ファイナンス理論 · 第21回 · 動画1 · インタラクティブ教材
回収期間法:違う年のドルを足す欠陥と、それでも使われる理由
I重要な公式
ポイント:2つの回収期間法はどちらも時点 k でキャッシュフローを読むのをやめるので、後から来る大きな支払いも、大きな収入も見えません。予測の不確実性は割引率に、流動性は借入コストの期間構造に反映させるべきです。回収期間法が妥当なのは、キャッシュフローが一定で、リスクが同程度のときだけです。
IIk より後は、すべて見えない
2つの回収期間法はどちらも k=2 で止まるので、時点3のキャッシュフローがどんな値でも、判定は変わりません。
III割り引くと回収の時点が遅れる
割り引くと、どの累計も小さくなります。ですから割引回収期間が通常の回収期間より早く来ることはなく、ときには割引ベースでの回収そのものが起きません。
💡 予測の不確実性を反映させるべき場所も、遠い日付に対するより高い割引率です。高い割引率は遠いキャッシュフローをなめらかに縮めますが、回収期間法は k まではそのままの重みで数え、その後は完全に切り捨てます。
IV限られたケース:一定のキャッシュフローと同程度のリスク
回収期間が最短のプロジェクトが、NPVが最大のプロジェクトと一致すると信頼できるのは、キャッシュフローが一定でリスクが同程度という、限られたケースだけです。
V確認クイズ
問1 · 回収期間
条件:あるプロジェクトは、今日 $300,000 かかり、1年目から5年目の終わりにそれぞれ $80,000、$90,000、$100,000、$120,000、$60,000 を生みます。回収期間を求めてください。
✅ 正解です! 累計は3年目の後で $270,000 と $300,000 に届かず、4年目の後で $390,000 になります。ですから、費用がまかなわれる最初の時点は4年目です。
❌ 惜しい! 3年間のキャッシュフローの合計は $270,000 で、まだ $300,000 の費用に届きません。回収期間は、最初の
k、つまり累計が初めて
I0 以上になる時点です。
❌ 惜しい! それは4年目の途中を補間しています(
3+30/120)。回収期間は最小の整数
k で、
CF1+⋯+CFk≥I0 となるものです。期間を丸ごと数えます。
❌ 惜しい! それは費用を平均キャッシュフロー $90,000 で割っています。キャッシュフローは一定ではないので、入ってくる順序が重要です。合計が初めて $300,000 に達するまで、時点ごとに足し上げましょう。
解答を見る
ここでは I0=−CF0 は $300,000 です。キャッシュフローを時点ごとに足し上げます(単位:千ドル):
CF1=80,CF1+CF2=170,CF1+CF2+CF3=270<300
CF1+CF2+CF3+CF4=390≥300
最小の k で累計が I0 以上になるのは、k=4 年です。5年目のキャッシュフローは、計算に一度も入りません。
問2 · 割引回収期間と、価値を生むプロジェクト
条件:あるプロジェクトは、今日 $250,000 かかり、1年目から4年目の終わりにそれぞれ $100,000、$100,000、$80,000、$60,000 を生みます。資本コストはどの時点も 8% で、企業の基準期間は t∗=3 年です。
割引回収期間はいくつですか?
割引回収期間法とNPVは、それぞれどう判定しますか?
✅ 正解です! 割引後の累計が $250,000 に達するのは4年目になってからなので、
t∗=3 ではルールは棄却します。ところがNPVは約 +$35,900 です。割引回収期間法は、価値を生むプロジェクトを退けてしまうのです。
❌ 回収期間を確かめましょう。 各キャッシュフローを
1.08t で割り引き、合計が初めて $250,000 に達するまで、現在価値を時点ごとに足し上げましょう。
❌ 判定を確かめましょう。 割引後の
k を
t∗=3 と比べ、4年目の分も含めてすべてのキャッシュフローを割り引いて、NPVを計算しましょう。
❌ 惜しい! k=3 は通常の回収期間です。割り引かなければ
100,000+100,000+80,000=280,000 です。現在価値では、最初の3年間で約 $241,800 にしかならず、$250,000 に届きません。
❌ 惜しい! それは4年目の途中を補間しています。割引回収期間も、回収期間と同じく最小の整数
k で、そこで累計が
I0 に達するものです。
❌ 惜しい! 4つの現在価値の合計は約 $285,900 で、$250,000 の費用を上回ります。ですから、現在価値で見ても4年目までには回収できます。
❌ 惜しい! 割引回収期間は4年で、
t∗=3 を超えるので、ルールは棄却します。基準を満たすのは、通常の回収期間の3年だけです。
❌ 惜しい! 現在価値の合計は約 $285,900 で、$250,000 の費用より大きいので、NPVは正です。ルールが棄却するのは、4年目のキャッシュフローが
t∗ より後に来るからにすぎません。
❌ 惜しい! $90,000 は、割り引く前の合計
340,000−250,000 です。NPVでは、まず各キャッシュフローを今日まで割り引きます。
解答を見る
各キャッシュフローを 8% で割り引きます(単位:千ドル。各項は小数第2位に丸めます):
1.08100≈92.59,1.082100≈85.73,1.08380≈63.51,1.08460≈44.10
現在価値の累計:
92.59,178.32,241.83<250,285.93≥250
割引回収期間は k=4 年です。4>t∗=3 なので、割引回収期間法はこのプロジェクトを棄却します。しかし、
NPV≈−250+285.93=35.93
なので、NPVは約 +$35,900 で、このプロジェクトは価値を生みます。4年目のキャッシュフローは基準期間の後に来るので、ルールには一度も見えません。
問3 · 相互排他的な2つのプロジェクト
条件:企業は2つのプロジェクトのうち1つしか実行できません。どちらも今日 $200,000 かかり、基準期間は t∗=3 年、資本コストはどの時点も 8% です。プロジェクトAは、1年目から3年目の終わりにそれぞれ $120,000、$100,000、$10,000 を生みます。プロジェクトBは、1年目から4年目の終わりにそれぞれ $60,000、$80,000、$100,000、$120,000 を生みます。
回収期間法が選ぶのは、どちらのプロジェクトですか?
