ファイナンス理論 · 第10回 · 動画7 · インタラクティブ教材
先物契約はなぜ毎日決済するのか:担保も上乗せも失敗し、毎日の値洗いが機能する
I重要な公式
ポイント:先物契約は、毎日解約されては結び直される先渡契約の連続です。そのため、かかっている金額は3か月分ではなく、1日分の価格変動にとどまります。
II担保はどれくらいの大きさが必要か
保証金 d を差し入れた買い手は、価格が先渡価格より d を超えて下がると、契約から手を引きます。
💡 チャレンジ:1トン$60までの下落でも手を引く領域に入らない最小の保証金を見つけ、それがどれだけの現金を寝かせることになるかを読み取ってください。
III市場価格への上乗せでは何も固定されない
受渡し時点の市場価格に10%上乗せして払う契約では、買い手のコストは現物価格と同じくらい、いえそれ以上に不確実なままです。
IV値洗い:かかっているのは1日分だけ
値洗いしない先渡契約では、買い手の損失が3か月間積み上がります。毎日決済すれば、その日の変動をその日のうちに支払います。
💡 動画では、毎日の支払いも残りの期間について 1+r で割り引きます。利息をそのように扱っても、毎日の現金を合計すると、先渡契約1本が満期に決済したはずの金額になります。
V確認クイズ
問1 · 手を引く価格
条件: ある製粉業者が、トウモロコシを1トン$240で先渡で買うことに同意し、1トンあたり$12の保証金を差し入れました。現物を受け取らなければ、この保証金は没収されます。受渡し時点の現物価格がいくらを下回ると、契約を履行するより手を引くほうが損失が小さくなるかを求めてください。
✅ 正解です! 履行すると1トンあたり
240−ST の損失、手を引くと12の損失なので、
240−ST>12 となった時点、つまり現物価格が$228を下回った時点で手を引きます。
❌ 向きを確かめてください。 買い手が損をするのは、価格が下がるときです。現物価格が$240を上回れば、契約は買い手にとって価値があるので、買い手は履行します。
❌ 惜しい! $12は手を引いたときに失う額で、手を引くほうを選び始める価格ではありません。履行したときの損失
240−ST を12と比べてください。
❌ 惜しいのですが、保証金が効いてきます。 $240を少し下回るだけなら、履行しても失うのは数ドルで、没収される$12より少なくて済みます。損失が保証金を上回るまでは、買い手は履行します。
❌ 惜しい! 履行したときの損失
240−ST を、保証金と等しいとおいてください。
解答を見る
1トンあたり、履行したときのコストは、先渡価格からトウモロコシの価値を引いた 240−ST です。手を引いたときのコストは、没収される保証金の12です。手を引くほうが安上がりになるのは、次のときです。
240−ST>12⟺ST<240−12=228.
したがって、1トン$228を下回ると、製粉業者は債務不履行のほうを選びます。$12の保証金が売り手を守ってくれるのは、1トン$12までの価格下落に対してだけです。
問2 · 農家の側の価値
条件: ある農家が、小麦2,000トンを1トン$210で先渡で売りました。受渡しまでの途中で、現物価格は1トン$222、残りの期間の金利は r=2% です。今日の現物価格を受渡し時点の小麦の価値とみなして、農家にとってのこの契約の価値を求めてください。
✅ 正解です! 農家は$222の価値がある小麦を$210で引き渡さなければなりません。1トンあたり$12の不足は受渡しのときに生じるので、1期間分割り引きます。
❌ 符号を確かめてください。 農家は売りポジションです。現物価格が先渡価格を上回って上がると、売り手は損をします。ここでは
Vshort=(F−St)/(1+r) は負です。
❌ 惜しいのですが、割り引いてください。 $24,000がやりとりされるのは今日ではなく受渡しのときです。
1+r=1.02 で割ってください。
❌ 惜しい! 1.02 を掛けると、金額を将来へ動かすことになります。今日の価値を求めるには、
1.02 で割ります。
❌ 惜しい! 売り手にとっての1トンあたりの
(F−St) を計算し、2,000トン分にしてから割り引いてください。
解答を見る
1トンあたり、売り手にとっての価値は次のとおりです。
Vshort=1+rF−St=1.02210−222=1.02−12.
