ファイナンス理論 · 第14回 · 動画7 · インタラクティブ教材

投資信託の多くが指数に負ける理由と、リスクとリターンの教訓

I重要な公式

公式名称説明
Rファンド−RベンチマークR_{\text{ファンド}} - R_{\text{ベンチマーク}}ファンドの超過リターンベンチマークはファンドと同じリスクを持ち、手数料を差し引いたあとで測ります。米国の株式投資信託(1972〜1991年)では、平均は0を下回りました
リスクプレミアム≡E[Rit]−rf  ⇒  rf≈11.5%−8.3%=3.2%\text{リスクプレミアム} \equiv E[R_{it}] - r_f \;\Rightarrow\; r_f \approx 11.5\% - 8.3\% = 3.2\%リスクプレミアム1926〜2025年の年次リターンの算術平均。3.2%3.2\% はTビル金利の平均です
σannual≈σmonthly12\sigma_{\text{annual}} \approx \sigma_{\text{monthly}}\sqrt{12}ボラティリティの年率換算平均的な個別株:17%×12≈59%17\% \times \sqrt{12} \approx 59\%、つまり年およそ 60%60\%
4819.4≈2.5,8019.4≈4.1\dfrac{48}{19.4} \approx 2.5, \qquad \dfrac{80}{19.4} \approx 4.1平常時と比べたVIX2008年11月初めと10月下旬の値を、1990年以降のVIXの平均 19.419.4 と比べたもの

ポイント:このユニットでそろった、ポートフォリオ理論の材料は3つです。年およそ 8%8\% のプレミアムを含む期待リターン、ポートフォリオよりはるかに大きい個別株のリスク σ\sigma、そしてプラスではあるものの完全にはほど遠い相関 ρ\rho です。

IIファンドを選ぶのは、ダーツを投げるのと同じ

次のピーター・リンチを前もって見つける方法がなければ、でたらめに選んだファンドで期待できるのはヒストグラムの平均です。

III20年間で手数料がどれだけかかるか

スキルのないアクティブ・ファンドが稼ぐのは市場から手数料を引いた分で、インデックス・ファンドとの差は複利で広がります。

💡 2025年12月までの20年間で、米国株を運用するアクティブ・ファンドの約 92%92\% がベンチマークを下回りました(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス)。これは指数よりリターンが低かったということで、お金を失ったという意味ではありません。

IV2008年後半は、平常時をどれだけ上回っていたか

VIXはパーセントで表した年率のボラティリティです。2008年の値は、長期の標準をはるかに上回りました。

V確認クイズ

問1 · Tビル金利を逆算する

条件:1926〜2004年の米国株の年次リターンの算術平均は 11.2%11.2\%、年次リスクプレミアムの平均は 7.8%7.8\% でした。この2つの数字から導かれる、米国短期国債(Tビル)の平均金利を求めてください。

✅ 正解です! プレミアムはTビルを上回るリターンなので、Tビル金利は残りの部分です:11.2%−7.8%=3.4%11.2\% - 7.8\% = 3.4\%。
❌ 惜しい! プレミアムはすでに 11.2%11.2\% に含まれているので、足すと二重に数えることになります。足すのではなく、引きます。
❌ 惜しい! 7.8%7.8\% はプレミアムそのもの、つまりTビルを上回るリターンで、Tビル金利ではありません。
❌ あと一歩! 10.3%−7.8%10.3\% - 7.8\% は、複利のリターン(1926〜2025年)と、別の期間の算術平均のプレミアムを混ぜています。対応する組、つまりどちらも1926〜2004年の算術平均を使います。
❌ 惜しい! リスクプレミアム=E[R]−rf\text{リスクプレミアム} = E[R] - r_f を rf=E[R]−リスクプレミアムr_f = E[R] - \text{リスクプレミアム} と変形します。
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リスクプレミアムは、期待リターンから無リスク金利を引いたものです:

