ファイナンス理論 · 第11回 · 動画3 · インタラクティブ教材
二つの道、一つの価格:複製で先渡価格を導く
I重要な公式
ポイント:ST の予想はどこにも出てきません。出てくるのは S0、rf、T と保管費用だけです。F0,T が複製のコストを上回れば、先渡で売って資産を持ち越すことで、無リスクの利益が得られます。
II可視化1 — 時点Tに資産を手にする2つの道
どちらの道も時点0のコストはゼロで、時点 T に資産を手にできます。ですから、時点 T でのコストは等しくなければなりません。
III可視化2 — 裁定が価格を縛る
先渡価格が複製のコストから離れると、無リスクの取引が可能になります。ただし、すべての差が埋められるわけではありません。
IV確認クイズ
問1 · キャリーコストによる先渡価格
条件(説明用の数値): 大豆の現物価格は1ブッシェル $25.00 です。無リスク金利は年 rf=4%(年複利)、受渡しは T=2 年後で、純保管費用の時点 T における将来価値は1ブッシェルあたり $0.75 です。無裁定の先渡価格 F0,2 を求めてください。
✅ 正解です! 借りたお金で買った現物価格の $27.04 に、純保管費用の $0.75 を足すと $27.79 になります。
❌ 惜しい! それは借入の返済額
(1.04)2×25.00=27.04 だけです。道2では、時点
T に純保管費用も払います。
❌ 符号を確かめてください。 純保管費用は資産を持ち越すためのコストなので、借りたお金で買った現物価格に足します。引くのではありません。
❌ 惜しいですが… 25.00×(1+2×0.04)+0.75=27.75 は単利を使っています。動画では年複利で計算します:
(1+rf)T。
❌ 惜しい! F0,T=(1+rf)TS0+FVT(純保管費用) を使ってください。
解答を見る
道2では、現物価格の分を2年間借り、受渡しのときに純保管費用を払います:
F0,2=(1+rf)2S0+FV2=(1.04)2×25.00+0.75=1.0816×25.00+0.75=27.04+0.75=27.79
先渡価格は1ブッシェルあたり $27.79 です。
問2 · 予想はどこに?
条件: 保管費用もコンビニエンス・イールドもない商品の現物価格が $40.00 です。無リスク金利は年 rf=6%、受渡しは T=1 年後です。アナリストは、1年後の現物価格を $45.00 と予想しています。先渡価格 F0,1 を求めてください。
✅ 正解です! 先渡価格は複製のコスト
1.06×40.00=42.40 です。$45.00 という予想は何の役割も果たしません。
❌ 惜しい! キャリーコストの関係には
E[ST] の項がありません。複製によって、価格は
S0、
rf、
T と保管費用だけで決まります。
❌ 惜しいですが… きょう $40.00 で買うには $40.00 を借りる必要があり、その借入は時点
T に利息をつけて返さなければなりません。
❌ 惜しい! お金を借りて資産を買い、時点
T まで持っておくコストを計算してください。
解答を見る
純保管費用がないので、道2のコストは借入の返済額だけです:
F0,1=(1+rf)1S0+0=1.06×40.00=42.40
先渡価格は $42.40 です。もし先渡が予想どおりの $45.00 で取引されていたら、先渡で売り、$40.00 を借りて資産を買い、時点 T に引き渡すことで、現物価格がどうなっても $2.60 の無リスクの利益が得られます。
問3 · 高すぎる先渡価格
条件: 原油の現物価格は1バレル $60.00 で、無リスク金利は年 rf=5%、T=1 年です。1バレルを時点 T まで保管する費用は $2.50、コンビニエンス・イールドの価値は $0.50 です(どちらも時点 T での額)。1年物の先渡は $66.40 で取引されています。裁定取引と、時点 T における1バレルあたりの無リスクの利益を求めてください。
どの取引で無リスクの利益が得られますか?
時点 T における1バレルあたりの利益はいくらですか?
