ファイナンス理論 · 第15回 · 動画2 · インタラクティブ教材

一つの公式、三つの構造:130/30ファンド、住宅ローン、正味投資額ゼロ

I重要な公式

公式名称説明
ωロング+ωショート=1\omega_{\text{ロング}} + \omega_{\text{ショート}} = 1(例:1.30+(−0.30)=11.30 + (-0.30) = 1)ショートに上限のあるロング・ショート・ファンド(130/30、120/20、180/80)ウェイトの合計はやはり1なので、ショートのウェイトの下限は、ロングのウェイトの上限でもあります
ω住宅=住宅の価値自己資本,ω住宅ローン=−借入額自己資本\omega_{\text{住宅}} = \dfrac{\text{住宅の価値}}{\text{自己資本}}, \quad \omega_{\text{住宅ローン}} = -\dfrac{\text{借入額}}{\text{自己資本}}レバレッジをかけた住宅分母は正味投資額(頭金)です。借入は負のポジションで、レバレッジ比率 = 住宅の価値 / 自己資本 です
R自己資本=ω住宅R住宅+ω住宅ローン×0%R_{\text{自己資本}} = \omega_{\text{住宅}} R_{\text{住宅}} + \omega_{\text{住宅ローン}} \times 0\%自己資本の実現リターン(利息は無視)価格の変化率はすべて、レバレッジ比率倍になって自己資本に表れます。利益でも損失でも同じです
NAPA+NBPB=0  ⇒  ωA=NAPA0N_A P_A + N_B P_B = 0 \;\Rightarrow\; \omega_A = \dfrac{N_A P_A}{0} は定義できない正味投資額ゼロ正味で投じたお金がないので、パーセントのウェイトは存在しません。ポジションは金額で表します

ポイント:1つの公式で、3つの構造すべてを扱えます。どの場合も、負のポジション(空売りか借入)が、100%を超えるロングのエクスポージャーの資金源になっています。負のポジションがロングと同じ大きさまで増えると、ウェイトの分母が0になり、パーセントの代わりに金額を使わなければなりません。

IIショートを抑えればロングも抑えられる

ロングのウェイトとショートのウェイトの合計は常に100%なので、ショート側に上限を設けると、ロング側にも上限がかかります。

💡 ロングしかできないマネージャーは、ある株が下がると思っても、組み入れないでおくことしかできません。上限つきのショート側があれば、ネットで100%のロングを保ったまま、その株が下がったときに利益を得られます。130/30型は2008年以前に非常に人気があり、最初の数年間はS&Pを上回りましたが、2008年以降に大きく縮小し、2020年代半ばに再び関心を集めました。

III住宅ローンはレバレッジ

借入は負のウェイトなので、説明用の住宅の価格が動くと、その変化率は何倍にもなって自己資本に表れます。

IV正味投資額がゼロになるとき

ショート・ポジションがロングと同じ大きさに近づくと、ウェイトの分母は0に向かって縮み、ウェイトは発散します。

💡 正味投資額ゼロは、リスクゼロではありません。Aが上がってBが下がれば両方の側で利益が出て、Aが下がってBが上がれば両方の側で損失が出ます。それぞれの側の金額が、どれだけのお金がかかっているかを示しています。

V確認クイズ

問1 · 150/50ファンドを金額で

条件:あるマネージャーが、顧客の資金2億5,000万ドルで150/50ファンドを運用しています。ファンドのロングとショートのポジションを金額で求めてください。

✅ 正解です! 3億7,500万ドル − 1億2,500万ドル = 2億5,000万ドルで、ちょうど顧客の資金と同じです:1.50+(−0.50)=11.50 + (-0.50) = 1。
❌ 惜しい! ロング側は顧客の資金の100%ではなく150%です。空売りで得た現金で、余分の50%を買うのです。この選択肢のままだと、ネットはわずか1億2,500万ドルになってしまいます。
❌ 惜しい! それは資金を 150 : 50 の比で分けています。ウェイトは正味投資額に対して測るので、ロング側は2億5,000万ドルの4分の3ではなく、1.5倍です。
❌ 惜しい! それはパーセントの数字を、そのまま百万ドル単位の金額として読んだものです。各ウェイトにファンドの2億5,000万ドルをかけましょう。
❌ 惜しい! 各ウェイトに正味投資額をかけましょう。
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150/50ファンドは ωロング=1.50\omega_{\text{ロング}} = 1.50、ωショート=−0.50\omega_{\text{ショート}} = -0.50 で、1.50+(−0.50)=11.50 + (-0.50) = 1 です。

ロング:1.50 × 2億5,000万ドル = 3億7,500万ドル。ショート:0.50 × 2億5,000万ドル = 1億2,500万ドル分の株を借りて売ります。

検算:3億7,500万ドル − 1億2,500万ドル = 2億5,000万ドルで、顧客が預けたお金です。空売りで調達した1億2,500万ドルが、100%を超える分のロングのエクスポージャーの資金になります。

問2 · 頭金10%

条件:$360,000 の家を頭金10%で買い、残りを借ります。住宅ローンの利息と費用は無視します。その後、家の価格が6%下がりました。自己資本の変化を、出したお金に対するパーセントで求めてください。

