古典力学 · 第21回 · 動画3 · インタラクティブ教材
物体全体に一つの式――ニュートンの第二法則を足し合わせて τ = Iα へ
I重要な公式
ポイント: (τSext)z=ISαz は F=ma と同じ形をしています。力は軸のまわりのトルクに、質量は慣性モーメントに、加速度は角加速度に置きかわります。そして内力が各組を結ぶ直線に沿っていれば、左辺に現れるのは物体の外からの力だけです。
II回転を生むのは接線成分だけ
要素にはたらく合力のうち、軸方向のトルクをもつのは Fθ,i だけです:(τS,i)z=riFθ,i。
III物体全体で足し合わせる
共通の αz のもとで、各要素には Δmiri2αz のトルクが必要なので、物体全体では ISαz が必要です。
💡 どの ri も、S からの距離ではなく、軸からの垂直距離です。高さ zi は項 zik^×Fi とともに消えたので、IS は軸上のどの S でも同じです。
IV内部トルクが打ち消し合うとき
第三法則の対がおよぼすトルクは (rS,i−rS,j)×Fj,i です。どの S のまわりでも同じで、0 になるのは力が組を結ぶ直線に沿うときだけです。
💡 すべての組について足し合わせると、強い形の作用・反作用の法則から τSint=0 となります。したがって τS=τSext で、τS,z=ISαz のトルクは外部トルクだけです。
V確認クイズ
問1 · 一つの要素にはたらく軸方向のトルク
条件: 固定された z 軸のまわりを回転する剛体の一つの要素が、軸から ri=0.40 m、軸上の基準点 S から高さ zi=0.30 m のところにあります。この要素にはたらく合力の成分は Fr,i=2.0 N、Fθ,i=3.0 N、Fz,i=6.0 N です(大きさは 7.0 N)。(τS,i)z を求めてください。
✅ 正解です! 軸のまわりのモーメントアームをもつのは接線成分だけです:
riFθ,i=(0.40)(3.0)=1.2 N⋅m。
❌ それは riFr,i です。 動径成分は軸からまっすぐ外を向いていて、
r^×r^=0 です。どれほど大きくても、軸のまわりのトルクはもちません。
❌ それは S からの距離を使っています。 ∣rS,i∣=0.302+0.402=0.50 m ですが、高さの項
zik^×Fi には
z 成分がありません。モーメントアームは垂直距離
ri=0.40 m です。
❌ それは ri に力全体をかけています。 7.0 N のうち、要素を軸のまわりに回すのは接線方向の
3.0 N だけです。動径成分と軸方向の成分は、水平なトルクしか生みません。
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二つのベクトルを円柱座標の基底で rS,i=zik^+rir^、Fi=Fr,ir^+Fθ,iθ^+Fz,ik^ と書き、r^×θ^=k^、θ^×k^=r^、k^×r^=θ^ を使います。
τS,i=−ziFθ,ir^+(ziFr,i−riFz,i)θ^+riFθ,ik^
τS,i=(−0.90r^−1.8θ^+1.2k^) N⋅m
高さ zi と成分 Fr,i、Fz,i は、水平な部分にしか現れません。軸方向のトルクは
(τS,i)z=riFθ,i=(0.40 m)(3.0 N)=1.2 N⋅m
問2 · 大きさが等しく向きが反対なだけでは足りない
条件: 剛体の内部で、要素 i と j が 0.20 m 離れています。j が i におよぼす力の大きさが 5.0 N で、二つを結ぶ直線に垂直な向きだったとします。i が j におよぼす力は大きさが等しく向きが反対で、Fi,j=−Fj,i です。基準点 S のまわりの、この組のトルクの合計の大きさを求めてください。
✅ 正解です! この組のトルクは
(rS,i−rS,j)×Fj,i で、どの
S のまわりでも大きさは
(0.20)(5.0)=1.0 N⋅m です。二つの力は打ち消し合っても、偶力が残ります。
❌ 力は打ち消し合いますが、トルクは打ち消し合いません。 二つの力は別々の点にはたらき、
(rS,i−rS,j)×Fj,i が 0 になるのは
Fj,i が組を結ぶ直線に平行なときだけです。ここでは垂直です。
❌ それは中点のまわりの、一方の力だけのトルクです。 中点のまわりでは、どちらの力も
0.10 m のモーメントアームをもち、同じ向きに回すので、足し合わさります:
2(0.10)(5.0)=1.0 N⋅m。
❌ S は消えます。 Fi,j=−Fj,i なので組のトルクは
(rS,i−rS,j)×Fj,i で、
rS,i−rS,j は
S がどこにあっても
j から
i へ向かうベクトルです。
解答を見る
二つのトルクを足し、Fi,j を −Fj,i で置きかえます。
τS,j,i+τS,i,j=rS,i×Fj,i+rS,j×(−Fj,i)=(rS,i−rS,j)×Fj,i
rS,i−rS,j は j から i へ向かう長さ 0.20 m のベクトルで、どの S でも同じです。そして力はそれに垂直です。
∣τS,j,i+τS,i,j∣=(0.20 m)(5.0 N)sin90°=1.0 N⋅m
この偶力があるからこそ、導出には強い形の作用・反作用の法則が必要なのです。Fj,i が組を結ぶ直線に沿っていれば角は 0° か 180° で、どの組のトルクも 0 になります。
問3 · 要素から角加速度へ
条件: 剛体の回転子が、固定された鉛直な軸のまわりに回ります。その軽い枠に、三つの小さな質量がついています。2.0 kg は軸から 0.30 m、S から 0.40 m 上に、1.0 kg は軸から 0.50 m、S と同じ高さに、3.0 kg は軸から 0.20 m、S から 1.20 m 下にあります。同じ軸についた半径 0.30 m の軽い滑車の縁を、ベルトが接線方向に 5.5 N で引いています。軸受が回転軸を押す力は軸に向かう向きと軸に沿った向きだけで、重力は軸に平行です。
慣性モーメント IS はいくらですか?
