ファイナンス理論 · 第17回 · 動画5 · インタラクティブ教材
同じ直線、違う席:無差別曲線とポートフォリオ理論の四つの結論
I重要な公式
ポイント:結論3と4:効率的フロンティア上のポートフォリオを保有し、無リスク資産があるなら、接点ポートフォリオをTビルと組み合わせて保有します。無差別曲線が選ぶのは w、つまり直線上のどこに座るかだけです。最適点は、届く範囲でいちばん高い曲線が直線に接する点です。これらはすべて、標準偏差がリスクのすべてであり、期待リターン、ボラティリティ、共分散を所与とする、という仮定の上に立っています。
II自分の曲線をつくる
月次の (6%, 1.4%) から出発し、リスクの等しい刻みごとに求めるリターンの増加がどんどん大きくなると、曲線は曲がります。
III届く範囲でいちばん高い曲線
届くのは接線上の点だけなので、最良の曲線は接線にちょうど接する曲線です。
IV違う席、1本の直線
リスク回避の度合いが決めるのは、直線上のどこに座るかです。保有するリスクのあるポートフォリオは、けっして変わりません。
💡 この理論は静学的です。Tビル金利や、達成できる最高のシャープ・レシオが変われば直線が動き、すべての投資家が最適点を求め直さなければなりません。
V確認クイズ
問1 · 表から曲線を読む
条件(説明用の数字、年率): ある投資家にとって、(σ,E[R])=(5%, 3%)、(10%, 4.5%)、(15%, 7%) のどれでも満足は同じです。リスクの2つ目の刻み(10% から 15% へ)が求める追加の期待リターンと、それが示す曲線の形を求めてください。
✅ 正解です! 1つ目の
5 ポイントの刻みにはリターン
1.5 ポイント、2つ目には
2.5 ポイントが必要です。リスクとともに傾きが大きくなる、これが下に凸の曲線のふくらみです。
❌ 惜しい! +1.5 は1つ目の刻み
4.5%−3% です。2つ目の刻みは
7%−4.5%=2.5 ポイントなので、刻みごとの増加は等しくありません。
❌ 増加は正しいのですが、形が違います。 同じリスクの刻みで増加が大きくなるということは、傾きが大きくなっているということです。曲線はお椀のように上へ曲がっていて、これは下に凸です。
❌ それは合計です。 7%−3%=4 ポイントは、
5% から
15% までの2つの刻みをあわせたものです。2つ目の刻みだけなら
7%−4.5%=2.5 ポイントです。
❌ 惜しい! σ=10% と
σ=15% での期待リターンの差をとり、1つ目の刻みと比べましょう。
解答を見る
3つの点は、リスクについて 5 ポイントずつ等間隔に並んでいます。期待リターンの増加は次のとおりです。
4.5%−3%=1.5 ポイント,7%−4.5%=2.5 ポイント
リスク1ポイントあたりにすると、1つ目の刻みでは 1.5/5=0.3、2つ目では 2.5/5=0.5 です。リスクが大きくなるにつれて傾きが大きくなるので、曲線は下に凸、つまりお椀のような形です。リスクが1ポイント増えるたびに、前より大きな見返りが必要になるのです。
問2 · 厳密に選好されるポートフォリオ
条件: 問1と同じ投資家で、(5%, 3%)、(10%, 4.5%)、(15%, 7%) のどれでも無差別です。この投資家が (10%, 4.5%) より厳密に選好するポートフォリオを求めてください。
✅ 正解です! (5%, 3.2%) は
(5%, 3%) と同じリスクで、リターンがより大きいので、
(10%, 4.5%) とちょうど同じだけ良い点を上回ります。
❌ リターンが大きいだけでは足りません。 σ=15% では、この投資家は同じだけ満足するのに
7% が必要です。
6% では足りないので、
(15%, 6%) はより悪いのです。
❌ リスクは小さいのですが、より良くはありません。 (5%, 3%) は同じ無差別曲線の上にあります。そこでの満足は同じで、厳密に高いわけではありません。
❌ 惜しい! (10%, 4.5%) と同じリスクで期待リターンが小さいので、満足は下がります。
解答を見る
それぞれの候補を、同じ σ での曲線上の点と比べます。
- (15%, 6%):曲線上の点は 7%(15% のとき)です。6%<7% なので曲線より下にあり、より悪い。
- (5%, 3%):曲線上にあり、同じだけ良いが、厳密により良いわけではない。
- (10%, 4.4%):曲線上の点 (10%, 4.5%) より下にあり、より悪い。
- (5%, 3.2%):同じリスクで 3.2%>3% なので、曲線より上、つまりより高い曲線の上にあり、より良い。
ポートフォリオが厳密に選好されるのは、より高い曲線、つまり北西の側にあるときです。期待リターンが高いだけでは、そうはなりません。
問3 · 最適点を読む
条件(説明用の数字、年率): rf=1% で、接点ポートフォリオは E[RT]=9%、σT=16% です。ある投資家の、届く範囲でいちばん高い無差別曲線は、σ=6% で接線に接します。最適点での期待リターンと、投資家の資産の配分を求めてください。
最適点での E[R] はいくらですか?
