ファイナンス理論 · 第16回 · 動画4 · インタラクティブ教材

相関がポートフォリオのリスクをどこまで減らせるかを決める

I重要な公式

公式場合読み方
E[Rp]=ωaμa+ωbμb\text{E}[R_p] = \omega_a\mu_a + \omega_b\mu_b期待リターンρ\rho が入っていません。相関を変えても、ポートフォリオの期待リターンは決して動きません
Var[Rp]=ωa2σa2+ωb2σb2+2ωaωbσaσbρab\text{Var}[R_p] = \omega_a^2\sigma_a^2 + \omega_b^2\sigma_b^2 + 2\omega_a\omega_b\sigma_a\sigma_b\rho_{ab}分散ρ\rho は交差項にしかありません。ρ=0\rho = 0 ではその項が消えます
SD[Rp]=ωaσa+ωbσb\text{SD}[R_p] = \omega_a\sigma_a + \omega_b\sigma_bρ=+1\rho = +10≤ω≤10 \le \omega \le 1 では2つの標準偏差の加重平均です。直線になり、リスクはまったく減りません
SD[Rp]=∣ωaσa−ωbσb∣\text{SD}[R_p] = |\omega_a\sigma_a - \omega_b\sigma_b|ρ=−1\rho = -1ωaσa=ωbσb\omega_a\sigma_a = \omega_b\sigma_b、つまり ωb=σaσa+σb\omega_b = \dfrac{\sigma_a}{\sigma_a + \sigma_b} のときに0になります。縦軸上で交わる2本の線分です

ポイント:2つの株の平均と標準偏差が両端の点を決め、そのあいだの曲線がどれだけ西へ曲がるかを相関が決めます。ゼネラル・モーターズ(GM)とモトローラの75対25の組み合わせは、ρ\rho がいくつでも月におよそ 1.25%1.25\% を稼ぎますが、そのリスクは ρ=+1\rho = +1 でのおよそ 7.1%7.1\% から、ρ=−1\rho = -1 での 2.24%2.24\% まで下がります。

II相関が弾丸型の曲線を曲げる

ρ\rho を下げても、どのポートフォリオも期待リターンはそのままで、動くのはリスクだけです。そのため曲線は西へ曲がります。

IIIρ = −1 の三角形

ρ=−1\rho = -1 では重みをつけた標準偏差どうしが引き算になるので、説明用の2つの株のある組み合わせはリスクがまったくありません。

💡 説明用のアイビスとジャカナの組み合わせでは、リスクなしで月 0.97%0.97\%、年におよそ 11.6%11.6\% となり、Tビルの利回りをはるかに上回ります。これは裁定機会、つまりフリーランチです。だからこそ、相関がちょうど −1-1 になる現実の資産の組み合わせは存在しないのです。

IV確認クイズ

問1 · 半分ずつのポートフォリオのリスク

条件:説明用の2つの株があり、月次の数字は次のとおりです。アイビスは平均 0.7%0.7\%、標準偏差 4%4\%、ジャカナは平均 1.5%1.5\%、標準偏差 8%8\% で、2つの相関は ρ=0.5\rho = 0.5 です。それぞれに 50%50\% ずつ投資するポートフォリオの標準偏差を求めてください。

✅ 正解です! 分散は %2\%^2 単位で 4+16+8=284 + 16 + 8 = 28、28≈5.29%\sqrt{28} \approx 5.29\% です。ρ<1\rho < 1 なので、2つの標準偏差の平均 6%6\% より小さくなります。
❌ 惜しい! 交差項には 22 の係数がつきます。2(0.5)(0.5)(4)(8)(0.5)=82(0.5)(0.5)(4)(8)(0.5) = 8 で、44 ではありません。44 を使うと 24≈4.90%\sqrt{24} \approx 4.90\% になってしまいます。
❌ 惜しい! 0.5×4+0.5×8=60.5 \times 4 + 0.5 \times 8 = 6 は標準偏差の加重平均で、これがポートフォリオの標準偏差になるのは ρ=+1\rho = +1 のときだけです。ρ=0.5\rho = 0.5 では交差項が小さいので、リスクはもっと低くなります。
❌ 惜しい! 4+16≈4.47%\sqrt{4 + 16} \approx 4.47\% は交差項を落としています。これが正しいのは ρ=0\rho = 0 のときだけです。ここでは ρ=0.5\rho = 0.5 なので、分散に 88 が加わります。
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ωアイビス=ωジャカナ=0.5\omega_{\text{アイビス}} = \omega_{\text{ジャカナ}} = 0.5 として、分散を %2\%^2 単位で計算します:

Var[Rp]=0.52(42)+0.52(82)+2(0.5)(0.5)(4)(8)(0.5)=4+16+8=28\text{Var}[R_p] = 0.5^2(4^2) + 0.5^2(8^2) + 2(0.5)(0.5)(4)(8)(0.5) = 4 + 16 + 8 = 28 SD[Rp]=28≈5.29%(月次)\text{SD}[R_p] = \sqrt{28} \approx 5.29\% \text{(月次)}

期待リターンは 0.5(0.7)+0.5(1.5)=1.1%0.5(0.7) + 0.5(1.5) = 1.1\% で、2つの株のちょうど中間ですが、リスクは中間の値 6%6\% を下回ります。

問2 · 相関が下がると何が変わるか

条件:同じ説明用の株(月次で、アイビスは 0.7%0.7\% と 4%4\%、ジャカナは 1.5%1.5\% と 8%8\%)と、アイビスに 25%25\%、ジャカナに 75%75\% を入れたポートフォリオがあります。2つの相関が ρ=0.5\rho = 0.5 から ρ=−0.5\rho = -0.5 に下がります。この変化を正しく述べているのはどれですか?

