古典力学 · 第22回 · 動画3 · インタラクティブ教材

梁を回すのは垂直成分だけ――数値で見るてこの原理と、斜めの力への一般化

I重要な公式

公式名称前提と意味
Fpivot=(mb+m1+m2) gF_{\text{pivot}} = (m_b + m_1 + m_2)\,g 力の条件(例題18.1) 力はすべて鉛直。支点が梁と物体を支える:(2.9 kg)(9.8 m⋅s−2)≈28 N(2.9\ \text{kg})(9.8\ \text{m}\cdot\text{s}^{-2}) \approx 28\ \text{N}(有効数字2桁)
d1N1=d2N2  ⟹  d2=d1m1m2d_1 N_1 = d_2 N_2 \;\Longrightarrow\; d_2 = \dfrac{d_1 m_1}{m_2} てこの原理 支点のまわりのトルク。そこでは FpivotF_{\text{pivot}} と mbg⃗m_b\vec{g} のモーメントアーム(うでの長さ)は0。gg は約分される
Fi,∥=Ficos⁡θiF_{i,\parallel} = F_i\cos\theta_i, Fi,⊥=Fisin⁡θi\quad F_{i,\perp} = F_i\sin\theta_i 傾いた力の分解 各 θi\theta_i は、その力の側で支点から離れる向きの水平方向から測り、0≤θi≤π0 \le \theta_i \le \pi。したがって Fi,⊥≥0F_{i,\perp} \ge 0 で、2つの平行な部分は互いに逆向き
d1∣F1,⊥∣=d2∣F2,⊥∣  ⟺  d1F1sin⁡θ1=d2F2sin⁡θ2d_1\left|F_{1,\perp}\right| = d_2\left|F_{2,\perp}\right| \;\Longleftrightarrow\; d_1 F_1 \sin\theta_1 = d_2 F_2 \sin\theta_2 一般化したてこの原理 反時計回りを正として、支点のまわりで (τS,total)z=0(\tau_{S,\text{total}})_z = 0 とおいたものそのもの

ポイント: 傾いた力の平行な部分は梁に沿ってはたらき、その線は支点を通るので、モーメントアームは0です。それが入るのは横方向の力の条件 F1cos⁡θ1=F2cos⁡θ2F_1\cos\theta_1 = F_2\cos\theta_2 だけで、回転には決して入りません。θ1=θ2=π2\theta_1 = \theta_2 = \tfrac{\pi}{2} ではサインがどちらも 11 になり、一般化した法則はてこの原理 d1F1=d2F2d_1F_1 = d_2F_2 に戻ります。

II可視化1 — 数値で見るてこの原理

梁が水平を保つには物体2をどこに置けばよいでしょうか? そして、支点の力はそれに左右されるでしょうか?

💡 梁自身の長さは、つり合いには一度も入ってきません。2つの物体を載せられるだけの長さ、d1,d2≤l/2=0.5 md_1, d_2 \le l/2 = 0.5\ \text{m} があればよいのです。

III可視化2 — 傾いた力を分解する

傾いた力のうち、実際に梁を支点のまわりに回すのはどれだけでしょうか?

IV可視化3 — つり合う2つの傾いた力

2つの傾いた力が梁をつり合わせるのは、d1F1sin⁡θ1=d2F2sin⁡θ2d_1F_1\sin\theta_1 = d_2F_2\sin\theta_2 のときです。入るのは垂直な部分だけです。

V確認クイズ

問1 · 傾いた力のトルク

条件: 大きさ F=12 NF = 12\ \text{N} の力が、支点から d=0.50 md = 0.50\ \text{m} のところで、梁から上に θ=30∘\theta = 30^\circ の向きに梁にはたらきます。この力の支点のまわりのトルクの大きさを求めてください。

✅ 正解です! 梁を回すのは F⊥=Fsin⁡θ=(12 N)(12)=6.0 NF_\perp = F\sin\theta = (12\ \text{N})(\tfrac{1}{2}) = 6.0\ \text{N} だけで、(0.50 m)(6.0 N)=3.0 N⋅m(0.50\ \text{m})(6.0\ \text{N}) = 3.0\ \text{N}\cdot\text{m} です。
❌ それは dFdF です。 大きさ全体に距離をかけています。F⃗\vec{F} のうち梁に沿った部分は作用線が支点を通るので、何も寄与しません。
❌ 成分が違います。 Fcos⁡θ=10.4 NF\cos\theta = 10.4\ \text{N} は梁に沿った部分です。梁を回すのは Fsin⁡θF\sin\theta です。
❌ 正しい答えの半分です。 因子 sin⁡30∘=12\sin 30^\circ = \tfrac{1}{2} が計算に入るのは一度だけです。力を一度分解して F⊥=6.0 NF_\perp = 6.0\ \text{N} とし、それに距離そのもの d=0.50 md = 0.50\ \text{m} をかけます。
❌ 惜しい! sin⁡30∘=12\sin 30^\circ = \tfrac{1}{2} なので垂直な部分は 6.0 N6.0\ \text{N} で、トルクはその dd 倍です。
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F⃗\vec{F} を、梁に沿った部分と梁に垂直な部分に分けます。

