ファイナンス理論 · 第20回 · 動画3 · インタラクティブ教材

利益10万ドルの機械がなぜ16万ドルの現金を生むのか:税引後キャッシュフローと節税効果

I重要な公式

公式名称必要なもの
OP=売上高−営業費用除く D\text{OP} = \text{売上高} - \text{営業費用}_{\text{除く } D}営業利益(OP)現金での売上高と、現金での営業費用(減価償却を除く)
税金=τ⋅OP−τ⋅D\text{税金} = \tau \cdot \text{OP} - \tau \cdot Dプロジェクトの法人所得税税率 τ\tau、減価償却 DD
CF=(1−τ) OP−CapEx+τD\text{CF} = (1 - \tau)\,\text{OP} - \text{CapEx} + \tau D税引後キャッシュフロー上のすべてと、資本的支出(CapEx)
D=費用耐用年数D = \dfrac{\text{費用}}{\text{耐用年数}}、節税効果 =τD= \tau D定額法の減価償却と、その節税効果資産の費用と耐用年数

ポイント:減価償却は現金の支払いではありません。キャッシュフローに影響するのは、それが浮かせる税金 τD\tau D を通じてだけです。資産の耐用期間のどの年でも、税引後の利益は税引後キャッシュフローをちょうど DD だけ下回ります。

II同じ機械からの2つの道筋

費用 $600,000 の設備を6年で償却します。会計担当者は DD を差し引き、キャッシュフローは税金だけを差し引きます。

III合計は同じ、タイミングが違う

同じプロジェクトを τ=25%\tau = 25\% で見ます(費用 $600,000、売上高 $420,000、営業費用 $180,000)。キャッシュフローは年 $205,000、税引後の利益は年 $105,000 です。耐用期間全体では2つの流れの合計は同じですが、現金が出ていくのは時点0です。

💡 NPVは各時点の現金を割り引くので、どちらの流れを選ぶかが重要です。キャッシュフローの列では時点0に払う $600,000 の支出を、利益の列は6年に割り振っています。

IVスケジュールが動かすのは節税効果の時期で、合計ではない

減価償却のスケジュールを速めると、節税効果がいつ入ってくるかは変わりますが、その合計は決して変わりません。

💡 現在の米国の法律では、2025年1月19日より後に取得した対象設備のほとんどを、使い始めた年に全額償却できます。それでも節税効果の合計は τ×費用\tau \times \text{費用} で、早く入ってくるだけです。

V確認クイズ

問1 · 毎年の税引後キャッシュフロー

条件:費用 $600,000 の設備を、6年の定額法で償却します。売上高は年 $450,000、営業費用(減価償却を除く)は年 $190,000、税率は τ=15%\tau = 15\% です。1〜6年目の各年の税引後キャッシュフローを求めてください。

✅ 正解です! プロジェクトの手元には $260,000 の営業利益の85%が残り、これに $15,000 の節税効果が加わります。
❌ 惜しい! それは (1−τ) OP(1 - \tau)\,\text{OP} だけです。減価償却は税額を減らし、浮いた τD\tau D は会社の中にとどまる現金です。
❌ 惜しい! 減価償却は現金の流入ではありません。キャッシュフローに入るのは、それが浮かせる税金 τD=0.15×100,000\tau D = 0.15 \times 100{,}000 だけで、DD 全体ではありません。
❌ 惜しい! それは税引後の会計上の利益、(1−τ)(OP−D)(1 - \tau)(\text{OP} - D) です。現金が会社から出ていくかのように減価償却を差し引いているので、現金を DD だけ少なく見積もっています。
❌ 惜しい! 1〜6年目は資本的支出がないので、CF=(1−τ) OP+τD\text{CF} = (1 - \tau)\,\text{OP} + \tau D を使います。
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定額法の減価償却と営業利益は:

D=600,0006=100,000,OP=450,000−190,000=260,000D = \frac{600{,}000}{6} = 100{,}000, \qquad \text{OP} = 450{,}000 - 190{,}000 = 260{,}000

