ファイナンス理論 · 第2回 · 動画5 · インタラクティブ教材

価値演算子:キャッシュフローの系列を一つの数に変える

I重要な公式

公式名称説明
資産の価値t≡Vt(CFt,CFt+1,CFt+2,…)\text{資産の価値}_t \equiv V_t(\text{CF}_t, \text{CF}_{t+1}, \text{CF}_{t+2}, \ldots)価値演算子日付のついたキャッシュフローの系列を受け取り、一つの数を返します。≡\equiv は定義を表す記号で、導かれた結果ではありません
Vt(CFt,CFt+1,…)=時点 t の市場価格V_t(\text{CF}_t, \text{CF}_{t+1}, \ldots) = \text{時点 } t \text{ の市場価格}最初の例市場があれば、VV は手に入ります。今のところ、どんな市場でもかまいません
CF1,CF2,…,CFT\text{CF}_1, \text{CF}_2, \ldots, \text{CF}_T を時点 1,2,…,T1, 2, \ldots, T に置くタイムライン(時間軸)いつも最初にやる手順です。各キャッシュフローを、それが届く日付のところに置きます

ポイント: ファイナンスを難しくしているのは、時間と不確実性です。不確実性がなければ、価値演算子には完全な解があり、答えは厳密に求まります。不確実性があると、手にできるのは部分的な解、つまり近似だけです。シナジー(相乗効果)をはじめとする相互作用の効果のために、部品の価値を単純に足し合わせることができないからです。そこで、まず確実性のケースから始めます。キャッシュフローは確実に分かっていて、考えるべきはその日付だけです。

II系列を受け取り、一つの数を返す

VtV_t に入るものは日付のついた金額のリストで、出てくるものは一つの数です。

IIIまずタイムラインを描く

金額が正しくても日付が間違っていれば、V0V_0 には別の系列が渡り、その後の計算のどこでもそれは直せません。

💡 V0V_0 がそのリストをどう扱うのか、そしてなぜその要素をそのまま足すことができないのか。それが次の動画の出発点です。

IV確認クイズ

問1 · 定義を読む

条件: 資産の価値t≡Vt(CFt,CFt+1,CFt+2,…)\text{資産の価値}_t \equiv V_t(\text{CF}_t, \text{CF}_{t+1}, \text{CF}_{t+2}, \ldots) とします。V3V_3 が入力として受け取るのはどのリストですか。

✅ 正解です! t=3t = 3 とおくと、リストは時点3のキャッシュフローから始まって先へ続き、V3V_3 は一つの数 資産の価値3\text{資産の価値}_3 を返します。
❌ それは時点3までの過去です。 定義に並ぶのは時点 tt から先のキャッシュフローで、それより前のキャッシュフローは引数のリストに現れません。
❌ 一つずれています。 リストは CFt\text{CF}_t そのものから始まるので、時点3のキャッシュフローも V3V_3 の入力に含まれます。
❌ 一つの要素だけでは系列になりません。 V3V_3 が読み取るのは時点3以降のすべてのキャッシュフローで、時点3のものだけではありません。
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定義に t=3t = 3 を代入します。

資産の価値3≡V3(CF3,CF4,CF5,…)\text{資産の価値}_3 \equiv V_3(\text{CF}_3, \text{CF}_4, \text{CF}_5, \ldots)

VV の添字は価値を測る日付で、引数のリストも同じ日付から始まります。まず時点3のキャッシュフロー、そしてその後のすべてのキャッシュフローが、終わりなく続きます。時点0、1、2のキャッシュフローは含まれません。

右辺にあるのは日付のついた金額のリストで、左辺にあるのは一つの数です。リストを数に変えるのが演算子です。

問2 · どんな市場でもかまわない

条件: 教室でのオークションで、封をした箱が$45で落札されました。中身は小売価格$149の 4 GB の iPod Nano で、完全な市場とは誰も呼ばないような市場でした。その市場を演算子とみなすとき、売買が成立した時点での箱の VtV_t はいくらですか。

✅ 正解です! 市場が演算子を動かしたのです。教室の誰にも見えないキャッシュフローの系列が入り、一つの数、$45が出てきました。
❌ それは店の価格で、この市場の価格ではありません。 ここでの演算子の出力は、誰かが買い、誰かが売った価格、つまりオークションの落札価格です。
❌ それは比率で、価値ではありません。 45/149≈0.3045/149 \approx 0.30 は二つの価格を比べたもので、VtV_t が返すのは金額です。
❌ 完全な市場の定義はまだしていません。 今のところ、どんな市場でもかまいません。合意した大人二人が価格を決めたのなら、その価格が演算子の出力です。
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VtV_t の一つの例は、単純に時点 tt の市場価格です。

