ファイナンス理論 · 第11回 · 動画6 · インタラクティブ教材

「25%ヘッジ」とは何か:先物5枚の売りが500銘柄の売却と同じになる理由

I重要な公式

公式名称必要なもの
N=h×V0N = h \times V_0ヘッジする想定元本ヘッジしたい割合 hh と、エクスポージャーの現在価値 V0V_0。$5,000,000 の25%は $1,250,000 です
Ncontract=250×S0N_{\text{contract}} = 250 \times S_0S&P500先物1枚の想定元本$250 × 指数の水準 S0S_0。指数が1,000なら、1枚あたり $250,000 です
n=h V0250 S0n = \dfrac{h\,V_0}{250\,S_0}売る枚数ヘッジする想定元本を1枚の想定元本で割ります。1,250,000 / 250,000 = 5
V1=(1−h) V0 S1S0+h V0V_1 = (1-h)\,V_0\,\dfrac{S_1}{S_0} + h\,V_0指数が S1S_1 のときのヘッジ後の価値株式に先物の売りの損益を加えたもので、(1−h)(1-h) を株式、hh を現金で持つのと同じです。ポートフォリオが指数と1対1で動くと仮定し、利息と配当は無視しています

ポイント:エクスポージャーのX%をヘッジするには、想定元本がそのエクスポージャーの現在価値のX%になるような、先物または先渡のポジションをとります。ヘッジした部分は現金のようにふるまい、残りの (1−h)(1-h) は市場リスクを負ったままなので、ヘッジは値動きを和らげますが、なくしはしません。

II割合から枚数へ

先物の想定元本は、ポートフォリオのうちヘッジする部分に等しくなければならず、1枚の想定元本は $250 × 指数です。

III先物の売り=ポートフォリオの一部を現金に

ポートフォリオが指数と1対1で動くなら、X%分の先物を売ると、X%を現金に移したときとまったく同じ資産額になります。

💡 動画の表と同じく、現金の利息と配当は無視しています。これらを含めても、二つのやり方は同じ額だけずれるだけです。先物価格には、無リスク金利から配当利回りを引いた率がすでに織り込まれているからです。

IV確認クイズ

問1 · ヘッジの大きさを決める

条件:S&P500と1対1で動く $8,000,000 のポートフォリオを持っていて、指数は1,200です。S&P500先物1枚の想定元本は $250 × 指数です。ポートフォリオの30%をヘッジする先物のポジションを求めてください。

✅ 正解です! $8,000,000 の30%は想定元本で $2,400,000、指数1,200では1枚あたり $300,000 なので、8枚売ります。
❌ 惜しい! これは1枚あたり $250,000、つまり指数が1,000だったときの値を使っています(2,400,000 / 250,000 = 9.6、四捨五入して10)。1枚の想定元本は指数とともに動き、1,200では $250 × 1,200 = $300,000 です。
❌ 枚数は合っていますが、向きが逆です。 買いのポジションは指数が上がると利益が出るので、すでに持っているエクスポージャーを増やしてしまいます。下落の衝撃を和らげるには、市場が下がったときに利益が出るポジション、つまり売りが必要です。
❌ 惜しい! 8,000,000 / 300,000 ≈ 26.7 を四捨五入した27枚では、ポートフォリオ全体をヘッジしてしまいます。30%をヘッジするのに必要な想定元本は、ポートフォリオの価値の30%だけです。
❌ 惜しい! ヘッジする想定元本(ポートフォリオの30%)を1枚の想定元本($250 × 1,200)で割り、その枚数を売ってください。
解答を見る

ヘッジする想定元本(ドル):

0.30×8,000,000=2,400,0000.30 \times 8{,}000{,}000 = 2{,}400{,}000

指数1,200での1枚の想定元本(ドル):

250×1,200=300,000250 \times 1{,}200 = 300{,}000

枚数:

n=2,400,000300,000=8n = \frac{2{,}400{,}000}{300{,}000} = 8

指数が下がったときに利益が出るポジションが欲しいので、8枚売ります。ポートフォリオは指数と1対1で動くので、これでちょうど30%がヘッジされます。

問2 · 上昇したときヘッジは何をするか

条件:S&P500と1対1で動く $6,000,000 のポートフォリオがあり、指数は1,500です。S&P500先物(1枚の想定元本は $250 × 指数)を売って50%をヘッジします。その後、指数は1,650に上がります。利息と配当を無視して、株式と先物を合わせた価値を求めてください。

✅ 正解です! 株式は $600,000 増え、8枚の売りは $300,000 の損失なので、上昇分の半分が手元に残ります。$3,000,000 を株式で、$3,000,000 を現金で持つのと同じ結果です。
❌ 符号を確かめてください。 先物の損益を足してしまっています。売りのポジションは指数が上がると損をします。8 × $250 × 150 = $300,000 が株式の価値から差し引かれます。
❌ 惜しい! $6,600,000 は株式だけの価値です。8枚の売りは150ポイントの上昇で $300,000 の損失になり、その損失も合計に含めます。
❌ 惜しい! 価値を $6,000,000 に保てるのは100%のヘッジだけです。50%なら、ポートフォリオの半分はまだ10%の上昇に乗っています。
❌ 惜しい! まず枚数を求め、次に株式の新しい価値と先物の売りの損失を足してください。
解答を見る