1〜6年目には資本的支出がないので、

CF=(1−0.15)(260,000)+0.15(100,000)=221,000+15,000=236,000\text{CF} = (1 - 0.15)(260{,}000) + 0.15(100{,}000) = 221{,}000 + 15{,}000 = 236{,}000

税引後キャッシュフローは年 $236,000 です。税額から確かめましょう。課税所得は 260,000−100,000=160,000260{,}000 - 100{,}000 = 160{,}000、税金は 0.15×160,000=24,0000.15 \times 160{,}000 = 24{,}000 で、260,000−24,000=236,000260{,}000 - 24{,}000 = 236{,}000 です。

問2 · より速いスケジュール

条件:同じプロジェクト(費用 $600,000、売上高 $420,000、営業費用 $180,000)で、税率を τ=20%\tau = 20\% とします。会社は減価償却を、6年の定額法から4年の定額法に切り替えます。このプロジェクトの1年目の税引後キャッシュフローの変化を求めてください。

✅ 正解です! 1年目に増えた $50,000 の減価償却は 0.20×50,0000.20 \times 50{,}000 の税金を浮かせ、その節税分は現金です。
❌ 惜しい! 減価償却そのものは現金ではありませんが、控除できます。控除が大きくなると実際に払う税金が減り、税金は現金の流出です。
❌ 惜しい! それは税引後の利益の変化、−(1−τ) ΔD-(1 - \tau)\,\Delta D です。会計担当者が大きくなった費用を差し引くので利益は下がりますが、税額が縮むので現金は増えます。
❌ 惜しい! 増えた $50,000 の減価償却は受け取る現金ではありません。キャッシュフローを変えるのは、それが浮かせる税金 τ ΔD\tau\,\Delta D だけです。
❌ 惜しい! スケジュールによって変わるのは、節税効果の項 τD\tau D だけです。
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1年目の減価償却は 600,000/6=100,000600{,}000/6 = 100{,}000 から 600,000/4=150,000600{,}000/4 = 150{,}000 に増えるので、ΔD=50,000\Delta D = 50{,}000 です。CF=(1−τ) OP+τD\text{CF} = (1 - \tau)\,\text{OP} + \tau D で変わるのは最後の項だけです:

ΔCF=τ ΔD=0.20×50,000=10,000\Delta \text{CF} = \tau\,\Delta D = 0.20 \times 50{,}000 = 10{,}000

直接計算すると、0.8(240,000)+0.2(150,000)=222,0000.8(240{,}000) + 0.2(150{,}000) = 222{,}000 と 0.8(240,000)+0.2(100,000)=212,0000.8(240{,}000) + 0.2(100{,}000) = 212{,}000 で、$10,000 の増加です。税引後の利益は逆に動き、0.8(140,000)=112,0000.8(140{,}000) = 112{,}000 から 0.8(90,000)=72,0000.8(90{,}000) = 72{,}000 へと $40,000 下がります。

問3 · 時点ごとの表

条件:費用 $600,000 の設備を時点0で買い、6年の定額法で償却します。1〜6年目の各年の売上高は $400,000、営業費用は $170,000 で、τ=35%\tau = 35\% です。毎年の税引後キャッシュフロー、毎年実際に払う税金、時点0〜6の税引後キャッシュフローの合計を求めてください。

1〜6年目の各年の税引後キャッシュフローは?

毎年実際に払う税金は?

時点0〜6の税引後キャッシュフローの合計は?