F∥=Fcos⁡θ=(12 N)(0.866)=10.4 N,F⊥=Fsin⁡θ=(12 N)(12)=6.0 NF_\parallel = F\cos\theta = (12\ \text{N})(0.866) = 10.4\ \text{N}, \qquad F_\perp = F\sin\theta = (12\ \text{N})\left(\tfrac{1}{2}\right) = 6.0\ \text{N}

F∥F_\parallel は梁に沿ってはたらき、その線は支点を通るので、モーメントアームは0、トルクも0です。残るのは F⊥F_\perp だけです。

∣τS∣=d Fsin⁡θ=(0.50 m)(12 N)(12)=3.0 N⋅m\left|\tau_S\right| = d\,F\sin\theta = (0.50\ \text{m})(12\ \text{N})\left(\tfrac{1}{2}\right) = 3.0\ \text{N}\cdot\text{m}

30∘30^\circ 傾いた力が生むトルクは、同じ力を梁に垂直に加えたときのちょうど半分です。

問2 · 月の上の同じてこ

条件: 例題を、g=1.6 m⋅s−2g = 1.6\ \text{m}\cdot\text{s}^{-2} の月に持っていきます。中心の真下に支点を置いた質量 mb=2.0 kgm_b = 2.0\ \text{kg} の一様な梁の、右へ d1=0.40 md_1 = 0.40\ \text{m} のところに m1=0.3 kgm_1 = 0.3\ \text{kg}、左へ d2d_2 のところに m2=0.6 kgm_2 = 0.6\ \text{kg} を載せます。

d2d_2 はいくらですか?

支点が梁におよぼす力はいくらですか?

✅ 正解です! gg は約分されるので、つり合いの距離は変わりません。しかし支点の力は重さを支える力なので、gg とともに小さくなります:(2.9 kg)(1.6 m⋅s−2)=4.6 N(2.9\ \text{kg})(1.6\ \text{m}\cdot\text{s}^{-2}) = 4.6\ \text{N}。
❌ gg は約分されます。 てこの原理は d1m1g=d2m2gd_1 m_1 g = d_2 m_2 g です。両辺を gg で割れば、地球でつり合う配置は月でもそのままつり合います。
❌ 比が逆になっています。 d2=d1m1/m2d_2 = d_1 m_1 / m_2 です。重いほうの物体は支点から遠くではなく、支点の近くに置かれます。
❌ それは地球での値です。 28 N28\ \text{N} は g=9.8 m⋅s−2g = 9.8\ \text{m}\cdot\text{s}^{-2} を使った値です。支点の力は重さを支える力なので、gg とともに変わります。
❌ 和から何かが抜けています。 支点はその上にあるものすべて、つまり梁と2つの物体、mb+m1+m2m_b + m_1 + m_2 を支えています。
解答を見る

距離。 支点のまわりのトルクをとります。FpivotF_{\text{pivot}} と mbg⃗m_b\vec{g} は支点にはたらき、モーメントアームは0なので、

d1N1=d2N2  ⟹  d2=d1m1gm2g=d1m1m2=(0.40 m)(0.3 kg)0.6 kg=0.20 md_1 N_1 = d_2 N_2 \;\Longrightarrow\; d_2 = \frac{d_1 m_1 g}{m_2 g} = \frac{d_1 m_1}{m_2} = \frac{(0.40\ \text{m})(0.3\ \text{kg})}{0.6\ \text{kg}} = 0.20\ \text{m}

gg は約分されるので、月の上でも地球とまったく同じく d2=0.20 md_2 = 0.20\ \text{m} です。確認:d1m1=d2m2=0.12 kg⋅md_1m_1 = d_2m_2 = 0.12\ \text{kg}\cdot\text{m}。

支点の力。 力はすべて鉛直なので、N1=m1gN_1 = m_1 g、N2=m2gN_2 = m_2 g として Fpivot−mbg−N1−N2=0F_{\text{pivot}} - m_b g - N_1 - N_2 = 0 です。

