ファイナンス理論 · 第2回 · 動画6 · インタラクティブ教材

円とポンドと来年のドル:正味現在価値はどこから来るのか

I重要な公式

公式名称説明
¥150+(£300)×(153 ¥/£)=¥46,050\text{¥}150 + (\text{£}300)\times(153\ \text{¥}/\text{£}) = \text{¥}46{,}050換算してから足す足す前に、二つの金額を一つのニューメレール(価値尺度財)にそろえます。英ポンドをニューメレールにすると、同じお金はペンスの単位まで £300.98 になります
($t$0)\left(\dfrac{\text{\textdollar}_t}{\text{\textdollar}_0}\right)時点 tt の為替レート時点 tt のドルを今日の価値で表すレートです。時点 tt の1ドルが今日のドルで何ドル分に当たるかを示します
V0(CF0,CF1,…)=CF0+($1$0)×CF1+($2$0)×CF2+⋯V_0(\text{CF}_0, \text{CF}_1, \ldots) = \text{CF}_0 + \left(\tfrac{\text{\textdollar}_1}{\text{\textdollar}_0}\right)\times\text{CF}_1 + \left(\tfrac{\text{\textdollar}_2}{\text{\textdollar}_0}\right)\times\text{CF}_2 + \cdots正味現在価値の演算子どの項も時点0のドルで表されています。CF0\text{CF}_0 には為替レートがつかず、CF0<0\text{CF}_0 \lt 0 は初期投資です

ポイント: 円と英ポンドが違う通貨であるのと同じように、日付の違うドルは違う通貨です。ニューメレールとする日付(普通は時点0、つまり今日のドル)を選び、各キャッシュフローをその日付の為替レートで換算してから、はじめて足します。レートさえ与えられれば、足し算は普通の算数です。難しさはすべてレートの中にあります。

IIまず換算する — 円、ポンド、ニューメレール

¥150と£300の和は、どちらかの通貨をニューメレールに選ぶまで単位を持ちません。どちらを選んでも、表しているお金は同じです。

III日付ごとに別の通貨 — V0V_0 を組み立てる

日付のついた各キャッシュフローは、それぞれの為替レートで時点0のドルに換算されます。そうしてはじめて、各項を足して V0V_0 になります。

💡 この3つの為替レートは説明のための値です。動画のレートと同じく出来合いの数字で、こうした数字が実際にどこから来るのかが次の問いです。

IV確認クイズ

問1 · 換算してから足す

条件: あなたは¥600と£200を持っていて、市場レートは 153 ¥/£153\ \text{¥}/\text{£} です。円をニューメレールとして、保有分の価値を求めてください。

✅ 正解です! 換算が必要なのはポンドだけです。£200 × 153 ¥/£ = ¥30,600 で、手元の¥600と合わせて合計は¥31,200。一つの単位で表された一つの数です。
❌ 円とポンドをそのまま足しています。 600 + 200 = 800 は、つけるべき単位のない数です。まずポンドを円に換算しましょう。
❌ レートを掛ける金額を間違えています。 これは¥600に153を掛け、£200を換算せずに足したものです。153 ¥/£ というレートはポンドを円に変えるものです。¥600はすでにニューメレールで表されていて、掛けるべきなのは£200のほうです。
❌ ポンドをレートで割っています。 1ポンドあたり153円なら、1ポンドは153円の価値があるので、£200は 200 × 153 = ¥30,600 です。200 ÷ 153 ではありません。
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円をニューメレールとすると、¥600はすでに基準通貨で表されているので、換算するのはポンドだけです。市場レートで換算します。

¥600+(£200)×(153 ¥/£)=¥600+¥30,600=¥31,200\text{¥}600 + (\text{£}200)\times(153\ \text{¥}/\text{£}) = \text{¥}600 + \text{¥}30{,}600 = \text{¥}31{,}200

ロンドンの机では、同じ保有分をポンドで読みます。ペンスの単位まで求めると ¥31,200÷(153 ¥/£)≈£203.92\text{¥}31{,}200 \div (153\ \text{¥}/\text{£}) \approx \text{£}203.92 です(商は 203.9216…203.9216\ldots と続きます)。数も単位も違いますが、同じお金です。何もつかない800はどちらでもありません。そもそも単位がないのです。