2,000トンでは:
1.02−12×2000=1.02−24000≈−23529.41
この契約は、農家にとって約−$23,529の価値で、買い手にとっては約+$23,529の価値です。農家が契約から抜けたければ、代わりに立ってくれる人に、およそその金額を払わなければなりません。
問3 · 4日間の毎日の決済
条件: 500トン分の先物の買いポジションがあります。1トンあたりの清算値は、0日目が$172、1〜4日目が$166、$175、$171、$180です。毎日、ポジションは価格の変化分で決済されます。利息は無視します。
4日間で、買い手の正味の現金収支はいくらですか?
買い手が1日に支払わなければならなかった最大の金額はいくらですか?
✅ 正解です! 毎日の変化分を足すと途中が打ち消し合い、1トンあたり
180−172=8 になります。先渡契約1本を4日間持った場合と同じです。一方、買い手が1日に払った最大の額は1トン$6でした。
❌ 惜しい! それは利益も損失も区別せずに、すべての変動の大きさを足しています。1日目と3日目は買い手の支払いなので、引き算になります。
❌ 惜しい! それは価格が上がった2日分だけを数えています。買い手は1日目と3日目に支払ってもいます。
❌ 符号を確かめてください。 価格は始めより高く終わっていて、買い手は価格が上がると利益を得ます。
❌ 正味を確かめてください。 毎日の変化分
Ft−Ft−1 を符号つきで足してから、500を掛けてください。
❌ 惜しい! $9の変動は2回ありましたが、どちらも上昇です。その日、買い手は$4,500を受け取っています。
❌ 惜しい! $4,000は4日間の正味で、しかも買い手が受け取った額です。問われているのは、最も悪かった1日です。
❌ 毎日の支払いを確かめてください。 買い手が払うのは、価格が下がった日です。最大の下落幅を見つけて、500を掛けてください。
解答を見る
1トンあたりの毎日の変化分 Ft−Ft−1:
166−172=−6,175−166=9,171−175=−4,180−171=9.
正味は1トンあたり −6+9−4+9=8=180−172 なので、500トンでは、買い手は正味で 8×500=4000、つまり+$4,000を受け取ります。これは、$172の先渡契約1本が4日目の価格で支払ったはずの金額にちょうど等しくなります。
買い手が払うのは1日目と3日目で、6×500=3000 と 4×500=2000 です。1日の支払いの最大は$3,000です。買い手が姿を消したときに相手側がさらされるのは、価格の変動全体ではなく、この金額だけです。
問4 · 別の上乗せ契約
条件: ある精製業者が、固定価格ではなく、受渡し時点の市場価格に8%上乗せした価格で買うことに同意しました。受渡し時点の現物価格は、1トン$180から$260のどこにでもなりえます。精製業者が払う可能性のある1トンあたりの価格について、その範囲の幅を求めてください。
✅ 正解です! コストは
1.08ST なので、その範囲は現物価格の範囲の1.08倍です。まったくヘッジしない場合よりも広くなります。
❌ 惜しい! 上乗せ率は固定されていますが、それはまだ誰にもわからない価格に対する割合です。価格の水準は何も固定されていません。
❌ 惜しいのですが、上乗せ分も一緒に動きます。 価格が高ければ、その8%の上乗せも大きくなるので、コストは現物価格の1.08倍動きます。
❌ 惜しい! $6.40は、上乗せ分そのものの変動幅(
0.08×80)にすぎません。精製業者が払うのは、現物価格に上乗せ分を加えた額です。
❌ 惜しい! 現物価格の範囲の両端で、払う価格を計算してください。
解答を見る
払う価格は 1.08ST です。範囲の両端では:
1.08×180=194.40,1.08×260=280.80.
幅は 280.80−194.40=86.40=1.08×80、つまり1トン$86.40で、現物価格の範囲の$80より大きくなります。この契約で供給は確保できるかもしれませんが、価格の不確実性、つまりヘッジしたいまさにそのリスクは手つかずのままです。しかも、どの売り手も喜んで応じるでしょう。
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