古典力学 · 第6回 · 動画1 · インタラクティブ教材

力とは何か:ニュートンによる質量とベクトルを用いた定義

I重要な公式

公式名称説明
F⃗≡m a⃗\vec{F} \equiv m\,\vec{a}ニュートンによる力の定義力は慣性質量 × 加速度
∣F⃗∣=m ∣a⃗∣\lvert\vec{F}\rvert = m\,\lvert\vec{a}\rvert大きさと向きF⃗\vec{F} の向き = a⃗\vec{a} の向き
F⃗ T=F⃗1+F⃗2\vec{F}^{\,T} = \vec{F}_1 + \vec{F}_2力はベクトルとして足し合わされる加速度が先端と始点をつないで足し合わされるので、力も同じ
min=ms asainm_{\text{in}} = m_s\,\dfrac{a_s}{a_{\text{in}}}質量の較正どんな物体の質量も標準と比べて決める

ポイント:F⃗ T=F⃗1+F⃗2\vec{F}^{\,T} = \vec{F}_1 + \vec{F}_2 は定義ではありません。実験によって導かれる帰結です。二つの力を同時に加えると a⃗=a⃗1+a⃗2\vec{a} = \vec{a}_1 + \vec{a}_2 となり、両辺に msm_s をかければ、先端と始点をつなぐ同じ規則が力にもそのまま当てはまります。

II可視化1 — 力は先端と始点をつないで足し合わされる

力はその加速度と同じ向きを指すので、二つの力は先端と始点をつないで一つの合成ベクトルにまとまります。これが、力がベクトルである理由です。

💡 注目:合成ベクトルが零ベクトルになるように先端を動かすと、押す力と引く力が打ち消し合い、物体の加速度はゼロになります。このつり合いの場合が、まさに下の例題7.1の杭です。

III可視化2 — 例題7.1:杭にはたらく地面からの力

つり合っている杭:2本のロープの力と重力を成分ごとに足し、地面からの反作用を読み取ります。杭の質量 1 kg1\ \text{kg} は一度も出てきません。

IV可視化3 — 未知の質量を較正する

二つの物体を同じ力で押すと、加速度が小さいほうがより大きな質量をもち、その比はちょうど反比例になります。

💡 注目:別の力で繰り返すと as, aina_s,\ a_{\text{in}} はどちらも変わりますが、その比、したがって minm_{\text{in}} は変わりません。慣性質量は物体そのものの性質であり、質量を量るのに使った力の性質ではないのです。

V確認クイズ

問1 · ニュートンの定義

条件: ある力が、質量 m=2 kgm = 2\ \text{kg} の物体に大きさ ∣a⃗∣=6 m/s2\lvert\vec{a}\rvert = 6\ \text{m/s}^2 の加速度を生じさせます。力の大きさ ∣F⃗∣\lvert\vec{F}\rvert を求めてください。

✅ 正解です! ∣F⃗∣=m ∣a⃗∣=2×6=12 N\lvert\vec{F}\rvert = m\,\lvert\vec{a}\rvert = 2 \times 6 = 12\ \text{N}.
❌ 惜しい!演算を確かめてください。 それは a/m=3a/m = 3 です。力は m ∣a⃗∣m\,\lvert\vec{a}\rvert なので、かけ算をして 2×6=12 N2 \times 6 = 12\ \text{N} です。
❌ 惜しい! 力は質量を比例定数として加速度に比例します。∣F⃗∣=m ∣a⃗∣\lvert\vec{F}\rvert = m\,\lvert\vec{a}\rvert であって、m+am + a や a−ma - m ではありません。
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ニュートンは、力を慣性質量 × 加速度と定義しました。

∣F⃗∣=m ∣a⃗∣=(2 kg)(6 m/s2)=12 N\lvert\vec{F}\rvert = m\,\lvert\vec{a}\rvert = (2\ \text{kg})(6\ \text{m/s}^2) = 12\ \text{N}

力が関係するのは加速度、つまり運動がどう変化しているかであって、速さや位置ではありません。

問2 · 大きさではなくベクトルで

条件: 物体に二つの力 F⃗1=30 ı^ N\vec{F}_1 = 30\,\hat{\imath}\ \text{N} と F⃗2=40 ȷ^ N\vec{F}_2 = 40\,\hat{\jmath}\ \text{N} がはたらいています。合力の大きさ ∣F⃗1+F⃗2∣\lvert\vec{F}_1 + \vec{F}_2\rvert を求めてください。

✅ 正解です! 合力は 30 ı^+40 ȷ^30\,\hat{\imath} + 40\,\hat{\jmath} なので、∣F⃗∣=302+402=50 N\lvert\vec{F}\rvert = \sqrt{30^2 + 40^2} = 50\ \text{N} です。
❌ 惜しい!力はベクトルとして足し合わされます。 大きさどうしを足しています(30+4030 + 40)。二つの力は垂直なので、三平方の定理を使います。302+402=50 N\sqrt{30^2 + 40^2} = 50\ \text{N} です。
❌ 惜しい! 成分を足して 30 ı^+40 ȷ^30\,\hat{\imath} + 40\,\hat{\jmath} を求め、次に 302+402\sqrt{30^2 + 40^2} を計算します。
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ステップ1:成分ごとに足す

