ファイナンス理論 · 第2回 · 動画3 · インタラクティブ教材

最も価値のある資産は、手で触れられない:特許・営業秘密・ブランド

I重要な関係式

関係式名称説明
CF=(金額, 入るか出るか, 日付)\text{CF} = (\text{金額},\ \text{入るか出るか},\ \text{日付})キャッシュフロー自分に入ってくるお金、または自分から出ていくお金。必ず向きと日付がついています
キャッシュフローを生む  ⇒  資産\text{キャッシュフローを生む} \;\Rightarrow\; \text{資産}資産かどうかの基準何でできているかは問いません。アルゴリズムも収益を生むので資産に当たります
Tend=Tfiled+20 年T_{\text{end}} = T_{\text{filed}} + 20\ \text{年}米国の特許期間(1995年6月8日から施行されているルール)終わりは決まっていて、出願した日にわかります。その代価は、すべてを公に開示することです
Tend=min⁡(Tleak, Tdiscovery)T_{\text{end}} = \min\left(T_{\text{leak}},\ T_{\text{discovery}}\right)営業秘密(トレードシークレット)出願も審査も期限もありません。保護は秘密が漏れた瞬間に終わります(漏れることがあれば)

ポイント:資産かどうかは、何でできているかではなく、何を生み出すかで決まります。だからこそ、アルゴリズムも製法もブランドも資産に当たります。アイデアはそれだけでは売りにくく、法的な仕組みが売買できる形にしてはじめて取引できます。特許の代価は公開です。すべてを開示する代わりに、期間の決まった独占が与えられます。次の動画では、この分類表をすべて、全項目をカバーするただ1つの定義に置き換えます。

II大事なのはこの基準

4つの資産は、それぞれ違う理由で価値を保っています。4つすべてを資産と認める基準はどれでしょうか。

IIIアイデアに法的な仕組みが必要な理由

トラックは引き渡せば持ち主が変わります。アイデアは、説明した時点で買い手がもう手にしています。

IV特許か、営業秘密か

特許の終わりは出願した日に決まります。秘密の終わりは、秘密が破れたときにやってきます。

💡 タイムラインには表れない利点がもう1つあります。投資家は特許なら確かめられます(米国特許庁が審査して認め、番号つきで公の記録に載っています)。一方、秘密を持つ側の売り込みは「私には秘密がありますが、それが何かは言えません」ということになってしまいます。

V確認クイズ

問1 · 大事なのはこの基準

条件:検索会社を動かしているランキングのアルゴリズムには、歩いて見て回れる工場の床がありません。触れられるものは何もありません。これらを資産にしている基準を述べているのはどれですか。

✅ 正解です! 基準は、それが何でできているかではなく、何を生み出すかです。キャッシュフローを生むなら、それは資産です。
❌ それは基準ではありません。手で触れられるかどうかは、まさに動画が捨てた基準です。コカ・コーラの製法にもブランドにも物理的な裏付けはありませんが、どちらも資産です。
❌ 言いすぎです。特許はアイデアを売買できる形にする方法の1つですが、コカ・コーラの製法は一度も特許を取っておらず、それでも世界で最も価値のあるアイデアの1つです。
❌ それは基準ではありません。秘密にすることは資産を守る方法の1つであって、何かを資産にするものではありません。特許はアイデアをすべて公開しますが、それでも資産です。
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資産の分類表は長く、しかも意外なものです。事業体、有形固定資産、特許と研究開発、株式・債券・オプション、さらには知識、評判、機会まで並びます。これらを1つにまとめているのは、中身ではありません。

キャッシュフローを生む  ⇒  資産\text{キャッシュフローを生む} \;\Rightarrow\; \text{資産}

ランキングのアルゴリズムが資産に数えられるのは、何でできているかにかかわらず、収益を生み出すからです。

誤りの選択肢は、どれも基準を別のものと取り違えています。物理的な形は関係ありません(製法もブランドも形なしで合格します)。特許はアイデアを売買できる形にしますが、特許のない製法も資産です。秘密は資産を守る方法であり、特許はそれとは正反対の道、つまり公開によって守ります。

問2 · 特許はアイデアに何をするか

条件:ある会社が、あるアルゴリズムについて米国特許を持っていて、20年の期間はまだ12年残っています。競合他社は今日、持ち主にお金を払わずに、この発明について何ができますか。

✅ 正解です! 完全に開示されるので、期間がまだ続いている間でも、誰でも特許から学べます。ただ、お金を払わずに製造したり使ったりすることは、まだできないだけです。
❌ そこは多くの人が向きを逆に考えているところです。特許はアイデアを隠すのではなく、公開します。完全な公開こそが代価であり、それは何かが与えられるより前に支払われます。
❌ 公開されていることと、自由に使えることは違います。開示された内容は記録に載っていますが、期間中はずっと、持ち主にお金を払わずにその発明を製造したり使ったりすることは誰にもできません。
❌ 惜しい!独占が及ぶのは、発明を売ることだけでなく、製造することと使うことです。その20年間、お金を払わずにそれを製造したり使ったりすることは、ほかの誰にもできません。
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特許とは、2つの側面をもつ取引です。

差し出すもの:その品物やアルゴリズム、製法について知るべきことすべての、完全な公開です。特許庁が出願を審査し、発明が新しく有用であると認めてはじめて、特許が与えられます。

受け取るもの:一定の期間、ほかの全員を締め出す権利です。1995年6月8日から施行されている米国のルールでは、その期間は出願日から20年です。その間、ほかの誰も、あなたにお金を払わずにその発明を製造したり使ったりすることはできません。開示と引き換えに政府が与える独占です。

