古典力学 · 第24回 · 動画3 · インタラクティブ教材

系ごとに一つの拘束条件:斜面の円柱、ヨーヨー、ほどけるドラム

I重要な公式

公式系必要なもの
ΔXcm=R Δθ  ⇒  Vcm=R ωcm  ⇒  Acm=R αcm\Delta X_{cm} = R\,\Delta\theta \;\Rightarrow\; V_{cm} = R\,\omega_{cm} \;\Rightarrow\; A_{cm} = R\,\alpha_{cm} 斜面をすべらずに転がり落ちる円柱 斜面に接する面の半径 RR だけ。β\beta、MM、IcmI_{cm}、hh は入らない
b Δθ=Δl  ⇒  b ωcm=Vcm,y  ⇒  b αcm=Acm,yb\,\Delta\theta = \Delta l \;\Rightarrow\; b\,\omega_{cm} = V_{cm,y} \;\Rightarrow\; b\,\alpha_{cm} = A_{cm,y} 落ちるヨーヨー(糸の上端は固定) 糸が離れていく軸の半径 bb。外側の半径 RR は関係しない
Δy=R ΔθA+R ΔθB  ⇒  aA,y=R αA+R αB\Delta y = R\,\Delta\theta_A + R\,\Delta\theta_B \;\Rightarrow\; a_{A,y} = R\,\alpha_A + R\,\alpha_B ドラム AA(ドラム BB からテープでつり下げたもの) 両方の回転。テープが AA からほどけ、BB から下へ送り出され、二つの長さが足し合わされる

ポイント: どの拘束条件も、変位 == 半径 ×\times 角度 という一つの幾何学的な関係を2回微分して得られます。出てくる半径は、物体がそれを支えるものと接する点の縁の半径で、質量も力も慣性モーメントも現れません。力とトルクを考えに入れると、力学の方程式に一つ足りない式を、この拘束条件が補います。

II可視化1 — 斜面を転がり落ちる

円柱が転がって通り過ぎた斜面の長さは、いつも縁が回った弧の長さ R ΔθR\,\Delta\theta に等しくなります。

💡 表示される速さには、中身のつまった円柱の Acm=23gsin⁡βA_{cm} = \tfrac{2}{3}g\sin\beta を使っています。これは次の章の力学から得られるものです。拘束条件 Acm=R αcmA_{cm} = R\,\alpha_{cm} は、AcmA_{cm} の値がいくつでも成り立ちます。

III可視化2 — ヨーヨーの糸はどの半径からほどけるか

糸は軸からはがれていくので、Δl\Delta l だけ落ちるごとに、ヨーヨーは Δθ=Δl/b\Delta\theta = \Delta l / b だけ回ります。Δl/R\Delta l / R ではありません。

IV可視化3 — 二つのドラム、二つの寄与

ドラム AA は、AA からほどけたテープと、BB から下へ送り出されたテープの分だけ下がります。aA,y=R αA+R αBa_{A,y} = R\,\alpha_A + R\,\alpha_B です。

V確認クイズ

問1 · 斜面での角加速度

条件: 半径 R=0.20 mR = 0.20\ \text{m} の一様な円柱が、β=25°\beta = 25\degree だけ傾いた斜面をすべらずに転がり落ちています。中心は斜面に沿って下向きに Acm=3.0 m/s2A_{cm} = 3.0\ \text{m/s}^2 で加速しています。角加速度 αcm\alpha_{cm} の大きさを求めてください。

✅ 正解です! Acm=R αcmA_{cm} = R\,\alpha_{cm} から αcm=Acm/R=3.0/0.20=15 rad/s2\alpha_{cm} = A_{cm}/R = 3.0/0.20 = 15\ \text{rad/s}^2 です。
❌ 割るところをかけています。 R Acm=0.6R\,A_{cm} = 0.6 の単位は m2/s2\text{m}^2/\text{s}^2 です。拘束条件 Acm=R αcmA_{cm} = R\,\alpha_{cm} から αcm=Acm/R\alpha_{cm} = A_{cm}/R となります。
❌ それは直径で割っています。 縁の点が描く弧は R ΔθR\,\Delta\theta で、半径 R=0.20 mR = 0.20\ \text{m} を使います。2R2R ではありません。
❌ 拘束条件は純粋に幾何学的なものです。 ΔXcm=R Δθ\Delta X_{cm} = R\,\Delta\theta はどんなに傾いた直線に沿っても成り立つので、β\beta も MM も Acm=R αcmA_{cm} = R\,\alpha_{cm} には現れません。それらが必要になるのは AcmA_{cm} そのものを求めるときだけで、ここではそれが与えられています。
❌ 惜しい! Acm=R αcmA_{cm} = R\,\alpha_{cm} を、R=0.20 mR = 0.20\ \text{m} として使いましょう。
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すべらずに転がるので、どの時間間隔でも、中心が斜面に沿って進む距離は、縁の点が弧に沿って進む距離に等しくなります。ΔXcm=R Δθ\Delta X_{cm} = R\,\Delta\theta です。Δt\Delta t で割って極限をとると Vcm=R ωcmV_{cm} = R\,\omega_{cm} となり、もう一回微分すると

Acm=R αcm⇒αcm=AcmR=3.0 m/s20.20 m=15 rad/s2.A_{cm} = R\,\alpha_{cm} \quad\Rightarrow\quad \alpha_{cm} = \frac{A_{cm}}{R} = \frac{3.0\ \text{m/s}^2}{0.20\ \text{m}} = 15\ \text{rad/s}^2.