リスクプレミアム≡E[R]−rf⇒rf=E[R]−リスクプレミアム\text{リスクプレミアム} \equiv E[R] - r_f \quad\Rightarrow\quad r_f = E[R] - \text{リスクプレミアム}

1926〜2004年の算術平均を使うと:

rf≈11.2%−7.8%=3.4%r_f \approx 11.2\% - 7.8\% = 3.4\%

1926〜2025年のデータで同じ計算をすると、11.5%−8.3%=3.2%11.5\% - 8.3\% = 3.2\% です。どちらの組も年次リターンの算術平均です。複利の 10.3%10.3\% を、算術平均のプレミアムと組み合わせることはできません。

問2 · 下回ることは、損をすることではない

条件:20年間にわたって、あるベンチマーク指数が年 9.0%9.0\% の複利で成長します(説明用)。架空のアクティブ・ファンドであるファンドQは、そのベンチマークを年 1.41.4 パーセントポイント下回ります。正しい記述はどれですか。

✅ 正解です! 年 9.0%−1.4%=7.6%9.0\% - 1.4\% = 7.6\% です。ファンドは成長しました。比較対象の指数より遅かっただけです。
❌ 惜しい! ベンチマークを下回るとは、指数よりリターンが低いということで、お金を失うことではありません。1.41.4 ポイントは 9.0%9.0\% に対する不足分で、0を下回るリターンではありません。
❌ 惜しい! ベンチマークを下回るファンドは、それより少なく稼ぎます。ですから不足分は足すのではなく、引きます。
❌ 惜しい! ベンチマークのリターンから不足分を引きます。
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「年 1.41.4 ポイント下回る」は、ベンチマークに対して測ったものです:

RQ≈9.0%−1.4%=7.6%(年あたり)R_{Q} \approx 9.0\% - 1.4\% = 7.6\% \text{(年あたり)}

これはプラスのリターンなので、ファンドQの投資家はお金を増やしました。ただし、同じベンチマークに連動するインデックス・ファンドで得られたはずの額よりは少ないのです。2025年12月までの20年間で、米国株を運用するアクティブ・ファンドの約 92%92\% がベンチマークを下回ったという結果は、まさにこのように読みます。

問3 · 穏やかな月と荒れた月を年率で見る

条件:市場の月次リターンの標準偏差は、月およそ 2%2\% から 20%20\% までの幅がありました。両端を、時間の平方根による換算で年率に直します(各月は独立)。穏やかな端の年率の σ\sigma と、荒れた端の年率の σ\sigma が1990年以降のVIXの平均(約 19.419.4)の何倍かを求めてください。

穏やかな端(月2%)の年率の σ

荒れた端(月20%)を年率換算すると、19.4 の何倍か

✅ 正解です! 穏やかな端は年 2%×12≈6.9%2\% \times \sqrt{12} \approx 6.9\%、荒れた端は 20%×12≈69.3%20\% \times \sqrt{12} \approx 69.3\% です。これはVIXの平均 19.419.4 の約 3.63.6 倍で、2008年後半の値と同じ範囲にあります。
❌ 惜しい! 1212 を掛けるのは平均のルールです。標準偏差は時間の平方根に比例して大きくなるので、12≈3.46\sqrt{12} \approx 3.46 を掛けます。
❌ 惜しい! 1か月から1年に直すと σ\sigma は大きくなります。12\sqrt{12} で割るのではなく、掛けます。
❌ 惜しい! 22=42^2 = 4 は、パーセントの2乗で表した月次の分散で、年率の標準偏差ではありません。
❌ 惜しい! 20/19.420/19.4 は、月次の σ\sigma を、年率のボラティリティであるVIXと比べています。先に 20%20\% を年率換算します。
❌ 惜しい! 20×12=24020 \times 12 = 240 は、標準偏差を平均のように換算しています。1212 ではなく 12\sqrt{12} を使います。
❌ 惜しい! それは、年率換算した荒れた端の σ\sigma に対する 19.419.4 の割合です。求めているのは、荒れた端の σ\sigma を 19.419.4 で割った倍率です。
❌ 年率の σ を確かめましょう。 月次の標準偏差に 12\sqrt{12} を掛けます。
❌ 倍率を確かめましょう。 月 20%20\% を年率換算してから、19.419.4 で割ります。
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ステップ1:両端を年率換算する(各月は独立なので、σ\sigma は 12≈3.464\sqrt{12} \approx 3.464 倍になります):