ですから、期間が12年残っている今でも、競合他社は特許を読んでそこから学ぶことができます。ただし、お金を払わずに発明を製造したり、使ったり、販売したりすることはできません。期間が終われば、誰でもそのアイデアを自分の事業に組み込み、今度は自分が利益を上げられます。

問3 · 出願日、付与日、ライバルの研究所

条件:ある会社が、コレステロールを下げる化合物について、2012年7月1日に米国特許を出願し、2015年7月1日に特許が与えられました。同じ化学を追いかけているライバルの研究所が、2016年7月1日に、独自に同じ分子にたどり着きます。

特許の期間はいつ終わりますか。

もし会社が代わりに2012年7月1日からこの化合物を営業秘密にしていたとしたら、特許は秘密よりも何年長く守ってくれますか。

✅ 正解です! ライバルが何をしようと、特許は2032年7月1日まで続きます。秘密なら、ライバルがたどり着いた2016年7月1日に終わっていました。20−4=1620 - 4 = 16 年です。
❌ 付与日から数えています。期間は、2015年の付与からではなく、出願した日、2012年7月1日から20年です。
❌ それは特許ではなく、営業秘密の弱点です。ライバルが独自に突き止めれば秘密は終わりますが、特許の期間は誰かが黙っていてくれることに頼りません。ですから、ライバルはやはりお金を払わずにその化合物を製造したり使ったりすることはできません。
❌ それは特許ではなく、営業秘密の説明です。特許は発明を公開し、決まった期間だけ続きます。期限がないのは秘密だけで、それも秘密が保たれている間しか続きません。
❌ 1つの期間ではなく、終わる日を比べましょう。20年は特許の期間全体ですが、秘密もライバルがたどり着いた2016年までの4年間は、化合物を守っていました。
❌ 特許の終わりが3年ずれています。2035−2016=192035 - 2016 = 19 は、2015年の付与から数えた期間を使っています。期間は2012年の出願日から数えます。
❌ それは秘密そのものの保護期間です。2012年7月1日から2016年7月1日までが、秘密が保たれる長さです。問われているのは、特許がそれより何年長く続くかです。
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特許:期間は出願日から数えて20年です。

Tend=Tfiled+20=2012+20=2032(2032年7月1日)T_{\text{end}} = T_{\text{filed}} + 20 = 2012 + 20 = 2032 \quad (2032\text{年7月1日})

付与日は何も動かしませんし、2016年にライバルが独自に突き止めても期間は終わりません。20年間ずっと、お金を払わずにその発明を製造したり使ったりすることは、ほかの誰にもできません。

営業秘密:保護は秘密が保たれている間だけ続き、それより1日たりとも長くは続きません。秘密が守ってくれるのは、ほかの誰かが独自に答えにたどり着くまで、ここでは2016年7月1日までです。

秘密=2016−2012=4 年,特許=2032−2012=20 年\text{秘密} = 2016 - 2012 = 4 \text{ 年}, \qquad \text{特許} = 2032 - 2012 = 20 \text{ 年} 20−4=16 年(同じく 2032−2016=16)20 - 4 = 16 \text{ 年} \quad (\text{同じく } 2032 - 2016 = 16)

これが動画に出てきたコレステロール薬のケースです。ライバルの研究所が同じ分子を目指して競争しているなら、2つのうち安全なのは特許の決まった期間のほうです。

問4 · 1つの会社、2つの資産

条件:コカ・コーラは、一度も特許を取ったことのない製法と、世界で最もよく知られたブランドの1つを持っています。明日、製法がすべて公開されたとしましょう。それぞれの資産の保護はどうなりますか。

✅ 正解です! 2つの資産は、まったく違う方法で守られています。一方は隠すことで、もう一方は公の場で築くことで。前者を失っても、後者は残ります。
❌ 2つは別々の資産です。ブランドは長年の投資によって公の場で築かれました。隣にまったく同じ中身の缶があるのに、客があのラベルの缶に手を伸ばす。それがブランドがお金を稼いでいるということで、秘密があるかどうかは関係ありません。
❌ 期間が生まれるのは、特許が与えられたときだけです。そのためには、何かが与えられる前に、出願、開示、審査が必要です。公開されてしまった秘密には、後ろ盾になる年限はありません。
❌ その壁こそが秘密そのものでした。飲み物の再現が難しかったのは、製品から逆算してレシピにたどり着けた人がいなかったからです。レシピを公開すれば、世界中のどの瓶詰め業者でもあの飲み物を作れます。
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製法は営業秘密です。出願も審査も期限もありません。その保護は秘密が保たれている間だけ続き、それより1日たりとも長くは続きません。製法は、秘密を守り抜く会社の規律と、ほかの誰もそれを解き明かせていないという事実の2つの上に成り立ってきましたが、どちらも法的な権利ではありません。すべて公開されれば、守るべきものは何も残らず、後ろ盾になる年限もありません。

ブランドは別の資産です。名前、筆記体のロゴ、ラベル、そして客がそれらに抱いているイメージで、長年かけて公の場で築かれてきました。そのキャッシュフローは、隣にあるまったく同じ缶ではなく、ラベルのついた缶を客が選ぶことです。レシピを公開しても、そのどれも奪われません。

だからこそ、コカ・コーラの価値の多くは製法とは別のところにあります。この会社は2つの資産を持っていて、一方は隠すことで守り、もう一方は公の場で築いてきたのです。

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