古典力学 · 第8回 · 動画4 · インタラクティブ教材

ロープの張力:質量のあるロープでは張力が一様でないのはなぜか

I重要な公式

公式意味適用対象
T(x)=∣FR,L(x)∣=∣FL,R(x)∣T(x) = \lvert F_{R,L}(x)\rvert = \lvert F_{L,R}(x)\rvert張力 = 切り口での作用・反作用の対の大きさあらゆるロープ
T=FAT = F_A一様な張力で、加える引く力に等しい質量の無視できるロープ(軽いロープ)
T(x)=μkm1g+(m1+m2d x)AT(x) = \mu_k m_1 g + \left(m_1 + \dfrac{m_2}{d}\,x\right)Aブロックから距離 xx の点での張力質量のあるロープ
FA−μkm1g=(m1+m2) AF_A - \mu_k m_1 g = (m_1 + m_2)\,Aブロック + ロープ全体にニュートンの第二法則検算

ポイント:切り口での張力には二つの仕事があります。ブロックの摩擦に打ち勝つことと、切り口より左にあるもの全部(ブロックと、切り口の後ろのロープ)を加速させることです。ですから TT はブロックのところで最も小さく、手のところで最も大きくなり、そこでは FAF_A に等しくなります。

II可視化1 — 切り口をロープに沿ってずらす

ブロックから距離 xx のどの切り口でも、張力は二つの部分が互いに引き合う力の大きさに等しくなります。

💡 質量の無視できるロープ(m2=0m_2 = 0)では、どの切り口でも同じ値になります。張力は一様で、加える引く力 FAF_A に等しくなります。

III可視化2 — ロープの質量が増え方を決める

ロープが重いほど、張力はブロックから手に向かって急に増えていきます。

IV確認クイズ

問1 · 質量の無視できるロープ

条件: 質量の無視できるロープで、ざらざらした床の上のブロックを FA=20 NF_A = 20\text{ N} の力で引きずります。ロープの中央での張力を求めてください。

✅ 正解です! 質量の無視できるロープは引く力を少しも減らさずに伝えるので、どこでも T=FA=20 NT = F_A = 20\text{ N} です。
❌ 惜しい!摩擦がはたらくのはブロックで、ロープの内部ではありません。 ロープの質量が 0 なら、引く力はそのまま伝わります。T=FA=20 NT = F_A = 20\text{ N} です。
❌ 惜しい! 質量の無視できるロープでは両端の張力が等しく、その値は加える引く力に等しくなります。
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ロープのどの一切れにニュートンの第二法則を当てはめても、右辺は質量 ×\times 加速度です。質量の無視できるロープではこの項が 0 なので、水平な力はつり合い、張力はどの切り口でも同じになります。

T=FA=20 NT = F_A = 20\text{ N}

摩擦がはたらくのはブロックで、ロープの内部ではないので、ロープの張力を減らすことはありません。

問2 · 張力が最も大きいのはどこか

条件: ブロックに結んだ質量のある一様なロープを引き、系全体が加速しています。ロープのどこで張力が最も大きくなるかを答えてください。

✅ 正解です! T(x)T(x) は xx とともに大きくなるので、手のところで最大になり、そこで T=FAT = F_A です。
❌ それが成り立つのは質量の無視できるロープだけです。 ロープに本物の質量があると、切り口が手に近づくほど張力が加速させるロープが増えるので、張力は一様ではありません。
❌ 惜しい! 切り口での張力は、その左にあるもの全部を加速させなければならず、それは切り口が手に近づくほど増えていきます。
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ブロックから距離 xx の点での張力は

T(x)=μkm1g+(m1+m2d x)A,T(x) = \mu_k m_1 g + \left(m_1 + \frac{m_2}{d}\,x\right)A,

で、xx とともに増加します。切り口がブロックから遠いほど、その左にあって張力が加速させるべきロープが多くなります。ですから TT はブロックのところ(x=0x=0)で最も小さく、手のところ(x=dx=d)で最も大きくなり、そこでは加える引く力 FAF_A に等しくなります。

問3 · 両端での張力

条件: m1=2 kgm_1 = 2\text{ kg}、ロープの質量 m2=1 kgm_2 = 1\text{ kg}、長さ d=2 md = 2\text{ m}、μk=0.5\mu_k = 0.5、g=10 m/s2g = 10\text{ m/s}^2 で、系は加速度 A=4 m/s2A = 4\text{ m/s}^2 で加速しています。

ブロック側の端での張力 T(0)T(0) は?

