ファイナンス理論 · 第21回 · 動画6 · インタラクティブ教材

企業は実際に何を使うのか:回収期間・IRR・NPVの実態と資本予算の要点

I重要な公式

公式ルール求められること
NPV=CF0+∑t=1TCFt(1+rt)t\text{NPV} = CF_0 + \displaystyle\sum_{t=1}^{T} \frac{CF_t}{(1 + r_t)^t}ルール1と5:NPVで判断し、時点ごとの割引率を使うNPV>0\text{NPV} > 0 のプロジェクトはすべて採択し、相互排他的なプロジェクトの中ではNPVが最も大きいものを選ぶ。各年の rtr_t は、その年に固有のリスクで説明する
NPV=NPV単独+PV(相互作用の効果)\text{NPV} = \text{NPV}_{\text{単独}} + \text{PV}(\text{相互作用の効果})ルール2:相互作用は別に評価するまずプロジェクトを単独で評価し、次に会社のほかの部分に与える影響を足す
CFt=(Rt−Ct)(1−τ)+τDt−ItCF_t = (R_t - C_t)(1 - \tau) + \tau D_t - I_tルール3:会計上の利益ではなく、税引後キャッシュフロー減価償却 DtD_t は、節税効果 τDt\tau D_t を通じてだけ入る。投資 ItI_t は、支払った時点で入る
r=rf+β (E[Rm]−rf)r = r_f + \beta\,(E[R_m] - r_f)ルール4:プロジェクトのベータでCAPMを当てはめるプロジェクト自身のシステマティック・リスクが、その割引率を決める

ポイント:ルール6は、NPV以外の方法を知っておくことです。回収期間法、収益性指数、IRRは広く報告され、追加の情報をもたらします。ただし、意思決定は主にNPVに基づいて行います。

II可視化1 — 企業はどのルールを使っているのか

答えは、調査が誰を対象にしたか、そして使っているかどうか、主要な手法かどうか、常に使っているかどうかのどれを数えたかで変わります。

III可視化2 — 主要な手法の推移(1959〜1981年)

主要な手法として、回収期間法は34%から5.0%に下がり、IRRかNPVは19%から81.8%に上がりました。

IV可視化3 — NPVで決め、ほかの指標は添える

7%で評価する2,000万ドルのプロジェクトでは、ここでIRRとPIは常にNPVと一致します。回収期間法は食い違うことがあります。

💡 ここでIRRとPIがNPVと一致するのは、支出が t=0t = 0 の1回だけで、検討しているプロジェクトがこれ1つで、割引率が 7%7\% の1つだけだからです。規模の異なる相互排他的なプロジェクトの間では、間違ったほうを上位に置くことがあります。

V確認クイズ

問1 · 2つの競合するプロジェクトとルール1

条件:相互排他的な2つのプロジェクトがあり、資本コストはどちらも 7%7\% です。プロジェクトAは今日1,000万ドルかかり、t=1t = 1 と t=2t = 2 にそれぞれ600万ドルを返します。IRRは約 13.1%13.1\% です。プロジェクトBは今日3,000万ドルかかり、t=1t = 1 と t=2t = 2 にそれぞれ1,750万ドルを返します。IRRは約 10.9%10.9\% です。企業はどちらのプロジェクトを選ぶべきですか?

✅ 正解です! BのNPV約164万ドルは、Aの85万ドルを上回ります。相互排他的なプロジェクトのルールは、最も高い収益率ではなく、最も大きいNPVです。
❌ 惜しい! IRRとPIは1ドルあたりの収益を測るもので、規模を無視します。相互排他的なプロジェクトについてのルール1はNPVを比べるもので、より大きな価値を生むのはBです。
❌ 惜しい! 「NPVが正のプロジェクトはすべて採択する」は、独立したプロジェクトのルールです。この2つは相互排他的なので、選べるのは1つだけです。
❌ 惜しい! 7%7\% でのNPVはどちらも正で、IRRはどちらも 7%7\% を上回ります。少なくとも一方のプロジェクトは価値を生みます。
❌ 惜しい! 7%7\% でそれぞれのNPVを計算して、比べてください。
解答を見る

どちらのプロジェクトも2年間一定額を支払うので、7%7\% の2年の年金現価係数を使います(単位:100万ドル):

