古典力学 · 第23回 · 動画5 · インタラクティブ教材
高さが消える理由:固定軸のまわりの角運動量と回転する輪
I重要な公式
ポイント: 高さ r∥ は各要素の角運動量を傾けるだけで、z 成分には決して入りません。軸に対する対称性があれば傾きは対ごとに打ち消し合います。対称性がなければ、保証されるのは LS,z=ISωz だけです。
II可視化1 — S を軸に沿って動かす
S を軸に沿って動かすと、要素の角運動量の傾きは変わりますが、z 成分は決して変わりません。
III可視化2 — 輪を対ごとに見る
直径の両端にある物体の傾いた部分は互いに逆向きなので、輪の LS は軸の上にのります。
IV可視化3 — トルクは LS,z の時間変化率
一定のトルクの z 成分は、LS,z=ISωz を時間に比例して増やします。その傾きは τS,zext=ISαz です。
V確認クイズ
問1 · 1つの要素の軸方向の成分
条件: 剛体が固定された z 軸のまわりを ωz=5 rad/s で回転しています。ある要素は Δmj=0.20 kg で、軸から rS,j⊥=0.30 m、軸上の点 S から rS,j∥=0.40 m 上にあります。(LS,j)z を求めてください。
✅ 正解です! 入るのは軸からの距離だけです:
(LS,j)z=Δmj(rS,j⊥)2ωz=0.20×0.09×5=0.090 kg⋅m2/s。
❌ それは S からの距離全体 ∣rS,j∣=0.50 m を使っています。 高さ
r∥ が生むのは傾いた
r^ の部分だけで、
z 成分に使うのは
r⊥ だけです。
❌ それは傾いた部分の大きさ Δmjr∥r⊥ωz です。 この部分は軸に垂直な
−r^ の向きなので、
z 成分には何も寄与しません。
❌ それは角運動量ではなく運動量 pj=Δmjr⊥ωz です。 r⊥r^ との外積をとると、もう一度
r⊥ がかかるので、距離は2乗で現れます。
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要素は半径 r⊥ の円の上を動くので、pj=Δmjr⊥ωzθ^ です。rS,j=r⊥r^+r∥k^ と r^×θ^=k^、k^×θ^=−r^ を使うと:
LS,j=Δmj(r⊥)2ωzk^−Δmjr∥r⊥ωzr^
(LS,j)z=(0.20)(0.30)2(5)=0.090 kg⋅m2/s
高さ 0.40 m が現れるのは傾いた部分だけで、その大きさは (0.20)(0.40)(0.30)(5)=0.12 kg⋅m2/s です。
問2 · 基準点を動かす
条件: 問1と同じ要素(Δmj=0.20 kg、r⊥=0.30 m、ωz=5 rad/s)ですが、今度は要素の高さより 1.20 m 下にある軸上の点 S′ のまわりで角運動量を考えます。z 成分と、軸に垂直な部分の大きさを求めてください。
(LS′,j)z はいくらですか?
垂直な(傾いた)部分の大きさはいくらですか?