傾き β=25°\beta = 25\degree は、ここでは惑わせるための情報です。力から AcmA_{cm} を計算するなら必要ですが、拘束条件そのものには角度も質量も入っていません。

問2 · ヨーヨーの回転の速さ

条件: 軸の半径 b=0.60 cmb = 0.60\ \text{cm}、外側の半径 R=3.0 cmR = 3.0\ \text{cm} のヨーヨーが、上端を固定した糸にぶら下がって落ちています。ある瞬間、その中心は Vcm,y=1.5 m/sV_{cm,y} = 1.5\ \text{m/s} で下へ動いています。角速度 ωcm\omega_{cm} を求めてください。

✅ 正解です! 糸は軸から離れていくので、b ωcm=Vcm,yb\,\omega_{cm} = V_{cm,y} となり、ωcm=1.5/0.0060=250 rad/s\omega_{cm} = 1.5/0.0060 = 250\ \text{rad/s} です。
❌ それは外側の半径を使っています。 縁で転がる車輪なら RR が正しい半径ですが、この糸は軸からほどけます。ほどけた長さに等しい弧は b Δθb\,\Delta\theta です。
❌ ここで R−bR - b は関係ありません。 ほどけた糸の長さは、中心から距離 bb にある軸の縁の弧に等しいので、b=0.0060 mb = 0.0060\ \text{m} で割ります。
❌ それは軸の直径で割っています。 糸が離れる点は中心から bb のところにあり、2b2b ではありません。
❌ 惜しい! b ωcm=Vcm,yb\,\omega_{cm} = V_{cm,y} を、bb をメートルに直して使いましょう。
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ヨーヨーが Δθ\Delta\theta だけ回ると、軸の縁の点は弧 b Δθb\,\Delta\theta を描き、これはほどけた糸の長さ Δl\Delta l に等しくなります。糸の上端は固定されているので、中心は同じ Δl\Delta l だけ下がります。Δt\Delta t で割って極限をとると、

b ωcm=Vcm,y⇒ωcm=Vcm,yb=1.5 m/s0.0060 m=250 rad/s.b\,\omega_{cm} = V_{cm,y} \quad\Rightarrow\quad \omega_{cm} = \frac{V_{cm,y}}{b} = \frac{1.5\ \text{m/s}}{0.0060\ \text{m}} = 250\ \text{rad/s}.

外側の半径 R=3.0 cmR = 3.0\ \text{cm} は慣性モーメントに、したがって力学には入ってきますが、この拘束条件には入りません。

問3 · 静止状態から動き出す二つのドラム

条件: ドラム BB は固定された車軸のまわりを回り、ドラム AA は、それぞれの縁からほどけるテープでその下にぶら下がっています。どちらも半径は R=0.25 mR = 0.25\ \text{m} で、静止状態から一定の角加速度 αA=4.0 rad/s2\alpha_A = 4.0\ \text{rad/s}^2、αB=6.0 rad/s2\alpha_B = 6.0\ \text{rad/s}^2 で回り始めます。ドラム AA の中心の加速度と、t=2.0 st = 2.0\ \text{s} 後までに下がった距離を求めてください。

aA,ya_{A,y} はいくらですか?

AA は t=2.0 st = 2.0\ \text{s} までにどれだけ下がりましたか?

✅ 正解です! aA,y=0.25(4.0+6.0)=2.5 m/s2a_{A,y} = 0.25(4.0 + 6.0) = 2.5\ \text{m/s}^2、Δy=12(2.5)(2.0)2=5.0 m\Delta y = \tfrac{1}{2}(2.5)(2.0)^2 = 5.0\ \text{m} です。これは 2.0 m2.0\ \text{m}(AA からほどけた分)と 3.0 m3.0\ \text{m}(BB から送り出された分)の和です。
❌ 二つの寄与は引き算ではなく足し算です。 どちらの回転も、垂れ下がったテープの部分を長くするので、aA,y=R αA+R αBa_{A,y} = R\,\alpha_A + R\,\alpha_B です。
❌ それは一つのドラムの項しか入れていません。 AA は、自分からほどけたテープと、BB から下へ送り出されたテープの分だけ下がります。それぞれの回転が自分の R αR\,\alpha を受けもちます。
❌ 係数 12\tfrac{1}{2} が抜けています。 静止状態から一定の加速度で動くとき、Δy=12aA,yt2\Delta y = \tfrac{1}{2}a_{A,y}t^2 で、aA,yt2a_{A,y}t^2 ではありません。
❌ aA,ya_{A,y} を確かめましょう。 Δy=R ΔθA+R ΔθB\Delta y = R\,\Delta\theta_A + R\,\Delta\theta_B を2回微分します。
❌ 下がった距離を確かめましょう。 Δy=12aA,yt2\Delta y = \tfrac{1}{2}a_{A,y}t^2 を使い、aA,ya_{A,y} には両方のドラムの寄与を入れます。
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ステップ1:拘束条件。 AA の中心は、両方のドラムからほどけたテープの分だけ下がります。Δy=R ΔθA+R ΔθB\Delta y = R\,\Delta\theta_A + R\,\Delta\theta_B を2回微分すると、