11.07+11.072≈0.934579+0.873439=1.808018\frac{1}{1.07} + \frac{1}{1.07^2} \approx 0.934579 + 0.873439 = 1.808018 NPVA≈−10+6(1.808018)≈0.848\text{NPV}_A \approx -10 + 6(1.808018) \approx 0.848 NPVB≈−30+17.5(1.808018)≈1.640\text{NPV}_B \approx -30 + 17.5(1.808018) \approx 1.640

どちらも正ですが、プロジェクトは相互排他的なので、ルール1に従ってNPVの大きいほう、プロジェクトBを選びます。

IRR(約 13.1%13.1\% 対 10.9%10.9\%)もPI(10.848/10≈1.08510.848/10 \approx 1.085 対 31.640/30≈1.05531.640/30 \approx 1.055)もAのほうが高いのですが、どちらも投資1ドルあたりの尺度です。Bは3倍の資本でより小さい利幅を稼ぎ、約79万ドル多くの価値を生みます。

問2 · ルール2:相互作用の効果

条件:ある企業が、新しく追加する製品ラインを 7%7\% で単独で評価したところ、NPVは−60万ドルでした。この製品を投入すると、既存製品の税引後キャッシュフローも t=1,2,3,4t = 1, 2, 3, 4 に毎年25万ドルずつ増え、そのリスクは同じ(7%7\%)です。正しい判断と、プロジェクトのNPVはどれですか?

✅ 正解です! 単独での損失を、相互作用の現在価値(約85万ドル)が上回るので、プロジェクトは約25万ドルの価値を加えます。
❌ 惜しい! それは単独での価値にすぎません。ルール2は、相互作用の効果を別に評価して、最後に足し合わせるというものです。
❌ 惜しい! 85万ドルは、相互作用だけの現在価値です。単独でのNPV −60万ドルを、まだ足す必要があります。
❌ 惜しい! 4×0.25=1.004 \times 0.25 = 1.00 は、異なる時点のドルを足しています。足す前に、相互作用のキャッシュフローを 7%7\% で割り引いてください。
❌ 惜しい! 単独でのNPVと、相互作用のキャッシュフローの現在価値を足してください。
解答を見る

相互作用の効果の現在価値は、毎年25万ドルの4年の年金を 7%7\% で割り引いたものです:

PV=0.25(11.07+11.072+11.073+11.074)≈0.25(3.387211)≈0.8468\text{PV} = 0.25\left(\frac{1}{1.07} + \frac{1}{1.07^2} + \frac{1}{1.07^3} + \frac{1}{1.07^4}\right) \approx 0.25(3.387211) \approx 0.8468

これを単独での価値に足します(単位:100万ドル):

NPV≈−0.60+0.8468≈0.2468\text{NPV} \approx -0.60 + 0.8468 \approx 0.2468

NPVは約25万ドルなので、採択します。単独で判断していれば、この製品ラインは棄却されていたでしょう。実行する価値を生んでいるのは、相互作用の効果です。

問3 · ルール3と4を組み合わせる

条件:あるプロジェクトのベータは β=1.2\beta = 1.2 で、無リスク金利は rf=1%r_f = 1\%、市場の期待リターンは E[Rm]=6%E[R_m] = 6\% です。費用は今日600万ドルで、3年間の定額法でゼロまで減価償却します。売上高から現金営業費用を引いた額は1〜3年目に毎年300万ドルで、税率は 25%25\% です(残存価値なし、運転資本なし)。会計担当者は、毎年 (3−2)(1−0.25)=0.75(3 - 2)(1 - 0.25) = 0.75(単位:100万ドル)の利益を報告します。このプロジェクトのNPVはいくらですか?

✅ 正解です! CAPMから割引率は 7%7\%、税引後キャッシュフローは毎年275万ドルで、NPVは約122万ドルです。
❌ 惜しい! それは会計上の利益を割り引いています。減価償却は現金の流出ではありません。600万ドルはすでに t=0t = 0 で数えているので、減価償却を足し戻します:0.75+2=2.750.75 + 2 = 2.75。
❌ 惜しい! それは税引前の300万ドルを割り引いています。ルール3が求めるのは税引後キャッシュフローです:3(1−0.25)+0.25×2=2.753(1 - 0.25) + 0.25 \times 2 = 2.75。
❌ 惜しい! それは r=rf+βE[Rm]=8.2%r = r_f + \beta E[R_m] = 8.2\% を使っています。ベータをかけるのは市場の期待リターンではなく、市場リスクプレミアム E[Rm]−rf=5%E[R_m] - r_f = 5\% です。
❌ 惜しい! CAPMの割引率を求め、次に税引後キャッシュフローを求めてから、割り引いてください。
解答を見る