σ穏やか≈2%×12≈6.9%(年率),σ荒れた月≈20%×12≈69.3%(年率)\sigma_{\text{穏やか}} \approx 2\% \times \sqrt{12} \approx 6.9\% \text{(年率)}, \qquad \sigma_{\text{荒れた月}} \approx 20\% \times \sqrt{12} \approx 69.3\% \text{(年率)}

ステップ2:VIXの平均と比べる。VIX自体がパーセントで表した年率のボラティリティなので、両者はそのまま比べられます:

69.319.4≈3.6\frac{69.3}{19.4} \approx 3.6

穏やかな月のボラティリティは、年率で表すと標準の 1616〜20%20\% を大きく下回ります。荒れた月のボラティリティはVIXの長期平均の3倍を超え、2008年後半の 8080 超の値の領域に入ります。市場のボラティリティは時間とともに変わるのです。

問4 · 20年間の手数料の重み

条件:あるベンチマーク指数は、手数料を差し引く前で毎年 8.0%8.0\% のリターンを生みます(説明用)。それに連動するインデックス・ファンドの手数料は年 0.05%0.05\% なので、7.95%7.95\% で成長します。スキルのない架空のアクティブ・ファンドの手数料は年 0.9%0.9\% なので、7.1%7.1\% で成長します。それぞれに同じ額を投資し、20年間置いておきます。アクティブ・ファンドの最終的な価値がインデックス・ファンドの価値をどれだけ下回るかを、インデックス・ファンドの価値に対する割合で求めてください。

✅ 正解です! (1.071/1.0795)20≈0.854(1.071/1.0795)^{20} \approx 0.854 なので、アクティブ・ファンドは最終的にインデックス・ファンドより約 14.6%14.6\% 低くなります。
❌ あと一歩! 20×0.85=1720 \times 0.85 = 17 は、毎年の手数料の差を、どれも元の額にかかるかのように足し合わせています。成長は複利です:(1.071)20(1.071)^{20} と (1.0795)20(1.0795)^{20} を比べます。
❌ 惜しい! 0.850.85 ポイントは1年分の成長率の差です。20年間では、その差が複利で積み重なります。
❌ あと一歩! 1−(1.071/1.08)20≈15.4%1 - (1.071/1.08)^{20} \approx 15.4\% は、アクティブ・ファンドを、費用なしで株を保有する場合と比べています。インデックス・ファンドも 0.05%0.05\% の手数料を払うので、1.07951.0795 で割ります。
❌ 惜しい! 各ファンドを正味の成長率で20年間成長させ、2つの最終的な価値を比べます。
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ステップ1:正味の成長率。インデックス・ファンドは 8.0%−0.05%=7.95%8.0\% - 0.05\% = 7.95\%、アクティブ・ファンドは 8.0%−0.9%=7.1%8.0\% - 0.9\% = 7.1\% です(どちらも年率)。

ステップ2:最終的な価値の比(投資額は約分されて消えます):

(1.0711.0795)20≈0.9921320≈0.854\left(\frac{1.071}{1.0795}\right)^{20} \approx 0.99213^{20} \approx 0.854

ステップ3:不足分。

1−0.854≈14.6%1 - 0.854 \approx 14.6\%

スキルのないファンドが稼ぐのは市場から手数料を引いた分なので、年1ポイントに満たない手数料の差でも、20年間で最終的な価値の約7分の1を失います。平均的なアクティブ・ファンドがパッシブな代わりの選択肢を下回る理由の一部です。

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