ファイナンス理論 · 第10回 · 動画8 · インタラクティブ教材

一日分の損失ずつ:清算機関と証拠金が先物を安全にするしくみ

I重要な公式

公式名称説明
V=1,000×FV = 1{,}000 \times F契約の価値1バレルあたりの先物価格 FF で1,000バレル分です。$75.06なら、1枚の契約で$75,060分の原油を動かせます
ΔV=1,000×ΔF\Delta V = 1{,}000 \times \Delta F価格変動の価値1ティックは ΔF\Delta F = 1バレル1セントなので、1ティック動くと契約の価値は$10変わります
Gt=± 1,000 (Ft−Ft−1)G_t = \pm\,1{,}000\,(F_t - F_{t-1})毎日の決済符号は買いポジションならプラス、売りポジションならマイナスです。GtG_t は毎日、証拠金勘定に加えられます
Bt<Mmaint  ⇒  入金額 Minit−BtB_t < M_{\text{maint}} \;\Rightarrow\; \text{入金額 } M_{\text{init}} - B_t追加証拠金の請求(マージン・コール)残高が維持証拠金($3,000)を下回ると、勘定の残高を戻すよう請求されます。たいていの取引所では当初証拠金($4,050)の水準まで戻す必要があり、ここでもそう仮定します。その営業日の終わりまでに入金されなければ、ブローカーはポジションを手仕舞います

ポイント:清算機関は双方にとっての取引相手となり、毎日決済します。そのため、勘定に資金が積み増されるかポジションが手仕舞われるまでに誰かが失いうる金額は、せいぜい価値の1日分の変動程度です。だからこそ、$4,050の証拠金で$75,060のポジションを支えられるのです。

II証拠金勘定を1日ずつ追う

勘定は毎日、1,000バレル × 価格の変化分だけ増減します。維持証拠金を下回ると追加証拠金の請求で資金が補われ、たいていの取引所では当初証拠金まで戻ります。

III中央に立つ清算機関

清算機関はすべてのトレーダーの取引相手になるので、毎日、損をした側の支払いが、得をした側の利益をちょうどまかないます。

💡 トレーダーA〜D、その取引と勘定は当サイトによる例示です。どの勘定にも、その日の初めにちょうど当初証拠金、1枚あたり$4,050が入っていると仮定しています。

IV確認クイズ

問1 · ティックの価値と契約の価値

条件(説明用の数字):ある穀物先物の契約は5,000ブッシェル分で、ティックサイズは1ブッシェルあたり4分の1セント($0.0025)、価格は1ブッシェル$4.20です。契約1枚あたりの1ティックの価値と、契約1枚で動かせる穀物の価値を求めてください。

契約1枚あたり、1ティックの価値はいくらですか?

契約1枚で動かせる穀物の価値はいくらですか?

✅ 正解です! どちらの値も取引単位に比例します。1ティックの価値は 5,000 × $0.0025 = $12.50、穀物の価値は 5,000 × $4.20 = $21,000 です。
❌ 小数点の位置を確かめてください。 4分の1セントは$0.0025で、$0.025ではありません:5,000 × $0.0025 = $12.50。
❌ 惜しい! 1ティック動くと、契約の価値は(取引単位)×(ティックサイズ)= 5,000 × $0.0025 だけ変わります。
❌ 惜しい! 契約1枚で動かせる額は(取引単位)×(価格)= 5,000 × $4.20 です。ゼロの数を数えてください。
解答を見る

価格の変動にはどれも、契約に含まれる単位の数が掛かります:ΔV=5,000×ΔF\Delta V = 5{,}000 \times \Delta F。

ティックの価値:契約1枚あたり 5,000 × $0.0025 = $12.50。

契約の価値:5,000 × $4.20 = $21,000。

契約を結ぶのに今日かかる費用はゼロです(契約締結時の価値はゼロ)。$21,000は、証拠金勘定が裏付けなければならないエクスポージャーの大きさです。

問2 · 追加証拠金はいくらか

条件(説明用の数字):あるトレーダーが、1,000バレルの原油先物1枚を1バレル$82.40で買い建てました。当初証拠金は$5,000、維持証拠金は$4,000です。続く2日間の清算値は$81.70と$80.95です。この取引所では、追加証拠金の請求で当初証拠金の水準まで戻すことが求められます。2日目の終わりに請求される入金額を求めてください。

✅ 正解です! 2日目のあとの残高は$3,550で$4,000を下回るので、請求によって当初の$5,000まで戻します:$5,000 − $3,550 = $1,450。
❌ それでは維持証拠金にしか届きません。 $4,000 − $3,550 = $450 では、勘定は最低額にとどまります。請求で戻すのは当初証拠金の$5,000です。
❌ それは2日目の損失だけです。 請求額は残高で決まり、残高には1日目の$700の損失も含まれています。残高は$3,550です。
❌ それは2つの証拠金の差です。 入金額は、2つの証拠金の間のゆとりの大きさではなく、残高が実際にいくらか($3,550)で決まります。
❌ 惜しい! 毎日決済してください(損益 = 1,000 ×(価格の変化))。そのうえで、残高を$4,000と比べます。
解答を見る

