ファイナンス理論 · 第17回 · 動画4 · インタラクティブ教材

誰にも見つからない株:負の相関、競争、そしてアルファ

I重要な公式

公式名称説明
E[R]=E[Pt+1]Pt−1\mathrm{E}[R] = \dfrac{\mathrm{E}[P_{t+1}]}{P_t} - 1価格から求める期待リターン(配当なし)動画の例:110/100−1=10%110/100 - 1 = 10\%。買い手が今日の価格を $105 まで押し上げると、110/105−1≈4.8%110/105 - 1 \approx 4.8\%
R空売り=−R指数R_{\text{空売り}} = -R_{\text{指数}}指数の空売り指数との相関は ρ=−1\rho = -1 ですが、E[R空売り]=−E[R指数]<0\mathrm{E}[R_{\text{空売り}}] = -\mathrm{E}[R_{\text{指数}}] < 0 です
E[R]=rf+E[RT]−rfσT σ\mathrm{E}[R] = r_f + \dfrac{\mathrm{E}[R_T] - r_f}{\sigma_T}\,\sigma接線:自分でつくれる比較の基準接点ポートフォリオ TT とTビルのあらゆる組み合わせ。傾きは TT のシャープ・レシオ
E[RM]−(rf+E[RT]−rfσT σM)\mathrm{E}[R_M] - \Big(r_f + \dfrac{\mathrm{E}[R_T] - r_f}{\sigma_T}\,\sigma_M\Big)アルファ(動画での描き方)運用者のポートフォリオ MM が、自身の σM\sigma_M のところで直線よりどれだけ上にあるか。MM のシャープ・レシオが TT のそれを上回るとき、そしてそのときに限り正

ポイント:誰の目にも見えるチャンスは、残り続けません。ρ<0\rho < 0 かつ E[R]>0\mathrm{E}[R] > 0 の株を買えば PtP_t が上がり、期待リターンは下がります。そして接線には自分ひとりでたどり着けるので、運用者の手数料で買うべきものは、その直線より上への距離です。

II相関とリターンの4つの象限

よく挙がる候補はどれも、左上の象限、つまり市場との負の相関とプラスの期待リターンの組み合わせには届きません。

III競争によって消える

将来の期待価格が $110 のまま変わらなければ、買い手が今日の価格を押し上げるたびに、期待リターンは下がります。

IVアルファ:自分ひとりでつくれる直線より上

運用者が価値を生むのは、rf=4%r_f = 4\% から TT を通る接線より北西へ、あなたを連れていくときだけです(説明用の数字、年率)。

💡 動画で紹介されたように、バークシャー・ハサウェイの実現シャープ・レシオは約 0.760.76 で、30年を超える歴史をもつ、ほかのどの株や投資信託(ミューチュアル・ファンド)よりも高い値でした。実際に難しいのは、そうした運用者を有名になる前に見つけることです。

V確認クイズ

問1 · 価格から求める期待リターン

条件: ある株は配当を払いません。来年の期待株価は $78 で、今日の価格は $65 です。この株の期待リターンを求めてください。

✅ 正解です! 78/65−1=1.2−1=0.2078/65 - 1 = 1.2 - 1 = 0.20 です。その後、買い手が価格をせり上げれば、この数字は下がります。
❌ 惜しい! 78/65=1.278/65 = 1.2 は、1にリターンを足したものです。1を引きましょう。
❌ 惜しい! $13 の値上がり益を来年の価格で割っています。リターンは、今日支払う額 PtP_t を基準に測ります。
❌ 惜しい! $13 はドルで表した値上がり益の期待値で、割合ではありません。今日の価格で割りましょう。
❌ 惜しい! E[R]=E[Pt+1]/Pt−1\mathrm{E}[R] = \mathrm{E}[P_{t+1}]/P_t - 1 を使いましょう。
解答を見る

配当がないので、期待リターンは価格だけで決まります。

E[R]=E[Pt+1]Pt−1=7865−1=1.2−1=0.20=20%\mathrm{E}[R] = \frac{\mathrm{E}[P_{t+1}]}{P_t} - 1 = \frac{78}{65} - 1 = 1.2 - 1 = 0.20 = 20\%

同じことですが、値上がり益の期待値 $13 を今日の価格 $65 で割っても 0.200.20 になります。

問2 · 安直な答え:指数を空売りする

条件: あなたは、期待リターン 9%9\%、標準偏差 16%16\%(説明用の数字、年率)のインデックス・ファンドに $1,000,000 を投資しています。負の相関を少し得ようと、同じ指数を $250,000 空売りし、その売却代金を rf=4%r_f = 4\% のTビルで持ちます。ポジション全体の期待リターンと標準偏差を求めてください。

ポジション全体の期待リターンはいくらですか?

