古典力学 · 第4回 · 動画5 · インタラクティブ教材

落ちるバケツはまっすぐ狙え:打ち出しの速さが関係ない理由

I重要な公式

投げる人は、はしごから水平距離 ss のところで、高さ h2h_2 からボールを放します。 バケツは高さ h1h_1 から静かに放されます。

公式 名称 説明
tan⁡θ0=h1−h2s\tan\theta_0 = \dfrac{h_1 - h_2}{s} 狙う角度 バケツの最初の位置をまっすぐ狙う。v0v_0 によらない
ta=1v0s2+(h1−h2)2t_a = \dfrac{1}{v_0}\sqrt{s^2 + (h_1 - h_2)^2} 衝突時刻 直線距離を打ち出しの速さで割ったもの
y1(ta)=h1−g(s2+(h1−h2)2)2v02y_1(t_a) = h_1 - \dfrac{g\left(s^2 + (h_1 - h_2)^2\right)}{2 v_0^2} 衝突の高さ バケツの最初の高さから、落ちた距離を引いたもの
sin⁡2θ0+cos⁡2θ0=1\sin^2\theta_0 + \cos^2\theta_0 = 1 三角関数の基本恒等式 2乗した2本の式を1つにまとめる鍵

II可視化1 — 狙う角度は速さによらない

狙う角度 θ0=arctan⁡h1−h2s\theta_0 = \arctan\dfrac{h_1 - h_2}{s} は位置関係だけで決まります。打ち出しの速さで変わるでしょうか?

III可視化2 — 落下する座標系では重力が消える

下向きに gg で加速する座標系から見ると、重力が消え、バケツは静止し、ボールはそこへ一直線に飛んでいきます。

💡 ボールもバケツも同じ 12gt2\tfrac{1}{2} g t^2 だけ落ちるので、高さの式でこの項は打ち消し合います。だから狙いは位置関係だけで決まるのです。

IV可視化3 — 衝突時刻と打ち出しの速さ

位置関係を固定したとき、打ち出しの速さを大きくすると、衝突時刻 tat_a はどんな曲線を描くでしょうか?

💡 分子 s2+(h1−h2)2\sqrt{s^2 + (h_1 - h_2)^2} は位置関係だけで決まるので、ta∝1/v0t_a \propto 1/v_0 です。2倍の速さで投げれば、半分の時間で出会います。

V確認クイズ

問1

投げる人は、はしごから水平距離 s=6s = 6 m のところで、高さ h2=2h_2 = 2 m からボールを放します。バケツは高さ h1=8h_1 = 8 m から 静かに放されます。ボールは水平から何度上向きに狙えばよいでしょうか。

tan⁡θ0=h1−h2s\tan\theta_0 = \dfrac{h_1 - h_2}{s} を使ってください。

✅ 正解です! 縦の変化 = 横の変化 = 6 なので tan は 1、したがって θ₀ = 45° です。

❌ 惜しい! tan θ₀ = (h₁ − h₂)/s = (8 − 2)/6 = 1 を計算し、その arctan をとりましょう。

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解答:

狙う角度は位置関係だけで決まります:

tan⁡θ0=h1−h2s=8−26=66=1\tan\theta_0 = \frac{h_1 - h_2}{s} = \frac{8 - 2}{6} = \frac{6}{6} = 1

したがって θ0=arctan⁡(1)=45∘\theta_0 = \arctan(1) = 45^\circ です。打ち出しの速さ v0v_0 はどこにも現れません。 どれだけ強く投げても、バケツの最初の位置をまっすぐ狙えばよいのです。

問2

正しいか誤りか:投げる人が打ち出しの速さ v0v_0 を2倍にすると(h1h_1、h2h_2、ss は そのまま)、バケツに当てるのに必要な狙う角度 θ0\theta_0 は大きくしなければならない。

✅ 正解です! 角度は (h₁ − h₂)/s だけで決まり、v₀ はどこにも現れません。

❌ 惜しい! 狙う角度は v₀ によりません。重力による落下は、2つの物体で打ち消し合います。

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解答:

誤りです。狙う角度は

tan⁡θ0=h1−h2s,\tan\theta_0 = \frac{h_1 - h_2}{s},

であり、v0v_0 を含みません。高さの条件では、 −12gta2-\tfrac{1}{2}g t_a^2 の項がボールにもバケツにもまったく同じ形で現れるので、打ち消し合います。 重力は両方を同じだけ引き下げるのです。角度は位置関係だけで決まります。v0v_0 を2倍にしても、 衝突が早く(そして高い位置で)起こるだけで、角度は変わりません。

問3

同じ設定(h1=8h_1 = 8 m、h2=2h_2 = 2 m、s=6s = 6 m)で、ボールを 打ち出しの速さ v0=12v_0 = 12 m/s で投げます。放してから何秒後に、 ボールとバケツは衝突するでしょうか。

ta=1v0s2+(h1−h2)2t_a = \dfrac{1}{v_0}\sqrt{s^2 + (h_1 - h_2)^2} を使ってください。

✅ 正解です! 斜めの直線距離は 6√2 ≈ 8.49 m で、8.49 / 12 ≈ 0.71 s です。

❌ 惜しい! s だけでなく、直線距離全体 √(s² + (h₁ − h₂)²) を使い、それを v₀ で割りましょう。

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解答:

ボールを放す点からバケツの最初の位置までの直線距離は

s2+(h1−h2)2=62+62=72=62≈8.49 m.\sqrt{s^2 + (h_1 - h_2)^2} = \sqrt{6^2 + 6^2} = \sqrt{72} = 6\sqrt{2} \approx 8.49\ \text{m}.

です。これを打ち出しの速さで割ると:

ta=1v0s2+(h1−h2)2=8.4912≈0.71 s.t_a = \frac{1}{v_0}\sqrt{s^2 + (h_1 - h_2)^2} = \frac{8.49}{12} \approx 0.71\ \text{s}.

よくある間違いは、鉛直方向の辺を忘れて $s/v_0 = 6/12 = 0.50$ s だけを使うことです。しかしボールは斜めの直線距離全体を進まなければなりません。

問4

衝突時刻を求める計算では、2本の式 v0sin⁡θ0 ta=h1−h2v_0 \sin\theta_0\, t_a = h_1 - h_2 と v0cos⁡θ0 ta=sv_0 \cos\theta_0\, t_a = s を2乗して足します。どの恒等式によって、 式が v02ta2=s2+(h1−h2)2v_0^2 t_a^2 = s^2 + (h_1 - h_2)^2 にまとまるでしょうか。

✅ 正解です! 三角関数の基本恒等式により、因数 sin² + cos² が 1 になります。

❌ 惜しい! くくり出した因数は sin²θ₀ + cos²θ₀ で、三角関数の基本恒等式によりこれは 1 です。

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解答:

2本の式を2乗して足すと

v02ta2sin⁡2θ0+v02ta2cos⁡2θ0=(h1−h2)2+s2.v_0^2 t_a^2 \sin^2\theta_0 + v_0^2 t_a^2 \cos^2\theta_0 = (h_1 - h_2)^2 + s^2.

となります。左辺をくくると:

v02ta2(sin⁡2θ0+cos⁡2θ0)=s2+(h1−h2)2.v_0^2 t_a^2 \left(\sin^2\theta_0 + \cos^2\theta_0\right) = s^2 + (h_1 - h_2)^2.

三角関数の基本恒等式 sin⁡2θ0+cos⁡2θ0=1\sin^2\theta_0 + \cos^2\theta_0 = 1 により、かっこの中は 11 になり、v02ta2=s2+(h1−h2)2v_0^2 t_a^2 = s^2 + (h_1 - h_2)^2 が残ります。平方根をとると v0ta=s2+(h1−h2)2v_0 t_a = \sqrt{s^2 + (h_1 - h_2)^2} となります。

正解数:0 / 4