ファイナンス理論 · 第3回 · 動画3 · インタラクティブ教材

答えは金利で決まる:照明システムとCNOOCの低利融資

I重要な公式

公式名称説明
1(1+r)t\dfrac{1}{(1+r)^t}時点 tt の割引係数(ディスカウント・ファクター)tt 年後に受け取る1ドルの今日の価値。30年先なら、4%で約31セント、8%で10セント、12%で3セントです
V0=C11+r+C2(1+r)2+⋯=∑tCt(1+r)tV_0 = \dfrac{C_1}{1+r} + \dfrac{C_2}{(1+r)^2} + \cdots = \sum_t \dfrac{C_t}{(1+r)^t}キャッシュフローの流列の価値資産とは、日付のついたキャッシュフローの系列 C1,C2,…C_1, C_2, \ldots のことです。価値とは、金利がその系列から生み出す1つの数です
NPV=−費用+V0\text{NPV} = -\text{費用} + V_0正味現在価値支出も、ほかと同じキャッシュフローです。時点0に、負の値として入れます
NPV>0⇒採択,NPV<0⇒棄却\text{NPV} > 0 \Rightarrow \text{採択}, \qquad \text{NPV} < 0 \Rightarrow \text{棄却}NPV法(正味現在価値法)使えるのは、公開市場で実際に得られる rr を使うときだけです。プロジェクトに都合のよい金利を選んではいけません

ポイント:資産とはキャッシュフローの系列であり、その価値は、系列と金利が一緒になって生み出す1つの数です。同じ $230,000 の照明システムが、4%では +$19,758.19、10%では −$6,183.32 になります。節約額は同じなのに、結論は正反対です。だから金利は、市場が実際に与えてくれる水準でなければなりません。

II後で受け取る1ドルの今日の価値

受け取りが先になるほど1ドルの今日の価値は小さくなり、金利が高いほど急に下がります。

III金利を変えて照明システムを評価する

節約額も費用も同じです。$230,000 の照明システムを買う価値があるかどうかは、金利だけで決まります。

💡 正味現在価値がちょうど0になる金利(このプロジェクトでは8.5%弱)を、内部収益率といいます。これは後の回で扱います。

IV30年分の節約利息

低利融資は毎年の利息を節約します。8%で割り引くと、その30年分の節約額が1つの数にまとまります。

💡 毎年の節約額の価値は、前の年の同じ割合 1/1.081/1.08 になります。だからこそ、決して止まらない支払いにも有限の価値がつくのです。それが次のテーマ、永久年金です。

V確認クイズ

問1 · 1つのキャッシュフローを今日に戻す

条件:確実な節約額 $50,000 が4年目の終わりに入り、市場金利は r=6%r = 6\% です。この節約額の今日の価値はいくらですか。

✅ 正解です! (1.06)4=1.26247696(1.06)^4 = 1.26247696 で割ると、節約額が4年分さかのぼります:50,000/1.26247696=39,604.6850{,}000 / 1.26247696 = 39{,}604.68。
❌ それは単利です。 1+0.06×4=1.241 + 0.06 \times 4 = 1.24 で割ると、元の金額に対する4年分の利息しか数えていません。利息にも利息がつくので、割引には複利の係数 (1.06)4=1.26247696(1.06)^4 = 1.26247696 を使います。
❌ 1年足りません。 $41,980.96 は 50,000/(1.06)350{,}000/(1.06)^3 です。指数はキャッシュフローが入る時点なので、4年目の金額は (1.06)4(1.06)^4 で割ります。
❌ 時間の向きが逆です。 (1.06)4(1.06)^4 をかけると、お金を将来へ運ぶことになります。後で入るキャッシュフローは今日へ引き戻す必要があるので、割ります。
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キャッシュフロー CtC_t が時点 tt に入るなら、その今日の価値は Ct/(1+r)tC_t/(1+r)^t です。ここでは C4=50,000C_4 = 50{,}000、r=0.06r = 0.06、t=4t = 4 です:

(1.06)4=1.26247696,50,0001.26247696=39,604.68(1.06)^4 = 1.26247696, \qquad \frac{50{,}000}{1.26247696} = 39{,}604.68