aA,y=R αA+R αB=0.25(4.0)+0.25(6.0)=1.0+1.5=2.5 m/s2.a_{A,y} = R\,\alpha_A + R\,\alpha_B = 0.25(4.0) + 0.25(6.0) = 1.0 + 1.5 = 2.5\ \text{m/s}^2.

ステップ2:下がった距離。 静止状態から一定の加速度で動くので、

Δy=12aA,yt2=12(2.5)(2.0)2=5.0 m.\Delta y = \tfrac{1}{2}a_{A,y}t^2 = \tfrac{1}{2}(2.5)(2.0)^2 = 5.0\ \text{m}.

部分ごとの検算: ΔθA=12(4.0)(2.0)2=8.0 rad\Delta\theta_A = \tfrac{1}{2}(4.0)(2.0)^2 = 8.0\ \text{rad} から R ΔθA=2.0 mR\,\Delta\theta_A = 2.0\ \text{m}、ΔθB=12(6.0)(2.0)2=12 rad\Delta\theta_B = \tfrac{1}{2}(6.0)(2.0)^2 = 12\ \text{rad} から R ΔθB=3.0 mR\,\Delta\theta_B = 3.0\ \text{m} となり、和は 5.0 m5.0\ \text{m} です。

問4 · 動く手に持ったヨーヨー

条件: 軸の半径 b=1.0 cmb = 1.0\ \text{cm} のヨーヨーが、上端を手で持った糸からぶら下がっています。手は上向きに 2.0 m/s22.0\ \text{m/s}^2 で加速し、ヨーヨーの中心は下向きに 3.0 m/s23.0\ \text{m/s}^2 で加速しています。ヨーヨーの角加速度の大きさを求めてください。

✅ 正解です! 手と軸の間の糸は 3.0+2.0=5.0 m/s23.0 + 2.0 = 5.0\ \text{m/s}^2 の加速度で伸びていくので、αcm=5.0/0.010=500 rad/s2\alpha_{cm} = 5.0/0.010 = 500\ \text{rad/s}^2 です。テープ自体が動いているドラム AA と同じです。
❌ それは上端を固定として扱っています。 b αcm=Acm,yb\,\alpha_{cm} = A_{cm,y} は、糸の上端が静止していることを前提にしています。ここでは手も離れていくので、ほどける糸がそのぶん増えます。ドラム BB がドラム AA のためにテープを送り出すのと同じです。
❌ 符号を確かめましょう。 下向きを正とすると、手の加速度は −2.0 m/s2-2.0\ \text{m/s}^2 です。糸の両端は離れていくので、糸の長さは 3.0−(−2.0)=5.0 m/s23.0 - (-2.0) = 5.0\ \text{m/s}^2 の加速度で伸びます。
❌ それは手の項しか入れていません。 中心自身が下がることでも糸はほどけます。両方の離れ方が足し合わされます。
❌ 惜しい! ほどけた長さは、垂れ下がった糸の長さ l=ycm−yhandl = y_{cm} - y_{hand} です。これを2回微分しましょう。
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yy 軸を下向きにとります。垂れ下がった糸は手から軸までのびているので、その長さは l=ycm−yhandl = y_{cm} - y_{hand} で、ll が伸びた分はすべて軸からほどけた糸です。Δl=b Δθ\Delta l = b\,\Delta\theta です。2回微分すると、

b αcm=d2ldt2=Acm,y−ahand,y=3.0−(−2.0)=5.0 m/s2.b\,\alpha_{cm} = \frac{d^2 l}{dt^2} = A_{cm,y} - a_{hand,y} = 3.0 - (-2.0) = 5.0\ \text{m/s}^2. αcm=5.0 m/s20.010 m=500 rad/s2.\alpha_{cm} = \frac{5.0\ \text{m/s}^2}{0.010\ \text{m}} = 500\ \text{rad/s}^2.

手が静止していれば(ahand,y=0a_{hand,y} = 0)、これは動画の b αcm=Acm,yb\,\alpha_{cm} = A_{cm,y} に戻ります。支えが動くと、その分の項が加わります。ドラム BB から動いてくるテープが、R αBR\,\alpha_B という項をドラム AA の加速度に加えるのとまったく同じです。

正解数:0 / 4