ファイナンス理論 · 第11回 · 動画4 · インタラクティブ教材
先物価格はなぜキャリーコストに従うのか:金、ガソリン、株価指数、そして1987年10月
I重要な公式
ポイント:割り引くと、関係式は (1+rf)T−tFt,T≈St+PVt(純保管費用) となります。決済のときに払う額を今日のお金に直すと、資産のいまの価値に、T まで持ち続ける正味のコストを足したものに等しい、ということです。この関係を破る相場は、裁定機会か、市場が混乱しているしるしのどちらかです。
II1つの関係式、3つのキャリー率
どの資産も rf に何かを足すか引くかします。正味のキャリーの符号で、先物価格が現物価格より上になるかどうかが決まります。
💡 動画のガソリンの約14.18%という数字は、保管費用を差し引いたコンビニエンス・イールドです。ここで c がゼロから始まるのはそのためです。相場からは、この2つを分けることができません。
III逆向きに使う:インプライドのキャリー
現物価格と1つの先物の相場があれば、そのあいだの成長率が決まり、したがってインプライドのキャリーも決まります。
IV割高か割安か:どちらの取引か
相場がキャリーで求めた理論価格から離れたら、T に資産を持つための安いほうの道を買い、高いほうの道を売ります。
💡 2005年にハリケーン・カトリーナがメキシコ湾岸の貯蔵施設を破壊したあと、ガソリンのこの関係はしばらくのあいだ破れていました。動画では、このずれを、建てる技術があるなら自分で貯蔵施設を建てる価値が出てきた、というシグナルとして読んでいます。
V確認クイズ
問1 · 現物価格から金の先物価格へ
条件:金の現物価格は1オンス $1,250.00、rf=3%(年率)で、先物契約は3か月後に決済されます。金には保管費用も配当もコンビニエンス・イールドもありません。無裁定の先物価格 Ft,T を、セント単位まで求めてください。
✅ 正解です! 金の先物価格は、現物価格を残りの期間にわたって
rf で増やしたものにすぎません。
(1.03)3/12≈1.007417 なので、先物価格は約 $1,259.27 です。
❌ 惜しい! それは現物価格を丸1年分増やしています。指数は残りの期間
T−t=3/12 年で、1ではありません。
❌ 惜しい! rf は年率なので、指数は年数で数えます。3か月は
T−t=3/12 で、3ではありません。
❌ 惜しい! (1.03)3/12 で割ると現在価値になります。先物価格は
T に支払うものなので、現物価格は割り引くのではなく、先へ増やします。
❌ 惜しい! T−t=3/12 として
Ft,T≈(1+rf)T−tSt を使ってください。
解答を見る
保管費用も配当もコンビニエンス・イールドの項もないので、純保管費用の項はゼロになり、関係式は次のようになります。
Ft,T≈Ht,T=(1+rf)T−tSt,T−t=123.
成長率の係数は (1.03)3/12≈1.007417(小数第6位まで)なので、先物価格は 1.007417 × $1,250.00 ≈ $1,259.27 です。
ほかの選択肢は、指数を間違えているか(1年なら $1,287.50、3「年」なら $1,365.91)、複利で増やす代わりに割り引いています($1,240.80)。
問2 · ガソリン:c と y はどちら向きに効くか
条件:ガソリンの現物価格は1ガロン $3.20 で、先物契約は8か月後に決済されます。rf=5%、保管費用 c=2%、コンビニエンス・イールド y=12% で、いずれも年率です。無裁定の先物価格を、セント単位まで求めてください。
✅ 正解です! 正味のキャリーは
0.05+0.02−0.12=−0.05 なので、先物価格は現物価格より低くなります。ガソリンを手元に持っておく便益が、金利と保管費用の合計を上回っているのです。
❌ 惜しい! コンビニエンス・イールドは資産を持つことの便益なので、引きます。係数は
1+rf+c−y で、
1+rf+c+y ではありません。
❌ 惜しい! それは金利と保管費用を含めていますが、コンビニエンス・イールド
y=12% が抜けています。先物の保有者は、この便益を受け取れません。
❌ 惜しい! 保管費用は資産を持つためのコストなので、
rf から引くのではなく、足します。係数は
1+rf+c−y です。
❌ 惜しい! T−t=8/12 として
Ft,T≈(1+rf+c−y)T−tSt を使ってください。
解答を見る
Ft,T≈Ht,T=(1+rf+c−y)T−tSt,1+0.05+0.02−0.12=0.95,T−t=128.
