古典力学 · 第8回 · 動画5 · インタラクティブ教材

つり下げたロープの張力:力のつり合いと微分方程式、二つの解き方

I重要な公式

公式意味導き方
T(0)=MgT(0) = Mg上端での張力上端がロープ全体の重さを支える
T(y)=Mg(1−yL)T(y) = Mg\left(1 - \dfrac{y}{L}\right)深さ yy での張力切り口より上の部分の力のつり合い
dTdy=−ML g\dfrac{dT}{dy} = -\dfrac{M}{L}\,g張力の変化の割合微小部分にニュートンの法則を適用

ポイント:ロープを切り分け、その部分にニュートンの第二法則を適用し、極限をとります。有限の部分での力のつり合いと微分方程式は、同じ T(y)=Mg(1−yL)T(y) = Mg\left(1 - \tfrac{y}{L}\right) を与えます。

II切り口 — 深さと張力

深さ yy での張力は、その下にあるロープだけを支えるので、自由端に向かって小さくなります。

💡 張力は、切り口より下にぶら下がっているロープの重さにも等しくなります。ML(L−y) g=Mg(1−yL)\frac{M}{L}(L-y)\,g = Mg\left(1-\tfrac{y}{L}\right) です。

III微小部分

ごく薄い一切れに注目すると、それに対するニュートンの第二法則が T(y)T(y) の微分方程式になります。

ステップ1 — 微小部分を取り出す
Δm=ML Δy\Delta m = \frac{M}{L}\,\Delta y
ステップ2 — 三つの力(下向きを正)
T(y) ↑,T(y+Δy)=T(y)+ΔT ↓,Δm g ↓T(y)\ \uparrow,\qquad T(y+\Delta y) = T(y) + \Delta T\ \downarrow,\qquad \Delta m\,g\ \downarrow
ステップ3 — ニュートンの第二法則、a=0a = 0
Δm g−T(y)+(T(y)+ΔT)=0\Delta m\,g - T(y) + \big(T(y) + \Delta T\big) = 0
⇒Δm g+ΔT=0\Rightarrow\quad \Delta m\,g + \Delta T = 0
ステップ4 — Δy\Delta y で割る
ΔT=−Δm g=−ML g Δy\Delta T = -\Delta m\,g = -\frac{M}{L}\,g\,\Delta y
ΔTΔy=−ML g\frac{\Delta T}{\Delta y} = -\frac{M}{L}\,g
ステップ5 — 極限 Δy→0\Delta y \to 0 をとる
dTdy=lim⁡Δy→0ΔTΔy=−ML g\frac{dT}{dy} = \lim_{\Delta y \to 0}\frac{\Delta T}{\Delta y} = -\frac{M}{L}\,g

IV張力を予想する

ある深さまでに、ロープの張力はどれだけ減っているでしょうか。

V確認クイズ

問1 · 上端での張力

条件: 質量 MM、長さ LL の一様なロープが、天井からまっすぐ下にぶら下がっています。重力加速度の大きさは gg です。ロープが天井とつながる点での張力 T(0)T(0) を求めてください。

✅ 正解です! ロープ全体を系にとると、天井からの力が重力とつり合います。Mg−T(0)=0Mg - T(0) = 0 なので、上端が全体の重さ MgMg を支えています。
❌ 惜しい! 上端はその下のロープの半分ではなくすべてを支えています。全体の重さは MgMg です。
❌ 惜しい! 下向きを正にとると、ロープ全体のつり合いから Mg−T(0)=0Mg - T(0) = 0 が得られます。
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ロープ全体を系にとります。はたらく力は二つです。天井が T(0)T(0) で上に引き、重力が MgMg で下に引きます。ロープは静止してぶら下がっているので、a=0a = 0 です。

下向きを正にとると、ニュートンの第二法則は次のようになります。

Mg−T(0)=0⟹T(0)=MgMg - T(0) = 0 \quad\Longrightarrow\quad T(0) = Mg

ロープのいちばん上が、ロープ全体の重さを支えているのです。

問2 · 張力の変わり方

条件: T(y)=Mg(1−yL)T(y) = Mg\left(1 - \dfrac{y}{L}\right) とします。変化の割合 dTdy\dfrac{dT}{dy} を求めてください。⚠️ 符号に注意。

