ファイナンス理論 · 第16回 · 動画8 · インタラクティブ教材
三銘柄でつくる弾丸型:長期の視点と均衡への道
I重要な公式
ポイント:株が3つ以上あると、どの株も最小分散境界の上にあるとは限りません。ゼネラル・モーターズ(GM)、IBM、モトローラ(MOT)では、弾丸型は3つすべてのはっきり北西を通ります。そしてその入力は長い投資期間(15〜20年)に向けた推定値であって、明日の予測ではありません。
II12年の保有期間と月々の変動
h か月のあいだに、平均は h に比例して増えますが、標準偏差は h に比例してしか増えません。
💡 説明用の保有銘柄(架空の株ニンバス:月次の平均 0.8%、標準偏差 5%)。各月は独立で毎月同じ分散をもつとし、複利は無視します。年率換算のルール(平均 ×12、標準偏差 ×12)を h か月に当てはめたものです。2008年9月にバフェットがゴールドマン・サックスに投じた50億ドルは、数週間のうちに含み損を抱えましたが、投資期間は15〜20年でした。
III行列のすべてのマス
ポートフォリオの分散は9つのマスすべての和です。各マスは、ウェイトの組 × その分散または共分散です。
IV弾丸型は3つすべての北西を通る
どの株も3銘柄の弾丸型の内側にあります。リターンでその株に勝るポートフォリオも、リスクで勝るポートフォリオもあります(空売り可:ウェイトは負でもかまいません)。
💡 すべての投資家がこの上側の枝のポートフォリオを持っても、理論が自滅することはありません。誰もが理論に従うことで均衡が生まれます。それが資本資産価格モデル(CAPM)で、これからのユニットで組み立てていきます。
V確認クイズ
問1 · 3銘柄の組み合わせの期待リターン
条件(説明用): 3つの架空の株。リターンは月次で、%で表します。
ウェイトが ωN=0.5、ωO=0.3、ωP=0.2 のとき、ポートフォリオの月次の期待リターンを求めてください。
✅ 正解です! 0.5×0.8+0.3×1.1+0.2×1.6=0.40+0.33+0.32=1.05(月次、%)。
❌ それは等ウェイトの平均です。 (0.8+1.1+1.6)/3≈1.17 はウェイトを無視しています。ニンバスはポートフォリオの半分を占めます。
❌ ウェイトをかける株が違います。 0.2×0.8+0.3×1.1+0.5×1.6=1.29 では、お金の半分をニンバスではなくパイロンに入れています。
❌ 惜しい! 0.8+1.1+1.6=3.5 は平均をウェイトなしで足しています。ウェイトの合計は1なので、答えは
0.8 と
1.6 のあいだにあるはずです。
解答を見る
ポートフォリオの平均は、3つの平均の加重平均です:
E[RP]=ωNμN+ωOμO+ωPμP=0.5(0.8)+0.3(1.1)+0.2(1.6)
=0.40+0.33+0.32=1.05
期待リターンは月1.05%です。入ってくるのは平均とウェイトだけです。共分散が効くのは分散であって、平均ではありません。
問2 · 9つのマスを足し合わせる
条件: 同じ3つの株とウェイト ωN=0.5、ωO=0.3、ωP=0.2(分散と共分散は問1の表の値、単位は %2)。ポートフォリオの分散を求め、このポートフォリオをニンバス単独と比べてください。
var(RP) はいくつですか?
ニンバスだけを保有する場合(平均 0.8%、標準偏差 5%)と比べて、このポートフォリオは…
✅ 正解です! var(RP)=24.17 なので
σP=24.17≈4.92% で、ニンバスの
5% を下回り、しかも平均
1.05% はニンバスの
0.8% を上回ります。ニンバスは最小分散境界の上にはありません。
❌ 係数2が抜けています。 各共分散は行列の2つのマス(
σNO と
σON)に現れるので、組ごとの項は
2ωiωjσij です。
❌ 対角のウェイトは二乗します。 対角のマスは
ωi⋅ωi⋅σi2、つまり行のウェイト × 列のウェイトなので、
0.52×25=6.25 であって
0.5×25 ではありません。
❌ それは対角だけです。 6.25+4.41+4.00=14.66 には、合わせて
9.51 になる6つの共分散のマスが入っていません。
❌ 分散を確かめてください。 9つのマスをすべて足します。ウェイトを二乗した3つの分散の項と、2倍した3つの共分散の項です。
❌ リスクの高い株を混ぜても、リスクは下がりえます。 相関が
0.3 や
0.4 なら共分散のマスは十分に小さく、
σP≈4.92% とニンバスの
5% を下回ります。
❌ 標準偏差は平均されません。 ポートフォリオの標準偏差は9つのマスすべてから決まり、
σP=24.17≈4.92% です。
5% ではありません。
❌ 必要なものはすべて表にあります。 共分散(
10.5、
15.0、
28.0)が与えられているので、
σP≈4.92% をそのままニンバスの
5% と比べられます。
❌ 数字を比べてください。 σP=var(RP) を求め、平均どうし、標準偏差どうしを比べます。
解答を見る
対角のマス(ウェイトの二乗 × 分散):
0.52(25)+0.32(49)+0.22(100)=6.25+4.41+4.00=14.66
対角の外のマス(2つずつ組にして、2 × ウェイト × ウェイト × 共分散):
2(0.5)(0.3)(10.5)+2(0.5)(0.2)(15.0)+2(0.3)(0.2)(28.0)=3.15+3.00+3.36=9.51
var(RP)=14.66+9.51=24.17 (%2),σP=24.17≈4.92%
問1より、平均は 1.05% です。ニンバス(0.8%、5%)と比べて、このポートフォリオは平均が高く、しかも標準偏差が低いので、ニンバスに優越します。
問3 · オーラリーと同じ平均で、より低いリスク
条件: 同じ3つの株。ニンバスとパイロンだけ(ωO=0)で、期待リターンがオーラリーの月 1.1% に等しいポートフォリオをつくります。パイロンのウェイトとポートフォリオの標準偏差を求めてください。
平均が 1.1% になるパイロンのウェイトは?