言い換えると、4年目に受け取る1ドルの今日の価値は 1/(1.06)4≈0.79211/(1.06)^4 \approx 0.7921 で、節約額はその1ドルが50,000個分です。

問2 · どれがプロジェクトのキャッシュフローか

条件:ある工場は燃料費に年 $120,000 を払っています。今日 $40,000 の改修を行えば、今後4年間、燃料費は毎年 $105,000 に下がります。改修のタイムラインに載せるべきキャッシュフローはどれですか。

✅ 正解です! プロジェクトとは、それがもたらす変化のことです。今日 $40,000 が出ていき、4年間毎年、燃料費が 120,000−105,000=15,000120{,}000 - 105{,}000 = 15{,}000 ドル軽くなります。
❌ 燃料費はどちらにしても払います。 改修してもしなくてもかかるので、このプロジェクトのキャッシュフローではありません。プロジェクトのキャッシュフローは、毎年の $15,000 の削減分だけです。
❌ $105,000 は新しい燃料費で、収入ではありません。 工場はこれを払い続けます。改修がもたらすのは、古い燃料費と新しい燃料費の差 $15,000 です。
❌ 支出もタイムラインに載せます。 $40,000 は今日会社から出ていくので、時点0の負のキャッシュフローとして入ります。この差し引きこそが、合計を正味現在価値にしているのです。
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評価する前に、資産を定義します。資産とは、この意思決定によって変わるキャッシュフローの系列です。

  • 時点0:改修の費用は $40,000 で、C0=−40,000C_0 = -40{,}000 として入ります。
  • 時点1〜4:燃料費が $120,000 から $105,000 に下がるので、Ct=+15,000C_t = +15{,}000 です。

$120,000 の燃料費そのものは、どこにも現れません。改修する場合としない場合のどちらでも払うので、打ち消し合うからです。2つの場合の差だけが、プロジェクトのキャッシュフローです。

NPV=−40,000+15,0001+r+15,000(1+r)2+15,000(1+r)3+15,000(1+r)4\text{NPV} = -40{,}000 + \frac{15{,}000}{1+r} + \frac{15{,}000}{(1+r)^2} + \frac{15{,}000}{(1+r)^3} + \frac{15{,}000}{(1+r)^4}

問3 · 同じ改修を金利20%で

条件:上と同じ改修(今日 $40,000、その後1〜4年目の各年末に $15,000 を節約)ですが、今度は会社の市場金利が r=20%r = 20\% です。8%なら、NPVは +9,681.90+9{,}681.90 ドルです。20%でのNPVはいくらですか。

✅ 正解です! 20%で割り引くと、4回の節約額の今日の価値は V0=38,831.02V_0 = 38{,}831.02 ドルで、費用 $40,000 に $1,168.98 届きません。8%のときと同じキャッシュフローなのに、結論は正反対です。
❌ それは V0V_0 で、NPVではありません。 $38,831.02 は4回の節約額の今日の価値です。まだ支出 $40,000 を差し引く必要があります。
❌ 何も割り引いていません。 4×15,000−40,000=20,0004 \times 15{,}000 - 40{,}000 = 20{,}000 は、4つの異なる時点の現金を、すべて今日入るかのように足しています。まず各節約額を (1.20)t(1.20)^t で割る必要があります。
❌ それは8%のときの答えです。 20%では、どの節約額もずっと大きな係数で割られます(4年目なら (1.20)4=2.0736(1.20)^4 = 2.0736、8%では (1.08)4=1.3605(1.08)^4 = 1.3605)。そのため節約額の今日の価値はずっと小さくなります。
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各節約額を20%で割り引きます:

15,0001.20=12,500.00,15,000(1.20)2=10,416.67\frac{15{,}000}{1.20} = 12{,}500.00, \qquad \frac{15{,}000}{(1.20)^2} = 10{,}416.67 15,000(1.20)3=8,680.56,15,000(1.20)4=7,233.80\frac{15{,}000}{(1.20)^3} = 8{,}680.56, \qquad \frac{15{,}000}{(1.20)^4} = 7{,}233.80