その標準偏差はいくらですか?

✅ 正解です! 空売りは、指数の保有分の4分の1を打ち消します。いまの保有は指数が 0.750.75、Tビルが 0.250.25 で、Tビルを通る直線上の点です。気の利いた銘柄は必要ありません。
❌ 惜しい! 空売りはただではありません。$250,000 に対して期待値で −9%-9\% を稼ぐので、指数の期待リターンの一部を打ち消します。
❌ 惜しい! 空売りの期待損失は差し引けていますが、$250,000 の売却代金がTビルで 4%4\% を稼ぐことを忘れています。
❌ 惜しい! Tビルの利息は、指数のリターンをまるごと受け取ったうえに上乗せされるわけではありません。空売りは、その対象の $250,000 について −9%-9\% を稼ぎます。
❌ 惜しい! まず指数の買いポジションと売りポジションを相殺し、残りをTビルと組み合わせましょう。
❌ 惜しい! 空売りは、指数のリスクをそのまま残す別個のリスクではありません。指数の保有分の4分の1を打ち消し、リスクを負うのは差し引きの 0.750.75 だけです。
❌ 惜しい! 0.25×16%=4%0.25 \times 16\% = 4\% は、空売りの部分だけのリスクです。残っているのは、差し引き 0.750.75 の指数の保有分です。
❌ 惜しい! 同じ指数の売りポジションは買いポジションとちょうど逆に動く(ρ=−1\rho = -1)ので、リスクは足し合わされずに打ち消し合います。1.25×16%1.25 \times 16\% は、それを追加のエクスポージャーとして扱っています。
❌ リスクを確かめましょう。 リスクを負うのは差し引きの指数の保有分だけで、Tビルにはリスクがありません。σ=∣w∣ σ指数\sigma = |w|\,\sigma_{\text{指数}} です。
解答を見る

指数を $1,000,000 買い持ちし、$250,000 空売りすると、差し引きで指数は $750,000 になります。$250,000 の売却代金はTビルに置かれます。あなたの $1,000,000 に対する割合で表すと、指数が w=0.75w = 0.75、Tビルが 0.250.25 です。

E[R]=rf+w (E[R指数]−rf)=4%+0.75×(9%−4%)=7.75%\mathrm{E}[R] = r_f + w\,(\mathrm{E}[R_{\text{指数}}] - r_f) = 4\% + 0.75 \times (9\% - 4\%) = 7.75\% σ=w σ指数=0.75×16%=12%\sigma = w\,\sigma_{\text{指数}} = 0.75 \times 16\% = 12\%

売りポジションだけを見れば、たしかに指数との相関は ρ=−1\rho = -1 ですが、期待リターンは −9%-9\% です。指数と一緒に持つなら、それは単に市場を少なめに持つのと同じことです。指数に 75%75\%、Tビルに 25%25\% を投じてたどり着く点と同じなのです。

問3 · アルファがあるのはどの運用者か

条件: rf=4%r_f = 4\% で、接点ポートフォリオ TT は E[RT]=10%\mathrm{E}[R_T] = 10\%、σT=15%\sigma_T = 15\% です(説明用の数字、年率)。ファンドMは E[R]=9%\mathrm{E}[R] = 9\%、σ=12%\sigma = 12\% を、ファンドNは E[R]=16%\mathrm{E}[R] = 16\%、σ=30%\sigma = 30\% を提供します。

接線より上に連れていってくれるのは、どのファンドですか?

そのファンドは、自身の σ\sigma のところで、直線より何パーセントポイント上にありますか?

✅ 正解です! σ=12%\sigma = 12\% では直線の値は 8.8%8.8\% で、ファンドMは 9%9\% をもたらします。ファンドNはちょうど直線上にあり、借入をすれば自分ひとりで同じものがつくれます。
❌ 惜しい! 平均が高いことは、アルファではありません。σ=30%\sigma = 30\% では直線の値は 4%+0.4×30%=16%4\% + 0.4 \times 30\% = 16\% で、ファンドNの平均とちょうど同じです。22 を TT に投じ、11 を rfr_f で借りれば、同じものがつくれます。
❌ 惜しい! 各ファンドは、TT の平均とではなく、そのファンド自身のリスクにおける直線の値と比べます。ファンドMは TT よりリスクが小さいのです。
❌ 惜しい! 9%−4%9\% - 4\% はTビルに対する超過リターンです。直線そのものが rfr_f から始まり、σ\sigma が大きくなるにつれて上がっていきます。
❌ 惜しい! それはシャープ・レシオの差 5/12−0.45/12 - 0.4 です。問われているのは、期待リターンのパーセントポイントで測った縦の距離です。
❌ 惜しい! 各ファンドの σ\sigma における直線の値を計算しましょう。
❌ 惜しい! ファンドの平均から、σ=12%\sigma = 12\% における直線の値を引きましょう。
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直線の傾きは TT のシャープ・レシオ (10%−4%)/15%=0.4(10\% - 4\%)/15\% = 0.4 なので、直線は E[R]=4%+0.4 σ\mathrm{E}[R] = 4\% + 0.4\,\sigma です。