ルール4、割引率:

r=rf+β (E[Rm]−rf)=1%+1.2(6%−1%)=7%r = r_f + \beta\,(E[R_m] - r_f) = 1\% + 1.2(6\% - 1\%) = 7\%

ルール3、税引後キャッシュフロー(減価償却は毎年 D=6/3=2D = 6/3 = 2):

CFt=(Rt−Ct)(1−τ)+τDt=3(0.75)+0.25(2)=2.25+0.50=2.75CF_t = (R_t - C_t)(1 - \tau) + \tau D_t = 3(0.75) + 0.25(2) = 2.25 + 0.50 = 2.75

利益に減価償却を足しても、同じく 0.75+2=2.750.75 + 2 = 2.75 です。

ルール1、NPV(7%7\% の3年の年金現価係数は ≈2.624316\approx 2.624316。単位:100万ドル):

NPV≈−6+2.75(2.624316)≈−6+7.2169≈1.2169\text{NPV} \approx -6 + 2.75(2.624316) \approx -6 + 7.2169 \approx 1.2169

NPVは約122万ドルなので、採択です。

問4 · 予算の上限

条件:ある企業の今年の予算は1,000万ドルで(上限は1つだけ)、独立したプロジェクトが3つあります。どれも分割でき、どんな割合でも実行できます(費用とNPVもその割合になります)。7%7\% での費用とNPVは、単位100万ドルで、Aが費用 88・NPV 2.02.0、Bが費用 44・NPV 1.41.4、Cが費用 55・NPV 1.51.5 です。この予算で得られるNPVの合計は、最大でいくらですか?

✅ 正解です! 投資1ドルあたりのNPVで順位をつけると、予算はB、C、Aの8分の1の順で埋まります:1.4+1.5+0.25=3.151.4 + 1.5 + 0.25 = 3.15。
❌ 惜しい! NPVが最も大きいAから始めると、800万ドルを使って200万ドルを得て、残りの200万ドルではBの半分(70万ドル)しか買えません。合計で270万ドルです。予算に上限があるとき、大事なのはその予算で得られるNPVの合計なので、投資1ドルあたりのNPVで順位をつけます。
❌ 惜しい! BとCで900万ドルかかり、100万ドルが使われずに残ります。プロジェクトは分割できるので、残りの100万ドルでAの8分の1を買えます。
❌ 惜しい! 3つすべてで1,700万ドルかかり、1,000万ドルの予算を超えます。
❌ 惜しい! プロジェクトを投資1ドルあたりのNPVで順位づけし、その順に予算を埋めてください。
解答を見る

投資1ドルあたりのNPV(収益性指数から1を引いたものと同じ):

B: 1.44=0.35,C: 1.55=0.30,A: 2.08=0.25\text{B: } \frac{1.4}{4} = 0.35, \qquad \text{C: } \frac{1.5}{5} = 0.30, \qquad \text{A: } \frac{2.0}{8} = 0.25

その順に1,000万ドルを埋めます。Bをすべて(400万ドル、NPV 1.41.4)、Cをすべて(500万ドル、NPV 1.51.5)、そして残りの100万ドルでAの 18\tfrac{1}{8} を買います(NPV 18×2.0=0.25\tfrac{1}{8} \times 2.0 = 0.25)。

NPVの合計=1.4+1.5+0.25=3.15\text{NPVの合計} = 1.4 + 1.5 + 0.25 = 3.15

これは315万ドルで、1,000万ドルで得られる最大の値です。

ここで1ドルあたりの順位づけがうまくいくのは、プロジェクトが分割でき、予算の上限が1つだけだからです。そうでなければ、PIが規模を見ないという問題が戻ってくるので、予算の範囲で可能な組み合わせについて、NPVの合計を比べなければなりません。複数年の予算では、さらに年と年のつながりが加わります。今年使うと決めた1ドルは、それ以降の年には使えない1ドルだからです。

正解数:0 / 4