各項をセント単位に丸める前に合計すると V0=38,831.02V_0 = 38{,}831.02 ドルなので、

NPV=−40,000+38,831.02=−1,168.98\text{NPV} = -40{,}000 + 38{,}831.02 = -1{,}168.98

マイナスなので棄却します。8%と20%のあいだで、設備については何も変わっていません。節約額は、同じ4つの時点の同じ4つの金額です。変わったのは $40,000 の機会費用です。20%なら、そのお金にはもっと良い使い道があるのです。

問4 · 融資の金利補助に値段をつける

条件:親会社が子会社に、60億ドルを10年間、金利2%で貸します。子会社が自分で市場から借りる場合の金利は8%です。元本はどちらにしても全額返済し、利息は10年間の各年末に支払います。

この金利補助で、子会社は毎年いくら節約できますか。

この10年分の節約額の流列は、8%で評価すると今日いくらの価値がありますか。

✅ 正解です! 金利差は 0.08−0.02=0.060.08 - 0.02 = 0.06 なので、節約額は年 6×0.06=0.366 \times 0.06 = 0.36(10億ドル単位)、つまり3億6,000万ドルです。8%の割引係数10個の合計は 6.71016.7101 で、0.36×6.7101=2.41560.36 \times 6.7101 = 2.4156(10億ドル単位)、約24.2億ドルになります。
❌ それは市場金利での利息の総額です。 6×0.08=0.486 \times 0.08 = 0.48(10億ドル単位)は8%で借りた場合に払う額ですが、子会社は2%の利息は払い続けるので、節約できるのは差の 0.08−0.020.08 - 0.02 の分だけです。
❌ それは実際に払う利息です。 毎年 6×0.02=0.126 \times 0.02 = 0.12(10億ドル単位)が会社から出ていきます。節約額は払わずに済む分、6×(0.08−0.02)6 \times (0.08 - 0.02) です。
❌ それは10年分をすべて、しかも割り引かずに足したものです。問われているのは1年分の節約額、6×0.06=0.366 \times 0.06 = 0.36(10億ドル単位)です。
❌ 元本はどちらにしても全額返済するので、比較では打ち消し合い、金利補助にはまったく入りません。金利補助とは、節約できる利息のことです。
❌ 10の異なる時点を、1つの時点のように足しています。 3億6,000万ドルは1年ずつ先に入ってくるので、今日の価値は36億ドルを大きく下回るはずです。
❌ それは合計額全体を、10年目に入るかのように割り引いています:3.6/(1.08)10=1.66753.6/(1.08)^{10} = 1.6675。10回の節約額のうち9回はそれより早く入るので、割引はもっと小さくなります。
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ステップ1:資産 元本はどちらにしても返済するので、低利融資がもたらす違いは利息だけです:

6×(0.08−0.02)=6×0.06=0.36(10億ドル単位)毎年、1〜10年目6 \times (0.08 - 0.02) = 6 \times 0.06 = 0.36 \text{(10億ドル単位)毎年、1〜10年目}

ステップ2:価値 毎年の節約額を、借り手が本来なら市場で払うはずの金利8%で割り引きます:

PV=0.361.08+0.36(1.08)2+⋯+0.36(1.08)10\text{PV} = \frac{0.36}{1.08} + \frac{0.36}{(1.08)^2} + \cdots + \frac{0.36}{(1.08)^{10}}

第1項は 0.33330.3333、第2項は 0.30860.3086、第10項は 0.16670.1667 です。10個の割引係数の合計は 6.71016.7101 なので、

PV=0.36×6.7101=2.4156(10億ドル単位)\text{PV} = 0.36 \times 6.7101 = 2.4156 \text{(10億ドル単位)}

上限と下限で検算する どの節約額も割り引かれるので、価値は割り引く前の36億ドルより小さいはずです。また、まるまる10年分割り引かれるのは最後の1回だけなので、3.6/(1.08)10=1.673.6/(1.08)^{10} = 1.67(10億ドル単位)よりかなり大きいはずです。その間に入るのは24.2億ドルだけです。

正解数:0 / 4