ファイナンス理論 · 第10回 · 動画5 · インタラクティブ教材
先渡契約の四つの特徴と先渡価格の由来:いま買って保管するか、先渡で買うか
I重要な公式
ポイント:先渡の道といま買う道は、同じ日に同じ資産を手にして終わります。しかし、今日の現金と商品の置き場所が必要なのは、いま買う道だけです。だからこそ、5年分のジェット燃料の代金を払うことも、それを置いておくこともできない航空会社でも、先渡契約で燃料の調達を固定できるのです。
II同じ銅にたどり着く2つの道
いま買うコストは、現物価格に資金調達と保管のコストを加えたものです。公正な先渡価格は、その合計と一致します。
III情報は違っても、市場価値は同じ
私的な見方によっては、双方の期待値がともに正になることもありますが、契約の市場価値はゼロのままです。
💡 店頭取引では、2人は法律上どんな価格を書き込んでもかまいません。1バレル $200 でもいいのです。しかし原油の相場から大きく離れた価格では、契約は一方にとって大きな市場価値を持ち、もう一方はとんでもなく損な取引をすることになるので、そんな契約は結ばれません。
IV確認クイズ
問1 · 先渡契約の特徴
先渡契約についての記述のうち、誤っているものはどれでしょうか。
✅ 正解です! 現物受渡しが典型的なのは、人々が先渡契約を、必要な原油やガス、銅を手に入れるために使うからです。ただし先渡契約は、現金で決済する純粋な賭けとして作ることもできます。
❌ それは正しい記述です。 先渡契約はオーダーメイドで、標準化されていません。どれも同じで取引所で取引される株とは違い、一つ一つが署名する2者のために作られます。
❌ それは正しい記述です。 満期まではお金のやりとりが一切ありません。それこそが、先渡契約を頭金ゼロの取引にしているものです。
❌ それは正しい記述です。 無視できないカウンターパーティ・リスクは、4つ目の特徴です。満期に相手が契約を履行する保証はどこにもありません。
❌ 惜しい! 4つのうち3つの記述は、動画が挙げた特徴です。
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先渡契約の4つの特徴は、オーダーメイドであること(取引相手ごとに交渉で決まる)、標準化されておらず店頭で取引されること、満期までお金のやりとりがないこと、そして無視できないカウンターパーティ・リスクがあることです。記述 (a)、(c)、(d) は、これらを言い換えたものです。
記述 (b) は誤りです。先渡契約は通常現物受渡しを前提にしていますが、必ずしもそうである必要はありません。当事者間の現金の支払いだけで決済する、純粋な賭けとして決済することもできます。
問2 · 先渡の道の価格を求める
条件:トウモロコシは今日1ブッシェル $5.00 で取引されていて、あなたは1年後に1ブッシェルが必要です。道1(いま買って保管する):1年で6%のコストがかかる資金で今日 $5.00 を支払い(利息は受渡し時に精算)、さらに1か月 $0.05 の保管費用を、受渡し時に請求されて支払います。道2(先渡で買う):今日は何も支払わず、受渡し時に先渡価格を支払います。どちらも受渡日の時点で数えて、2つの道のコストが等しくなる1年物の先渡価格を求めてください。
✅ 正解です! いま買う道では今日 $5.00 を支払い、1年分の資金調達でそれが $5.30 になり、さらに $0.60 の保管費用が加わって $5.90 です。
❌ それは今日の現物価格です。 いま買うと、$5.00 が1年間寝てしまううえに、12か月分の保管も必要です。先渡価格は、この両方のコストを反映していなければなりません。
❌ 保管費用が抜けています。 トウモロコシの保管にはコストがかかります。1か月 $0.05 で12か月分なので、いま買う道に $0.60 が加わります。
❌ 資金調達のコストが抜けています。 今日 $5.00 を支払うと、1年間現金が寝てしまいます。6%ならそのコストは $0.30 で、これが借入コスト、つまり資本の機会費用です。
❌ 惜しい! 現物価格に、その1年分の資金調達コストと保管費用を加えてください。
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道1(いま買って保管する)の1ブッシェルあたりのコストを受渡日の時点で数えると、今日支払う $5.00 に、その1年分の資金調達コスト($5.00 の6% = $0.30)と、12か月分の保管費用(12 × $0.05 = $0.60)を加えたものです。
道1=5.00+0.30+0.60=5.90
道2では受渡し時に先渡価格を支払うので、2つの道のコストが等しくなるのは、先渡価格が1ブッシェル $5.90 のときです。(この1期間の和は、この教材の説明用の関係式 F=S0(1+r)T+CT で T=1 としたものです。正確な価格の公式は次の回で扱います。)
問3 · どちらの道が安いか
条件:ある電線メーカーは、3か月後に10,000ポンドの銅が必要です。銅の現物価格は1ポンド $3.00 です。購入資金を3か月調達するコストは今日支払う額の2%で、保管費用は3か月で1ポンドあたり $0.08、受渡し時に請求されます。ディーラーは、3か月物の先渡価格を1ポンド $3.10 と提示しています。
受渡日の時点で、1ポンドあたり安いのはどちらの道ですか?
10,000ポンドについて、いま買って保管する道は、先渡で買う道より今日いくら多くの現金が必要ですか?