投資家の資産はどう配分されていますか?
✅ 正解です! w=6/16=0.375 なので
E[R]=1%+0.375×8%=4% で、
62.5% を
1% のTビルで貸し付けています。
❌ 切片が抜けています。 0.5×6%=3% は直線に沿った上昇分です。直線は
rf=1% から始まるので、それを足しましょう。
❌ 項が1つ抜けています。 0.375×9%=3.375% は接点ポートフォリオの寄与だけです。Tビルの
62.5% が、さらに
0.625×1%=0.625% を稼ぎます。
❌ 惜しい! 1%+0.375×9% では、Tビル金利を二重に数えています。直線が上がる幅を決めるのはプレミアム
E[RT]−rf=8% で、
9% ではありません。
❌ ウェイトが逆です。 接点ポートフォリオのウェイトは
σ/σT=6/16=0.375 で、残りの
0.625 がTビルに入ります。
❌ 惜しい! σ=6% は
σT=16% より小さいので、最適点はTビルと接点ポートフォリオのあいだにあります。借入ではなく貸付です。
❌ リスクのあるポートフォリオは全員同じです。 接点ポートフォリオ以外のリスクのあるポートフォリオはどれも接線より下にあるので、
σ=6% では直線上の組み合わせのほうが多くを稼ぎます。選好が変えるのはTビルとの組み合わせで、リスクのあるポートフォリオではありません。
❌ リターンを確かめましょう。 E[R]=rf+w(E[RT]−rf) を、
w=σ/σT として使いましょう。
❌ 配分を確かめましょう。 接線上では
σ=wσT です。
w について解き、残りをTビルに入れましょう。
解答を見る
直線上のどの点も、Tビルと接点ポートフォリオの組み合わせで、σ=wσT です。
w=σTσ=166=0.375,1−w=0.625
E[R]=rf+w(E[RT]−rf)=1%+0.375×(9%−1%)=1%+3%=4%
加重平均で確かめると、0.625×1%+0.375×9%=0.625%+3.375%=4% です。この投資家は資産の 62.5% を 1% で貸し付け、37.5% を接点ポートフォリオで持っています。Tビルと接点ポートフォリオのあいだの点で、かなりリスク回避的な投資家です。
問4 · 2人の投資家、1つのリスクのあるポートフォリオ
条件(説明用の数字、年率): rf=1% で、接点ポートフォリオ(E[RT]=9%、σT=16%)は株Mが 40%、株Nが 60% です。アナの最適点は σ=3%、ベンの最適点は σ=26% にあります。ベンの資産に占める株Mの保有割合と、アナの株式保有におけるM : Nの比率を求めてください。
ベンの資産に占める株Mの保有割合
アナの株式保有におけるM : Nの比率
✅ 正解です! ベンは接点ポートフォリオを
w=26/16=1.625 保有するので、資産の
1.625×40%=65% が株Mです。アナの保有ははるかに少ないものの、比率は同じ
2:3 です。
❌ 倍率がかかっていません。 40% は接点ポートフォリオに占める株Mの割合です。ベンは資産の
1.625 倍をそのポートフォリオに投じているので、
w を掛けましょう。
❌ それは株Nです。 1.625×60%=97.5% はベンの株Nの保有です。株Mは接点ポートフォリオの
40% です。
❌ それはリスクのあるポジション全体です。 162.5% は
w=26/16、つまりベンが接点ポートフォリオに投じた合計です。株Mはその
40% にすぎません。
❌ 逆です。 接点ポートフォリオのうち株Mは
40%、株Nは
60% なので、M : N は
40:60=2:3 です。
❌ それこそが典型的な誤解です。 リスク回避は、アナを直線に沿ってTビルの側へ動かすだけです。アナが持つリスクのある部分は、同じ比率の、同じ接点ポートフォリオです。
❌ 必要ありません。 アナの無差別曲線が決めるのは、接点ポートフォリオにどれだけ投じるかだけです。その中のM : Nの配分は、全員に共通で決まっています。
❌ ベンの保有を確かめましょう。 w=σ/σT を求め、接点ポートフォリオに占める株Mの割合を掛けましょう。
❌ アナの比率を確かめましょう。 アナがどんな
w を選んでも、2つの株には同じ
w が掛かります。
解答を見る
どの投資家も、接点ポートフォリオに w=σ/σT、Tビルに 1−w を投じます。
wベン=1626=1.625:M=1.625×40%=65%,N=1.625×60%=97.5%,Tビル=1−1.625=−62.5%
wアナ=163=0.1875:M=7.5%,N=11.25%,Tビル=81.25%
ベンは資産の 62.5% を 1% で借り入れ、アナは 81.25% を貸し付けます。それでも2人とも、株Mと株Nを 65:97.5=7.5:11.25=2:3、つまり接点ポートフォリオそのものの比率で持っています。これが結論4です。選好が選ぶのはTビルとの組み合わせで、リスクのあるポートフォリオではけっしてありません。
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