✅ 正解です! ポートフォリオは真西へ動きます。同じ 1.30%1.30\% のリターンで、リスクはおよそ1ポイント小さくなります。
❌ 惜しい! 期待リターン ωaμa+ωbμb\omega_a\mu_a + \omega_b\mu_b には ρ\rho が入っていないので、1.30%1.30\% のままです。動くのはリスクだけです。
❌ 惜しい! この値は交差項を 6ρ6\rho としています。22 の係数があるので、正しくは 2(0.25)(0.75)(4)(8)ρ=12ρ2(0.25)(0.75)(4)(8)\rho = 12\rho です。
❌ 惜しい! 5%=∣0.25×4−0.75×8∣5\% = |0.25 \times 4 - 0.75 \times 8| は ρ=−1\rho = -1 のときにしか成り立たない近道です。ρ=−0.5\rho = -0.5 では、分散は 1+36−6=311 + 36 - 6 = 31 です。
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期待リターン(ρ\rho は入らない):どちらの相関でも 0.25(0.7)+0.75(1.5)=0.175+1.125=1.30%0.25(0.7) + 0.75(1.5) = 0.175 + 1.125 = 1.30\% です。

分散(%2\%^2 単位)を ρ\rho の関数として書くと:

Var[Rp]=0.252(16)+0.752(64)+2(0.25)(0.75)(4)(8)ρ=1+36+12ρ\text{Var}[R_p] = 0.25^2(16) + 0.75^2(64) + 2(0.25)(0.75)(4)(8)\rho = 1 + 36 + 12\rho

ρ=0.5\rho = 0.5 では 37+6=4337 + 6 = 43 なので、SD=43≈6.56%\text{SD} = \sqrt{43} \approx 6.56\% です。

ρ=−0.5\rho = -0.5 では 37−6=3137 - 6 = 31 なので、SD=31≈5.57%\text{SD} = \sqrt{31} \approx 5.57\% です。

相関が下がると、リターンは変わらないまま、リスクがおよそ1ポイント減ります。

問3 · リスクが等しい2つの組み合わせ

条件:説明用のアイビス(0.7%0.7\%、4%4\%)とジャカナ(1.5%1.5\%、8%8\%)の相関がちょうど ρ=−1\rho = -1 で、買いポジションだけを持つとします(0≤ωアイビス≤10 \le \omega_{\text{アイビス}} \le 1)。標準偏差がちょうど月 2%2\% になるポートフォリオが2つあります。

SD[Rp]=2%\text{SD}[R_p] = 2\% になるアイビスのウェイトはどれですか?

平均・分散投資家は、2つのうちどちらを持ちますか?

✅ 正解です! リスクは同じ 2%2\% ですが、1.10%>0.83%1.10\% > 0.83\% です。半分ずつのポートフォリオが優越するので、三角形の下側の線分上のポートフォリオを持つ人はいません。
❌ 惜しい! ρ=−1\rho = -1 では SD[Rp]=∣4ω−8(1−ω)∣=∣12ω−8∣\text{SD}[R_p] = |4\omega - 8(1 - \omega)| = |12\omega - 8| です。これを 22 とおいてください。
❌ 惜しい! 絶対値から 12ω−8=212\omega - 8 = 2 と 12ω−8=−212\omega - 8 = -2 の2つの場合が出てきて、どちらのウェイトも 00 と 11 のあいだにあります。
❌ 惜しい! ω=23\omega = \tfrac{2}{3} は ∣12ω−8∣=0|12\omega - 8| = 0 となるリスク0の頂点で、ω=13\omega = \tfrac{1}{3} では ∣4−8∣=4%|4 - 8| = 4\% になります。
❌ 惜しい! 2つのポートフォリオの期待リターンを比べてください。リスクが等しければ、平均が高いほうが勝ちます。
❌ 惜しい! リスクが等しいことは比較の半分にすぎません。期待リターンは 1.10%1.10\% とおよそ 0.83%0.83\% で異なるので、一方がもう一方に優越します。
❌ 惜しい! どちらのポートフォリオもリスクは同じ 2%2\% なので、アイビスを多く持っても安全にはならず、リターンが下がるだけです。
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ステップ1:ρ=−1\rho = -1 でのリスク。分散は完全平方なので:

SD[Rp]=∣4ω−8(1−ω)∣=∣12ω−8∣\text{SD}[R_p] = |4\omega - 8(1 - \omega)| = |12\omega - 8|