角加速度 αz はいくらですか?
✅ 正解です! IS=0.18+0.25+0.12=0.55 kg⋅m2 です。外部トルクの
z 成分をもつのはベルトだけで
1.65 N⋅m、よって
αz=1.65/0.55=3.0 rad/s2 です。
❌ 半径は2乗しなければなりません。 ∑iΔmiri=1.70 kg⋅m では単位さえ合いません。
ri は二回現れます。一回はモーメントアームとして、もう一回は
aθ,i=riαz を通してです。
❌ それは高さ zi を使っています。 ∑iΔmizi2=4.64 は軸に沿った距離を測っています。高さはトルクの
z 成分から消えたので、効くのは軸からの距離だけです。
❌ それは S からの距離を使っています。 ∑iΔmi(ri2+zi2)=5.19 は、
S を軸に沿って動かすと変わってしまいます。
IS に使うのは垂直距離
ri だけです。
❌ それは全質量で割っています。 1.65/6.0≈0.28 です。回転の法則では、質量は慣性モーメントに置きかわります:
αz=(τSext)z/IS。
❌ それは 5.19 kg⋅m2 で割っています。 その和は
S からの距離を使っています。垂直距離を使えば
IS=0.55 kg⋅m2 です。
❌ それはトルクに慣性モーメントをかけています。 (τSext)z=ISαz なので、
αz はトルクを
IS で割ったものです。
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慣性モーメントには、各質量の軸からの垂直距離を使います。S より上か下かの高さは決して入りません。
IS=i∑Δmiri2=(2.0)(0.30)2+(1.0)(0.50)2+(3.0)(0.20)2=0.18+0.25+0.12=0.55 kg⋅m2
外部トルクの z 成分:ベルトによるものは (0.30 m)(5.5 N)=1.65 N⋅m です。軸受の力は動径方向か軸方向で、重力は軸方向なので、どれもトルクの z 成分をもちません。また内力は各組を結ぶ直線に沿ってはたらくので、そのトルクは組ごとに打ち消し合います。
αz=IS(τSext)z=0.55 kg⋅m21.65 N⋅m=3.0 rad/s2
問4 · 外からの力を書き出す
条件: ターンテーブルの回転盤が鉛直なスピンドルのまわりに回り、スピンドルの軸のまわりの慣性モーメントは IS=0.060 kg⋅m2 です。軸から 0.15 m の縁を、指が 2.0 N の力で押します。そのうち 1.6 N は接線方向(上から見て反時計回り)、1.2 N は軸に向かう動径方向です。軸受の摩擦は、トルクの z 成分 −0.048 N⋅m を与えます。この摩擦を除けば、スピンドルが回転盤を押す力は軸に向かう向きと鉛直方向だけで、重力は鉛直です。また回転盤の各部分は、最大 50 N の内力で互いに引き合っていて、その内力はどれも二つの部分を結ぶ直線に沿っています。αz を求めてください。
✅ 正解です! トルクの
z 成分をもつのは、指の接線方向の力と摩擦だけです:
(0.15)(1.6)−0.048=0.192 N⋅m、そして
0.192/0.060=3.2 rad/s2 です。
❌ それは 2.0 N 全体を使っています。 軸のまわりのモーメントアームをもつのは接線方向の
1.6 N だけです。動径方向の
1.2 N は軸を向いています。
❌ 摩擦トルクが抜けています。 軸受は回転盤の外にあるので、その
−0.048 N⋅m は外部トルクです:
0.240−0.048=0.192 N⋅m。
❌ それは動径成分を使っています。 軸に向かう
1.2 N は、軸のまわりのモーメントアームをもちません。回転盤を回すのは接線方向の
1.6 N です。
解答を見る
回転盤の外からはたらく力を書き出し、それぞれについて軸上の S のまわりのトルクの z 成分をとります。
- 指の力の接線方向の部分:(0.15 m)(1.6 N)=0.240 N⋅m
- 指の力の動径方向の部分:0(軸を向いている)
- 軸受の摩擦:−0.048 N⋅m
- スピンドルが押す力(軸に向かう向きか鉛直)と重力(鉛直):0
50 N の内力は各部分を結ぶ直線に沿ってはたらくので、そのトルクは組ごとに打ち消し合い、決して式に入りません。
(τSext)z=0.240−0.048=0.192 N⋅m
αz=IS(τSext)z=0.060 kg⋅m20.192 N⋅m=3.2 rad/s2
正解数:0 / 4