ファイナンス理論 · 第17回 · 動画1 · インタラクティブ教材
一銘柄だけ持つのはなぜ損か:三銘柄のフロンティアと、株価が連動する理由
I重要な公式
ポイント:証券を1つ増やしても、損をすることはありえません。そのウェイトを0にすれば、それまでのポートフォリオはすべて選べるので、効率的フロンティアは北西に動くか、悪くてもそのままです。
IIどの組み合わせも1つの点
ウェイトの組1つが、ポートフォリオ1つです。動画と同じく空売りを認めて描いた弾丸型の曲線では、その内側の点にはどれも、真上と真左により良いポートフォリオがあります。
III証券をもう1つ
モトローラを加えても、GMとIBMだけのポートフォリオはすべて(ウェイト0で)選べるので、上側の枝は北西にしか動きません。
IV株価が連動する理由
共通の景気循環と、株式をいっせいに売らせるパニックが相関を高め、分散投資で取り除けるリスクを小さくします。
💡 パニックがなければ、この説明用のモデルでは、景気循環の割合がどの2銘柄のあいだでも真の相関になります。48か月分のシミュレーションは、それを推定するにすぎません。割合が100%、つまり ρ=1 の場合に達するまでは、分散投資はリスクを下げます。
V確認クイズ
問1 · どれがどれに優越するか
条件(説明用):架空の3銘柄(年次リターン)。
1銘柄ずつ比べたとき、3銘柄のどれかがほかの銘柄に優越していますか?
ポートフォリオ Q のウェイトは (0.4, 0.3, 0.3) で、E[RQ]=9%、σQ≈15.2% です。Q はどの個別銘柄に優越しますか?
✅ 正解です! どの銘柄もほかの銘柄に優越しませんが、
Q はバーチと同じ平均で、リスクが約
4.8 ポイント低くなっています。ですから、バーチ100%は優越されます。動画のIBM 100%とまったく同じです。
❌ リスクが低いのは、優越の半分にすぎません。 アスターは
σ が低い代わりに、平均も低い(
6% 対
9%)ので、バーチの北西ではなく南西にあります。
❌ 平均が高いのは、優越の半分にすぎません。 シダーは稼ぎが多いものの、
30% のリスクを負うので、ほかの銘柄の北東にあります。良くも悪くもありません。
❌ 惜しい! 優越するには、平均が同じかより高く、
かつ、
σ が同じかより低いことが必要です。
❌ アスターを確かめましょう。 Q は平均ではアスターに勝ちますが、
15.2%>14% なので、
Q はアスターの北東にあります。優越はしません。
❌ それこそが、動画が覆した直感です。 ρ<1 なので、組み合わせの
σ は、3つの
σ の加重平均を下回ります。
Q とバーチを比べてみましょう。
❌ 惜しい! Q の
(15.2%, 9%) を、各銘柄の
(σ,平均) と1つずつ比べましょう。
解答を見る
銘柄どうしの比較。リスクの順に 14%<20%<30% と並べると、平均も 6%<9%<13% と上がっていきます。右へ進むたびに上へも進むので、どの2銘柄も互いに北東と南西の関係にあり、どの銘柄もほかの銘柄に優越しません(動画のGMとIBMと同じです)。
Q と各銘柄の比較。
- バーチ (20%,9%):平均が同じで 15.2%<20% なので、Q はバーチに優越します。
- アスター (14%,6%):Q は平均が高いものの σ も高いので、優越しません。
- シダー (30%,13%):Q はリスクが低いものの平均も低いので、優越しません。
Q が優越するのはバーチだけです。
問2 · 加重平均の落とし穴
条件:問1の銘柄です。あるポートフォリオは、アスターを 70%、バーチを 30% 持ちます(シダーはなし)。
その標準偏差 σp はいくつですか?
このポートフォリオは、アスター100%に優越しますか?
✅ 正解です! リスクの高い銘柄に
30% を移したのに、リスクは
下がりました。
ρAB=0.3 が
1 を大きく下回っているからです。アスター100%は、2銘柄の組み合わせにさえ優越されます。
❌ それは σ の加重平均です。 0.7(14)+0.3(20) が正しいのは、
ρAB=1 のときだけです。
ρAB=0.3 なら、分散の公式はもっと小さい値を与えます。
❌ 共分散の項が抜けています。 ρAB=0.3=0 なので、
2ωAωBσAB を加えます(
σAB=84)。
❌ あと一歩:交差項は2回現れます。 分散の表には、非対角のマスが
σAB と
σBA の2つあるので、係数
2 がつきます。
❌ 惜しい! σp2=ωA2σA2+ωB2σB2+2ωAωBρABσAσB を使い、平方根をとりましょう。
❌ 数字を確かめましょう。 その推論は、
σ を加重平均として扱っています。分散の公式では、約
12.9%<14% になります。
❌ 比べる相手が違います。 問われているのはアスター
(14%,6%) です。ここでの比較の基準はバーチではありません。
❌ 負の相関は必要ありません。 ρ が
1 を十分に下回っていれば、どの値でもそうなりえます。ここでは
ρAB=0.3 で足ります。
❌ 惜しい! (σp,E[Rp]) を、アスターの
(14%,6%) と比べましょう。
解答を見る
平均:E[Rp]=0.7(6%)+0.3(9%)=4.2%+2.7%=6.9%.