手の側の端での張力 T(d)T(d) は?

✅ 正解です! TT はブロックでの 18 N18\text{ N} から手での 22 N22\text{ N} まで、4 N4\text{ N} 増えます。
❌ それは手の側の端での T(d)T(d) です。 ブロックのところでは切り口の後ろにロープがないので、T(0)=μkm1g+m1AT(0) = \mu_k m_1 g + m_1 A です。
❌ T(0)T(0) を確かめてください。 ブロックのところでは、張力は摩擦に打ち勝ち、ブロックだけを加速させます。T(0)=μkm1g+m1AT(0) = \mu_k m_1 g + m_1 A です。
❌ T(d)T(d) を確かめてください。 手のところでは、張力は摩擦に打ち勝ち、ブロック + ロープ全体を加速させます。T(d)=μkm1g+(m1+m2)AT(d) = \mu_k m_1 g + (m_1 + m_2)A です。
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ブロックにはたらく動摩擦は

f=μkm1g=0.5×2×10=10 N.f = \mu_k m_1 g = 0.5 \times 2 \times 10 = 10\text{ N}.

ブロック側の端(x=0x = 0、切り口の後ろにロープはない):

T(0)=f+m1A=10+2(4)=18 N.T(0) = f + m_1 A = 10 + 2(4) = 18\text{ N}.

手の側の端(x=dx = d、ロープ全体が切り口の後ろにある):

T(d)=f+(m1+m2)A=10+(3)(4)=22 N,T(d) = f + (m_1 + m_2)A = 10 + (3)(4) = 22\text{ N},

これは加える引く力 FAF_A にも等しくなります。

問4 · 張力の差

条件: 質量 m2=0.5 kgm_2 = 0.5\text{ kg} の一様なロープでブロックを引きずり、系全体が加速度 A=4 m/s2A = 4\text{ m/s}^2 で加速しています(g=10 m/s2g = 10\text{ m/s}^2 とします)。引いている端の張力は、ブロック側の端の張力よりどれだけ大きいかを求めてください。

✅ 正解です! 差はちょうどロープを加速させるのに必要な力です。ΔT=m2A=2 N\Delta T = m_2 A = 2\text{ N} です。
❌ 惜しい!それはロープの重さ m2g=5 Nm_2 g = 5\text{ N} です。 差はロープを支えることではなく、加速させることから生じます。ΔT=m2A\Delta T = m_2 A です。
❌ 実はそれらは打ち消し合います。 μkm1g\mu_k m_1 g と m1Am_1 A は両方の端に現れるので、引き算で消え、ロープ自身の質量だけが残ります。ΔT=m2A\Delta T = m_2 A です。
❌ 0 になるのは質量の無視できる場合です。 質量のあるロープが加速していれば、必ず ΔT=m2A>0\Delta T = m_2 A > 0 です。
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両端の張力の差をとります。

ΔT=T(d)−T(0)=[μkm1g+(m1+m2)A]−[μkm1g+m1A].\Delta T = T(d) - T(0) = \big[\mu_k m_1 g + (m_1 + m_2)A\big] - \big[\mu_k m_1 g + m_1 A\big].

摩擦の項 μkm1g\mu_k m_1 g とブロックの慣性の項 m1Am_1 A は両端で同じなので打ち消し合い、ロープ自身の慣性だけが残ります。

ΔT=m2A=0.5×4=2 N.\Delta T = m_2 A = 0.5 \times 4 = 2\text{ N}.

注目すべきことに、この差は m1m_1、μk\mu_k、gg によりません。

正解数:0 / 4