✅ 正解です! 頭金10%ならレバレッジは10対1なので、価格が6%下がると、自己資本の60%が消えます。
❌ 惜しい! −6% は家のリターンです。自己資本はわずか $36,000 で、$21,600 の損失をすべて引き受けます。
❌ 惜しいですが… 900%は住宅ローンのウェイトの大きさです。家のウェイトは $360,000 / $36,000 = 1000% で、ローンのリターンは0です。
❌ 惜しい! レバレッジは価格の変化を何倍にもするもので、割るものではありません。
❌ 惜しい! 損失額を頭金と比べましょう。
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頭金(自己資本):10% × $360,000 = $36,000。借入:$324,000。

ウェイト:ω住宅\omega_{\text{住宅}} = $360,000 / $36,000 = 1000%、ω住宅ローン\omega_{\text{住宅ローン}} = −$324,000 / $36,000 = −900% で、合計は100%です。レバレッジ比率は10対1です。

金額で見ると、家は 6% × $360,000 = $21,600 値下がりし、ローンは変わらないので、自己資本は $36,000 から $14,400 に減ります。変化は −$21,600 / $36,000 = −60% です。

ウェイトで見ると:R自己資本=1000%×(−6%)+(−900%)×0%=−60%R_{\text{自己資本}} = 1000\% \times (-6\%) + (-900\%) \times 0\% = -60\%

問3 · ショート側は下落を和らげるか

条件:ある150/50ファンドが、顧客の資金4,000万ドルを運用しています。1か月のあいだに、ロングで保有するすべての株も、空売りしたすべての株も、12%下がりました。ファンドの損益を求めてください。

✅ 正解です! ファンドは 150% − 50% = 100% のネット・ロングなので、市場全体が12%下がれば、ロングのみのファンドとまったく同じく12%の損失になります。
❌ 惜しい! それはロング側だけを数えています。空売りした株も下がっており、ショート・ポジションは株が下がると利益が出ます。
❌ 惜しい! 株が下がっても、ショート側は損をしません。売ったときより安く買い戻せるので、240万ドルの利益になります。
❌ 惜しい! ロング6,000万ドルとショート2,000万ドルは釣り合っていません。ファンドはネットで100%のロングのままなので、ショート側は市場の下落を和らげません。
❌ 惜しい! それぞれの側の損益を金額で求めてから、足しましょう。
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ポジション:ロングは 1.50 × 4,000万ドル = 6,000万ドル、ショートは 0.50 × 4,000万ドル = 2,000万ドル。

ロング側:12% × 6,000万ドル = 720万ドルの損失。ショート側:借りた株の価値は 12% × 2,000万ドル = 240万ドル下がったので、買い戻す費用は売却で得た額より240万ドル少なくて済みます。つまり240万ドルの利益です。

ネット:−720万ドル + 240万ドル = −480万ドルで、−480万ドル / 4,000万ドル = −12% です。

ウェイトで見ると:1.50×(−12%)+(−0.50)×(−12%)=−18%+6%=−12%1.50 \times (-12\%) + (-0.50) \times (-12\%) = -18\% + 6\% = -12\%

ウェイトの合計は100%なので、すべての株を同じ率だけ動かす変化は、ファンドも同じ率だけ動かします。ですから150/50の構造が、同じロングを100%で持つ場合を上回るのは、空売りした株がロングの株より悪い成績のときだけです。

問4 · 正味投資額ゼロ

条件:株Aを1株 $60 で200株買い、株Bを1株 $20 で600株空売りして、その代金でAの購入費用をまかないます(証拠金の要件は無視します)。

Aのポートフォリオ・ウェイトはいくらですか

その後、Aが3%上がり、Bが6%下がります。損益は金額でいくらですか

✅ 正解です! ウェイトは存在しませんが、金額は存在します。Aを $12,000 ロング、Bを $12,000 ショートしていて、両方の側で利益が出ました。
❌ 惜しい! それはグロスのエクスポージャー($12,000 + $12,000)で割っています。ウェイトの公式は符号つきのポジションの合計で割り、ここではそれが $0 です。
❌ 惜しい! 100%になるには、Aが正味投資額のすべてでなければなりませんが、正味投資額は $12,000 + (−$12,000) = $0 です。
❌ 惜しい! ウェイトは株数ではなく金額 NiPiN_i P_i からつくります。そしてここでは、その金額の合計が0です。
❌ 惜しい! それはロングの側だけです。Bは下がっており、ショート・ポジションは株が下がると利益が出ます。
❌ 惜しいですが… ショートの側の符号を確認しましょう。Bが6%下がれば $720 安く買い戻せるので、利益です。
❌ 惜しい! 正味投資額ゼロは、リスクゼロではありません。それぞれの側に $12,000 のエクスポージャーがあります。
❌ 惜しい! まず分母 NAPA+NBPBN_A P_A + N_B P_B を計算しましょう。
❌ 惜しい! それぞれの側の損益を金額で求めてから、足しましょう。
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金額でのポジション:Aは 200 × $60 = $12,000、Bは −600 × $20 = −$12,000。

分母:$12,000 + (−$12,000) = $0 なので、ωA\omega_A = $12,000 / $0 は定義できません。代わりに、ポートフォリオを金額で表します。Aを $12,000 ロング、Bを $12,000 ショートです。

ロングの側:3% × $12,000 = +$360。ショートの側:Bの株の価値は 6% × $12,000 = $720 下がったので、ショートを閉じると $720 の利益になります。

合計:$360 + $720 = $1,080。逆にAが下がってBが上がっていたら、両方の側で損失が出ていました。

正解数:0 / 4