✅ 正解です! 張力は一定の割合 −MLg-\tfrac{M}{L}g で減っていきます。上端の MgMg から下端の 00 までの直線です。
❌ 惜しい!符号を確かめてください。 yy が大きくなると張力は減るので、傾きは負でなければなりません。
❌ 惜しい! Mg−MgLyMg - \tfrac{Mg}{L}y を項ごとに微分すると、定数は消えて −MLg-\tfrac{M}{L}g が残ります。
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張力を T(y)=Mg−MgL yT(y) = Mg - \dfrac{Mg}{L}\,y と書きます。MgMg は定数で、ddy ⁣(1−yL)=−1L\dfrac{d}{dy}\!\left(1 - \dfrac{y}{L}\right) = -\dfrac{1}{L} です。

dTdy=Mg⋅(−1L)=−ML g\frac{dT}{dy} = Mg\cdot\left(-\frac{1}{L}\right) = -\frac{M}{L}\,g

この割合は定数で、yy によりません。ですから張力は、下までずっと同じ一定の割合で減っていきます。

問3 · 数値を代入する

条件: M=6 kgM = 6\ \text{kg}、L=3 mL = 3\ \text{m} のロープで、g=10 m/s2g = 10\ \text{m/s}^2 とします。深さ y=1 my = 1\ \text{m} での張力を求めてください。

✅ 正解です! T=Mg(1−yL)=60(1−13)=40 NT = Mg\left(1 - \tfrac{y}{L}\right) = 60\left(1 - \tfrac{1}{3}\right) = 40\ \text{N}.
❌ 惜しい! それは Mg⋅yLMg\cdot\tfrac{y}{L} です。公式で使う因子は yL\tfrac{y}{L} ではなく (1−yL)\left(1 - \tfrac{y}{L}\right) です。
❌ 惜しい! まず Mg=60 NMg = 60\ \text{N} を求め、それに (1−13)=23\left(1 - \tfrac{1}{3}\right) = \tfrac{2}{3} をかけます。
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ロープ全体の重さは次のとおりです。

Mg=6×10=60 NMg = 6 \times 10 = 60\ \text{N}

T(y)=Mg(1−yL)T(y) = Mg\left(1 - \dfrac{y}{L}\right) に y=1 my = 1\ \text{m}、L=3 mL = 3\ \text{m} を代入します。

T(1)=60(1−13)=60×23=40 NT(1) = 60\left(1 - \frac{1}{3}\right) = 60 \times \frac{2}{3} = 40\ \text{N}

両端を確認すると、T(0)=60 NT(0) = 60\ \text{N}(全体の重さ)、T(3)=0T(3) = 0(自由端)で、予想どおりです。

問4 · 張力が半分になるのはどこか

条件: T(y)=Mg(1−yL)T(y) = Mg\left(1 - \dfrac{y}{L}\right) とします。張力がちょうど最大値 MgMg の半分になる深さ yy を求めてください。

✅ 正解です! 張力は直線的に減るので、半分の値になるのはちょうど中点 y=L2y = \tfrac{L}{2} です。
❌ 惜しい! Mg(1−yL)=12MgMg\left(1 - \tfrac{y}{L}\right) = \tfrac{1}{2}Mg とおいて yy について解きます。
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張力を MgMg の半分に等しいとおき、共通の MgMg を約分します。

Mg(1−yL)=12Mg⟹1−yL=12Mg\left(1 - \frac{y}{L}\right) = \frac{1}{2}Mg \quad\Longrightarrow\quad 1 - \frac{y}{L} = \frac{1}{2}

yy について解きます。

yL=12⟹y=L2\frac{y}{L} = \frac{1}{2} \quad\Longrightarrow\quad y = \frac{L}{2}

TT は MgMg から 00 までの直線なので、張力が半分になるのは深さが半分のところです。

正解数:0 / 4