成長率の係数は (0.95)8/12≈0.966383(小数第6位まで)なので、先物価格は 0.966383 × $3.20 ≈ $3.09 です。
誤りの選択肢のもとになった間違いは次のとおりです。y を足すと (1.19)8/12 で $3.59、y を落とすと (1.07)8/12 で $3.35、c を引くと (0.91)8/12 で $3.00 になります。
問3 · インプライドの配当利回り
条件:株価指数は4,000.00、6か月後に決済される先物契約は4,030.00で、rf=4%(年率)です。Ft,T≈(1+rf−d)T−tSt を使って、これらの相場が示す年率換算の配当利回り d を求めてください。
✅ 正解です! d=1.04−(4030/4000)2=1.04−1.01505625=0.02494375≈2.49% です。
rf>d なので、先物価格は現物価格より高くなります。
❌ 惜しい! T−t=6/12 なので、比
F/S=1.0075 は
(1.04−d)1/2 に等しくなります。1.04から引く前に、2乗する必要があります。
❌ 惜しい! (F/S)2−1≈1.51% は正味のキャリー
rf−d で、
d そのものではありません。これを
rf から引いてください。
❌ 惜しい! 配当利回りはマイナスの符号で入るので、
d=1+rf−(F/S)2 です。正味のキャリーを
rf に足すと、符号が逆になります。
❌ 惜しい! St で割り、両辺を2乗してから、
d について解いてください。
解答を見る
T−t=6/12 として関係式を書きます。
4030=4000(1+0.04−d)6/12.
現物価格で割り、両辺を2乗します。
d=1.04−(40004030)2=1.04−1.01505625=0.02494375≈2.49%.
向きを確かめます。F>S は rf>d に対応し、実際 4%>2.49% です。
問4 · 理論価格から外れた株価指数先物
条件:株価指数は2,000ポイント、rf=5%、d=2%(いずれも年率)で、先物契約はちょうど1年後に決済されます。先物価格の相場は2,040です。
無リスクの利益を確定させる取引はどれでしょうか。
決済時に受け取る、指数1単位あたりの利益はいくらでしょうか。
✅ 正解です! 理論価格は
1.03×2000=2060 なので、先物は20ポイント割安です。先物を買い、株式を空売りします。これは1987年10月19日の朝の裁定取引と同じ向きです。あのときは、株価指数先物が株式に比べて割安でした。
❌ 惜しい! 先物を売って株式を持ち越すのは、先物が
割高なときの取引です。2,040を理論価格
(1+0.05−0.02)1×2000 と比べてください。
❌ 惜しい! 関係式が予測するのは、向きだけではなく具体的な価格です。
F は
1.03×2000=2060 になるはずで、2,040はそれより低くなっています。
❌ 惜しい! 2つの買いポジションは、指数へのエクスポージャーを打ち消すのではなく、積み増します。裁定取引では、一方の道を買い、もう一方の道を売ります。
❌ 惜しい! まず理論価格
(1+rf−d)T−tSt を求め、相場と比べてください。
❌ 惜しい! 60 = 2,060 − 2,000 はキャリーそのものです。利益は、理論価格と相場の差です。
❌ 惜しい! 40 = 2,040 − 2,000 は、相場を今日の現物価格と比べたものです。利益は、理論価格2,060と相場の差です。
❌ 惜しい! 19.42 ≈ 20 / 1.03 は今日の価値です。問われているのは、決済時に受け取る額です。
❌ 惜しい! T での利益は、理論価格から相場の先物価格を引いたものです。
解答を見る
ステップ1:理論価格。T−t=1 なので、
F∗=(1+0.05−0.02)1×2000=1.03×2000=2060.
ステップ2:比較。相場の2,040は2,060より低いので、先物は株式に比べて割安です。
ステップ3:取引。先物を2,040で買います。指数の株式を2,000で空売りし、その代金を5%で運用すると、2,100に増えます。空売りした側は配当 0.02×2000=40 を支払わなければならないので、残りは 2100−40=2060 です。決済時に指数がある水準 ST にあるとすると、差金決済の先物は ST−2040 を支払い、空売りを閉じるために株式を買い戻すコストは ST なので、指数の水準は打ち消し合います。
ステップ4:利益。指数がどう動いても、決済時に指数1単位あたり 2060−2040=20 ポイントです。
正解数:0 / 4