ファイナンス理論 · 第21回 · 動画2 · インタラクティブ教材

収益性指数:符号は正しく、規模は見えない

I重要な公式

公式名称説明
PI=PV−CF0=PVI0\text{PI} = \dfrac{\text{PV}}{-CF_0} = \dfrac{\text{PV}}{I_0}収益性指数初期投資1ドルあたりの、将来のキャッシュフロー CF1,CF2,…CF_1, CF_2, \dots の総現在価値
NPV=PV−I0=I0 (PI−1)\text{NPV} = \text{PV} - I_0 = I_0\,(\text{PI} - 1)同じ符号I0>0I_0 > 0 なので PI>1  ⟺  NPV>0\text{PI} > 1 \iff \text{NPV} > 0。独立したプロジェクトが1つなら、採択・棄却の判断はまったく同じです
PI−1=NPVI0\text{PI} - 1 = \dfrac{\text{NPV}}{I_0}1ドルあたりのNPVこれで順位づけてNPVの合計が最大になるのは、予算の制約が1つで、プロジェクトをどんな割合でも実行できる場合だけです

ポイント:比率はNPVの符号を保ち、その大きさを落とします。採択か棄却かの判断なら、この欠落は害になりません。しかし、プロジェクトの中から選ぶときや、戦略が吸収しきれないお金を投じるときには、ドルの金額、つまりNPVが必要です。

II可視化1 — PIとNPVの符号が常に一致する理由

どのプロジェクトも直線 NPV=I0(PI−1)\text{NPV} = I_0(\text{PI} - 1) の上にあり、この直線はちょうど PI=1\text{PI} = 1 でゼロを横切ります。

III可視化2 — NPVは面積:幅 I0I_0、高さ PI−1\text{PI} - 1

PIは動画の2つのプロジェクトを高さで順位づけ、NPVは面積で順位づけます。規模にあたるのが幅です。

IV可視化3 — 資本制約:予算の範囲でPIによって順位づける

PIの順に予算を埋めると、プロジェクトをどんな割合でも実行できるならNPVの合計は最大になりますが、丸ごとでしか実行できないなら、そうはなりません。

💡 PIの順が厳密に正しいのは、予算の制約が1つで、プロジェクトをどんな割合でも実行できる場合だけです。制約が複数ある場合(たとえば今年の予算と来年の予算)には、やはり1つの比率でプロジェクトを順位づけることはできません。

V確認クイズ

問1 · 収益性指数を計算する

条件:ある独立したプロジェクトは、今日 $1,500 かかり、1年目の終わりに $700、2年目の終わりに $1,200 を支払います。資本コストは年 r=12%r = 12\% です。収益性指数と判断を求めてください。

✅ 正解です! PV ≈ $1,581.63 なので PI ≈ 1.05 > 1、NPV ≈ $81.63 > 0 です。2つのルールは、当然ながら一致します。
❌ 惜しい! 1,900/1,500≈1.271{,}900 / 1{,}500 \approx 1.27 は、キャッシュフローを割り引かずに足しています。PIの分子は、12%12\% での現在価値です。
❌ 惜しい! 0.050.05 は NPV/I0=PI−1\text{NPV}/I_0 = \text{PI} - 1、つまり1ドルあたりのNPVです。PIそのものは PV/I0\text{PV}/I_0 で、それより1大きく、1を上回ります。
❌ 惜しい! それは I0/PVI_0/\text{PV} で、比率が上下逆です。PIは、将来のキャッシュフローの総現在価値を分子に置きます:PV/I0\text{PV}/I_0。
❌ 惜しい! 将来の各キャッシュフローを 12%12\% で割り引き、足し合わせてPVを求めてから、I0=−CF0I_0 = -CF_0 で割りましょう。
解答を見る

将来のキャッシュフローの総現在価値(何も差し引かない):

PV=7001.12+1,2001.122≈625+956.63=1,581.63\text{PV} = \frac{700}{1.12} + \frac{1{,}200}{1.12^2} \approx 625 + 956.63 = 1{,}581.63

