ファイナンス理論 · 第20回 · 動画1 · インタラクティブ教材

ルールは一つ、割引率はいくつも:資本予算はNPVから始まる

I重要な公式

公式名称説明
NPV=CF0+CF11+r1+⋯+CFT(1+rT)TNPV = CF_0 + \dfrac{CF_1}{1+r_1} + \cdots + \dfrac{CF_T}{(1+r_T)^T}NPV法プロジェクトの現在の市場価値です。各キャッシュフローは、そのキャッシュフロー自身のリスクに合ったリスク調整後の割引率で割り引きます
r1=⋯=rT=rr_1 = \cdots = r_T = r特別な場合:割引率が1つ講座の初めの例です。どのキャッシュフローもリスクが同じで、どの時点も1つの市場金利で割り引いていました
Vfirm+A+B=Vfirm+NPVA+NPVBV_{\text{firm} + A + B} = V_{\text{firm}} + NPV_A + NPV_B価値の加法性プロジェクトが会社の価値に上乗せするのはちょうどそのNPVなので、各プロジェクトは単独で評価します。相互作用は別に評価します
NPV>0NPV > 0/NPVi>0NPV_i > 0 のものすべて/最大の NPViNPV_i(ただし >0> 0)投資の基準単一のプロジェクト/独立したプロジェクト/相互排他的なプロジェクト

ポイント:目的は会社の現在の市場価値を高めることで、NPVはプロジェクトがその価値に上乗せする金額をちょうど測ります。ルールは変わりません。手間がかかるのは入力のほう、つまり分子のキャッシュフローと、分母に入る、各キャッシュフローのリスクに合った割引率です。

IIキャッシュフローごとの割引率

各キャッシュフローは、1にその時点の割引率を足したものの、その時点の数のべき乗で割ります。

III独立か、相互排他的か

プロジェクトが企業価値に上乗せするのはちょうどそのNPVなので、どれを採択するかは、どの組み合わせが許されるかで決まります。

💡 ここでのNPVは、どれも単独で評価したものです。たとえば顧客を奪い合うなど、2つのプロジェクトが影響し合うなら、その相互作用を別に評価して足し合わせます。

IV確認クイズ

問1 · 時点ごとの割引率で求めるNPV

条件:あるプロジェクトは今日 $500,000 かかり、1年目、2年目、3年目の終わりに $170,000、$175,000、$190,000 を生みます。この3つのキャッシュフローに合ったリスク調整後の割引率は、年率で r1=3%r_1 = 3\%、r2=3.5%r_2 = 3.5\%、r3=4%r_3 = 4\% です。このプロジェクトのNPVを求めてください。

✅ 正解です! 3つの現在価値の合計は約 $497,322 で、費用の $500,000 を下回ります。ですからNPVは約 −$2,678 で、割り引く前の現金が費用を上回っていても、このプロジェクトは棄却すべきです。
❌ 惜しい! それは各キャッシュフローを 1+rt1 + r_t で1回しか割っていません。tt 年目のキャッシュフローは (1+rt)t(1+r_t)^t で割ります。2年目は 1.03521.035^2、3年目は 1.0431.04^3 です。
❌ 惜しい! それはどの年も 4%4\% で割り引いています。ここでは各キャッシュフローにそれぞれの割引率があり、1年目は 3%3\%、2年目は 3.5%3.5\% で、4%4\% を使うのは3年目だけです。
❌ 惜しい! $35,000 は割り引く前の合計、−500,000+170,000+175,000+190,000-500{,}000 + 170{,}000 + 175{,}000 + 190{,}000 です。将来のドルは今日のドルより価値が低いので、足す前にどの流入も割り引かなければなりません。
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各キャッシュフローを、その時点の割引率を時点の数でべき乗したもので割り引きます(単位はドル、各項はドル単位に丸めています):

NPV=−500,000+170,0001.03+175,0001.0352+190,0001.043NPV = -500{,}000 + \frac{170{,}000}{1.03} + \frac{175{,}000}{1.035^2} + \frac{190{,}000}{1.04^3} ≈−500,000+165,049+163,364+168,909=−2,678\approx -500{,}000 + 165{,}049 + 163{,}364 + 168{,}909 = -2{,}678

