ファイナンス理論 · 第20回 · 動画1 · インタラクティブ教材
ルールは一つ、割引率はいくつも:資本予算はNPVから始まる
I重要な公式
ポイント:目的は会社の現在の市場価値を高めることで、NPVはプロジェクトがその価値に上乗せする金額をちょうど測ります。ルールは変わりません。手間がかかるのは入力のほう、つまり分子のキャッシュフローと、分母に入る、各キャッシュフローのリスクに合った割引率です。
IIキャッシュフローごとの割引率
各キャッシュフローは、1にその時点の割引率を足したものの、その時点の数のべき乗で割ります。
III独立か、相互排他的か
プロジェクトが企業価値に上乗せするのはちょうどそのNPVなので、どれを採択するかは、どの組み合わせが許されるかで決まります。
💡 ここでのNPVは、どれも単独で評価したものです。たとえば顧客を奪い合うなど、2つのプロジェクトが影響し合うなら、その相互作用を別に評価して足し合わせます。
IV確認クイズ
問1 · 時点ごとの割引率で求めるNPV
条件:あるプロジェクトは今日 $500,000 かかり、1年目、2年目、3年目の終わりに $170,000、$175,000、$190,000 を生みます。この3つのキャッシュフローに合ったリスク調整後の割引率は、年率で r1=3%、r2=3.5%、r3=4% です。このプロジェクトのNPVを求めてください。
✅ 正解です! 3つの現在価値の合計は約 $497,322 で、費用の $500,000 を下回ります。ですからNPVは約 −$2,678 で、割り引く前の現金が費用を上回っていても、このプロジェクトは棄却すべきです。
❌ 惜しい! それは各キャッシュフローを
1+rt で1回しか割っていません。
t 年目のキャッシュフローは
(1+rt)t で割ります。2年目は
1.0352、3年目は
1.043 です。
❌ 惜しい! それはどの年も
4% で割り引いています。ここでは各キャッシュフローにそれぞれの割引率があり、1年目は
3%、2年目は
3.5% で、
4% を使うのは3年目だけです。
❌ 惜しい! $35,000 は割り引く前の合計、
−500,000+170,000+175,000+190,000 です。将来のドルは今日のドルより価値が低いので、足す前にどの流入も割り引かなければなりません。
解答を見る
各キャッシュフローを、その時点の割引率を時点の数でべき乗したもので割り引きます(単位はドル、各項はドル単位に丸めています):
NPV=−500,000+1.03170,000+1.0352175,000+1.043190,000
≈−500,000+165,049+163,364+168,909=−2,678
NPVは約 −$2,678 です。マイナスなので、このプロジェクトは会社の市場価値を下げます。棄却します。
問2 · すべての時点に1つの割引率
条件:あるプロジェクトは今日 $500,000 かかり、1年目、2年目、3年目の終わりに $215,000、$170,000、$150,000 を生みます。これらのキャッシュフローに合った割引率は r1=3%、r2=3.5%、r3=4% です。ところがあるアナリストは、どの年も3年の割引率 4% で割り引き、NPVは約 −$2,745 だと報告しました。
各キャッシュフローに合った割引率で求めたNPVはいくらですか?
会社はどうすべきですか?
