなっています。もう一人の学生は右手系を保ったまま、θ\theta が上から見て時計回りに増えるようにとったので、単位ベクトル k^′\hat{\mathbf{k}}' は下向きです。この学生の ωz′\omega_z' と αz′\alpha_z' の符号を求めてください。

✅ 正解です! 両方の成分の符号が入れ替わり、積は正のままです。二人の学生はどちらも、円板の回転が速くなっていると結論します。
❌ 物理的には何も変わっていませんが、測る基準が変わりました。 どちらのベクトルも下向きの k^′\hat{\mathbf{k}}' を基準に読むので、両方の成分の符号が変わります。
❌ 惜しい! 速くなるということは、ω⃗\vec{\omega} と α⃗\vec{\alpha} が同じ向きだということです。ここではどちらも軸に沿って上を向いているので、下向きの k^′\hat{\mathbf{k}}' を基準にすると、両方の成分は同じ符号になります。
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まず物理。 上から見て反時計回りなので、ω⃗\vec{\omega} は軸に沿って上を向きます。回転が速くなっているので、α⃗\vec{\alpha} は ω⃗\vec{\omega} と同じ向き、つまりやはり軸に沿って上です。どちらのベクトルも、誰がどの約束を選んだかには関係しません。

次に成分。 もう一人の学生の k^′\hat{\mathbf{k}}' は下向きなので、軸に沿って上を向くどんなベクトル A⃗\vec{A} についても Az′=A⃗⋅k^′<0A_z' = \vec{A}\cdot\hat{\mathbf{k}}' < 0 です。

ωz′<0,αz′<0\omega_z' < 0, \qquad \alpha_z' < 0

結論は変わりません。 両方の成分の符号がそろって変わったので

ωz′αz′=(−)(−)>0\omega_z'\alpha_z' = (-)(-) > 0

となり、やはり「速くなっている」です。最初の学生が ωzαz=(+)(+)>0\omega_z\alpha_z = (+)(+) > 0 から得る結論と同じです。だからこそ、物理的な意味をもつのはどちらか一方の符号ではなく、積なのです。

問3 · 縁にのったほこり

条件: モーターを切った瞬間、ターンテーブルは ωz=+3.5 rad/s\omega_z = +3.5\ \text{rad/s}、αz=−0.43 rad/s2\alpha_z = -0.43\ \text{rad/s}^2 です。軸から R=0.13 mR = 0.13\ \text{m} の縁に、ほこりの粒がのっています。その加速度の2つの成分を求めてください。

接線成分 aθa_\theta は?

動径成分 ara_r は?

✅ 正解です! ここでは内向きの加速度は接線方向の減速の 2828 倍です。しかもこれは、モーターを回したままでも残ります。
❌ 接線成分を確かめましょう。 aθ=Rαza_\theta = R\alpha_z です。半径が1回かかり、αz\alpha_z の符号がそのまま引き継がれます。
❌ 動径成分を確かめましょう。 ar=−Rωz2a_r = -R\omega_z^2 です。半径が1回、角速度が2乗でかかり、マイナス符号は決して消えません。
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接線方向。 RR を一定として(円板は剛体です)vθ=Rωzv_\theta = R\omega_z を微分すると

aθ=Rαz=(0.13 m)(−0.43 rad/s2)=−0.0559≈−5.6×10−2 m/s2a_\theta = R\alpha_z = (0.13\ \text{m})(-0.43\ \text{rad/s}^2) = -0.0559 \approx -5.6\times 10^{-2}\ \text{m/s}^2

負の値です。vθ=Rωz=+0.455 m/sv_\theta = R\omega_z = +0.455\ \text{m/s} は正なので、ほこりは運動に対して後ろ向きに引っ張られています。

動径方向。 円運動では、ほこりはいつも軸に向かって加速しています。

ar=−vθ 2R=−Rωz2=−(0.13 m)(3.5 rad/s)2=−(0.13)(12.25)=−1.5925≈−1.6 m/s2a_r = -\frac{v_\theta^{\,2}}{R} = -R\omega_z^2 = -(0.13\ \text{m})(3.5\ \text{rad/s})^2 = -(0.13)(12.25) = -1.5925 \approx -1.6\ \text{m/s}^2