NPVは約 −$2,678 です。マイナスなので、このプロジェクトは会社の市場価値を下げます。棄却します。

問2 · すべての時点に1つの割引率

条件:あるプロジェクトは今日 $500,000 かかり、1年目、2年目、3年目の終わりに $215,000、$170,000、$150,000 を生みます。これらのキャッシュフローに合った割引率は r1=3%r_1 = 3\%、r2=3.5%r_2 = 3.5\%、r3=4%r_3 = 4\% です。ところがあるアナリストは、どの年も3年の割引率 4%4\% で割り引き、NPVは約 −$2,745 だと報告しました。

各キャッシュフローに合った割引率で求めたNPVはいくらですか?

会社はどうすべきですか?

✅ 正解です! 合った割引率で求めたNPVは約 +$784 なので、このプロジェクトは価値を生み、採択すべきです。どの時点にも1つの割引率を使うと、1年目と2年目のキャッシュフローを割り引きすぎて、判断が逆になります。
❌ NPVを確かめてください。 tt 年目のキャッシュフローは、その年自身の割引率を使って (1+rt)t(1 + r_t)^t で割り引きます。
❌ 判断を確かめてください。 単一のプロジェクトは、そのリスクに合った割引率で求めたNPVがプラスのとき、かつそのときに限り採択します。
❌ 惜しい! それはどの年にも 4%4\% を当てはめた、アナリストの数字です。1年目と2年目のキャッシュフローには、それぞれ 3%3\% と 3.5%3.5\% という自分の割引率があります。
❌ 惜しい! それはどの年も、1年目の割引率 3%3\% で割り引いています。2年目には 1.03521.035^2、3年目には 1.0431.04^3 が必要です。
❌ 惜しい! $35,000 は割り引く前の合計です。足す前に、どの流入も今日の価値に割り引かなければなりません。
❌ 惜しい! 4%4\% の数字は慎重なのではなく、誤りです。1年目と2年目のキャッシュフローが抱えるリスクの価格は、3%3\% と 3.5%3.5\% です。適切なリスク調整とは、各キャッシュフローをそれ自身の割引率で割り引くことです。
❌ 惜しい! このルールは符号で判定します。どんなに小さくてもNPVがプラスなら、その金額だけ会社の市場価値が上がります。
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合った割引率の場合(単位はドル、各項はドル単位に丸めています):

NPV=−500,000+215,0001.03+170,0001.0352+150,0001.043NPV = -500{,}000 + \frac{215{,}000}{1.03} + \frac{170{,}000}{1.035^2} + \frac{150{,}000}{1.04^3} ≈−500,000+208,738+158,697+133,349=784\approx -500{,}000 + 208{,}738 + 158{,}697 + 133{,}349 = 784

アナリストの1つの割引率の場合:

−500,000+215,0001.04+170,0001.042+150,0001.043≈−500,000+206,731+157,175+133,349=−2,745-500{,}000 + \frac{215{,}000}{1.04} + \frac{170{,}000}{1.04^2} + \frac{150{,}000}{1.04^3} \approx -500{,}000 + 206{,}731 + 157{,}175 + 133{,}349 = -2{,}745

3年目の項はどちらも同じです。差はすべて、1年目と2年目を、それぞれのより低い割引率ではなく 4%4\% で割り引いたことから生じています。正しいNPVは約 +$784 > 0 なので、会社はこのプロジェクトを採択すべきです。

問3 · 相互排他的な3つのプロジェクト

条件:ある会社は、3つの工場のうち1つしか建てられません。割引率は3つとも r1=3%r_1 = 3\%、r2=3.5%r_2 = 3.5\%、r3=4%r_3 = 4\% です。

プロジェクト今日1年目2年目3年目
A−$500,000$220,000$180,000$155,000
B−$440,000$150,000$160,000$175,000
C−$500,000$150,000$190,000$220,000

