ファイナンス理論 · 第12回 · 動画3 · インタラクティブ教材

オプションのペイオフ・ダイアグラム:折れ曲がり、プレミアム、非線形のリターン

I重要な公式

公式名称説明
CT=Max[0, ST−K]C_T = \text{Max}[0,\ S_T - K]
PT=Max[0, K−ST]P_T = \text{Max}[0,\ K - S_T]
満期におけるペイオフコール:0で水平、KK より上で傾き +1+1。プット:0で水平、KK より下で傾き −1-1、上限は KK
Net=Max[0, ST−K]−C\text{Net} = \text{Max}[0,\ S_T - K] - C正味のペイオフ(コール)どの株価でも、ペイオフの線をプレミアムの分だけ下にずらしたもの(期間が短ければ、プレミアムにかかる金利は無視します)
ST=K+C(コール)S_T = K + C \quad\text{(コール)}
ST=K−P(プット)S_T = K - P \quad\text{(プット)}
損益分岐点正味のペイオフの線がゼロを横切るところ
ST−S0S0対Max[0, ST−K]−CC\dfrac{S_T - S_0}{S_0}\quad \text{対}\quad \dfrac{\text{Max}[0,\ S_T - K] - C}{C}株のリターンとコールのリターン直線と、−100%-100\% で水平のまま権利行使価格で上に折れ曲がる線

ポイント:権利行使価格のところの折れ曲がりこそが、オプションです。株式、債券、先物、先渡は、どれもペイオフが原資産の価格に対して直線です。オプションのペイオフは折れ曲がるので、そのリスクとリターンは性質からして違います。

II可視化1 — ペイオフから正味のペイオフへ

正味のペイオフは、折れ曲がったペイオフの線をプレミアムの分だけ下にずらしたもので、損益分岐点はそれがゼロを横切るところです。

💡 これらは満期での価値です。満期前なら、株価が $20 を下回っていてもコールにはまだ価値があります。満期までに、株価が権利行使価格を超えるかもしれないからです。

III可視化2 — 株のリターンとコールのリターン

今日 $20 で株を、または $2 でコールを買うと、株のリターンは直線ですが、コールのリターンは権利行使価格で折れ曲がり、10倍の速さで上がります。

IV確認クイズ

問1 · コールの正味のペイオフ

条件(説明用の数字):権利行使価格 $35 のコールを、$2.75 のプレミアムで買いました。満期に株価は $41 です。プレミアムにかかる金利を無視して、正味のペイオフを求めてください。

✅ 正解です! $6 のペイオフから $2.75 のプレミアムを引いて、正味 $3.25 です。
❌ 惜しいですが… $6 はプレミアムを引く前のペイオフ Max[0, 41−35]\text{Max}[0,\ 41 - 35] です。正味のペイオフは、コールに払ったプレミアムを差し引きます。
❌ 符号を確かめてください。 プレミアムは買い手にとって費用なので、ペイオフに足すのではなく、ペイオフから引きます。
❌ 惜しい! プレミアムをすべて失うのは、満期に株価が権利行使価格以下のときだけです。ここでは株価が $35 より上で終わるので、コールは権利行使されます。
❌ 惜しい! 正味のペイオフ =Max[0, ST−K]−C= \text{Max}[0,\ S_T - K] - C です。
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満期にコールはイン・ザ・マネーなので、権利行使されます:

CT=Max[0, 41−35]=6C_T = \text{Max}[0,\ 41 - 35] = 6

コールに払ったプレミアムを引きます:

Net=CT−C=6−2.75=3.25\text{Net} = C_T - C = 6 - 2.75 = 3.25

正味のペイオフは $3.25 です。このコールの損益分岐点は K+C=35+2.75=37.75K + C = 35 + 2.75 = 37.75 で、$41 はそれより上です。

問2 · プットの損益分岐点

条件(説明用の数字):権利行使価格 $40 のプットのプレミアムは $3 です。プレミアムにかかる金利を無視して、プットの買い手の損益がちょうどゼロになる満期の株価を求めてください。

✅ 正解です! $37 ではプットが $3 を支払い、これでプレミアムをちょうど取り戻します。
❌ 向きを確かめてください。 K+CK + C はコールの損益分岐点です。プットは株価が下がったときに支払うので、その損益分岐点は権利行使価格より下の K−PK - P にあります。
❌ 惜しい! $40 では、プットの支払いは Max[0, 40−40]=0\text{Max}[0,\ 40 - 40] = 0 なので、買い手はプレミアムの $3 をまるごと失います。
❌ 惜しい! $40 より下ではプットは権利行使されますが、権利行使価格のすぐ下では、そのペイオフは $3 のプレミアムより小さくなります。株価がさらに $3 下がるまで、正味のペイオフはまだマイナスです。
❌ 惜しい! 正味のペイオフ Max[0, K−ST]−P\text{Max}[0,\ K - S_T] - P をゼロとおいてください。
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権利行使価格より下では、プットの正味のペイオフは (K−ST)−P(K - S_T) - P です。これをゼロとおくと:

40−ST−3=0⟹ST=K−P=40−3=3740 - S_T - 3 = 0 \quad\Longrightarrow\quad S_T = K - P = 40 - 3 = 37

損益分岐点は株価 $37 です。$37 より上では、買い手はプレミアムの一部またはすべてを失います。それより下では買い手は利益を得て、株価がゼロになれば、正味のペイオフは最大の K−P=37K - P = 37 ドルになります。

問3 · 株のリターンとコールのリターン

条件(説明用の数字):ある株が今日 $40 で取引されていて、この株に対する権利行使価格 $40 のコールは $2.50 です。満期に株価は $45 です。金利を無視して、株を買った場合のリターンと、コールを買った場合のリターンを求めてください。

株のリターンは?

コールのリターンは?

✅ 正解です! 株価の12.5%の動きが、コールでは100%のリターンになりました。
❌ 単位を確かめてください。 株の値上がりは $5 ですが、リターンはその値上がり益を、株に払った $40 で割ったものです。
❌ それはコールのリターンです。 株は $40 で買われ、$5 値上がりします。値上がり益を $40 で割ってください。
❌ 分母を確かめてください。 5/455/45 は最終的な株価で割っています。リターンは、値上がり益を今日払った額の $40 で割ります。
❌ 株のリターンを確かめてください。 株のリターン =(ST−S0)/S0= (S_T - S_0)/S_0 です。
❌ それは株のリターンです。 コールは $2.50 で買われ、$5 を支払います。その $2.50 の利益を $2.50 のプレミアムで割ります。
❌ 惜しいですが… 5/2.50=25/2.50 = 2 は、ペイオフ全体をプレミアムと比べています。リターンは、利益(ペイオフからプレミアムを引いたもの)をプレミアムで割ったものです。
❌ 分母を確かめてください。 (5−2.50)/5(5 - 2.50)/5 はペイオフで割っています。投資した額はプレミアムの $2.50 です。
❌ コールのリターンを確かめてください。 コールのリターン =(Max[0, ST−K]−C)/C= (\text{Max}[0,\ S_T - K] - C)/C です。
解答を見る

株:$40 で買い、満期の価値は $45:

ST−S0S0=45−4040=540=0.125=12.5%\frac{S_T - S_0}{S_0} = \frac{45 - 40}{40} = \frac{5}{40} = 0.125 = 12.5\%

コール:ペイオフは Max[0, 45−40]=5\text{Max}[0,\ 45 - 40] = 5 で、$2.50 で買った:

Max[0, ST−K]−CC=5−2.502.50=2.502.50=1=100%\frac{\text{Max}[0,\ S_T - K] - C}{C} = \frac{5 - 2.50}{2.50} = \frac{2.50}{2.50} = 1 = 100\%

株のリターンは 12.5%、コールは 100% です。もし株価が $40 で終わっていたら、株のリターンは0%で、コールのリターンは −100%-100\% でした。

問4 · コールはどれだけ急か?

条件: 問3と同じポジションです。株価は今日 $40、権利行使価格 $40 のコールを $2.50 で買いました。満期の株価が権利行使価格より上のとき、STS_T が $1 増えるごとに、株のリターンはある数のパーセントポイントだけ上がり、コールのリターンは別の数だけ上がります。コールのリターンは株のリターンの何倍の速さで上がりますか?

✅ 正解です! 1ドルあたり、コールは40ポイント、株は2.5ポイントです。その比は S0/C=40/2.50=16S_0 / C = 40 / 2.50 = 16 です。
❌ 惜しい! 10倍は動画の例 S0/C=20/2S_0 / C = 20 / 2 の場合です。この問題の価格では、比が違います。
❌ 惜しいですが… 権利行使価格より上では、株もコールのペイオフも $1 あたり $1 ずつ増えます。しかしリターンでは、その1ドルを大きく異なる投資額で割ります。株は $40、コールは $2.50 です。
❌ 惜しい! 40は、$1 あたりのコールのリターンの増加をパーセントポイントで表したものです。これを $1 あたりの株のリターンの増加と比べてください。
❌ 惜しい! 傾き 1/C1/C と 1/S01/S_0 を比べてください。
解答を見る

権利行使価格より上では、STS_T が1ドル増えると、株の価値もコールのペイオフも1ドル増えます。それぞれへの投資額で割ると:

株:140=2.5%(1ドルあたり),コール:12.50=40%(1ドルあたり)\text{株:} \frac{1}{40} = 2.5\% \text{(1ドルあたり)}, \qquad \text{コール:} \frac{1}{2.50} = 40\% \text{(1ドルあたり)} 40%2.5%=S0C=402.50=16\frac{40\%}{2.5\%} = \frac{S_0}{C} = \frac{40}{2.50} = 16

コールのリターンは 16倍 の速さで上がります。同じ折れ曲がりは逆向きにも働きます。権利行使価格以下では、株価の下落がどれほどわずかでも、コールのリターンは −100%-100\% にとどまります。

正解数:0 / 4