✅ 正解です! 割り引く前の現金の合計は、6年分の税引後の利益 6×84,500=507,0006 \times 84{,}500 = 507{,}000 に等しくなります。2つの流れが違うのはタイミングだけです。
❌ キャッシュフローを確かめてください。 それは (1−τ) OP(1 - \tau)\,\text{OP} だけです。減価償却は税額を減らし、浮いた τD=35,000\tau D = 35{,}000 は会社の中にとどまる現金です。
❌ キャッシュフローを確かめてください。 それは税引後の会計上の利益、(1−τ)(OP−D)(1 - \tau)(\text{OP} - D) です。毎年現金が会社から出ていくかのように減価償却を差し引いているので、現金を DD だけ少なく見積もっています。
❌ キャッシュフローを確かめてください。 それは DD 全体を (1−τ) OP(1 - \tau)\,\text{OP} に足し戻しています。減価償却は現金の流入ではありません。キャッシュフローに入るのは、それが浮かせる税金 τD\tau D だけです。
❌ 税金を確かめてください。 それは τ×OP\tau \times \text{OP}、つまり減価償却の控除がない場合の税金です。課税所得は、営業利益から減価償却を引いたものです。
❌ 税金を確かめてください。 それは節税効果 τD\tau D、つまり控除によって浮く税金で、払う税金ではありません。
❌ 税金を確かめてください。 それは課税所得 OP−D\text{OP} - D です。税金はその τ\tau 倍です。
❌ 合計を確かめてください。 それは毎年の6つのキャッシュフローを足していますが、$600,000 の購入がマイナスのキャッシュフローとして入る時点0が抜けています。
❌ 合計を確かめてください。 割り引く前の合計がゼロになる理由はありません。時点0の支出に、プラスの年間キャッシュフロー6つを足したものです。
❌ 合計を確かめてください。 それは $600,000 を2回差し引いています。1回は時点0で、もう1回は6年分の税引後の利益に含まれる減価償却を通じてです。時点1〜6に入るのは、利益ではなくキャッシュフローです。
❌ キャッシュフローを確かめてください。 営業利益の 1−τ1 - \tau を残し、節税効果 τD\tau D を足します。DD 全体を足すのでも、何も足さないのでもありません。
❌ 税金を確かめてください。 税金は課税所得の τ\tau 倍で、課税所得は営業利益から減価償却を引いたものです。
❌ 合計を確かめてください。 時点0には $600,000 の購入がマイナスのキャッシュフローとして入り、時点1〜6にはそれぞれ毎年の税引後キャッシュフローが入ります。
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D=600,000/6=100,000D = 600{,}000/6 = 100{,}000、OP=400,000−170,000=230,000\text{OP} = 400{,}000 - 170{,}000 = 230{,}000 です。各年 t=1,…,6t = 1, \dots, 6 で:

CFt=(1−0.35)(230,000)+0.35(100,000)=149,500+35,000=184,500\text{CF}_t = (1 - 0.35)(230{,}000) + 0.35(100{,}000) = 149{,}500 + 35{,}000 = 184{,}500 税金=0.35×230,000−0.35×100,000=80,500−35,000=45,500\text{税金} = 0.35 \times 230{,}000 - 0.35 \times 100{,}000 = 80{,}500 - 35{,}000 = 45{,}500

検算:230,000−45,500=184,500230{,}000 - 45{,}500 = 184{,}500。時点0のキャッシュフローは資本的支出 −600,000-600{,}000 なので、

∑t=06CFt=−600,000+6×184,500=507,000\sum_{t=0}^{6} \text{CF}_t = -600{,}000 + 6 \times 184{,}500 = 507{,}000

毎年のキャッシュフローは $184,500、税金は $45,500、合計は $507,000 です。税引後の利益は年 0.65×130,000=84,5000.65 \times 130{,}000 = 84{,}500 で、その合計も 507,000507{,}000 になります。6回の減価償却の合計が $600,000 の支出に等しいからです。

問4 · 1年目に全額償却

条件:同じ設備(費用 $600,000)で、1〜6年目の各年の売上高を $380,000、営業費用を $160,000、τ=30%\tau = 30\% とします。ただし、$600,000 全額を1年目に減価償却として控除し、それ以降は控除しません。このプロジェクトは1年目に課税上の損失を出しますが、会社のほかの利益がそれを吸収するので、節税効果はその年に全額実現します。1年目と2年目の税引後キャッシュフローを求めてください。

1年目の税引後キャッシュフローは?