✅ 正解です! 複製のコストは $65.00 なので、$66.40 で先渡を売って原油を持ち越せば、1バレルあたり $1.40 が確定します。
❌ 惜しい! F0,T を複製のコスト
(1+rf)TS0+FVT(純保管費用) と比べてください。先渡価格が高すぎるときは、先渡を売り、買いポジションを複製します。
❌ 惜しい! 時点
T の利益 = 受け取る先渡価格 − 借入の返済額 − 純保管費用です。
❌ 惜しいですが… 66.40−63.00=3.40 は保管費用を無視しています。1バレルを持ち越すには、正味で $2.50 − $0.50 = $2.00 かかります。
❌ 惜しい! $60.00 は借りたお金なので、返すのは $60.00 ではなく
1.05×60.00=63.00 です。さらに純保管費用も払います。
❌ 惜しいですが… 保管費用の $2.50 を全額引いています。純保管費用は、保管費用からコンビニエンス・イールドを引いたもの、つまり $2.00 です。
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ステップ1:複製のコスト。純保管費用は $2.50 − $0.50 = $2.00 なので、
(1+rf)TS0+FVT=1.05×60.00+2.00=63.00+2.00=65.00
ステップ2:比較。先渡は $65.00 を上回る $66.40 で取引されているので、先渡を売って原油を持ち越します。
ステップ3:キャッシュフロー。時点0:先渡を売り($0)、$60.00 を借りて1バレル買う。正味は $0。時点 T:1バレルを引き渡して $66.40 を受け取り、$63.00 を返済し、純保管費用 $2.00 を払う:
66.40−63.00−2.00=1.40
無リスクの利益:1バレルあたり $1.40。きょうのコストがゼロのポジションから得られます。
問4 · 低すぎる先渡価格
条件: 保管費用もコンビニエンス・イールドもなく、借りてきて空売りできる資産が $100.00 で取引されています。無リスク金利は年 rf=3% で、2年物の先渡は $104.00 で取引されています。裁定取引と、T=2 における1単位あたりの無リスクの利益を求めてください。
どの取引で無リスクの利益が得られますか?
時点 T における1単位あたりの利益はいくらですか?
✅ 正解です! 複製のコストは $106.09 です。空売りと組み合わせて $104.00 で先渡を買えば、$2.09 の差が手元に残ります。
❌ 惜しい! 先渡価格と比べるのは
(1+rf)TS0 で、
S0 ではありません。
❌ 惜しい! 先渡を売って持ち越すと、受け取るのは
104.00−106.09<0(時点
T)です。この取引が守らせるのは上限で、ここでは先渡価格が低すぎます。
❌ 惜しい! 比べる基準は現物価格ではなく、複製のコスト
(1.03)2×100.00=106.09 です。先渡価格はそれより $2.09 低くなっています。
❌ 惜しい! それでは資産を2回買うことになります。1回は先渡で、もう1回は現物で。打ち消し合うものがないので、ペイオフは
ST に左右されます。複製のコストより低い先渡価格を利用するには、先渡を買い、資産を
空売りします。
❌ 惜しい! 時点
T の利益 = 貸付から戻ってくる額 − 支払う先渡価格です。
❌ 惜しいですが… 100.00×(1+2×0.03)=106.00 は単利です。年複利なら、貸付から戻ってくるのは
(1.03)2×100.00 です。
❌ 惜しい! 104.00−100.00 は、貸した代金で得られる利息を無視していて、しかも向きが逆です。
❌ 惜しい! 106.09−100.00 は得られる利息です。現物を受け取るときに払うのは $104.00 の先渡価格で、現物価格ではありません。
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ステップ1:複製のコスト(保管費用なし):
(1+rf)TS0=(1.03)2×100.00=1.0609×100.00=106.09
ステップ2:比較。$104.00 の先渡価格は $106.09 を下回るので、複製の取引をすべて逆にします。
ステップ3:キャッシュフロー。時点0:先渡を買い($0)、資産を空売りし(+$100.00)、$100.00 を rf で貸す。正味は $0。時点 T:貸付から $106.09 が戻る。$104.00 を払って現物を受け取り、借りていた資産を返す:
106.09−104.00=2.09
無リスクの利益:1単位あたり $2.09。この下限の取引がここで確実に利益を生むのは、資産を空売りでき、保管費用もないからです。
正解数:0 / 4