8% での2つのNPVはいくらですか?
企業は、どちらのプロジェクトを実行すべきですか?
✅ 正解です! 回収期間法がAを選ぶのは、Bの3年に対して、Aは2年で費用を回収するからです。しかし、Aが生む価値 $4,800 に対して、Bは約 $91,700 の価値を生みます。回収期間法は、Bの4年目の大きなキャッシュフローも、各プロジェクトが生む金額の大きさも無視しています。
❌ 回収期間法の選択を確かめましょう。 各プロジェクトの
k を求めます。
k≤t∗ のプロジェクトの中から、ルールは
k が最小のものを選びます。
❌ NPVを確かめましょう。 各プロジェクトのキャッシュフローを、最後の時点まですべて
8% で割り引き、$200,000 の費用を引きましょう。
❌ 判断を確かめましょう。 2つのプロジェクトは相互排他的なので、企業は最も多くの価値を生む方を実行します。
❌ 惜しい! Bが費用を回収するのは3年目(
60+80+100=240 千ドル)ですが、Aは2年目(
120+100=220 千ドル)です。
k≤t∗ のプロジェクトの中から、回収期間法は
k が最小のものを選びます。
❌ 惜しい! ルールは
k≤t∗ なので、Bの
k=3 は条件を満たします。Aは、最初の2つのキャッシュフローだけで、すでに合計 $220,000 です。どちらも条件を満たします。
❌ 惜しい! それは、割り引く前の合計から費用を引いた値です。将来の各キャッシュフローは、足す前に
1.08t で割り引かなければなりません。
❌ 惜しい! Bの値は、回収時点の3年目で止まっています。NPVはすべてのキャッシュフローを数えます。Bの4年目の $120,000 は、今日の価値で約 $88,200 です。
❌ 惜しい! 費用を早く回収することは、回収期間法が評価する点ですが、プロジェクトがどれだけの価値を生むかについては何も教えてくれません。Bの方が、約 $87,000 多くの価値を生みます。
❌ 惜しい! 2つのプロジェクトは相互排他的です。企業は1つしか実行できないので、NPVが大きい方を実行します。
解答を見る
回収期間(単位:千ドル)。A:120+100=220≥200 なので kA=2。B:60+80=140<200、60+80+100=240≥200 なので kB=3。どちらも k≤t∗=3 を満たし、ルールは回収期間の短い方、つまりプロジェクトAを選びます。
8% でのNPV(各項は小数第2位に丸めます):
NPVA≈−200+111.11+85.73+7.94=4.78
NPVB≈−200+55.56+68.59+79.38+88.20=91.73
したがって、NPVA は約 +$4,800、NPVB は約 +$91,700 です。2つのプロジェクトは相互排他的なので、企業は、回収期間法では2位だったプロジェクトBを実行すべきです。
問4 · 懸念を反映させるべき場所
条件:あるCFOが、3年という回収期間の基準を擁護しています。「最初の数年より先の予測は、当て推量と大差ない。だから、早く回収できるプロジェクトだけが欲しい」。動画の考え方に沿った応答はどれですか?
✅ 正解です! この懸念はもっともで、回収期間法は近いキャッシュフローに注意を向けさせる点では役に立ちます。しかし、期間とともに増していく不確実性を反映させる正しい場所は、割引率
Rt です。そうすればNPVは、遠いキャッシュフローを捨てずに、その重みを小さくします。
❌ 惜しい! 割引回収期間法が直すのは、貨幣の時間価値だけです。基準より後のキャッシュフローは、どれほど大きくても相変わらずすべて切り捨てますし、その割引率が、増していく不確実性を反映しているとも限りません。
❌ 惜しい! 動画が借入コストの期間構造に割り当てたのは、流動性の懸念、つまりプロジェクトが回収されるまでの資金繰りの空白です。CFOが心配しているのは、予測の不確実性です。
❌ 惜しい! この議論はいくつもの前提の上に成り立っており、回収期間法はその懸念を粗くしか捉えません。基準まではキャッシュフローをそのままの重みで数え、その後はゼロにするのです。回収期間法が妥当な答えを出すのは、キャッシュフローが一定でリスクが同程度という、限られたケースだけです。
解答を見る
動画は、回収期間法を擁護できる根拠を3つ挙げ、それぞれの懸念を本来どこに反映させるべきかを示しています:
- 予測の不確実性:遠いキャッシュフローほど見積もるのが難しい。これは、それらの日付の割引率 R1,…,Rk,… に反映させます。
- 流動性:現金が戻るまでの期間が長いと、資金繰りの問題が生じる。これは、借入コストの期間構造に反映させます。
- 一定のキャッシュフローと同程度のリスク:回収期間法が妥当な答えを出す、限られたケース。
CFOの懸念は1つ目にあたります。ですから答えは、遠い日付の割引率を引き上げたうえで、NPVを適用することです。NPVなら、すべてのキャッシュフローが計算に残ります。
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