2年目の税引後キャッシュフローは?

✅ 正解です! 毎年 $30,000 ずつではなく、$180,000 の節税効果が全額1年目に入ります。1〜6年目の現金の合計は $1,104,000 のまま変わりません。
❌ 1年目を確かめてください。 それは控除が $100,000 の、6年の定額法でのキャッシュフローです。ここでは $600,000 全額を1年目に控除するので、節税効果は τ×600,000\tau \times 600{,}000 です。
❌ 1年目を確かめてください。 それは節税効果のない (1−τ) OP(1 - \tau)\,\text{OP} です。$600,000 の控除は1年目に 0.30×600,0000.30 \times 600{,}000 の税金を浮かせ、その節税分は現金です。
❌ 1年目を確かめてください。 それは税引後の会計上の結果、(1−τ)(OP−D1)(1 - \tau)(\text{OP} - D_1) で、$600,000 全額を1年目に払ったかのように差し引いています。キャッシュフローでは減価償却を足し戻します。入るのは浮いた税金だけです。
❌ 2年目を確かめてください。 それはまだ6年の定額法の $30,000 の節税効果を数えています。全額償却したあとは D2=0D_2 = 0 で、節税効果は残っていません。
❌ 2年目を確かめてください。 資産は償却し終わっていますが、プロジェクトはまだ営業利益を生み、その 1−τ1 - \tau が手元に残ります。
❌ 2年目を確かめてください。 それは税引前の営業利益です。D2=0D_2 = 0 なので営業利益全体に税金がかかり、プロジェクトの手元に残るのは (1−τ) OP(1 - \tau)\,\text{OP} です。
❌ 1年目を確かめてください。 CF1=(1−τ) OP+τD1\text{CF}_1 = (1 - \tau)\,\text{OP} + \tau D_1 で、D1=600,000D_1 = 600{,}000 です。会計上の損失 (1−τ)(OP−D1)(1 - \tau)(\text{OP} - D_1) は、キャッシュフローではありません。
❌ 2年目を確かめてください。 償却するものが残っていないので D2=0D_2 = 0 です。プロジェクトの手元には営業利益の 1−τ1 - \tau が残り、節税効果はありません。
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営業利益は毎年 OP=380,000−160,000=220,000\text{OP} = 380{,}000 - 160{,}000 = 220{,}000 です。減価償却は D1=600,000D_1 = 600{,}000、D2=⋯=D6=0D_2 = \dots = D_6 = 0 です。

CF1=(1−0.30)(220,000)+0.30(600,000)=154,000+180,000=334,000\text{CF}_1 = (1 - 0.30)(220{,}000) + 0.30(600{,}000) = 154{,}000 + 180{,}000 = 334{,}000 CF2=(1−0.30)(220,000)+0.30(0)=154,000\text{CF}_2 = (1 - 0.30)(220{,}000) + 0.30(0) = 154{,}000

1年目は $334,000、2〜6年目はそれぞれ $154,000 です。このプロジェクトの1年目の税金は 0.30(220,000−600,000)=−114,0000.30(220{,}000 - 600{,}000) = -114{,}000 です。会社のほかの利益がこの損失を吸収するので、このプロジェクトは会社全体の税額を $114,000 減らします。6年の定額法なら、キャッシュフローは毎年 0.7(220,000)+0.3(100,000)=184,0000.7(220{,}000) + 0.3(100{,}000) = 184{,}000 です。1〜6年目の合計はどちらのスケジュールでも 334,000+5×154,000=6×184,000=1,104,000334{,}000 + 5 \times 154{,}000 = 6 \times 184{,}000 = 1{,}104{,}000 です。全額償却は $150,000 分の節税効果を1年目に移すだけですが、それによって、割引率がプラスならどんな場合もNPVが上がります。

正解数:0 / 4