1日目:価格が$0.70下がるので、買い手は 1,000 × $0.70 = $700 を失います。残高は $5,000 − $700 = $4,300 で、$4,000以上なので請求はありません。

2日目:価格が$0.75下がり、損失は 1,000 × $0.75 = $750 です。残高は $4,300 − $750 = $3,550 で、$4,000を下回るので追加証拠金の請求が来ます。

入金額:当初証拠金まで戻すので、$5,000 − $3,550 = $1,450 です。

その営業日の終わりまでに送金されなければ、ブローカーは契約を手仕舞い、$3,550は返却されます。

問3 · 3日間の売りポジション

条件(説明用の数字):あるトレーダーが、1枚1,000バレルの原油先物2枚を、1バレル$68.20で売り建てています。証拠金は1枚あたり当初$5,000、維持$4,000なので、勘定は$10,000で始まります。続く3日間の清算値は$68.90、$69.35、$68.60です。追加証拠金の請求には、毎回当初証拠金まで戻すことで応じます。

最初の追加証拠金の請求が来るのは何日目ですか?

3日目の終わりの残高はいくらですか?

✅ 正解です! 価格が上がるにつれて売り手は$1,400と$900を失い、$7,700 < $8,000 となって請求が来ます。$10,000まで積み増したあと、価格が下がって$1,500の利益を得ます。
❌ 同じ基準で比べてください。 勘定には2枚の契約があるので、維持証拠金の水準は$4,000ではなく 2 × $4,000 = $8,000 です。
❌ 入金を飛ばしています。 2日目の請求で$2,300が加わり、3日目の利益の前に、勘定は$10,000に戻ります。
❌ 請求で戻すのは当初証拠金です。 $8,000までの積み増しでは、維持証拠金の水準にしかなりません。入金によって勘定は$10,000になります。
❌ 符号を確かめてください。 それは買い手の残高の推移です。売り手は価格が下がると利益を得て、上がると損をします:契約1枚あたり Gt=−1,000 (Ft−Ft−1)G_t = -1{,}000\,(F_t - F_{t-1}) です。
❌ 惜しい! 2枚分を毎日決済し(損益 = −2 × 1,000 ×(価格の変化))、残高を$8,000と比べてください。
❌ 惜しい! 損益だけでなく入金も追ってください:最終残高 = $10,000 + 入金額 + 損益の合計。
解答を見る

売り2枚では、毎日の損益は −2×1,000×ΔF-2 \times 1{,}000 \times \Delta F で、勘定の水準は 2 × $5,000 = $10,000(当初)と 2 × $4,000 = $8,000(維持)です。

1日目:ΔF\Delta F = +0.70、損益は −2,000 × 0.70 = −$1,400。残高 $10,000 − $1,400 = $8,600 ≥ $8,000 なので、請求はありません。

2日目:ΔF\Delta F = +0.45、損益は −2,000 × 0.45 = −$900。残高 $8,600 − $900 = $7,700 < $8,000 なので追加証拠金の請求が来ます。入金額は $10,000 − $7,700 = $2,300 で、残高は$10,000に戻ります。

3日目:ΔF\Delta F = −0.75、損益は −2,000 × (−0.75) = +$1,500。残高は $10,000 + $1,500 = $11,500 です。

検算:損益の合計は −2,000 × (68.60 − 68.20) = −$800 で、$10,000 + $2,300 − $800 = $11,500 です。

問4 · 清算機関が集める金額

条件(説明用の数字):ある清算機関に、1,000バレルの契約の取引が3件記録されています。AがBから4枚を買い、CがAから1枚を買い、CがDから2枚を買いました。今日、先物価格が1バレルあたり$0.30上がります。清算機関が、損をしたトレーダーから集める金額を求めてください。

✅ 正解です! ネットのポジションは A +3、B −4、C +3、D −2 です。売りのBとDが $1,200 + $600 = $1,800 を支払い、清算機関はそれをAとCに渡します。
❌ ゼロは清算機関の正味で、集める金額ではありません。 買いと売りが等しいので、清算機関は集めた額をちょうど支払いますが、それでもお金は動きます。損をした側が払い込むのです。
❌ まずAのポジションを相殺してください。 Aは4枚買って1枚売ったので、3枚の買いで利益を得ます。売った1枚について$300を払うことはありません。決済は、各トレーダーのネットのポジションに対して行われます。
❌ それは両方向を数えています。 損をした側から$1,800が入り、同じ$1,800が得をした側へ出ていきます。問われているのは、入ってくる額だけです。
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ネットのポジション(買いを正とする):A = +4 − 1 = +3、B = −4、C = +1 + 2 = +3、D = −2。買い 3 + 3 = 6 と売り 4 + 2 = 6 が等しいので、清算機関自身のネットのポジションは0です。

ΔF\Delta F = +0.30 での決済(損益 = ポジション × 1,000 × 0.30):

  • A: +3 × 300 = +$900
  • B: −4 × 300 = −$1,200
  • C: +3 × 300 = +$900
  • D: −2 × 300 = −$600

清算機関はBとDから $1,200 + $600 = $1,800 を集め、AとCに $900 + $900 = $1,800 を支払います。正味は0です。

正解数:0 / 4