Vt(CFt,CFt+1,…)=時点 t の市場価格V_t(\text{CF}_t, \text{CF}_{t+1}, \ldots) = \text{時点 } t \text{ の市場価格}

箱は$45で売れたので、それが市場の返した数です。$149という小売価格は別の市場のものです。また 45/149≈0.30245/149 \approx 0.302、つまり約3分の1という数が表しているのは、箱がいくらで売れたかではなく、落札価格が小売価格と比べてどうかです。

このオークションが本当に機能したかどうかは、VtV_t の中を開けてみないと答えられない問題で、それはもう少し先の話です。今のところ、どんな市場でもかまいません。

問3 · タイムラインを描く

条件: 今日を時点0とします。ある契約は、これから3年間の各年の終わりに$100を支払い、さらに3年目の終わりに最後の$1,000を支払います。その後の支払いはありません。V0V_0 が (CF0,CF1,CF2,CF3,CF4)(\text{CF}_0, \text{CF}_1, \text{CF}_2, \text{CF}_3, \text{CF}_4) として受け取るのはどのリストですか。

✅ 正解です! 今日は何もなく、時点1と時点2に$100、時点3には$100と$1,000を合わせた$1,100が届きます。
❌ 金額はすべて正しいのですが、日付がすべて一つずつ早すぎます。 1年目の終わりは時点1なので、今日の枠 CF0\text{CF}_0 は空です。
❌ $1,000が一つ遅れています。 これは3回目の支払いと一緒に、3年目の終わりに届きます。つまり時点4ではなく時点3です。
❌ それは日付を捨てて得た一つの数です。 V0V_0 の入力は日付のついたリスト全体です。日付をまたいで足すという操作こそ、次の動画で解きほぐすものです。
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まずタイムラインを描きます。日付は0から4までで、nn 年目は時点 n−1n-1 から時点 nn までです。次に、各キャッシュフローを、それが届く日付のところに置きます。

  • 今日、時点0:何もないので CF0=0\text{CF}_0 = 0
  • 1年目の終わり、時点1:CF1=100\text{CF}_1 = 100
  • 2年目の終わり、時点2:CF2=100\text{CF}_2 = 100
  • 3年目の終わり、時点3:最後の$100と$1,000が一緒に届くので CF3=100+1,000=1,100\text{CF}_3 = 100 + 1{,}000 = 1{,}100
  • 時点4:何もないので CF4=0\text{CF}_4 = 0
V0(0, 100, 100, 1,100, 0, …)V_0(0,\ 100,\ 100,\ 1{,}100,\ 0,\ \ldots)

選択肢 (a) は、金額は正しいのに、日付がすべて一つずつ早すぎます。評価が間違うときの十中八九はこれが原因で、その後の計算のどこでも直すことはできません。

問4 · どちらのケースが先か

条件: 価値演算子には二つのケースがあり、そのうち一方には完全で厳密な解があります。これからの講義では、そのケースを先に解きます。そのケースに当てはまるのはどの資産ですか。

✅ 正解です! 金額も日付も確実に分かっているので、考慮すべきはタイミングだけです。これが確実性のケースで、完全で厳密な答えが得られます。
❌ 日付ははっきりしていますが、金額はどれも予測です。 キャッシュフローが不確実なので、この資産は部分的な解しかないケースに入ります。
❌ 過去から借りてきた成長率は、未来についての仮定です。 配当は予想されているだけで、確実に分かっているわけではありません。
❌ いつ支払われるかだけでなく、そもそも支払われるかどうかが分かりません。 それは不確実性であり、部分的な解しかないケースです。
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ファイナンスを難しくしているものは二つあります。時間と不確実性です。不確実性がない場合、つまりキャッシュフローは異なる日付に届くものの、どれも確実に分かっている場合には、価値演算子には完全な解があり、答えは厳密に求まります。不確実性がある場合には、部分的な解、つまり近似しかありません。シナジー(相乗効果)をはじめとする相互作用の効果のために、不確実な資産では部品の価値を単純に足し合わせることができないからです。

金額が確実に分かっているのは$1,000の契約だけで、考慮すべきなのはその日付だけです。ボーイングの粗利、指数の配当、オプションのペイオフはどれも予測なので、不確実性を戻すときまで待つことになります。

正解数:0 / 4