✅ 正解です! 合った割引率で求めたNPVは約 +$784 なので、このプロジェクトは価値を生み、採択すべきです。どの時点にも1つの割引率を使うと、1年目と2年目のキャッシュフローを割り引きすぎて、判断が逆になります。
❌ NPVを確かめてください。 t 年目のキャッシュフローは、その年自身の割引率を使って
(1+rt)t で割り引きます。
❌ 判断を確かめてください。 単一のプロジェクトは、そのリスクに合った割引率で求めたNPVがプラスのとき、かつそのときに限り採択します。
❌ 惜しい! それはどの年にも
4% を当てはめた、アナリストの数字です。1年目と2年目のキャッシュフローには、それぞれ
3% と
3.5% という自分の割引率があります。
❌ 惜しい! それはどの年も、1年目の割引率
3% で割り引いています。2年目には
1.0352、3年目には
1.043 が必要です。
❌ 惜しい! $35,000 は割り引く前の合計です。足す前に、どの流入も今日の価値に割り引かなければなりません。
❌ 惜しい! 4% の数字は慎重なのではなく、誤りです。1年目と2年目のキャッシュフローが抱えるリスクの価格は、
3% と
3.5% です。適切なリスク調整とは、各キャッシュフローをそれ自身の割引率で割り引くことです。
❌ 惜しい! このルールは符号で判定します。どんなに小さくてもNPVがプラスなら、その金額だけ会社の市場価値が上がります。
解答を見る
合った割引率の場合(単位はドル、各項はドル単位に丸めています):
NPV=−500,000+1.03215,000+1.0352170,000+1.043150,000
≈−500,000+208,738+158,697+133,349=784
アナリストの1つの割引率の場合:
−500,000+1.04215,000+1.042170,000+1.043150,000≈−500,000+206,731+157,175+133,349=−2,745
3年目の項はどちらも同じです。差はすべて、1年目と2年目を、それぞれのより低い割引率ではなく 4% で割り引いたことから生じています。正しいNPVは約 +$784 > 0 なので、会社はこのプロジェクトを採択すべきです。
問3 · 相互排他的な3つのプロジェクト
条件:ある会社は、3つの工場のうち1つしか建てられません。割引率は3つとも r1=3%、r2=3.5%、r3=4% です。
会社が採択すべきプロジェクトを求めてください。
✅ 正解です! NPVは約 $19,419(A)、$10,567(B)、$18,577(C)です。建てられるのは1つだけなので、プラスの中で最も大きいNPV、Aを採択します。
❌ 惜しい! 割り引く前の正味の現金はCの $60,000 が最大ですが、入ってくるのが遅いのです。各時点の割引率で割り引くと、Cの価値は約 $18,577 で、Aの約 $19,419 に届きません。
❌ 惜しい! 3つともNPVはプラスですが、建てられる工場は1つだけです。相互排他的なプロジェクトでは、NPVがプラスのものを全部選ぶのは誤りです。プラスの中で最も高いNPVを選びます。
❌ 惜しい! 費用は1つのキャッシュフローにすぎません。BのNPVは約 $10,567 で、3つの中で最も低いのです。基準はNPVで、投資額の大きさではありません。
解答を見る
割引係数は 1/1.03≈0.97087、1/1.0352≈0.93351、1/1.043≈0.88900 です。現在価値はドル単位で、各項は丸めています(NPVは丸める前の項から求めています):
NPVA=−500,000+213,592+168,032+137,794≈19,419
NPVB=−440,000+145,631+149,362+155,574≈10,567
NPVC=−500,000+145,631+177,367+195,579≈18,577
3つともプラスですが、これらのプロジェクトは相互排他的なので、会社はNPVが最も高いもの(ただしプラスであること)を採択します。プロジェクトAで、企業価値に約 $19,419 を上乗せします。Cは現金の合計が多いのですが(正味 $60,000、Aは $55,000)、その多くは割引が最も重い3年目に入ってきます。
問4 · 価値の加法性
条件:ある会社の現在の市場価値は $8,000,000 です。独立したプロジェクトが3つあり、P、Q、RのNPVは $21,500、−$6,300、$9,800 です。これとは別に、相互排他的な2つのプロジェクト、S(NPV $14,000)とT(NPV $11,200)から、多くとも1つを選ばなければなりません。どのNPVも、そのプロジェクト自身のリスク調整後の割引率で求めたもので、プロジェクト間の相互作用はありません。投資の基準に従ったあとの、会社の市場価値を求めてください。
✅ 正解です! PとR(独立したプロジェクトのうちNPVがプラスのものすべて)を採択し、Qは見送り、S(相互排他的な2つのうち良いほう)を採択します。$8,000,000 + $21,500 + $9,800 + $14,000 = $8,045,300 です。
❌ 惜しい! それはSとTの両方を採択しています。この2つは相互排他的なので、足せるのはNPVが高いほう、Sだけです。
❌ 惜しい! それはすべてのプロジェクトを採択しています。NPVが −$6,300 で企業価値を下げるQも、相互排他的な2つの両方も含まれています。
❌ 惜しい! それは最も良いプロジェクトを1つだけ採択しています。独立したプロジェクトは競合しません。NPVがプラスのものはどれも価値を上乗せし、相互排他的な2つからも、良いほうが価値を加えます。
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価値の加法性により、会社の価値は、現在の価値に、採択するすべてのプロジェクトのNPVを足したものです。
独立したプロジェクト:NPVがプラスのものをすべて、つまりP($21,500)とR($9,800)を採択し、Q(−$6,300)は棄却します。
相互排他的な2つ:NPVが高いほうのプラスのもの、S($14,000)を採択し、Tは採択しません。
企業価値 = $8,000,000 + $21,500 + $9,800 + $14,000 = $8,045,300
正解数:0 / 4