Fpivot=(mb+m1+m2) g=(2.9 kg)(1.6 m⋅s−2)=4.64 N≈4.6 NF_{\text{pivot}} = (m_b + m_1 + m_2)\,g = (2.9\ \text{kg})(1.6\ \text{m}\cdot\text{s}^{-2}) = 4.64\ \text{N} \approx 4.6\ \text{N}

トルクの条件は gg に左右されませんが、力の条件はそれに比例します。

問3 · つり合う角度を求める

条件: 大きさ 6.0 N6.0\ \text{N} の F⃗1\vec{F}_1 が支点から右へ d1=0.40 md_1 = 0.40\ \text{m} のところに θ1=90∘\theta_1 = 90^\circ ではたらき、大きさ 16 N16\ \text{N} の F⃗2\vec{F}_2 が左へ d2=0.30 md_2 = 0.30\ \text{m} のところにはたらきます。梁を回転のつり合いに保つ角 θ2\theta_2 を求めてください。

d1F1sin⁡θ1d_1 F_1 \sin\theta_1 はいくらですか?

θ2\theta_2 はいくらですか?

✅ 正解です! sin⁡θ2=2.4/4.8=12\sin\theta_2 = 2.4 / 4.8 = \tfrac{1}{2} なので、16 N16\ \text{N} の力は、その半分だけが梁を横切る向きにはたらくまで傾ける必要があります。
❌ sin⁡90∘=1\sin 90^\circ = 1 です。00 ではありません。 0になるのは cos⁡90∘\cos 90^\circ のほうです。水平な梁にはたらく鉛直な力は、すべて梁に垂直です。
❌ 小数点の位置を確かめましょう。 (0.40 m)(6.0 N)(1)=2.4 N⋅m(0.40\ \text{m})(6.0\ \text{N})(1) = 2.4\ \text{N}\cdot\text{m} です。24 N⋅m24\ \text{N}\cdot\text{m} は10倍大きすぎます。
❌ 割るのではなく、かけます。 求めるのは積 d1F1sin⁡θ1d_1 F_1 \sin\theta_1 なので、(0.40 m)(6.0 N)(1)(0.40\ \text{m})(6.0\ \text{N})(1) です。
❌ トルクが大きすぎます。 90∘90^\circ では2つめの力が (0.30)(16)=4.8 N⋅m(0.30)(16) = 4.8\ \text{N}\cdot\text{m} を生み、必要な値の2倍になります。
❌ それは cos⁡θ2=12\cos\theta_2 = \tfrac{1}{2} の解です。 この法則で使うのは梁から測った角のサインなので、sin⁡θ2=12\sin\theta_2 = \tfrac{1}{2} です。
❌ 梁に沿った力は何もしません。 θ2=0∘\theta_2 = 0^\circ では垂直な部分が消え、F⃗1\vec{F}_1 に逆らうものがなくなります。
❌ 惜しい! d1F1sin⁡θ1=d2F2sin⁡θ2d_1F_1\sin\theta_1 = d_2F_2\sin\theta_2 とおいて、sin⁡θ2\sin\theta_2 について解きましょう。
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ステップ1 — 打ち消すべきトルク。 sin⁡90∘=1\sin 90^\circ = 1 なので、

d1F1sin⁡θ1=(0.40 m)(6.0 N)(1)=2.4 N⋅md_1 F_1 \sin\theta_1 = (0.40\ \text{m})(6.0\ \text{N})(1) = 2.4\ \text{N}\cdot\text{m}

ステップ2 — 一般化したてこの原理を課す。

d2F2sin⁡θ2=2.4 N⋅m  ⟹  sin⁡θ2=2.4 N⋅m(0.30 m)(16 N)=2.44.8=12d_2 F_2 \sin\theta_2 = 2.4\ \text{N}\cdot\text{m} \;\Longrightarrow\; \sin\theta_2 = \frac{2.4\ \text{N}\cdot\text{m}}{(0.30\ \text{m})(16\ \text{N})} = \frac{2.4}{4.8} = \frac{1}{2}

ステップ3 — 0≤θ2≤π0 \le \theta_2 \le \pi の範囲で解く。 θ2=30∘\theta_2 = 30^\circ はこれを満たし、θ2=150∘\theta_2 = 150^\circ も満たします。サインは 90∘90^\circ について対称なので、力は支点のほうへ傾いても支点から離れる向きに傾いても、同じ垂直な部分 F2sin⁡θ2=8.0 NF_2\sin\theta_2 = 8.0\ \text{N} をもちます。

