ファイナンス理論 · 第12回 · 動画1 · インタラクティブ教材
権利はあっても義務はない:オプションのペイオフが決してマイナスにならない理由
I重要な公式
ポイント:保有者は、権利行使で何かが得られるときにしか権利行使しないので、満期におけるオプションのペイオフは決してマイナスになりません。先物のポジションにはないこのゼロという下限こそが、このユニットのほかのすべてを生む非対称性です。
II権利行使するか、放っておくか
保有者は得をするときにしか権利行使しないので、ペイオフはゼロと権利行使で得られる額の大きい方になります。
III今日の株価より高い権利行使価格のコールに価値がある理由
$60 の株に対する権利行使価格 $70 のコールに価値があるのは、$70 より上で終わる価格の経路があるからです。
💡 これらの経路は説明用にランダムに引いたもので、予測ではありません。こうしたペイオフが生じる可能性を今日の価格に換算することが、このユニットの後半で扱う価格評価の問題です。
IVオプションの正味の供給はゼロ、ワラントはゼロではない
買いポジションで保有されるオプションは、どれも別の投資家が売ったものです。ワラントは、会社自身が発行します。
V確認クイズ
問1 · 満期のコール
条件(説明用の数字):権利行使価格 $50 のコールがあり、原資産の株は満期日に $62 で引けます。満期におけるコールの1株あたりのペイオフを求めてください。
✅ 正解です! 保有者は $62 の価値がある株を $50 で買い、$12 を得ます。
❌ 惜しい! ペイオフがゼロになるのは、株価が権利行使価格以下で終わったときだけです。ここでは
ST>K なので、保有者は権利行使します。
❌ 公式を確かめてください。 K−ST はプットを権利行使して得られる額です。コールが支払うのは
ST−K で、そもそもそのペイオフは決してマイナスになりません。
❌ 惜しい! 権利行使するとは、権利行使価格を払うことです。保有者は $62 の価値がある株を受け取りますが、そのために $50 を払います。
❌ 惜しい! ST=62、
K=50 として
CT=Max[0, ST−K] を使ってください。
解答を見る
ST=62、K=50(1株あたりのドル)とすると:
CT=Max[0, ST−K]=Max[0, 62−50]=Max[0, 12]=12
株価が権利行使価格より上で終わるので、保有者は権利行使して $50 で買い、$62 の価値がある株を手にします。ペイオフは1株あたり $12 です。
問2 · 権利行使価格より上で終わるプット
条件(説明用の数字):権利行使価格 $45 のプットがあり、原資産の株は満期日に $52 で引けます。満期におけるプットの1株あたりのペイオフを求めてください。
✅ 正解です! $52 の価値がある株を $45 で売れば $7 の損になるので、保有者はプットをそのまま満期を迎えさせます。
❌ 惜しいですが… K−ST=−7 は、権利行使したときに得られる額です。保有者には権利行使する義務がないので、ペイオフはこの額とゼロの大きい方です。
❌ 惜しい! ST−K=7 はコールを権利行使して得られる額です。プットが支払うのは、株価が権利行使価格
より下で終わったときです。
❌ 惜しい! プットを権利行使するとは、$52 の価値がある株を渡して $45 を受け取ることです。権利行使価格そのものはペイオフではありません。
❌ 惜しい! PT=Max[0, K−ST] を使ってください。
解答を見る
K=45、ST=52 とすると:
PT=Max[0, K−ST]=Max[0, 45−52]=Max[0, −7]=0
プットは $45 で売る権利を与えますが、市場では $52 で売れるので、保有者は権利行使せず、プットは無価値のまま満期を迎えます。ペイオフは $0 で、−$7 になることはありません。
問3 · 義務と権利
条件(説明用の数字):株価は満期日に $52 で終わります。トレーダーAは、その日に1株を $60 で買う義務を負う先物の買いポジションを持っています。トレーダーBは、同じ日に満期を迎える権利行使価格 $60 のコールを持っています。満期における各トレーダーのペイオフを求めてください。
トレーダーA(先物。約定価格で買う義務がある)
トレーダーB(コール、権利行使価格 $60)