共分散:σAB=ρABσAσB=0.3×14×20=84(単位は %2)。
分散:
σp2=0.72(196)+0.32(400)+2(0.7)(0.3)(84)=96.04+36+35.28=167.32
σp=167.32≈12.9%
アスターと比べると、6.9%>6% かつ 12.9%<14% なので、この組み合わせはアスターの北西にあり、アスターに優越します。
問3 · 3銘柄の組み合わせとバーチ
条件:問1の銘柄です。あるポートフォリオは、アスター、バーチ、シダーに ω=(0.3, 0.3, 0.4) のウェイトを置きます。
その標準偏差 σp はいくつですか?
このポートフォリオは、バーチ100%、つまり (20%,9%) から見てどこにありますか?
✅ 正解です! (17.0%, 9.7%) は
(20%, 9%) の北西にあります。全額をバーチに投じるよりも、リターンが高く、リスクが低いのです。
❌ それは σ の加重平均です。 0.3(14)+0.3(20)+0.4(30) が正しいのは、すべての相関が
1 の場合だけです。
❌ あと一歩:交差項はそれぞれ2回現れます。 非対角の3つのペアが、それぞれ
2ωiωjσij ずつ寄与します。
❌ 共分散が抜けています。 相関が正なので、3つの交差項が分散に
92.88 を加えます。
❌ 惜しい! ウェイトをかけた3つの分散と、ウェイトをかけて2倍した3つの共分散を足し、平方根をとりましょう。
❌ リスクを確かめましょう。 17.0%<20% なので、この組み合わせはバーチの右ではなく
左にあります。
❌ 惜しい! 平均は
0.3(6)+0.3(9)+0.4(13)=9.7% です。両方の座標をバーチと比べましょう。
解答を見る
共分散(単位は %2):σAB=0.3(14)(20)=84、σAC=0.2(14)(30)=84、σBC=0.4(20)(30)=240。
平均:E[Rp]=0.3(6)+0.3(9)+0.4(13)=1.8+2.7+5.2=9.7%.
分散:まず対角の項、次に2倍した交差項です。
0.09(196)+0.09(400)+0.16(900)=17.64+36+144=197.64
2(0.3)(0.3)(84)+2(0.3)(0.4)(84)+2(0.3)(0.4)(240)=15.12+20.16+57.6=92.88
σp2=197.64+92.88=290.52,σp=290.52≈17.0%
バーチと比べると、9.7%>9% かつ 17.0%<20% なので、この組み合わせはバーチの北西にあり、バーチに優越します。
問4 · 単独では誰も持たない4つ目の銘柄
条件:4つ目の架空の銘柄、ドッグウッドが選択肢に加わります。平均 5%、σ=40% で、アスター、バーチ、シダーのどれとも無相関です。単独では、アスターに優越されます。効率的フロンティアはどうなりますか?
✅ 正解です! ωD=0 とすれば、それまでのポートフォリオはすべて選べます。ここでは、フロンティアは実際に改善します。無相関のドッグウッドを少し買い持ちすると、最小分散の
σ が約
12.8% から約
12.2% に下がります。
❌ 単独で優越されるからといって、組み合わせの中で役に立たないわけではありません。 GM、IBM、モトローラもそれぞれ優越されていますが、フロンティア上のポートフォリオは3つすべてを持ちます。ドッグウッドは相関が0なので、分散投資に役立ちます。
❌ それを持つ義務はありません。 ωD=0 なら、それまでのポートフォリオはすべて実現可能なので、フロンティアのどの部分も悪くなりえません。
❌ 含める義務はありません。 それまでの最小分散ポートフォリオは、今も選べます。新しい最小分散ポートフォリオは少なくとも同じだけ良く、ここでは実際により良くなります。
❌ 惜しい! ドッグウッドのウェイトが0のとき、それまでのポートフォリオがどうなるかを考えましょう。
解答を見る
失うものはありません。アスター、バーチ、シダーのどんなポートフォリオも、ωD=0 の4銘柄のポートフォリオであり、平均も σ も変わりません。ですから、どのリスク水準でも達成できる最高の平均は下がりえず、どの平均でも達成できる最小の σ は上がりえません。フロンティアは北西に動くか、そのままです。
たいていは得るものがあります。単独で優越されることは、その銘柄が組み合わせの中でもつ価値については何も語りません。ドッグウッドはほかの3銘柄と無相関なので、少しのウェイトなら、それ自身の分散をほとんど加えずにリスクを分散できます。フロンティアを数値的に解くと(空売りあり)、最小分散の σ は約 12.8% から約 12.2% に下がり、ドッグウッドには約 9% が置かれます。
正解数:0 / 4