会社が採択すべきプロジェクトを求めてください。

✅ 正解です! NPVは約 $19,419(A)、$10,567(B)、$18,577(C)です。建てられるのは1つだけなので、プラスの中で最も大きいNPV、Aを採択します。
❌ 惜しい! 割り引く前の正味の現金はCの $60,000 が最大ですが、入ってくるのが遅いのです。各時点の割引率で割り引くと、Cの価値は約 $18,577 で、Aの約 $19,419 に届きません。
❌ 惜しい! 3つともNPVはプラスですが、建てられる工場は1つだけです。相互排他的なプロジェクトでは、NPVがプラスのものを全部選ぶのは誤りです。プラスの中で最も高いNPVを選びます。
❌ 惜しい! 費用は1つのキャッシュフローにすぎません。BのNPVは約 $10,567 で、3つの中で最も低いのです。基準はNPVで、投資額の大きさではありません。
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割引係数は 1/1.03≈0.970871/1.03 \approx 0.97087、1/1.0352≈0.933511/1.035^2 \approx 0.93351、1/1.043≈0.889001/1.04^3 \approx 0.88900 です。現在価値はドル単位で、各項は丸めています(NPVは丸める前の項から求めています):

NPVA=−500,000+213,592+168,032+137,794≈19,419NPV_A = -500{,}000 + 213{,}592 + 168{,}032 + 137{,}794 \approx 19{,}419 NPVB=−440,000+145,631+149,362+155,574≈10,567NPV_B = -440{,}000 + 145{,}631 + 149{,}362 + 155{,}574 \approx 10{,}567 NPVC=−500,000+145,631+177,367+195,579≈18,577NPV_C = -500{,}000 + 145{,}631 + 177{,}367 + 195{,}579 \approx 18{,}577

3つともプラスですが、これらのプロジェクトは相互排他的なので、会社はNPVが最も高いもの(ただしプラスであること)を採択します。プロジェクトAで、企業価値に約 $19,419 を上乗せします。Cは現金の合計が多いのですが(正味 $60,000、Aは $55,000)、その多くは割引が最も重い3年目に入ってきます。

問4 · 価値の加法性

条件:ある会社の現在の市場価値は $8,000,000 です。独立したプロジェクトが3つあり、P、Q、RのNPVは $21,500、−$6,300、$9,800 です。これとは別に、相互排他的な2つのプロジェクト、S(NPV $14,000)とT(NPV $11,200)から、多くとも1つを選ばなければなりません。どのNPVも、そのプロジェクト自身のリスク調整後の割引率で求めたもので、プロジェクト間の相互作用はありません。投資の基準に従ったあとの、会社の市場価値を求めてください。

✅ 正解です! PとR(独立したプロジェクトのうちNPVがプラスのものすべて)を採択し、Qは見送り、S(相互排他的な2つのうち良いほう)を採択します。$8,000,000 + $21,500 + $9,800 + $14,000 = $8,045,300 です。
❌ 惜しい! それはSとTの両方を採択しています。この2つは相互排他的なので、足せるのはNPVが高いほう、Sだけです。
❌ 惜しい! それはすべてのプロジェクトを採択しています。NPVが −$6,300 で企業価値を下げるQも、相互排他的な2つの両方も含まれています。
❌ 惜しい! それは最も良いプロジェクトを1つだけ採択しています。独立したプロジェクトは競合しません。NPVがプラスのものはどれも価値を上乗せし、相互排他的な2つからも、良いほうが価値を加えます。
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価値の加法性により、会社の価値は、現在の価値に、採択するすべてのプロジェクトのNPVを足したものです。

独立したプロジェクト:NPVがプラスのものをすべて、つまりP($21,500)とR($9,800)を採択し、Q(−$6,300)は棄却します。

相互排他的な2つ:NPVが高いほうのプラスのもの、S($14,000)を採択し、Tは採択しません。

企業価値 = $8,000,000 + $21,500 + $9,800 + $14,000 = $8,045,300

正解数:0 / 4