古典力学 · 第20回 · 動画6 · インタラクティブ教材
| 公式 | 名称 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 支点のまわりの慣性モーメント | 同じ一本の軸のまわりの慣性モーメントは足し合わせられる。円板の は平行軸の定理で まで移す | |
| 棒と円板の質量中心(重心) | 各部分の質量 × その部分自身の中心の位置、の和を全質量で割る | |
| 放した瞬間から最下点までのエネルギーの収支 | 静かに放す。支点は仕事をせず、摩擦はない | |
| 最下点での角速度 | 前の二つの結果を一つの式にまとめたもの |
ポイント: 剛体のポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)は、全質量が質量中心に集まっているかのように計算できますが、運動エネルギーはそうはいきません。だから と は同じ式の両側に分かれて現れるのです。 は、質量の平均の位置だけでなく、支点のまわりに質量がどう分布しているかで決まります。
全体の質量中心は、棒の中点と円板の中心を質量で重みづけした加重平均です。
円板は自分の中心ではなく のまわりに回るので、 だけでは円板の寄与になりません。
静かに放された振り子は、質量中心のポテンシャルエネルギーを に換えていきます。
💡 なら振り子ははじめから傾けられておらず、式も を与えます。失われた高さがないので、運動エネルギーに変わるものもありません。
問1 · 支点のまわりの慣性モーメント
条件: 支点 のまわりの慣性モーメントが の一様な棒に、質量 、自身の中心を通る軸のまわりの慣性モーメントが の円板が、その中心が から のところに来るようにしっかり固定されています(棒の長さは )。振り子全体の支点のまわりの慣性モーメント を求めてください。
同じ軸のまわりの慣性モーメントは足し合わせられるので、棒と円板を別々に扱い、 のまわりの寄与を足します。
棒: は支点のまわりの値として与えられているので、手を加える必要はありません。
円板: は円板自身の中心を通る軸のまわりの値です。この軸は支点の軸に平行で(どちらも振れる面に垂直)、支点の軸から だけ離れているので、平行軸の定理が使えます。
合計:
ずらしの項だけで 、全体の約 を占めます。円板の質量が支点から のところにあることのほうが、その質量が円板自身の中心のまわりにどう広がっているかよりも、はるかに大きく効くのです。
問2 · 全体の質量中心
条件: 質量 、長さ の一様な棒が支点からつり下げられ、質量 の円板が、その中心が棒に沿って支点から のところに来るように取りつけられています。支点から、棒と円板を合わせた全体の質量中心までの距離 を求めてください。
棒は一様なので、棒自身の質量中心はその中点、つまり支点から のところにあります。円板の質量中心はその中心で、支点から のところです。どちらも棒の直線上にあるので、全体の質量中心もその直線上にあります。
二つの極限で式を確かめます。
その中間のどんな質量でも、 はこの二点のあいだにあり、重いほうの部分に近くなります。
問3 · 放した瞬間から最下点まで
条件: 同じ振り子(、、、)を で静かに放し、 の最下点まで振らせます。
失われるポテンシャルエネルギーはいくらですか?
最下点での角速度 はいくらですか?
ステップ1:失われるポテンシャルエネルギー。 ポテンシャルエネルギーは、全質量が質量中心に集まっているかのように扱えます。放した瞬間、その点は最下点で到達する高さより だけ上にあります。
ステップ2:得られる運動エネルギー。 振り子は静止状態から動き出し、支点は仕事をしないので、 がすべて のまわりの回転の運動エネルギーになります。棒と円板は一つの剛体で、一つの角速度で回ります。
運動エネルギーに が使えない理由: の位置にある質量 の質点なら となり、 を与えます。実際の物体は、質量が一点に集中せず支点のまわりに広がっているので、 です。
問4 · 円板を輪に取りかえる
条件: 円板を、質量も半径も同じ細い輪に取りかえます。すると、 の代わりに となります。質量、、、放す角は変わりません。 と はどうなりますか?
ポテンシャルエネルギーの側。 に含まれるのは、質量と二つの中心の位置だけです。輪の質量中心は、円板とまったく同じくその中心にあるので、
運動エネルギーの側。 は影響を受けます。 がその三つの項の一つだからです。
同じエネルギーで、回転に少しだけ強く抵抗する物体を回さなければならないので、振り子は約 遅く最下点を通過します。問題全体の非対称性が、この一手に表れています。失われるエネルギーを決めるのは質量中心ですが、そのエネルギーでどれだけの速さが得られるかを決めるのは、支点のまわりの質量の分布だけなのです。
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