ファイナンス理論 · 第10回 · 動画1 · インタラクティブ教材
価格とは何か、そして輸出企業はなぜ価格を固定したいのか
I重要な公式
ポイント:価格とは、買い手と売り手がその値段で取引することに合意した数字です。誰も取引しない数字は価格ではありません。ですから、時価会計を停止しても変わるのは帳簿だけで、価値は変わりません。
II数字が価格になる条件
価格が存在するのは、買い手の買い気配(ビッド)と売り手の売り気配(アスク)が出会うところだけです。帳簿に載せた数字だけでは価格になりません。
III1台の機械、2つの為替レート
現地価格が固定なら、ドル建ての売上は P/S です。1ドルあたりのレアルが上がるたびに、輸出企業が受け取るドルは減ります。
IVナチュラル・ヘッジ
売上と同じ通貨で費用を払えば、為替レートにさらされるのは現地での正味のフローだけになります。
💡 現地の工場を建てるには1〜2年かかります。ですから、いま為替の変動にさらされている企業には、すぐに使えるヘッジ、つまり先渡と先物が必要です。
V確認クイズ
問1 · 外貨建ての売上を換算する
条件: 米国のある企業が、ブラジルで機械を360,000レアルの固定価格で売ります。顧客が支払うとき、1ドルで2.4レアルが買えます。この企業のドル建ての売上を求めてください。
✅ 正解です! 顧客は1ドルにつき2.4レアルを払うので、360,000レアルで買えるのは150,000ドルです。
❌ 割るところを掛けています。 レートは1ドルあたりのレアルです。レアルをドルに直すには、このレートで割ります。1ドルあたりのレアルが多いほど、ドルは増えるのではなく減るはずです。
❌ 換算を飛ばしています。 360,000はレアルでの額です。企業は売上をドルで測り、1ドルは2.4レアルに当たります。
❌ 桁を確かめてください。 割り算という考え方は正しいのですが、360,000を2.4で割った答えはこの10倍です。
❌ 惜しい! ドル建ての売上は、現地価格を1ドルあたりのレアルで割ったものです。
解答を見る
P=360,000 レアル、S=2.4 レアル/ドルとすると:
ドル建ての売上=SP=2.4360,000=150,000
企業が受け取るのは $150,000 です。
問2 · パーセントの落とし穴
条件: ある機械のブラジルでの価格は、レアル建てで固定されています。注文から支払いまでのあいだに、為替レートが1ドルあたり2.0レアルから2.5レアルへと25%上がります。この機械から得られる企業のドル建ての売上は何%下がりますか?
✅ 正解です! 売上は
S0/S1=2.0/2.5=0.8 倍になります。つまり20%の減少で、レートの上昇の25%より小さくなります。
❌ 2つのパーセントは等しくありません。 売上は
P/S で、
S に比例するわけではありません。レートが25%上がると、売上は
1.251=0.8 倍になります。
❌ それは残る割合で、減少分ではありません。 売上は計画の80%になるので、減少は20%です。
❌ 固定されているのは現地価格で、ドルの額ではありません。 1ドルを買うのにより多くのレアルが必要になれば、同じレアルでもドルに換えると少なくなります。
❌ 惜しい! P/2.5 と
P/2.0 を比べてください。
解答を見る
S0 での売上S1 での売上=P/2.0P/2.5=2.52.0=0.8
売上は計画の0.8にとどまるので、P がいくらであっても20%減ります。売上は S1 に比例するので、レートが上がると、売上はつねにその上昇率より小さい割合で減ります(逆に2.5から2.0に戻れば、売上は25%増えます)。
問3 · 2つの企業と1つの為替変動
条件: 2つの輸出企業が、それぞれブラジルで600,000レアル分の機械を売ります。計画のレートは1ドルあたり2.0レアルです。A社は費用をすべて米国で払い、その額は$200,000です。B社はブラジルに工場を建て、費用をレアルで払います。その額は400,000レアル(計画のレートでは同じく$200,000)です。レートが1ドルあたり3.0レアルに動きます。B社のドル建ての利益を求めてください。
✅ 正解です! 換算されるのはB社の正味200,000レアルだけなので、B社の利益は3分の1減るだけですが、A社の利益は消えてしまいます。
❌ それはA社です。 A社は600,000レアルの売上(200,000ドル)をすべて換算したうえで、200,000ドルの費用を払わなければなりません。B社の費用はレアル建てで、売上と一緒に動きます。
❌ 打ち消し合う分は大きいものの、完全ではありません。 それは計画のレートでの利益です。B社がなお換算する正味200,000レアルは、為替の変動にさらされています。
❌ それは売上で、利益ではありません。 600,000レアルを3.0で換算すると200,000ドルですが、B社はそこから400,000レアルの費用を払います。
❌ 惜しい! まずB社のレアル建ての売上から、レアル建ての費用を差し引き、それから換算してください。
解答を見る
計画のレート2.0では、2社の利益は同じです:
A社: 2.0600,000−200,000=100,000B社: 2.0600,000−400,000=100,000
3.0では:
A社: 3.0600,000−200,000=0B社: 3.0200,000≈66,667
B社の利益は約 $66,667 です。売上と費用を同じ通貨でそろえておけば、為替が動いたときに両方が影響を受けます。その大部分は打ち消し合い、為替にさらされるのは正味のフローだけです。
問4 · 時価会計の停止
条件: ある銀行が、額面1,000万ドルの証券を保有しています。危機の前、この証券は額面100あたり90で取引されていましたが、いま買い手と売り手は100あたり55で取引しています。ある規則案のもとでは、銀行はこの証券を帳簿上90のまま計上できます。正しい記述はどれですか?
✅ 正解です! 価値を決めるのは市場です。取引は55で成立しているので、帳簿に何と書いてあっても、保有する証券の価値は550万ドルです。
❌ 帳簿を変えても価値は生まれません。 帳簿に90と書いてあるからといって、この証券に高い値段を払う人はいません。煙の立ちこめた劇場で観客に座っていろと言うのと同じで、それで火が消えるわけではありません。
❌ それはかつての価格で、いまはもう価格ではありません。 価格とは、買い手と売り手がいまその値段で取引することに合意する数字です。今日、90で取引する人はいません。
❌ 取引はまだ行われています。 買い手と売り手は55で合意しているので、55は価格です。恐怖は価格を下げますが、ゼロにはしません。
❌ 惜しい! 買い手と売り手が実際にどこで取引に合意しているかを考えてください。
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取引が成立している価格での市場価値(単位:百万ドル):
市場価値=10×10055=5.5 百万ドル
規則案のもとでの帳簿上の価値:
帳簿上の価値=10×10090=9.0 百万ドル
差の 9.0 − 5.5 = 3.5(百万ドル)、つまり350万ドルは、帳簿の上にしか存在しません。銀行が売れるのは550万ドルまでで、それ以上ではありません。時価会計を停止しても、変わるのは帳簿の数字だけで、証券の価値はもとのままです。
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