✅ 正解です! 軸方向の部分は軸上のどの点のまわりでも
0.090 kg⋅m2/s のままです。大きくなるのは傾きだけで、
0.20×1.20×0.30×5=0.36 kg⋅m2/s になります。
❌ それは距離全体 ∣rS′,j∣2=0.09+1.44 を z 成分に入れています。 高さが
(LS′,j)z=Δmj(r⊥)2ωz に入ることはありません。
❌ z 成分は高さに比例しません。 r∥ を3倍にしても(
0.40 から
1.20 m へ)、3倍になるのは傾いた部分だけです。
❌ z 成分を確かめましょう。 それは
Δmj(r⊥)2ωz で、高さは入っていません。
❌ それは 0.40 m 下にあった元の点のまわりの傾きです。 傾いた部分は
Δmjr∥r⊥ωz なので、新しい高さ
r∥=1.20 m に応じて大きくなります。
❌ S を軸に沿って動かしても、z 成分はなくなりません。 要素は相変わらず半径
r⊥ の円の上を動くので、
(LS′,j)z=Δmj(r⊥)2ωz は
S のまわりの値と同じです。
❌ それは z 成分 Δmj(r⊥)2ωz です。 垂直な部分は別の項で、
r∥=1.20 m とした
Δmjr∥r⊥ωz です。
❌ それは ωz が抜けた Δmjr∥r⊥=(0.20)(1.20)(0.30) です。 運動量は
Δmjr⊥ωz なので、
ωz=5 rad/s をかけます。
❌ 傾いた部分を確かめましょう。 その大きさは
Δmjr∥r⊥ωz で、今度は
r∥=1.20 m です。
解答を見る
S′ のまわりでは、r⊥=0.30 m(変わらない)、r∥=1.20 m です。
(LS′,j)z=Δmj(r⊥)2ωz=(0.20)(0.30)2(5)=0.090 kg⋅m2/s
(LS′,j)⊥=Δmjr∥r⊥ωz=(0.20)(1.20)(0.30)(5)=0.36 kg⋅m2/s
S を軸に沿って下げると、L は軸からさらに傾きます(arctan(0.12/0.090)≈53° から arctan(0.36/0.090)≈76° へ)。一方、軸への射影は変わりません。
問3 · 回転する輪
条件: 質量 M=0.40 kg、半径 R=0.25 m の細い輪が、z 軸を中心として、軸上の点 S より高さ h=0.60 m 上で水平に置かれ、ωz=12 rad/s で回転しています。LS を求めてください。
✅ 正解です! 傾きは直径の両端の対ごとに打ち消し合うので、
LS=MR2ωzk^=0.40×0.0625×12k^=0.30k^ kg⋅m2/s です。軸上のどの点のまわりでも同じです。
❌ それは M(R2+h2) を使っています。 慣性モーメントで測るのは
S からではなく軸からの距離です。輪のどの部分も軸から
R の距離にあるので、
IS=MR2 です。
❌ それは輪全体を r^ の位置にある1つの物体のように扱っています。 r^2=−r^1 なので、各物体の傾いた部分
−hmRωzr^i は相手の傾いた部分と打ち消し合い、軸に垂直な部分は何も残りません。
❌ 21MR2 は一様な円板の値です。 細い輪の質量はすべて距離
R のところにあるので、
IS=∫dmR2=MR2 です。
解答を見る
輪を、直径の両端にある質量 m の物体の対に分けます。1つの対について、
LSpair=2mR2ωzk^−hmRωz(r^1+r^2)=2mR2ωzk^
となります。r^2=−r^1 だからです。すべての対について足し合わせると、質量の合計は M になります。
LS=MR2ωzk^=(0.40)(0.25)2(12)k^=0.30k^ kg⋅m2/s
高さ h=0.60 m はひっかけです。傾きとともに消えました。
問4 · 固定軸のまわりで回転を速める
条件: 質量 M=1.5 kg、半径 R=0.40 m の細い輪が、中心を通る鉛直な固定軸のまわりを回ります。静止状態から一定の外部トルクを加えると、輪より 0.50 m 下にある軸上の点 S のまわりの角運動量が、3.0 s で LS,z=2.4 kg⋅m2/s になります。角加速度 αz を求めてください。
✅ 正解です! τS,zext=ΔLS,z/Δt=0.80 N⋅m、
IS=MR2=0.24 kg⋅m2 なので、
αz=0.80/0.24=3.3 rad/s2 です。
❌ それは S までの 0.50 m の落差を入れた I=M(R2+h2) を使っています。 IS は軸だけで決まり、軸上の
S の位置が入ることはありません。
❌ それは最後の角速度 ωz=LS,z/IS=10 rad/s です。 そこに達するまでにかかった
3.0 s で割ります。
❌ それは円板の値 IS=21MR2 を使っています。 細い輪では質量がすべて
R のところにあるので、
IS=MR2 です。
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トルクは一定なので、LS,z は 0 から時間に比例して増えます。
τS,zext=dtdLS,z=3.02.4=0.80 N⋅m
軸上のどの点についても同じ IS=MR2=(1.5)(0.40)2=0.24 kg⋅m2 を使うと:
αz=ISτS,zext=0.240.80=310≈3.3 rad/s2
検算:ωz=αzt=310(3.0)=10 rad/s、ISωz=0.24×10=2.4 kg⋅m2/s です。
正解数:0 / 4