ファンドM(σ=12%\sigma = 12\%):直線の値は 4%+0.4×12%=8.8%4\% + 0.4 \times 12\% = 8.8\%、ファンドは 9%9\% なので、9−8.8=0.29 - 8.8 = 0.2 ポイント上にあります。シャープ・レシオ 5/12≈0.4175/12 \approx 0.417 は 0.40.4 を上回ります。

ファンドN(σ=30%\sigma = 30\%):直線の値は 4%+0.4×30%=16%4\% + 0.4 \times 30\% = 16\% で、ファンドの平均とちょうど同じです。シャープ・レシオは 12/30=0.412/30 = 0.4 で、TT と同じです。w=30/15=2w = 30/15 = 2 を TT に投じ、残りの 11 を rfr_f で借りれば、同じ点を自分でつくれます。

問4 · 手数料で買うべきもの

条件: rf=4%r_f = 4\% と TT(10%10\%、15%15\%)は前問と同じです。ファンドS(説明用)は、手数料控除前で E[R]=12%\mathrm{E}[R] = 12\%、σ=18%\sigma = 18\% を提供し、「2アンド20」の手数料を取ります。年初に投資する $1,000,000 に対して年 2%2\%、それに加えて手数料控除前の利益の 20%20\% で、ハードルレートはありません(成功報酬は利益の最初の1ドルからかかります)。あなたは $1,000,000 を投資し、今年のファンドの手数料控除前のリターンは、ちょうど 12%12\% でした。

今年の手数料の合計はいくらですか?

接線に対するこのファンドの優位は、その手数料に見合いますか?

✅ 正解です! ファンドはたしかに直線より上にありますが、その幅は手数料よりはるかに小さいのです。手数料で買うべきものは、アルファです。
❌ 惜しい! それは2%の管理報酬だけです。$120,000 の利益の20%を加えましょう。
❌ 惜しい! それは成功報酬だけです。資産の2%を加えましょう。
❌ 惜しい! 2%は、利益ではなく $1,000,000 の資産にかかります。
❌ 惜しい! 手数料 = 資産の2% + 手数料控除前の利益の20%。
❌ 惜しい! ファンドSは TT よりリスクも大きいのです。σ=18%\sigma = 18\% における直線の値と比べ、その差を手数料と比べましょう。
❌ 惜しい! あなたの手元に届くのは、手数料を差し引いたあとのリターンです。手数料を払ったあとでも直線より上に連れていってくれるときだけ、そのファンドに任せる価値があります。
❌ シャープ・レシオを確かめましょう。 (12%−4%)/18%≈0.444(12\% - 4\%)/18\% \approx 0.444 で、TT の 0.40.4 を上回ります。手数料控除前なら、ファンドは直線より上にあります。
❌ 惜しい! σ=18%\sigma = 18\% でファンドが直線よりどれだけ上にあるかを求め、資産に対する割合で表した手数料と比べましょう。
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手数料。管理報酬は 0.02×0.02 \times $1,000,000 = $20,000 です。手数料控除前の利益は 0.12×0.12 \times $1,000,000 = $120,000 で、成功報酬は 0.20×0.20 \times $120,000 = $24,000 です。合計は $44,000 で、資産の 4.4%4.4\% にあたります。

直線に対する優位。σ=18%\sigma = 18\% での接線の値は、次のとおりです。

4%+10%−4%15%×18%=4%+0.4×18%=11.2%4\% + \frac{10\% - 4\%}{15\%} \times 18\% = 4\% + 0.4 \times 18\% = 11.2\%

したがって手数料控除前のファンドSは、直線より 12−11.2=0.812 - 11.2 = 0.8 ポイント上にあります(シャープ・レシオ 8/18≈0.444>0.48/18 \approx 0.444 > 0.4)。手数料を差し引くと、今年あなたが受け取るのは 12%−4.4%=7.6%12\% - 4.4\% = 7.6\% です。手数料はファンドの優位の5倍を超えており、運用者のアルファがもたらすものよりはるかに多くを支払っていることになります。

正解数:0 / 4