初期投資は I0=−CF0=1,500I_0 = -CF_0 = 1{,}500 なので、

PI=PVI0≈1,581.631,500≈1.054\text{PI} = \frac{\text{PV}}{I_0} \approx \frac{1{,}581.63}{1{,}500} \approx 1.054

PI>1\text{PI} > 1 なので採択です。検算:NPV=PV−I0≈\text{NPV} = \text{PV} - I_0 \approx $81.63 >0> 0 で、I0(PI−1)=I0⋅PVI0−I0=PV−I0I_0(\text{PI} - 1) = I_0 \cdot \frac{\text{PV}}{I_0} - I_0 = \text{PV} - I_0 も同じ数です。

問2 · 相互排他的な2つのプロジェクト

条件:2つのプロジェクトのうち、1つしか実行できません。資本コストは r=12%r = 12\% です。プロジェクトAは今日 $1,500 かかり、1年後に $2,240 を支払います。プロジェクトBは今日 $4,000 かかり、1年後に $5,600 を支払います。どちらを実行すべきで、それはなぜですか?

✅ 正解です! 1つしか実行できないなら、より多くのドルの価値を生む方を選びたいはずです。Bは1ドルあたりでは小さくても、合計では大きいのです。
❌ それがPI法の誤りです。 比率はAの方が高いのですが、NPV=I0(PI−1)\text{NPV} = I_0(\text{PI} - 1) です。1ドルあたり 0.250.25 のBの $4,000 は、1ドルあたり約 0.330.33 のAの $1,500 より価値が大きいのです。
❌ 惜しい! PI > 1 からわかるのは、各プロジェクトが単独なら採択できるということです。しかし2つのプロジェクトは相互排他的なので、1つを選ばなければなりません。
❌ 惜しい! 収益率も比率なので、PIと同じく規模を落としてしまいます。生み出される価値の、ドルの金額を比べましょう。
解答を見る

プロジェクトA:PV=2,240/1.12=2,000\text{PV} = 2{,}240/1.12 = 2{,}000 なので、NPV=2,000−1,500=500\text{NPV} = 2{,}000 - 1{,}500 = 500、PI=2,000/1,500≈1.33\text{PI} = 2{,}000/1{,}500 \approx 1.33 です。

プロジェクトB:PV=5,600/1.12=5,000\text{PV} = 5{,}600/1.12 = 5{,}000 なので、NPV=5,000−4,000=1,000\text{NPV} = 5{,}000 - 4{,}000 = 1{,}000、PI=5,000/4,000=1.25\text{PI} = 5{,}000/4{,}000 = 1.25 です。

PIではAが1位、NPVでは $500 の差でBが1位です。Bを選びます。別の見方もできます。Bに余分に必要な今日の $2,500 は、翌年に $3,360 を余分にもたらし、3,360/1.12−2,500=500>03{,}360/1.12 - 2{,}500 = 500 > 0 です。ですから、増やした規模の分そのものが、実行する価値を持っています。

問3 · 丸ごとでしか実行できないプロジェクトと資本制約

条件:資本予算は $4,000、r=12%r = 12\% で、独立したプロジェクトが3つあります。どれも、丸ごと実行するか、まったく実行しないかのどちらかです。Xは $1,500 が必要で PI=1.40\text{PI} = 1.40、Yは $2,500 が必要で PI=1.30\text{PI} = 1.30、Zは $4,000 が必要で PI=1.35\text{PI} = 1.35 です。

PIの順に予算を埋めると(もう収まらないプロジェクトは飛ばします)、NPVの合計はいくらになりますか?

予算の範囲でNPVの合計が最も大きくなるのは、どの選び方ですか?