問2 · レートのつかない項

条件: あるプロジェクトは、今日50の費用がかかり、時点1に30、時点2に40をもたらします。つまり CF0=−50\text{CF}_0 = -50、CF1=30\text{CF}_1 = 30、CF2=40\text{CF}_2 = 40 です。為替レートは ($1$0)=0.95\left(\tfrac{\text{\textdollar}_1}{\text{\textdollar}_0}\right) = 0.95 と ($2$0)=0.90\left(\tfrac{\text{\textdollar}_2}{\text{\textdollar}_0}\right) = 0.90 です。時点0のドルで V0V_0 を求めてください。

✅ 正解です! CF0\text{CF}_0 はそのまま入ります。0.95×30=28.500.95\times 30 = 28.50 と 0.90×40=36.000.90\times 40 = 36.00 は時点0のドルで表されているので、V0=−50+28.50+36.00=14.50V_0 = -50 + 28.50 + 36.00 = 14.50 です。
❌ キャッシュフローをそのまま足しています。 −50+30+40=20-50 + 30 + 40 = 20 は3つの通貨を足し合わせたものです。時点1と時点2の金額は、和に加わる前に換算しなければなりません。
❌ CF0\text{CF}_0 に、つかないはずのレートを掛けています。 これはニューメレールとする日付にあり、もともと時点0のドルで表されているので、−50-50 のまま入ります。0.95×(−50)=−47.500.95\times(-50) = -47.50 ではありません。
❌ キャッシュフローをレートで割っています。 ($1$0)=0.95\left(\tfrac{\text{\textdollar}_1}{\text{\textdollar}_0}\right) = 0.95 は、時点1の1ドルが今日のドルで何ドル分に当たるかを表しているので、掛けるのです。0.95×30=28.500.95\times 30 = 28.50 であって、30÷0.9530 \div 0.95 ではありません。
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時点0から2までの正味現在価値の演算子を書き、値を代入します。

V0=CF0+($1$0)×CF1+($2$0)×CF2V_0 = \text{CF}_0 + \left(\frac{\text{\textdollar}_1}{\text{\textdollar}_0}\right)\times\text{CF}_1 + \left(\frac{\text{\textdollar}_2}{\text{\textdollar}_0}\right)\times\text{CF}_2 V0=−50+0.95×30+0.90×40=−50+28.50+36.00=14.50V_0 = -50 + 0.95\times 30 + 0.90\times 40 = -50 + 28.50 + 36.00 = 14.50

最初の項に為替レートがつかないのは、もともと基準通貨で表されているからです。後の項はどれも和に加わる前に換算されていて、この足し算に意味があるのは、ひとえにそのためです。

問3 · 最後にかかる費用

条件: あるプロジェクトは、今日40の費用がかかり、時点1に70、時点2に30をもたらし、時点3には60の費用をかけて解体しなければなりません。つまり CF0=−40\text{CF}_0 = -40、CF1=70\text{CF}_1 = 70、CF2=30\text{CF}_2 = 30、CF3=−60\text{CF}_3 = -60 です。時点1、2、3の為替レートは 0.950.95、0.900.90、0.850.85 です。時点3の項を時点0のドルで求め、次に V0V_0 を求めてください。

時点3の項(時点0のドル)

価値 V0V_0

✅ 正解です! 解体費用はそれ自身のレートで換算されて 0.85×(−60)=−51.000.85\times(-60) = -51.00 となり、時点0のドルで V0=−40+66.50+27.00−51.00=2.50V_0 = -40 + 66.50 + 27.00 - 51.00 = 2.50 です。
❌ マイナスの符号が落ちています。 将来の費用はマイナスのキャッシュフローで、ほかと同じように換算されます。0.85×(−60)=−51.000.85\times(-60) = -51.00 です。
❌ レートで割っています。 各レートは、その日付の1ドルが今日のドルで何ドル分に当たるかを表しているので、そのキャッシュフローに掛けます。時点3の項は 0.85×(−60)=−51.000.85\times(-60) = -51.00 であって、−60÷0.85-60 \div 0.85 ではありません。
❌ 時点3のキャッシュフローが時点3のドルのままです。 時点0のドルに換算するには、それ自身のレート 0.850.85 を掛けます。
❌ 4つの通貨をそのまま足しています。 −40+70+30−60=0-40 + 70 + 30 - 60 = 0 は、単位がそろっていない数です。後のキャッシュフローはどれも、まずそれぞれのレートで換算しましょう。
❌ 解体費用をプラスの符号で入れています。 出ていくお金は、どの日付にあってもマイナスです。時点3の項は −51.00-51.00 で、和を減らします。
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一項ずつ換算します。時点0のキャッシュフローにはレートは要りません。