✅ 正解です! いま買って保管すると、受渡し時のコストは1ポンドあたり $3.00 + $0.06 + $0.08 = $3.14 なので、$3.10 の先渡のほうが $0.04 安くなります。さらに、いま買うと今日 10,000 × $3.00 = $30,000 の現金が必要ですが、先渡では現金はいりません。
❌ 保管費用が抜けています。 $3.00 + $0.06 = $3.06 は $3.10 より低いのですが、いま買う道では銅の保管にさらに $0.08 がかかり、合計は $3.14 になります。
❌ 現物価格だけでは、いま買うコストになりません。 $3.10 と $3.00 を比べると、いま買う道が負担する資金調達の $0.06 と保管の $0.08 を無視することになります。
❌ コストは違います。 受渡し時のコストは、道1が1ポンドあたり $3.14、道2が $3.10 です。
❌ 比べ方を確かめてください。 いま買う道のコストを受渡日まで運んでください。現物価格 + 資金調達 + 保管です。
❌ 受渡しまで支払いを待てるのは先渡だけです。 いま買うと、今日、銅の現物価格を支払います。10,000 × $3.00 = $30,000 で、先渡では何も支払いません。
❌ それは受渡し時のコストの差です。 10,000 × $0.04 = $400 は、3か月後に先渡がどれだけ安いかであって、今日それぞれの道に必要な現金ではありません。
❌ それは道1の受渡し時の総コストです。 10,000 × $3.14 = $31,400 で、資金調達と保管の費用は後で支払います。今日、道1が支払うのは現物価格の $30,000 だけで、先渡では何も支払いません。
❌ 惜しい! 先渡契約では、お金のやりとりはいつ行われるでしょうか。
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道1(いま買って保管する)の1ポンドあたりのコストを、受渡日まで運ぶと次のとおりです。
コスト=3.00+0.02×3.00+0.08=3.00+0.06+0.08=3.14
道2(先渡で買う):1ポンドあたり $3.10 を受渡し時に支払います。
先渡のほうが、1ポンドあたり $3.14 − $3.10 = $0.04 安くなります(10,000ポンドで $400)。道1は今日 $30,000 の現金が必要です(10,000 × $3.00)。先渡では今日の支払いは $0 です。満期まではお金のやりとりがないからです。したがって、いま買う道は今日 $30,000 多くの現金が必要です。
問4 · 私的な価値と市場価値
条件:ある精製業者と生産者が、店頭で6か月物の原油の先渡契約を1バレル $82 で結びます。これはその日の市場の先渡価格です。精製業者(ロング)は内心、6か月後に原油が $90 になると予想し、生産者(ショート)は内心 $76 と予想しています。
1バレルあたりの私的な期待値(精製業者、生産者)はいくらですか?
契約締結時の契約の市場価値は $0 です。2人が内心どう考えていてもそうなることを示す議論は、どれですか?
✅ 正解です! それぞれの側は、自分の情報によれば得をすると期待しています($90 − $82 = $8、$82 − $76 = $6)。それでも、市場にとって契約の価値は $0 です。どちらかの側の価値がそれより大きければ、保有者はそれを第三者に売って利益を得られるはずだからです。
❌ それは1つの見方だけを前提にしています。 精製業者の見方を両方の側に当てはめれば、得はゼロサムになります。生産者は自分の $76 を使います。$82 − $76 = +$6 です。
❌ ショートの符号を確かめてください。 ショートは、受渡し時の価格が契約価格を下回ったときに得をするので、期待値は $82 − $76 = +$6 です。
❌ ロングの符号を確かめてください。 ロングは、受渡し時の価格が契約価格を上回ったときに得をするので、期待値は $90 − $82 = +$8 です。
❌ 惜しい! ロングは予想価格から契約価格を引いたもの、ショートは契約価格から予想価格を引いたものです。
❌ 打ち消し合いませんし、市場価値でもありません。 +$8 と +$6 はどちらも期待される利益です。差し引けば $2、足せば $14 が残ります。いずれにしても、これは私的な見方です。市場価値とは、市場参加者全体に向けてこの契約を売ったときにつく価格のことです。
❌ 頭金ゼロだけでは、価値は決まりません。 1バレル $200 で書かれた契約も、署名するのに費用はかかりませんが、一方はとんでもなく損な取引をすることになります。市場の先渡価格で結ばれたこの契約の価値を $0 にしているのは、どちらの側も利益を出して転売できないことです。
❌ 2人の意見は一致していません。 精製業者は $90、生産者は $76 を予想しています。動画のポイントは、買い手と売り手の動機は、原油価格の行方について意見が一致している必要がないということです。
❌ 惜しい! 署名したその日に、第三者はどちらかの側にいくら払うでしょうか。
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私的な期待値は、受渡し時の価格についての各当事者自身の予想を使って求めます。
精製業者(ロング): 90−82=+8,生産者(ショート): 82−76=+6
どちらも正なのは、2人の予想が違うからです。合計は $90 − $76 = $14 で、これは2人の見方の差です。2人が同じ価格を予想していたなら、一方の期待される利益は、もう一方の期待される損失になっていたはずです。
市場価値とは、2人が内心どう考えているかに関係なく、この契約を市場参加者全体に向けてオークションにかけたときにつく価格のことです。市場の先渡価格で頭金ゼロで結ばれたこの契約の価値は、契約締結時に $0 です。その根拠は転売です。どちらかの側の価値がゼロより大きければ、保有者はそれを第三者に売って利益を得られるはずです。私的な価値を差し引いても何も証明できませんし(それは私的な見方で、$2 が残ります)、頭金ゼロであることだけでは価値は決まりません。1バレル $200 で書かれた契約も、署名するのに費用はかからないからです。
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