ステップ2:∣12ω−8∣=2|12\omega - 8| = 2 を解く。12ω−8=212\omega - 8 = 2 なら ω=1012=56\omega = \tfrac{10}{12} = \tfrac{5}{6}、12ω−8=−212\omega - 8 = -2 なら ω=612=12\omega = \tfrac{6}{12} = \tfrac{1}{2} です。

ステップ3:期待リターン。

ω=12: 0.5(0.7)+0.5(1.5)=1.10%\omega = \tfrac{1}{2}:\ 0.5(0.7) + 0.5(1.5) = 1.10\% ω=56: 56(0.7)+16(1.5)=3.5+1.56≈0.83%\omega = \tfrac{5}{6}:\ \tfrac{5}{6}(0.7) + \tfrac{1}{6}(1.5) = \tfrac{3.5 + 1.5}{6} \approx 0.83\%

ステップ4:比較する。リスクが等しく、期待リターンが高いので、ωアイビス=12\omega_{\text{アイビス}} = \tfrac{1}{2} が優越します。56\tfrac{5}{6} の組み合わせはアイビスから頂点への線分上にあり、そこにあるどのポートフォリオにも、上側の線分上に、リスクが同じでリターンの大きい相手があります。

問4 · 完全相関のもとでの空売り

条件:今度は、説明用のアイビス(0.7%0.7\%、4%4\%)とジャカナ(1.5%1.5\%、8%8\%)の相関が ρ=+1\rho = +1 だったとします。ある投資家がジャカナを空売りし、その代金をアイビスに入れます。ωアイビス=1.25\omega_{\text{アイビス}} = 1.25、ωジャカナ=−0.25\omega_{\text{ジャカナ}} = -0.25 です。

ポートフォリオの標準偏差はいくつですか?

このポートフォリオは、アイビスだけを持つことに優越しますか?

✅ 正解です! リスクは小さく(3%<4%3\% < 4\%)、リターンも小さい(0.50%<0.7%0.50\% < 0.7\%)ので、これは直線に沿ったトレードオフであって、優越ではありません。
❌ 惜しい! 符号つきのウェイトを分散の公式全体に代入してください。一方のウェイトが負なので、交差項は負になります。
❌ 惜しい! 1.25×4+0.25×8=71.25 \times 4 + 0.25 \times 8 = 7 は、空売りを買いポジションとして扱っています。ωジャカナ=−0.25\omega_{\text{ジャカナ}} = -0.25 なので、重みをつけた標準偏差どうしは引き算になり、∣5−2∣=3|5 - 2| = 3 です。
❌ 惜しい! ρ=+1\rho = +1 では、買いだけの組み合わせはアイビスのリスクを下回れませんが、空売りを使えば下回れます。分散は 25+4−20=925 + 4 - 20 = 9 です。
❌ 惜しい! 25+4\sqrt{25 + 4} は交差項 2(1.25)(−0.25)(4)(8)(1)=−202(1.25)(-0.25)(4)(8)(1) = -20 を落としています。ρ=+1\rho = +1 ではこの項が大きいのです。
❌ 惜しい! 優越するには、リスクが小さく、しかも期待リターンが少なくとも同じでなければなりません。符号つきのウェイトで E[Rp]\text{E}[R_p] を計算してください。
❌ 惜しい! リスクが小さいだけでは優越ではありません。ジャカナの空売りは、期待リターンも 0.50%0.50\% に引き下げます。
❌ 惜しい! 期待リターンはウェイトとともに変わります。1.25(0.7)−0.25(1.5)=0.50%1.25(0.7) - 0.25(1.5) = 0.50\% で、0.7%0.7\% ではありません。
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分散(%2\%^2 単位、符号つきのウェイト):

Var[Rp]=1.252(16)+(−0.25)2(64)+2(1.25)(−0.25)(4)(8)(1)=25+4−20=9\text{Var}[R_p] = 1.25^2(16) + (-0.25)^2(64) + 2(1.25)(-0.25)(4)(8)(1) = 25 + 4 - 20 = 9

よって SD[Rp]=9=3%\text{SD}[R_p] = \sqrt{9} = 3\% です。ρ=+1\rho = +1 では分散は完全平方 (1.25×4−0.25×8)2=(5−2)2(1.25 \times 4 - 0.25 \times 8)^2 = (5 - 2)^2 になり、同じ答えが得られます。

期待リターン:1.25(0.7)−0.25(1.5)=0.875−0.375=0.50%1.25(0.7) - 0.25(1.5) = 0.875 - 0.375 = 0.50\%。

このポートフォリオはアイビスよりリスクが小さい(3%<4%3\% < 4\%)一方、期待リターンも小さくなります(0.50%<0.7%0.50\% < 0.7\%)。ρ=+1\rho = +1 でアイビスのリスクを下回る方法はジャカナを空売りすることだけで、そうするとリスクと一緒にリターンも下がります。ですから、これはトレードオフであって、優越ではありません。

正解数:0 / 4