CF0=−40.000.95×70=66.500.90×30=27.000.85×(−60)=−51.00\begin{aligned} \text{CF}_0 &= -40.00 \\ 0.95\times 70 &= 66.50 \\ 0.90\times 30 &= 27.00 \\ 0.85\times(-60) &= -51.00 \end{aligned} V0=−40.00+66.50+27.00−51.00=2.50V_0 = -40.00 + 66.50 + 27.00 - 51.00 = 2.50

時点3の費用はマイナスのキャッシュフローで、受け取りとまったく同じように時点3のレートで換算されます。4つのキャッシュフローをそのまま足すと 00 になりますが、これは単位がそろっていない数です。

問4 · 借り手の側

条件: 借り手は今日100を受け取り、時点1、2、3にそれぞれ36を返済します。貸し手のキャッシュフローは、同じ金額で符号が逆です。時点1、2、3の為替レートは 0.950.95、0.900.90、0.850.85 です。それぞれの側の V0V_0 を求めてください。

借り手:CF0=100\text{CF}_0 = 100、その後、時点1〜3に −36-36

貸し手:CF0=−100\text{CF}_0 = -100、その後、時点1〜3に 3636

✅ 正解です! 3回の返済は時点0のドルで 34.20+32.40+30.60=97.2034.20 + 32.40 + 30.60 = 97.20 の価値があるので、借り手の V0=100−97.20=2.80V_0 = 100 - 97.20 = 2.80、貸し手は −2.80-2.80 です。すべてのキャッシュフローの符号を反転させると、すべての項の符号も一緒に反転します。
❌ キャッシュフローをそのまま足しています。 借り手は 100−3×36=−8100 - 3\times 36 = -8、貸し手は +8+8 になります。返済は3つの異なる日付にあるので、足す前にそれぞれ換算します。
❌ それは相手側の価値です。 貸し手のキャッシュフローは借り手のものの符号をすべて反転させたものなので、二つの価値は互いに符号が逆になります。時点0に100を受け取るのがどちらの側かを確かめましょう。
❌ 返済額をレートで割っています。 各レートはそのキャッシュフローに掛けるものです。時点1の返済は、時点0のドルで 0.95×36=34.200.95\times 36 = 34.20 の価値があります。
❌ 97.2097.20 は返済だけの価値です。 貸し手の時点0のキャッシュフロー −100-100 も、もともと時点0のドルで表されているので、そのまま和に加わります。
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返済は3つの日付で同じ金額ですが、日付ごとに別の通貨なので、それぞれのレートで換算します。

0.95×36+0.90×36+0.85×36=34.20+32.40+30.60=97.200.95\times 36 + 0.90\times 36 + 0.85\times 36 = 34.20 + 32.40 + 30.60 = 97.20

借り手の時点0のキャッシュフロー +100+100 は換算が要りません。貸し手のものは −100-100 です。

V0借り手=100−97.20=2.80,V0貸し手=−100+97.20=−2.80V_0^{\text{借り手}} = 100 - 97.20 = 2.80, \qquad V_0^{\text{貸し手}} = -100 + 97.20 = -2.80

この演算子は、どのキャッシュフローがプラスか、マイナスのキャッシュフローがどこにあるかについて、何の制約も設けていません。ここではお金が先に入って後で出ていきますが、演算子は、先に投資するプロジェクトのときとまったく同じように、その二つを一つの和の中で差し引きします。

正解数:0 / 4