枚数:ヘッジする想定元本は $6,000,000 の50% = $3,000,000、1枚の想定元本は $250 × 1,500 = $375,000 です。

n=3,000,000375,000=8 枚の売りn = \frac{3{,}000{,}000}{375{,}000} = 8 \text{ 枚の売り}

株式:指数は 1,6501,500=1.10\frac{1{,}650}{1{,}500} = 1.10 倍、つまり10%上がるので、株式の価値は $6,000,000 × 1.10 = $6,600,000 になります。

先物:買い手側の損益は1枚あたり $250 × 150 = $37,500 です。8枚売っているので、損失は 8 × $37,500 = $300,000 です。

合計:$6,600,000 − $300,000 = $6,300,000 です。

現金のやり方で検算:50%を売ると株式が $3,000,000 残り、上昇後には $3,300,000 になります。これに現金 $3,000,000 を足して $6,300,000 です。

問3 · ヘッジの割合と和らいだ振れ幅

条件:S&P500と1対1で動く $10,000,000 のポートフォリオがあり、指数は1,400です。S&P500先物(1枚の想定元本は $250 × 指数)を10枚売っています。利息と配当は無視します。ポートフォリオのうちヘッジされている割合と、指数が280ポイント下がったときの、ヘッジしたポジションの価値の変化を求めてください。

ポートフォリオの何%がヘッジされていますか?

ヘッジしたポジションの価値はどう変わりますか?

✅ 正解です! 35%がヘッジされているので、ポジションはヘッジなしの振れ幅の65%だけ動きます。0.65 × $2,000,000 = $1,300,000 です。
❌ 1枚の想定元本を確かめてください。 25%は1枚あたり $250,000、つまり指数1,000のときの値を使っています。指数1,400では、1枚あたり $250 × 1,400 = $350,000 です。
❌ それはもう一方の部分です。 65%は市場にさらされたままの割合です。ヘッジされている割合は、先物の想定元本をポートフォリオの価値で割ったものです。
❌ ヘッジの割合を確かめてください。 先物の想定元本(10枚 × $250 × 1,400)をポートフォリオの価値で割ります。
❌ 惜しい! $2,000,000 は株式だけの損失です。10枚の売りは指数が下がると利益が出るので、その利益が損失の一部を打ち消します。
❌ 惜しい! $700,000 は先物の利益だけです。株式は20%の下落で $2,000,000 を失ったままです。ヘッジは損失を和らげますが、なくしはしません。
❌ 符号を確かめてください。 売りのポジションは指数が下がると利益が出るので、先物の $700,000 は損失に加わるのではなく、損失を減らします。
❌ 価値の変化を確かめてください。 株式の変化と先物の売りの変化を足します。
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ヘッジの割合:1枚の想定元本は $250 × 1,400 = $350,000 なので、10枚で想定元本は $3,500,000 です。

h=3,500,00010,000,000=0.35=35%h = \frac{3{,}500{,}000}{10{,}000{,}000} = 0.35 = 35\%

株式:1,400から280ポイントの下落は20%の下落なので、株式の損失は 0.20 × $10,000,000 = $2,000,000 です。

先物:1枚あたりの変化は $250 × 280 = $70,000 です。10枚売っているので、利益は 10 × $70,000 = $700,000 です。

正味:−$2,000,000 + $700,000 で、$1,300,000 の減少です。

検算:ヘッジしたポジションはヘッジなしの振れ幅の (1−h)=0.65(1 - h) = 0.65 だけ動き、0.65 × $2,000,000 = $1,300,000 です。

問4 · 企業にも同じルール

条件:ある金鉱山会社は、来年、金を400,000オンス売る予定です。今日の価格1オンス $1,500 で、その産出量の価値は $600,000,000 であり、その価値は金価格と1対1で動きます。金先物1枚は100オンスです。このエクスポージャーの60%をヘッジする先物のポジションを求めてください。

✅ 正解です! 想定元本は $600,000,000 の60% = $360,000,000 で、1枚あたりの金は $150,000 分なので、鉱山会社は2,400枚売ります。売上の残り40%は、相変わらず金価格とともに動きます。
❌ 枚数は合っていますが、向きが逆です。 鉱山会社は金を売る予定なので、価格が下がると損をします。必要なのは、価格が下がったときに利益が出るポジション、つまりポートフォリオのヘッジと同じく売りです。
❌ 惜しい! 4,000枚では400,000オンスすべてを覆う100%のヘッジになります。60%なら、想定元本はエクスポージャーの現在価値の60%です。
❌ それはもう一方の部分です。 1,600枚が覆うのは産出量の40%、つまり鉱山会社がヘッジせずに残す部分です。
❌ 惜しい! ヘッジする想定元本はエクスポージャーの現在価値の60%です。これを1枚の想定元本(今日の価格で100オンス分)で割ってください。
解答を見る

ヘッジする想定元本(ドル):エクスポージャーの現在価値の60%です。

0.60×600,000,000=360,000,0000.60 \times 600{,}000{,}000 = 360{,}000{,}000

1枚の想定元本(ドル):今日の価格で100オンス分です。

100×1,500=150,000100 \times 1{,}500 = 150{,}000

枚数:

n=360,000,000150,000=2,400n = \frac{360{,}000{,}000}{150{,}000} = 2{,}400

鉱山会社は産出した金を売る予定なので、金の買いポジション(ロング)を持っているのと同じです。そこで、金価格が下がったときに利益が出るポジションとして2,400枚売ります。これは動画のルールを新しい場面に当てはめたものです。想定元本がヘッジの割合を決め、ヘッジしていない40%は相変わらず価格リスクを負っています。

正解数:0 / 4