✅ 正解です! PIの順では $1,350 のNPVが得られ、Zだけなら $1,400 です。丸ごとでしか実行できないプロジェクトでは、最も高い比率を集めても、ドルの金額が最大になるとは限りません。
❌ 惜しい! Xの後に $2,500 が残ります。Zは収まりませんが、それを飛ばして、収まるYに進みます。
❌ 惜しい! $1,475 は、XとZの8分の5を実行した場合で、プロジェクトをどんな割合でも実行できるときに、PIの順で得られる値です。ここでは、どのプロジェクトも丸ごとでしか実行できません。
❌ 惜しい! XとZを合わせると $5,500 が必要で、$4,000 の予算を超えます。
❌ それはPIの順での答えです。 XとYでは $600 + $750 = $1,350 です。予算に収まる別の組み合わせの方が、より多くを生みます。
❌ 惜しい! XはPIが最も高いのですが、単独では $1,500 しか使わず、$2,500 が使われないまま残り、NPVは $600 にとどまります。
❌ 惜しい! NPV=I0(PI−1)\text{NPV} = I_0(\text{PI} - 1) で各PIをドルに換算し、PIの順で実行されるプロジェクトのNPVを足しましょう。
❌ 惜しい! $4,000 に収まるすべての組み合わせについて、NPVの合計を比べましょう。
解答を見る

NPV=I0(PI−1)\text{NPV} = I_0(\text{PI} - 1) から求めた、ドルでのNPV:X:1,500×0.40=6001{,}500 \times 0.40 = 600、Y:2,500×0.30=7502{,}500 \times 0.30 = 750、Z:4,000×0.35=1,4004{,}000 \times 0.35 = 1{,}400。

PIの順は X(1.401.40)、Z(1.351.35)、Y(1.301.30)です。Xを実行すると $2,500 が残ります。Zは $4,000 が必要なので飛ばし、Yは $2,500 で収まるので実行します。NPVの合計:600+750=1,350600 + 750 = 1{,}350。

予算に収まるすべての組み合わせ:Xだけ $600、Yだけ $750、Zだけ $1,400、XとY $1,350(XとZ、YとZ、3つすべては $4,000 を超えます)。最善はZだけで、$1,400 です。

プロジェクトをどんな割合でも実行できるなら、PIの順が正解になります。Xを実行し、次にZに $2,500 を1ドルあたり 0.350.35 で投じて、600+875=1,475600 + 875 = 1{,}475 です。

問4 · 比率の背後にある前提

条件:あるチームが、狭いニッチ分野で1年間のプロジェクトを見つけました。いま $1,500 を投資し、1年後に $2,016 を受け取ります。r=12%r = 12\% では PV は $1,800 なので、PI=1.2\text{PI} = 1.2、NPVは $300 です。チームは今度、同じニッチ分野に $4,000 を投じることを提案し、NPVを $4,000 × 0.2 = $800 と報告しています。この $800 という数字は、何を前提にしていますか?

✅ 正解です! 1ドルあたりのNPVに大きな I0I_0 を掛けるのは、どんな規模でも1ドルあたり同じ現金が得られると仮定することです。狭いニッチ分野は追加のお金を吸収しきれないかもしれず、そうなれば1ドルあたりの見返りは下がります。
❌ 惜しい! その同値関係は恒等式で、I0>0I_0 > 0 ならいつでも成り立ちます。規模によって見返りがどう変わるかについては、何も語りません。
❌ 惜しい! 2つを選択肢として扱うことは、そのNPVを比べる理由にはなりますが、$800 の背後にある前提ではありません。
❌ 惜しい! $800 は、r=12%r = 12\% も1ドルあたりの見返りも変わらないものとしています。資本コストが上がるなら、この数字は下がります。この数字を生む前提ではありません。
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$1,500 のとき:PV=2,016/1.12=1,800\text{PV} = 2{,}016/1.12 = 1{,}800、PI=1,800/1,500=1.2\text{PI} = 1{,}800/1{,}500 = 1.2、NPV=300=1,500×0.2\text{NPV} = 300 = 1{,}500 \times 0.2 です。

$800 は、同じ1ドルあたりのNPV PI−1=0.2\text{PI} - 1 = 0.2 に $4,000 を掛けたものです。これが正しいのは、$4,000 を投じても、このニッチ分野が1年後に1ドルあたり 2,016/1,500=1.3442{,}016/1{,}500 = 1.344 を支払い続ける場合、つまり規模が関係ない場合だけです。投資機会を比率(PIや収益率)で表すと、まさにこの前提が組み込まれます。受け入れられる資金量に限りのある狭いニッチ分野では、この前提はおそらく成り立ちません。投じるお金が多いほど、1ドルあたりの稼ぎは少なくなるのです。

正解数:0 / 4