古典力学 · 第3回 · 動画5 · インタラクティブ教材

微分を逆にたどる:積分で運動を復元する

I重要な公式

公式 名称 説明
v(t)+C=∫a(t) dtv(t) + C = \displaystyle\int a(t)\,dt 不定積分 速度を関数として復元する(定数 CC は初期条件で決まる)
∫titfa(t) dt=v(tf)−v(ti)\displaystyle\int_{t_i}^{t_f} a(t)\,dt = v(t_f) - v(t_i) 定積分(微積分学の基本定理) 1つの数:速度の正味の変化 = a(t)a(t) の下の符号付き面積
x(t)=xi+∫titv(t′) dt′x(t) = x_i + \displaystyle\int_{t_i}^{t} v(t')\,dt' 速度から位置へ 速度を積分して位置を復元する
lim⁡n→∞Sn=∑ja(tcj) Δt=v(tf)−v(ti)\displaystyle\lim_{n\to\infty} S_n = \sum_j a(t_{c_j})\,\Delta t = v(t_f) - v(t_i) リーマン和の極限 長方形の面積の和が、速度の変化の正確な値に収束する

IIインタラクティブな可視化

可視化1 — 積分定数

1つの加速度を積分すると、速度の曲線の族全体が得られます(b=1b = 1)。初期値 v(0)v(0) が、その中の1本を選び出します。

可視化2 — 符号付き面積としての定積分

a(t)=t−2a(t) = t - 2 のとき、正味の変化 ∫0tfa dt\displaystyle\int_{0}^{t_f} a\,dt は符号付き面積です。軸より下の部分は引かれ、上の部分は足されます。

可視化3 — 正確な面積に近づくリーマン和

長方形の数が増えるにつれて、面積の合計は正確な積分の値 ∫02t2 dt=83≈2.667\int_0^2 t^2\,dt = \tfrac{8}{3} \approx 2.667 に近づいていきます。

💡 各帯の標本点を左端、右端、中点のどれにとっても、極限は同じです。これこそが、微積分学の基本定理の保証していることです。

III確認クイズ

問1

物体の加速度が a(t)=b t2a(t) = b\,t^2(bb は定数)、初速度が v(0)=v0v(0) = v_0 です。a(t)a(t) を積分すると v(t)+C=b t33v(t) + C = \frac{b\,t^3}{3} が得られます。

初期条件を当てはめると、速度の関数 v(t)v(t) はどうなりますか?

✅ 正解です! 初期条件から C=−v0C = -v_0 となるので、v(t)=v0+bt3/3v(t) = v_0 + bt^3/3 です。

❌ 惜しい! t=0t = 0 では3次の項が消えるので、v0+C=0v_0 + C = 0 から C=−v0C = -v_0 です。定数は3次の項に足されるのです。

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解答:

積分すると v(t)+C=b t33v(t) + C = \dfrac{b\,t^3}{3} なので、v(t)=b t33−Cv(t) = \dfrac{b\,t^3}{3} - C です。

t=0t = 0 での初期条件を当てはめます: v(0)+C=b (0)33=0⇒v0+C=0⇒C=−v0.v(0) + C = \frac{b\,(0)^3}{3} = 0 \quad\Rightarrow\quad v_0 + C = 0 \quad\Rightarrow\quad C = -v_0.

代入し直します: v(t)=b t33−(−v0)=v0+b t33.v(t) = \frac{b\,t^3}{3} - (-v_0) = v_0 + \frac{b\,t^3}{3}.

問2

加速度の定積分 ∫titfa(t) dt\displaystyle\int_{t_i}^{t_f} a(t)\,dt を計算すると、 1つの数になります。正しいものはどれですか?

✅ 正解です! 定積分は速度そのものではなく、正味の変化 v(tf)−v(ti)v(t_f) - v(t_i) です。

❌ 惜しい! よくある混同です。定積分が与えるのは速度の変化で、v(tf)v(t_f) そのものでも関数でもありません。v(tf)v(t_f) を求めるには、やはり初速度が必要です。

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解答:

定積分が返すのは、その区間での速度の正味の変化です: ∫titfa(t) dt=v(tf)−v(ti).\int_{t_i}^{t_f} a(t)\,dt = v(t_f) - v(t_i).

それだけでは v(tf)v(t_f) は求まりません。実際の速度を求めるには、 やはり初速度 v(ti)v(t_i) が必要です: v(tf)=v(ti)+∫titfa(t) dt.v(t_f) = v(t_i) + \int_{t_i}^{t_f} a(t)\,dt.

関数に定数 CC を加えたものを返すのは、(定積分ではなく) 不定積分のほうです。

問3

a(t)=t−2a(t) = t - 2(可視化2の直線)を考えます。ti=0t_i = 0 から tf=4t_f = 4 までの区間での 速度の正味の変化、つまり ∫04(t−2) dt\displaystyle\int_{0}^{4} (t - 2)\,dt はいくらですか?

✅ 正解です! [0,2][0,2] の負の面積が [2,4][2,4] の正の面積と打ち消し合い、正味の変化は 00 になります。

❌ 惜しい! 原始関数 F(t)=t2/2−2tF(t) = t^2/2 - 2t を使いましょう。積分は符号付き面積で、軸より下の部分は負になり、上の部分と打ち消し合います。

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解答:

a(t)=t−2a(t) = t - 2 の原始関数の1つは F(t)=t22−2tF(t) = \dfrac{t^2}{2} - 2t です。 00 から 44 まで計算します: ∫04(t−2) dt=F(4)−F(0)=(162−8)−0=(8−8)−0=0.\int_{0}^{4} (t - 2)\,dt = F(4) - F(0) = \left(\frac{16}{2} - 8\right) - 0 = (8 - 8) - 0 = 0.

図で見ると、[0,2][0, 2] にある負の(符号付き)面積の三角形が、 [2,4][2, 4] にある正の面積の三角形とちょうど打ち消し合います。どちらも面積は 22 です。符号付き面積の和はゼロになります。

問4

正しいか誤りか:位置の導関数は速度なので、速度を積分すれば 位置を復元できる: x(t)=xi+∫titv(t′) dt′.x(t) = x_i + \int_{t_i}^{t} v(t')\,dt'.

したがって全体の流れは、加速度を積分して速度を求め、次に 速度を積分して位置を求めるというもので、各段階で初期条件を1つずつ与える。

✅ 正解です! 速度を積分すると位置が復元でき、定数は xix_i で決まります。加速度から速度を復元するのと同じ考え方です。

❌ 惜しい! dx/dt=v(t)dx/dt = v(t) なので、速度を積分すると確かに変位が得られ、xix_i を足せば位置が復元できます。この主張は正しいのです。

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解答:正しい。

dxdt=v(t)\dfrac{dx}{dt} = v(t) なので、速度の定積分は位置の正味の変化 (変位)です: x(tf)−x(ti)=∫titfv(t′) dt′.x(t_f) - x(t_i) = \int_{t_i}^{t_f} v(t')\,dt'.

固定された上端を変数 tt に置き換えると、時間の関数としての位置が得られます: x(t)=xi+∫titv(t′) dt′.x(t) = x_i + \int_{t_i}^{t} v(t')\,dt'.

これは2段階の連鎖 a(t)→∫dtv(t)→∫dtx(t)a(t) \xrightarrow{\int dt} v(t) \xrightarrow{\int dt} x(t) の2つ目のつながりです。1段目では初速度 viv_i が定数を決め、2段目では初期位置 xix_i が定数を決めます。

正解数:0 / 4