F⃗1+F⃗2=(30+0) ı^+(0+40) ȷ^=30 ı^+40 ȷ^ N\vec{F}_1 + \vec{F}_2 = (30 + 0)\,\hat{\imath} + (0 + 40)\,\hat{\jmath} = 30\,\hat{\imath} + 40\,\hat{\jmath}\ \text{N}

ステップ2:大きさ

∣F⃗∣=302+402=900+1600=2500=50 N\lvert\vec{F}\rvert = \sqrt{30^2 + 40^2} = \sqrt{900 + 1600} = \sqrt{2500} = 50\ \text{N}

大きさをそのまま足してよいのは、力が平行なときだけです。

問3 · 杭のつり合い

条件: つり合っている杭が、ロープの力 F⃗1=50 ı^+20 ȷ^ N\vec{F}_1 = 50\,\hat{\imath} + 20\,\hat{\jmath}\ \text{N} と F⃗2=−20 ı^+30 ȷ^ N\vec{F}_2 = -20\,\hat{\imath} + 30\,\hat{\jmath}\ \text{N}、そして重力 F⃗g=−10 ȷ^ N\vec{F}_g = -10\,\hat{\jmath}\ \text{N} を受けています。地面からの力 F⃗ground\vec{F}_{\text{ground}} とその大きさを求めてください。

地面からの力 F⃗ground\vec{F}_{\text{ground}} は:

その大きさ ∣F⃗ground∣\lvert\vec{F}_{\text{ground}}\rvert は:

✅ 正解です! 加えられた力の合計は 30 ı^+40 ȷ^30\,\hat{\imath} + 40\,\hat{\jmath} です。地面はこれと逆向きの −30 ı^−40 ȷ^ N-30\,\hat{\imath} - 40\,\hat{\jmath}\ \text{N} で押し返し、その大きさは 50 N50\ \text{N} です。
❌ 向きを確かめてください。 それは加えられた力の合計です。つり合うためには、地面からの力はそれと逆向きでなければなりません。F⃗ground=−(30 ı^+40 ȷ^)\vec{F}_{\text{ground}} = -(30\,\hat{\imath} + 40\,\hat{\jmath}) です。
❌ 合計を計算し直してください。 xx 成分の和は 50−20=3050 - 20 = 30、yy 成分の和は 20+30−10=4020 + 30 - 10 = 40 です。反作用はその符号を反転させたものです。
❌ 平方根をとってください。 ∣F⃗∣=302+402=2500=50 N\lvert\vec{F}\rvert = \sqrt{30^2 + 40^2} = \sqrt{2500} = 50\ \text{N} であって、25002500 ではありません。
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ステップ1:加えられた力の合計(杭は加速していないので、加えられた力の合計は反作用の符号を反転させたものに等しくなります)

F⃗net=(50−20) ı^+(20+30−10) ȷ^=30 ı^+40 ȷ^ N\vec{F}_{\text{net}} = (50 - 20)\,\hat{\imath} + (20 + 30 - 10)\,\hat{\jmath} = 30\,\hat{\imath} + 40\,\hat{\jmath}\ \text{N}

ステップ2:地面はそれとちょうど逆向きに押し返す

F⃗ground=−F⃗net=−30 ı^−40 ȷ^ N\vec{F}_{\text{ground}} = -\vec{F}_{\text{net}} = -30\,\hat{\imath} - 40\,\hat{\jmath}\ \text{N}

ステップ3:大きさ

∣F⃗ground∣=(−30)2+(−40)2=2500=50 N\lvert\vec{F}_{\text{ground}}\rvert = \sqrt{(-30)^2 + (-40)^2} = \sqrt{2500} = 50\ \text{N}

杭の質量は一度も出てきませんでした。押す力と引く力をベクトルとして足すことが、計算のすべてです。

問4 · 標準と比べて質量を量る

条件: 同じ力が、標準物体(ms=1 kgm_s = 1\ \text{kg})には加速度 as=6 m/s2a_s = 6\ \text{m/s}^2 を、未知の物体には加速度 ain=2 m/s2a_{\text{in}} = 2\ \text{m/s}^2 を生じさせます。未知の慣性質量 minm_{\text{in}} を求めてください。

✅ 正解です! min=ms asain=1⋅62=3 kgm_{\text{in}} = m_s\,\dfrac{a_s}{a_{\text{in}}} = 1 \cdot \dfrac{6}{2} = 3\ \text{kg}。加速しにくい物体のほうが質量が大きいのです。
❌ 比が逆になっています。 ain/asa_{\text{in}}/a_s を使っています。公式は min=ms as/ain=6/2=3 kgm_{\text{in}} = m_s\,a_s/a_{\text{in}} = 6/2 = 3\ \text{kg} です。加速度が小さいほど、質量は大きいのです。
❌ 惜しい! 両方の物体にはたらく共通の力を等しいとおいて min ain=ms asm_{\text{in}}\,a_{\text{in}} = m_s\,a_s とし、minm_{\text{in}} について解きます。
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両方の物体に同じ力がはたらくので、次が成り立ちます。

min ain=ms asm_{\text{in}}\,a_{\text{in}} = m_s\,a_s

未知の質量について解きます。

min=ms asain=(1 kg)⋅62=3 kgm_{\text{in}} = m_s\,\frac{a_s}{a_{\text{in}}} = (1\ \text{kg}) \cdot \frac{6}{2} = 3\ \text{kg}

未知の物体の加速度は3分の1(22 と 66)なので、質量は3倍です。加速度が大きいほど、質量はつねに小さくなります。

正解数:0 / 4