よくある間違い:

  • ara_r のマイナスを落とす。ωz\omega_z が2乗されているので、どちら向きの回転でも内向きです。
  • 2乗を忘れる。−Rωz=−0.46 m/s2-R\omega_z = -0.46\ \text{m/s}^2 は加速度としては単位が合いません。
  • 半径を忘れる。−ωz2=−12.25-\omega_z^2 = -12.25 は1メートルあたりの加速度です。

比:∣ar∣/∣aθ∣=ωz2/∣αz∣=12.25/0.43≈28|a_r|/|a_\theta| = \omega_z^2/|\alpha_z| = 12.25/0.43 \approx 28。

問4 · 惰性で回って止まる回転子

条件: 回転子が上から見て時計回りに 45 rev/min45\ \text{rev/min} で回っています。駆動を切ると、一定の角加速度で惰性で回り、12 s12\ \text{s} で止まります。標準の約束(k^\hat{\mathbf{k}} は上向き、θ\theta は上から見て反時計回りに増える)での αz\alpha_z を求めてください。

✅ 正解です! ωz=−4.7 rad/s\omega_z = -4.7\ \text{rad/s}、αz=+0.39 rad/s2\alpha_z = +0.39\ \text{rad/s}^2 で符号が逆なので、α⃗\vec{\alpha} が軸に沿って上を向いたまま、回転子は遅くなります。
❌ 遅くなることは αz<0\alpha_z < 0 を意味しません。 意味するのは ωzαz<0\omega_z\alpha_z < 0 です。ここでは ωz\omega_z がすでに負なので、αz\alpha_z は正になるはずです。
❌ 換算を確かめましょう。 45 rev/min=0.75 Hz45\ \text{rev/min} = 0.75\ \text{Hz} で、一回転は 2π2\pi ラジアンなので、∣ω0∣=2π(0.75)=4.7 rad/s|\omega_0| = 2\pi(0.75) = 4.7\ \text{rad/s} です。
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ステップ1 — 最初の角速度を符号つきで求める。 上から見て時計回りは θ\theta が減る向きなので、ωz\omega_z は負から始まります。

f0=4560=0.75 Hz,ωz,0=−2πf0=−4.712…≈−4.7 rad/sf_0 = \frac{45}{60} = 0.75\ \text{Hz}, \qquad \omega_{z,0} = -2\pi f_0 = -4.712\ldots \approx -4.7\ \text{rad/s}

ステップ2 — 一定の角加速度。

αz=ωz,f−ωz,0Δt=0−(−4.712… rad/s)12 s=+0.3927≈+3.9×10−1 rad/s2\alpha_z = \frac{\omega_{z,f} - \omega_{z,0}}{\Delta t} = \frac{0 - (-4.712\ldots\ \text{rad/s})}{12\ \text{s}} = +0.3927 \approx +3.9\times 10^{-1}\ \text{rad/s}^2

ステップ3 — 符号の規則で確かめる。

ωzαz=(−4.7)(+0.39)<0\omega_z\alpha_z = (-4.7)(+0.39) < 0

符号が逆なので、回転子は遅くなっています。「惰性で回って止まる」とはそういうことです。ここでの正の αz\alpha_z は、日常的な意味での「加速」ではありません。α⃗\vec{\alpha} が +k^+\hat{\mathbf{k}} の向き、つまり軸に沿って上を向き、下向きの ω⃗\vec{\omega} と反対向きだという意味です。

2つの落とし穴: ブレーキがかかっている物体は αz<0\alpha_z < 0 のはずだと思い込むことと、因子 2π2\pi を落とすことです(そうすると 0.75/12=0.06250.75/12 = 0.0625 という、もっともらしく見える誤答になります)。

正解数:0 / 4