ポートフォリオの標準偏差は?
✅ 正解です! オーラリー自身の平均
1.1% で、この組み合わせの標準偏差は約
5.56%、オーラリーは
7% です。したがって、オーラリーも最小分散境界の上にはありません。
❌ 平均の比ではありません。 1.1/1.6≈0.6875 はニンバスの
0.8% を無視しています。
0.8(1−ωP)+1.6ωP=1.1 を解いてください。
❌ 平均の差で割ってください。 1.1−0.8=0.3 は必要な上乗せ分です。パイロンにウェイトを1単位移すごとに
1.6−0.8=0.8 増えるので、
ωP=0.3/0.8 です。
❌ 半々では行き過ぎです。 0.5(0.8)+0.5(1.6)=1.2 はオーラリーの
1.1 を上回ります。
0.8(1−ωP)+1.6ωP=1.1 を解いてください。
❌ ウェイトを確かめてください。 0.8(1−ωP)+1.6ωP=1.1 とおいて、
ωP について解きます。
❌ リスクは標準偏差の加重平均ではありません。 0.625(5)+0.375(10)=6.875 が成り立つのは相関が
+1 のときだけです。
σNP=15.0 なら分散はもっと小さくなります。
❌ 共分散の項が抜けています。 平方根をとる前に、2つの対角の項に
2(0.625)(0.375)(15.0)≈7.03 を足してください。
❌ それは分散です。 30.86 の単位は
%2 で、標準偏差はその平方根です。
❌ 標準偏差を確かめてください。 共分散の項を含めて2銘柄の分散を計算し、その平方根をとります。
解答を見る
ステップ1:平均を合わせる。 ωN=1−ωP として:
0.8(1−ωP)+1.6ωP=0.8+0.8ωP=1.1⇒ωP=0.80.3=0.375, ωN=0.625
ステップ2:分散。 0でないのは、ニンバスとパイロンのマスだけです:
var(RP)=0.6252(25)+0.3752(100)+2(0.625)(0.375)(15.0)
=9.765625+14.0625+7.03125=30.859375 (%2)
σP=30.859375≈5.56%
オーラリーと同じ平均で、標準偏差は約 1.44 %ポイント低くなります。オーラリーは境界の右側、弾丸型の内側にあります。
問4 · 4つ目の株
条件: ニンバス、オーラリー、パイロンの最小分散境界(空売り可)。4つ目の架空の株を加え、4つすべてから境界を計算し直します。必ず正しいといえる記述はどれですか。
✅ 正解です! 新しい株のウェイトを
0 にすれば、3銘柄のポートフォリオはどれも引き続き選べます。ですから各平均での最小の分散は、下がるか変わらないかのどちらかです。
❌ 選択肢を加えても、選択肢が減ることはありません。 古いポートフォリオは引き続き選べる(新しい株のウェイトを
0 にする)ので、新しい株がどれほどリスクが高くても、どの平均でも最小の分散が上がることはありません。
❌ 株が3つ以上あれば、そうとは限りません。 GM、IBM、モトローラのように、個々の株は弾丸型のはっきり内側にありえます。新しい株が境界の上に来なければならない理由はありません。
❌ 範囲が狭すぎます。 新しい株はどのポートフォリオでも買い持ちにも売り持ちにもできるので、自分の平均より低い平均でも分散を下げられます。保証されているのは、何も悪くならないことだけです。
解答を見る
境界は期待リターンの水準ごとの最小の分散として定義されます。株が4つなら、候補のポートフォリオには3銘柄のポートフォリオがすべて含まれる(ω4=0 とおく)ので、各平均での最小値はより大きな集合からとられます:
σ4銘柄(μ)≤σ3銘柄(μ)任意の平均 μ
境界は左に動くかそのままで、右に動くことはありません。だからこそ、株を加えるほどポートフォリオ理論を使う理由は強くなり、また個々の株は、古いものも新しいものも、境界の上にあるとは限らないのです。
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