✅ 正解です! Aは $52 の価値しかない株を $60 で買わなければならず、$8 を失います。Bは権利行使せずに放っておくだけで、$0 です。この $8 の差こそが、義務を伴わない権利によって避けられる損失です。
❌ 符号を確かめてください。 Aは $52 の価値のものに $60 を払います。これは損失で、
ST−K=52−60 です。
❌ 惜しいですが… ゼロという下限があるのはオプションです。先物契約ではAに買う義務があるので、Aは損失をかぶります。
❌ トレーダーAを確かめてください。 満期における先物のペイオフは
ST−K で、下限はありません。
❌ 惜しい! Aは株価をまるごと失うわけではありません。$60 を払って $52 の価値がある株を受け取るので、ペイオフはその差、
ST−K です。
❌ 向きを確かめてください。 K−ST=8 は、株価が権利行使価格をどれだけ下回って終わったかで、プットならこれを支払います。コールが支払うのは、株価が権利行使価格より上で終わったときだけです。
❌ 惜しい! 権利行使価格は、Bが権利行使したときに払う価格で、ペイオフではありません。$52 の価値の株に $60 を払えば損をするので、Bは権利行使しません。
❌ 惜しいですが… それは権利行使したときに得られる額です。Bには権利行使する義務がなく、権利行使もしません。
❌ トレーダーBを確かめてください。 CT=Max[0, ST−K] を使ってください。
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トレーダーAは $60 で買う義務を負っています:
ST−K=52−60=−8
1株あたり $8 の損失で、Aはこれを断れません。
トレーダーBには権利がありますが、義務はありません:
CT=Max[0, 52−60]=Max[0, −8]=0
Bはコールをそのまま満期を迎えさせ、ペイオフは $0 です。$60 より上なら2人のトレーダーは同じ額を得ますが、$60 より下では先物の保有者だけが損をします。
問4 · ヨーロピアン・プット
条件(説明用の数字):権利行使価格 $55、満期まで1か月のヨーロピアン・プットがあります。株は今日 $50 で取引されています。
保有者は今日、権利行使できますか?
株価は満期日に $58 で終わります。プットのペイオフはいくらですか?
✅ 正解です! ヨーロピアン・プットで意味を持つのは満期日だけです。その日の株価は権利行使価格より上なので、プットは無価値のまま満期を迎えます。
❌ 惜しい! 満期までいつでも権利行使できるのは、アメリカン・オプションのルールです。「ヨーロピアン」は権利行使のルールの名前で、満期日にしか権利行使できません。
❌ 惜しい! 株価が権利行使価格を下回っていれば権利行使したくなりますが、ヨーロピアン・オプションは、それまで株価がどこで取引されていても、満期日にしか権利行使できません。
❌ 向きを確かめてください。 ST−K=3 はコールを権利行使して得られる額です。プットが支払うのは株価が権利行使価格
より下で終わったときですが、$58 は $55 より上です。
❌ 権利行使のルールを確かめてください。 ヨーロピアン・オプションは、それまで株価がどこで取引されていても、満期日にしか権利行使できません。
❌ 惜しい! $5 は今日権利行使したときに得られる額ですが、ヨーロピアン・プットは今日は権利行使できません。そのペイオフは
ST だけで決まります。
❌ 惜しいですが… K−ST=−3 は権利行使したときに得られる額です。保有者は権利行使しないので、ペイオフはゼロです。
❌ ペイオフを確かめてください。 満期日の株価を使って
PT=Max[0, K−ST] を計算してください。
解答を見る
権利行使のルール。アメリカン・オプションは満期日当日を含めて満期までいつでも権利行使できますが、ヨーロピアン・オプションは満期日にしか権利行使できません。権利行使価格と今日の株価の差の $5 を、今日受け取ることはできません。
ペイオフ。満期日に ST=58、K=55 なので:
PT=Max[0, 55−58]=Max[0, −3]=0
$58 の価値がある株を $55 で売れば $3 の損になるので、プットはペイオフ $0 で満期を迎えます。
正解数:0 / 4