2つの傾け方は平行な部分 ±F2cos⁡θ2\pm F_2\cos\theta_2 が異なり、どちらになるかはトルクではなく横方向の力の条件で決まります。

問4 · 梁に沿った力と、回転の向き

条件: 大きさ 5.0 N5.0\ \text{N} の F⃗1\vec{F}_1 が支点から右へ d1=0.60 md_1 = 0.60\ \text{m} のところに、梁に沿って支点から離れる向き(θ1=0∘\theta_1 = 0^\circ)にはたらきます。F⃗2\vec{F}_2 は左へ d2=0.20 md_2 = 0.20\ \text{m} のところに θ2=90∘\theta_2 = 90^\circ ではたらきます。

梁を回転のつり合いに保つ大きさ F2F_2 はいくらですか?

k^\hat{k} を紙面の手前向きにとります。支点の左へ距離 dd のところに、梁から上に角 θ\theta の向きにはたらく大きさ FF の力は、どんな (τS)z(\tau_S)_z を与えますか?

✅ 正解です! sin⁡0∘=0\sin 0^\circ = 0 なので1つめのトルクは完全に消え、2つめも0でなければなりません。また、左端を持ち上げる力は梁を時計回り、つまり紙面の奥向きに回し、これは zz の負の向きです。
❌ それはサインを抜かした d1F1=d2F2d_1F_1 = d_2F_2 です。 F⃗1\vec{F}_1 は梁に沿っているので F1sin⁡θ1=0F_1\sin\theta_1 = 0 で、どれほど大きくてもトルクを生みません。
❌ つり合うのは大きさではありません。 つり合いで等しくなるのは積 dFsin⁡θdF\sin\theta で、ここではその1つめが0です。
❌ 半分だけ正しいです。 F⃗1\vec{F}_1 は確かに何も寄与しませんが、F⃗2\vec{F}_2 は d2=0.20 md_2 = 0.20\ \text{m} で梁に垂直なので、F2F_2 自体が0でない限りトルク d2F2d_2F_2 を生みます。
❌ 向きを確かめましょう。 左端を持ち上げると梁は時計回りに回りますが、正の向きは反時計回りです。
❌ 成分が違います。 Fcos⁡θF\cos\theta は梁に沿って支点を通る向きなので、モーメントアームは0です。
❌ 間違いが2つ重なっています。 Fcos⁡θF\cos\theta は梁に沿った部分で、その作用線は支点を通るのでトルクをまったく生みません。また、左端を持ち上げると梁は時計回りに回り、これは zz の負の向きです。
❌ 惜しい! 支点のまわりのトルクをとりましょう。各力は ± dFsin⁡θ\pm\,dF\sin\theta を与え、符号は梁を反時計回りに回すか時計回りに回すかで決まります。
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大きさ。 F⃗1\vec{F}_1 は梁に沿った向きなので、その作用線は支点を通ります。

d1F1sin⁡θ1=(0.60 m)(5.0 N)sin⁡0∘=0d_1 F_1 \sin\theta_1 = (0.60\ \text{m})(5.0\ \text{N})\sin 0^\circ = 0

すると回転のつり合いには d2F2sin⁡θ2=0d_2 F_2 \sin\theta_2 = 0 が必要で、d2=0.20 md_2 = 0.20\ \text{m}、sin⁡90∘=1\sin 90^\circ = 1 なので、解は F2=0F_2 = 0 だけです。梁に沿った力を垂直な力でつり合わせることはできません。そもそも、つり合わせる必要がないのです。

符号。 i^\hat{i} を右向き、j^\hat{j} を上向き、k^=i^×j^\hat{k} = \hat{i}\times\hat{j} を紙面の手前向きにとります。左へ dd のところにはたらく力では、r⃗S,F\vec{r}_{S,F} は −i^-\hat{i} の向きで、r⃗S,F\vec{r}_{S,F} と F⃗\vec{F} のなす角は θ\theta なので、トルクの大きさは dFsin⁡θdF\sin\theta です。この力は左端を持ち上げ、それは時計回り、つまり紙面の奥向きの回転です。

(τS,2)z=− dFsin⁡θ(\tau_{S,2})_z = -\,d F \sin\theta

2つの約束を合わせると、一般化したてこの原理は一つの式で表せます:(τS,total)z=d1F1sin⁡θ1−d2F2sin⁡θ2=0(\tau_{S,\text{total}})_z = d_1F_1\sin\theta_1 - d_2F_2\sin\theta_2 = 0。

正解数:0 / 4